Paris11日目(9月23日)

20区パン屋巡り、セブルVSガナの絶品パン対決、モンマルトルからの夜景

あと3泊、帰国日を合わせると4日。朝起きて、帰る日までの日数を指折り数え、長いような短いような、 嬉しいような寂しいような、よくわからぬ感情…。





近くでパンを調達に行こうと、周辺をふらりと歩く。Faubourg Montmartre の26番に「アルチザン」 「レトロドール」を掲げたパン屋さんを発見。この2つのキーワードをみると、十中八九失敗はない。 それに、窯が見え、店の造り(パンの並べ方やディスプレイなど)が他とはちょっと違う感じのお店がポイント。 店内にはいると、焼けた香ばしい匂いがただよい、窯の前で年配の職人さんが焼いていたので、きっと「当たり」 ということがわかる!





・プチパンレトロ

クープがしっかりぱくっと開いた小ぶりのレトロ。塩気がマイルドで、VIRONに比べると甘みもそれほど感じないが、 もちっとした食感とカリッとしたクラスト。おいしい〜!! エシレは有塩の方が合う。


・コンプレ

もろ好みと思われるコンプレ。焼きたてなのでまだ落ち着いていなくて、クラストは柔らかく切りにくかった。 そのままでストレートに全粒粉の旨みが口の中に広がり、バター、チーズ、パテ、どんなものにでも相性抜群!  そう、こういうのが食べたかったのだぁ…。


・チョコレートザマンド

小さいサイズに見えたけれど、意外に大きかった。しっとりタイプだがべっちゃりはしていない。 中はセミスイートくらいの甘さと苦みのバランスがいいチョコ。かかっている粉糖と合わさって甘みが 加速する。しかし、クロワッサン自体は甘みはないのでくどくなく、なんか淡々と食べられた。


LE PAIN AU LEVAIN

26,rue du Faubourg Montmartre

75009 Paris

tel 01 47 70 33 70

日休


11時くらいまでだらだらして、やっと始動。まずはネット屋へ。オペラ座の近くの屋根付きパッサージュ内にある 日本語対応のインタネカフェは1時間6ユーロ。日本人がやっている店なので、質問もしやすい。しかし、なんつ ー遅さ!! 動作環境の遅さに関しては私は短気極まりないらしい。メールの送信も結局時間がかかったせいで 1通くらいしか出せなかった。もう、帰国するまでメールのことは忘れよう。





前回閉まっていたオ・デリセ・ド・セブルへ。おぉ、今度はやっている。 人気店のようだ。長〜いフィセルは無かったのでオーソドックスなレトロっぽいバゲットドゥミとタルト・ オ・ポンムをGET。





・バゲット  これも美味しいなぁ…。皮も、クラムも。やっぱり細いのが食べてみたい。でも、たぶん日本で恋しくなるような味 ではない。ちょっとバターが欲しくなるような塩気。でもでも、やっぱりこちらのバゲットって基本的に美味しい。 日本のはどうしてあぁも店によってレベル差が激しいのか?





今日のターゲットは20区エリア。一度帰宅後パンを置いて、フルートガナへ直行。20区は先日のベルヴィルほど じゃないけれど、ほどほどの下町感があった。フルートガナは、やはり名店という感じ。白木で組まれたショー ケースやディスプレイの造りが、いかにパンを美味しそうに見せるかにこだわっている感じがあって、他店とは 別格だった。しかし、「すぐ決めなきゃ」という焦りがどうしてもあって、あまりじっくり品定めをできなかった。 パン屋さんでの長居はなかなかできない…。フルートガナは、細くてまるで丸い生地を横にみよーーんとひっぱった ような形。これと(またまた)タルト・オ・ポンムを購入。





・フルートガナ

色白でカリッとしつつもとても柔らかいクラスト。しっとりとみずみずしいクラムが甘〜くて、最高に美味しい!! こういうのを私は求めてParisに来た!!(大げさでなくマジで)  なにも付けず、バターすらも付けず、ただひたすらこれだけでもくもくと食べたいベストなパン。 水分が命というわけでもなく、乾いても十分に味がよいので平気(ただし、塩気はきつくなる。 やっぱり私は放置しておかない方が美味しいと思った)。気泡も見事なものだった。気泡をみればその 美味しさがよくわかる! 粉の味がここまで出ているのはレトロドール以上。





・タルト・オ・ポンム

うすくスライスされたリンゴの乾いた素朴な風貌に惹かれて即決! 薄いタルトの上にはリンゴに隠れるかのように 甘〜いリンゴのピュレが。リンゴ自身は素直な味で、ピュレで甘みを加えている。タルト生地も美味!





