Paris7日目(9月19日)

まともな店で初・デジュネ&2区へお引っ越し 

バビロン最後の朝。夕方には新しいお部屋に移動しなきゃいけない。パッキングという一大仕事が 残っている。出発時に18.8キロのスーツケースはこの一週間でいったいどれくらい重くなっただろう?!


朝は、近くの適当な店でカスクルートでも食べたくなったので探すのだが、いざ「どこでもいい」と 思いながらもなかなかない。本当はプージョランのパンが食べたくてならなかったのにあそこまで歩 いていく気力はなく、ポワラーヌにはサンドイッチはない。結局、どこの通りだったかも忘れたが、 プチデジュネという名のブランジェリでタマゴとツナとトマトのカスクルートを購入。このお店については なんの情報も残してこなかったが、プチデジュネというからには朝しかやっていないのだろうか(笑)。


このカスクルート、王道の具であるのだが、実に単純明快で美味しい。トマトとマヨネーズのサンドは どこで食べても絶品だなぁ。バゲットの味もいいし、バゲットの街Parisだわ、さすが。適当に選んだ店 でもバゲットやサンドイッチは外れることは滅多にない! ツナは油っ気がほとんど無かったのでヘルシー だが、ちと口の中でのすべりは悪いかも?


ポワラーヌでもプチくるみパンとプチパンを購入。プチくるみパンはやっぱりここでもえぐみが強烈。 こっちに来てから美味しいと思えるくるみパンには出会えていない。プージョランでさええぐかった( 相対的には美味しかったんだけど)。このまま出会えないままなんだろうか…。しかし、ポワラーヌの くるみパンは、生地の素朴な旨みが好きだ。この田舎風のプチパンもやっぱり好きな味。じわじわと旨 みがわき上がる。しかし、ここのパンっていずれにしろ水気というものがほとんどない。味は好きだけ ど、食感的にはも少ししっとりしているパンが食べたい…。


昼まで部屋でパッキング。いつの間にこんなに荷物が増えたのだ?! この上、冷蔵庫の中のジャム瓶 やらチーズやらバターやらが残っている。一週間後の帰国が怖い…。それにしても、暑い。フランスも 日本も今年は異常だ。到着した頃は肌寒かったのに、翌日から連日真夏日。コートがちらほら見えてい たのに、ここ数日は裸のような薄着のパリジェンヌも見られる。それなのに、朝はかなり寒くコート がいる。今日はなんだか熱ぽい…と風邪薬を飲んだが、このめまぐるしい温度差と疲労では仕方がない のかも。


冷凍庫整理のため、泣く泣くパンは処分することに…。東京ではこんな形でパンは捨てたりなど絶対 しない私。食べきれないほど買わないし、買ったらちゃんと保存して食べきる。だから責任持って バゲットも最後まで食べようと思っていたのだが…胃袋は一つしかないからなぁ。本当はこんなもっ たいないことはイヤ。…延々と葛藤したが、開き直ることにした。せっかく遠く日本から来たのだから、 可能な限りいろんなパンを食べて帰りたい。残りの一週間、残してでもいろんなパンに手を出すぞ。 無情になるぞ…。





ランチは近くのラピ・デュパン L'EPI DUPIN というレストランへ行こうと決めていた。 ルボンマルシェのすぐ側にあり、新鋭シェフが感性をいかしたフレンチで、なおかつ自家製のパン (エピ)が評判とあった。私が参考にしたのはパリのルールだったのだが、これは他の日本のガイド ブックにも載っているらしく、日本人率が高かった(笑)。やっぱりガイドに頼っちゃうよなぁ… ハズすのが怖いもの。予約無しだったので他のお客さんと相席になる。8名がけテーブルで、 4組7名の相席。たまたま隣り合わせたのが日本人夫婦で、先にオーダーを済ませていた私は 「メニュー、読めますか?」と聞かれてしまう(読めません、と即答(笑))。


プリフィクススタイルで、前菜、メイン、デザートのいずれか2品で20ユーロ、3品で30ユーロ ということはギャルソンの英語の説明でわかった。ところが肝心のcarteに書いてある内容はちん ぷんかんぷんで、せっかくギャルソンが一皿一皿丁寧に英語で説明してくれてもさっぱり。食べ物に 関するフランス語は結構知っているんじゃないかと思いこんでいたが、スペルがてんでわからないから 全く意味がない(笑)。黒板には「本日のランチ」のメニューが書いてあるが、手書きなどなお解読 不可能。幸い私は好き嫌いは一切無いので超適当に、メインを「魚:なんちゃらのレギューム添え」、 デザートは「フィグがほにゃららソルベ添え」を注文する。2皿で20ユーロかぁ…やっぱいい値段する なぁ…。お隣のご夫婦もcarteと格闘しつつもなんとか決定した模様。彼らは、ガイドブックを取り 出して、この店の紹介ページを開き、そこに載っているメニューと同じものを探していた。なるほどなぁ、 賢いけどちょっと恥ずかしいなぁ(私も本気で食べたいものがあったらそうしていただろうが)。