フルートガナの後、メタルモニタンの付近でアルジェリア菓子の店を見つけた。もしかしたらあのフラ語講座の…? (*4月からNHKのフランス語講座を見ていた。そのとき、20区のアルジェリア菓子のオーナーさんが登場してい たのだ) テレビで見たとおりにいかにも砂糖甘そうな小さな黄色いお菓子が並ぶ。ここでは2個だけ購入。 けったいに甘いのだが、お茶さえあればけっこう美味しいかと思う。ピスタチオの方はまるでParisで購入した ミオジャムのフィグにような味だった(要するに非常に甘い)。アーモンドが多く使われているような味。


途中、Nationで下車して、いまだに石窯を使うというロートルブランジェを探したが、月火休み!!  がーん…。店が閉まっていても、外から迫力のあるカンパーニュが棚に並ぶのが見えた。本当に良さそう な店だっただけに残念。





ぽつぽつ雨が降ってきたので部屋に戻り遅めの昼食。フルートガナとセブルを食す。それに残り物スープやパテ、 ワインも…。さらに買ってきたポンレヴェック(日本であの量を買ったら1000円はかるく超えるはず! 1.89ユ ーロだった)、エシレを塗ったセブルのバゲットに生ハムを挟み、簡単なカスクルートを作った。それとフルート ガナ(これはこのまま食べたい!)。


ポンム対決。フルートガナのも素朴で美味しいけれど、セブルのポンムは絶品…!!! なんだろ、 リンゴのピュレが甘〜いんだけど、下はカスタードになっているのでとってもまろやかになっている。 タルトはわりにクラッカーっぽい塩味系。やっぱりリンゴとカスタードの相性の良さって無敵だなぁ。 フルートガナの方が「大人の味」としたら、セブルの方は「子供味」? とにかくどちらも美味美味!!  まさかだが、2つとも完食してしまった! うっそ〜。おかげでたぶん今日も夕食はパスだなぁ。





雨は通り雨のようだ。モンマルトルの丘から夜景と夕焼けを見ようと北上する。この途中、部屋の近くの パッサージュでよさげなパティスリーと生活雑貨屋さんを発見! 明日にでもまた来たいなぁ。本格的にお 土産探しをしないとならないから大変だ…。






(*このエリアには日本で言うところのアーケード商店街みた いな屋根付きのパッサージュがいくつかあったのだが、あまり居心地のよくなかったこのエリアではこんなと ころがあるんだ、と安らぎさえ覚えた。高級ブティックが入るパッサージュ、文化の香りが漂うレトロなパッ サージュなど、それぞれの個性があった)





モンマルトルのふもとはめちゃくちゃやばいエリア。ピガール駅付近は最悪。モンマルトルは別として、 なぜにParisは標高が高いところほど治安が悪いんだろう?(日本では「山の手」と呼ぶようなところなのに)  前回モンマルトルに来たときに通りかかって気になっていたパン屋さんが開いていた。ここでは本当にいい焼き顔 のパンたち(カンパーニュや大きなパヴェなど…)が並んでいる。その中でも、レジ横にあったセレアルバゲット が焼きたてだったのでこれをGET(1.1ユーロ)。セレアル(何種類もの穀物が混ぜられたタイプのパン)を買う のはParisでは初めてだが、このセレアルのバゲットは他とは何か違いそう、とピーンと来たのだ。クープからの ぞく粒々とこんがりとした焼き色、鋭い両端…。これとミニクロワッサン(0.47ユーロ)を近くの広場でかじり付く。


  

う、うまい…!!! うますぎる!!! フルートガナ並の衝撃。いや、それ以上かも?!  本当に豊かな穀物の風味。豊かって言葉はこのパンのためにあるのかも? カリッと軽快なクラストの中は、 冷たいほどにしっとりとしていて、シリアルいずれの種類もしっかり味がついていて、 どれもが確かに意味のある働きをしている。塩気がきつくないからいつまで食べても疲れないし、食べれば食べ るほどプチプチ鳴る穀物の甘いが沸いてくる。

こんなに美味しいシリアルパンはお目にかかったことはない。PAUL のシリアルはそんなに好きじゃなかったし、VIRONのも美味しいけどここまで穀物が濃くなかった。これはParis に来なければ味わえなかった逸品だと思う。これに出会えた、出会えなかった、とでは全然今回のParis滞在の意 味が変わってきそう…てなぐらいにものすごく感動した。





(*このセレアルバゲットのすごいところは、翌日放置した状態でも、さらにその翌日でも美味しかったとい うこと!)

ミニクロワッサンもバターが甘くて塩っぽくなく、ちゃんとバターのクロワッサン、と言う感じで美味。 あぁ、このセレアルバゲットはまた食べたい…。今日は朝から美味しいパンばかりにあたっている!

BOULANGERIE SARL TORO






美味しいパンの興奮が冷めやまぬままカフェで一休み。目の前で縦列駐車の車が出入りするのを眺めていたが、 みんな前後の車に平気でボカボカ当たっている。いいのか?(笑) Parisでは交通マナーの悪さは極まりない。 車に関してはそれほど感じなかったが、人は、どんな人もまともに信号を守る人は見かけなかった。信号の意味は、 車が発車して停車するためだけのものなのだろうか(笑)。かくいう私も「左見て」サクサクと横断していた。 最初はつい「右見て」…をやっていたのでヒヤリする場面もあったが…(笑)。





夕焼けを見にモンマルトルに再び登る。サクレ=クールにも再び入る。やはり入った瞬間にぎゅっと胸が締め付 けられるような厳粛な雰囲気だ。席に腰掛け、神父の言葉を聞く(言葉は全くわからないが、声の響きを聞いてい るだけで静粛な気持ちになる)。賛美歌には泣きそうな気持ちになった。全ての人が神に祈りを捧げている。この人 たちは、生きる者のために祈りを捧げているのだろうか、それとも死んだ者のために祈りを捧げているのだろうか。 言葉も肌の色も違うのに、同じように祈り、隣人との握手や抱擁を交わす。私も周囲の人たちに握手を求められ、 交わす。Paris一人旅、パンに夢中で意外にも感傷的になる機会はなかったが、ここにきて初めて、涙が溢れた。





丘の芝生に腰掛け、日記を書きながらセレアルバゲットをかじりながら夕暮れを眺める。今日から一気に寒くなった。 ようやくParisの猛暑も終わるのだろう。1時間くらいそこで座っていたらすっかり冷えたので、暖をとりに広場の中 心にあるカフェへ。気軽に入れそうだからと思って適当に大きなクレープリーに入ったが、初めてだ!! この国に来 て、こんなに不味いコーヒーを飲んだのは(笑)。泥味ダブルエスプレッソ。最悪。駅で飲む立ち飲みも含めて、不 味いコーヒーに合うことはこれまでなかったのに。さすが観光地…。





それから夜景を見にサクレ=クールに戻る。寺院自体もライトアップされ、振り向くとぽつぽつと明かりが 月始めオレンジ色に染まる夜景。すばらしい…来て良かった! ここでジャマイカとカナダのハーフのレゲイ のお兄さんと言葉を交わす。最初は聞き取りやすい英語で、「ドコカラキマシタカ」的な会話をフレンドリーに していたが、次第に「ドコニトマッテイルノ」「レンラクサキヲオシエテ」「コレカラノミニイカナイカ」的な 会話にシフトしていったため(笑)、私は「友達と来てる」「彼女は今日はエッフェル塔で」とか「彼女が待っ てるからまっすぐ帰らなきゃ、ばいばーーい」と逃げる。ははは。やはり夜は怖い。帰り道もしっかり選んで帰 らないと!


それにしても、今日のパンは美味しいものばかりだった。私のパンの味覚も超テキトーなもんだが、その店の得意 不得意(というか、私との相性)次第で印象が全然違う。だから、なるべくその店の得意商品を買った方がいい かもしれない。自分の嗜好はこの際がまんして(激しく当たりはずれがある)。適当に入った店で絶品に会うこと もあれば(例えば今日のシリアルバゲットとか、朝のお店とか)、わざわざ行って肩すかしをくらうこともあるだろ う。そして掴んだのは、迷ったらとりあえず「バゲット」と「リンゴもの」。この2店でハズした店は一つもなかった。


残り2日半。食べたいパンも、料理もまだまだたくさんある。パンをめぐるかパリグルメを取るか…まだ迷っている。


今日の歩数25000歩

BEFORE DAYNEXT DAY