フランスの人は、パン屋さんでは異常に決めるのが早いが、レストランではゆっくりとメニューを検討し ている。それが普通のようだ。妥協しないんだな。いつまでたっても来ない料理やギャルソンにいら つくこともなく、談笑しながら待っている。これって日本では考えられないことかもしれない。しかし、 パン屋さんやそのほかのお店ではこれが逆なのだ。こっちでは、パンの品揃えがだいたいどこも同 じなので、事前に「あれとこれと」と決めてからパン屋さんへ行くのだろう。対面販売であるので、 なお即断力が必要とされる。長居できる雰囲気ではないし、行列の最中に必死に選び、買ったら すぐに退店(写真をとるなんて恥ずかしくてできない!)。レストランではゆっくり時間をかけて、 お店では即決で。本当に日本とは真逆な気がする。私は超優柔不断なので、パン屋さんもレストランでも メニューを決めるのが非常に遅い。レストランには向いているけれど、パン屋さんで買い物するには 向いていない性格なのかも(笑)。今回のParis滞在で悔やまれるのは、パン屋さんでの滞在時間がどの店でも本当に短かったということ。





メインの「魚:なんちゃらのレギューム添え」が登場。おぉ、ポワレだったとは。 人参とジャガイモの千切りのソテーが敷いてある。バルサミコのソースとコリアンダーが強力で アクが強い。味が濃く、クセの強い一皿で「美味しい…」というわけではなかった。ただ、このチーズは いったいなんだろう。マスカルポーネに甘みを加えたようなデザート系のチーズだが、これは好きだった。


店名にもなっている麦の穂(=エピ)の自家製パンはカリッカリのハードパンでスナッキー。 これは強い塩気と全粒粉かなにかのこれまた味濃いパンだった。そのまま食べたら美味しいのだが、 これらの味の濃い料理には相性が悪いのでは?





デザートの「フィグがほにゃらら」が登場。おぉぉ〜! これはびっくり!  1/2個にカットされたフィグが7個くらい、組み体操のような形で櫓を組んでいる (日本的な表現(笑))。一段ごとにキャラメルのガレット(これは超美味)が挟まっていて、 カシスのソースが敷いてある。横にはさっぱりしたソルベも。フィグは熱々の焼き(?)たてで、 ソルベは早く食べないと溶け始めている。とにかくすごいボリュームだ。ソルベはおいしかったが、 この熱々フィグは、皮ごと出されているので果物の生臭さがきつくて「???」だった。考えてみたら、 これまでに「皮付き」の生フィグを食べた覚えがない。とろとろとろける果肉部分のみをすくって食べて みると美味しいが今度は少し物足りなくなった。やっぱり皮ごと食べた方がいいのだろうか…。 どうすれば美味しく食べられるのか最後までよくわからなかった(笑)。


相席のお客さんたちとは言葉は通じなくてもなんとなくいい感じの一体感が生まれて 、和やかに食事をした。たまたまであるが、どのお客の皿も違うものもので一見斬新な美しさ、 ヌーベルキュイジーヌって奴か? 大変目の保養にはなった。しかし私と同様、味的にはそれほどの 満足度を得ているようには見えなかったが(笑)。これにカフェを合わせて22.5ユーロ。 高いわぁ…しばらく外食はおあずけ(笑)。





サンジェルマンエリアはショッピングに関してはやっぱり見所のあるエリアだ。3回くらいお 世話になったバビロンのカフェとも今日でお別れ。Parisではちょっと座りたくなったとき、 日記を書きたくなったとき、いろんな用途でカフェを使った。そしてどこのカフェにもベテランの ギャルソンがいて、彼らの仕事ぶりを眺めているのも楽しいものだった。最後だからと、雑貨屋で バッグや、ルボンマルシェでミオジャム(日本のVIRONには売っていなかったフィグを選んだが… これが悲しいほど美味しくなかったのだ。不運!!)、クリスティーヌ・フェルベールのイチゴジャム (高いけれど、納得できる美味しさ! でも軽井沢の中山ジャムのような日本的イチゴジャムが 好き(笑))などを購入。一度荷物を置き、2時には部屋に戻るつもりでまた出かける。





今度の目的地は火曜金曜に開かれるという10区のベルヴィル Belleville の市場へ。このベルヴィル というエリアはParis第二のチャイナタウンということで、大変な賑わいな市場らしい。雑多に人種が いりまじり、かつてないほどの物騒さを感じた。市場はもうお昼すぎには終わっており、市の清掃局ら しき人たちが撤収作業をしていた。その市場の残骸には、果物や野菜がけっこう残ったままなのだが、 そのゴミの山々に余り物を物色する人たちが群がっていた。たぶん、これらを拾い集めて生活をして いるのだろう。みんなカートにどんどん収穫物を放り入れていく。鳩やカラスもたかっており、 すごい光景だ。しかし、まだきれいなパプリカやプラムが放置されているのをみると、私もついつい 拾いそうになってしまった。


中国系の漢字の看板をかかげる店がさすがに多い。アフリカ系の民族服を着た人やアジアっぽい人な ど多様な人種が入り交じり、つい数分前までいたあの8区のおしゃれなエリアとは全然違う。これが Parisのおもしろさなんだろう。しかし、私は鳥肌が立っていた。ほんの数日間観光に来た普通の日本人 の女の子など、滅多に来ることのないエリアだろう。ベルヴィル公園という高台の公園を通って周辺を 一周してからまたメトロに乗り込んだが、その間、初めてチェーンで身体にしっかり荷物を巻き付けて 歩いた。人とすれ違うたび、人と目があうたびに、汗が引く思いだった。昼間なのに初めてParisで 「怖い」と感じた。けど同時に興奮を覚えていた。


サンジェルマンに戻る。品質の良い洋服をセンス良く着こなしている女性と行き違う街。 同じ市内なのにこうも違うとは…。部屋に戻る途中、素敵なインテリアショップを発見!  コンランショップのすぐ近くだ。コンランでは昨日ワイン抜きを買ったが、こちらのお店の方が、 もっとお値段も手頃で自分向きな品揃えでかわいらしい。すぐ部屋の側だった。これは灯台もと暗し…。 急いで物色し、籠とワイングラスを購入。また来たいなぁ。





最終的なパッキングを15分で終え、タクシーでバビロンを離れ、2区の新しい部屋へ向かう。しかし、 Parisとはなんと車の移動の大変な街の作りなのだろう。歴史的建造物が至る所に立ちはだかり、 しかもほとんどが一方通行。通りは5000はあるといい、大きな通りじゃなければさすがの運ちゃんも わからないらしく、まずは地図を確認してから、一通を確認し、ルートを考える。ルーヴルの中の ロータリーを抜け右岸へ。ついた2区のその通りは、恐ろしいほどの裏道だ。なんという落差。 なによりも建物の入り口があの木造の門ではない、ごく普通のガラス戸だ(日本で当たり前の感じの)。 一応オートロックはついているが、解除時のけたたましいブザーが鳴るたびにビクッとしてしまう。





その雑居ビルの3階。あまりに狭く(6畳くらいのワンルーム)、暗く(電球一個が基本)、 滅入りそうな部屋。アパート自体が薄汚れていて、しかも建物自体が傾いている!! こんなのありか?  部屋が傾いているせいで、平衡感覚がおかしくなり車酔いに似た気分になるのだ。それに、古くなった タマネギのような臭いが染みついている。建物は煙突状になっていて、その吹き抜けを囲むように各部屋の 窓がある。つまり、窓を開けると他の部屋が丸見えなのだ(他の部屋から丸見えなのだ)。 映画「アメリ」では画家のおじさんの部屋をのぞき見しているシーンがあったが、まさにあんな感じ。 モロ見え。あちこちの部屋から好き勝手な騒音が聞こえてきてカオス!! あまりの環境の落差に、 すぐに前の部屋シックにかかってしまう。前の部屋が恋しい…。





ところが、ここはモントルグイユ通りに結構近いところだった。パン屋がいっぱい、カフェもスーパー も総菜屋もなんでも揃う賑やかな商店街。PAULだってあるし、ル・パン・コティディアンだってある。 これは嬉しい誤算!! これならなんとかやっていけそうかな? ちょっと体調が悪いので部屋で おとなしくご飯にしようと思い、部屋の管理人から聞いた評判の老舗のケーキ屋「ストレ」で 総菜とパンを買った。この店は、フランスへ行く前に別の人からもオススメしてもらった店だったのだが (すっかりそのことは忘れていたがあとで店頭で思い出す。「ここか!」と)、ラタトゥイユと アーティチョークの総菜をそれぞれ「プチ」サイズで購入、小さなレーズンパンも付けた。会計時に 「キャトル・キャトルヴァンテアン」と聞こえたので「おぉ、4.81ユーロ? 安いぞ」と思いながら 5ユーロを出してお釣りをもらおうとした。しかし、実は「キャトゥーズ・キャトルヴァンテアン」 の聞き間違いだった。なんと14.81ユーロ!! たったあの量で?! ショック…。しかもこの プチレザンはスカスカにひからびてちっとも美味しくなかったのだ。 バゲットにすりゃいいのに懲りずにプチパンを買う私(笑)。これなら外食した方が安くついたハズ…。 うーん、移動初日からどうも不調だわ。今後一週間、どんな生活になる事やら…。


今日の歩数20000歩

BEFORE DAYNEXT DAY