Paris3日目(9月15日)

モンマルトルめぐり、ポワラーヌ&カイザーなどの有名パン屋へ 




Parisの朝は遅い。日の出がとても遅くて、7時でも日本の4時くらいの暗さだ。しかし、いったん日が 出るとまぶしくて目も開けられないほど。初日にすっかり目をやられ、もともと相性の悪かったハード レンズをつけるのが辛くてたまらない。今日こそサングラスを買いに行こう。こちらの人はサングラス 装着率がとっても高いのは、必要に迫られてのことだろう。もちろん、ファッションアイテムとして 楽しんでいる(そのかわり日傘を見かけたことは一度もない)。こちらの人は日本みたいに紫外線から 隠れようとせず、肌を真っ赤にさせながら平気で日の当たるテラス席を選んだり、 公園で日光浴を楽しむ。細かいことを気にしない国民性? 紫外線はシミになるとか、 そういうところを。随所で日本人の変に奥ゆかしい(?)ところを実感させられるのだ。






朝の支度をしてからポワラーヌへ。とにかく近い。まるでこの場所を狙って宿泊先を決めたかのよう。 ポワラーヌのカンパーニュは、日本でも手に入る。日本橋高島屋や新宿伊勢丹(エディアール)等で 毎週空輸しているのだが、1個で5000円くらい、1/4で1250円もするのだ。私は以前、ボーナスが出た際 に思い切って購入したが(笑)、「これが本場のカンパーニュか…」と感心したものだ。美味しさとか味 以前の問題で、とにかく時間と手間がかかっているのがよくわかる。香ばしさが違う。空輸にも耐えうる 生命力の非常に高いパンだった。輸出用やスーパー卸用のパンは専用の工場があるらしいが、この店舗の パンは、地下の工房で焼いているとのことだ。




客はそれほど多くなく、見習いっぽい若い女の子が担当してくれた。カンパーニュは5ミリくらいに スライスされたものが積まれて、好きな枚数だけ買える。もちろん、塊でも。 どうせ他にも購入するので、できるだけ小さい部分を1枚選んだ。そして、絶品と噂のタ ルト・オ・ポンム、そして小ぶりなカレンズのライ麦パンの3点を購入、3.05ユーロ(380円くらい)。 パンの品揃えは多くはないが、カンパーニュを入れる麻袋(お土産に購入)やバヌトンなどもあり、 パンマニアにはコレクションにしたい品々。そのあと、ルボンマルシェに行き、エシレバターや ヨーグルト、パセリたっぷりのテリーヌを買って部屋で朝食。


パセリのテリーヌは塩気がきつすぎてマズい。トマトも1個140円くらいした(桃太郎トマトと何ら変わら ない普通のお味)。やはり高級食料品店は高く付く…。


パンを頂く! カンパーニュは日本で食べたのとほぼ同じ味わいで、わりと淡泊なクセのほとんどない 水分がかなり抜けたクラムに、薪とかふすまのようなの香りのするクラスト。これにエシレ(有塩) を塗ると…おっいし〜い!! すごく相性がいいみたい。やっぱりこういうパンが好きだぁ。






カレンズのパンは、たっぷり惜しみなく入ったカレンズは嬉しいのだが、ごく無難。食感がもさもさして 中途半端で、裏にまるくぽつぽつと布の跡がついているのがなんか量産的で(そうでないとしても)…。


タルト・オ・ポンムは最初の一口はバターと塩気のバランスがよくって、昔ながらのアップルパイの味。 焼きリンゴの部分が非常に美味しく、あまりひねっていないストレートな昔ながらの作りだからこその味。 なるほど、これなら評判になるなぁと思った。しかし、後半はバターの香りが感じられなくなり、 粉と塩のみの甘みのない穀物の塊となりだした。リンゴが3切れほどで少ないせいかも。これは後半失速 タイプなので、美味しく食べきるには1/2がベストな分量かもしれない。


この日の朝食で一番のヒットはダノンのBIOのヨーグルト! プルーンが粗く砕かれたそのまんまの状態で 入っていて、すごく美味しい。4パックもあるのであと3日も楽しめる!





直接メトロで向かったのはモンマルトル。モンマルトルの麓からサンレ=クールにかけてのエリアは、 噂通りに芸術と音楽と卑猥さが混在した、こてこてな観光地状態だった。怪しげな通りを上り抜けると、 かわいらしい一戸建ての家が並び、坂を上ったところからの眺めは抜群!! 





執拗なまでの似顔絵描きの売り込みを切り抜けて、サンレ=クールの聖堂へ。景色よりも感動したのは、 この聖堂の中だった。厳粛な雰囲気に圧倒される。神父の声が響き、賛美歌が堂内を静かに震わせる。 なぜか涙が出てきそうな ほど、胸にくるものがあった。しばし人々の祈りを見つめながら、キャンドルの寄付(2ユーロ)をして 立ち去る。Parisの景色を一望できるモンマルトル。たぶんまた来ることだろう。


モンマルトル周辺を散策。私が泊まっている7区のブランドストリートとは違って、ごちゃごちゃと いろんな店が並んでいてとてもおもしろい。中華総菜の店、肉屋、チーズ屋、八百屋、なんでもあり。 映画「アメリ」の舞台となったカフェや、ヒステリックな八百屋もあった(閉まっていたが)。 アメリのカフェにはポスターが張られ、外から覗くとニヒルな微笑みのアメリと目が合う。






アメリのカフェの隣にあるパン屋さんから修学旅行的ご一行の日本人の女の子たちが大勢出てきた。みな一様に カスクルートを食べている。先導の先生が「みんな買ったかなー。じゃあ次行くよ〜」と点呼している。 美味しいのかも? と思って私も入れ違いで入店。なるほど、その白焼きのモチモチしていそうな バゲットは美味しそう。そこでトマトと卵とレタスの入ったシンプルなサンドイッチを購入。3ユーロ。 店内のイスに腰掛けかぶりつく。う、うまい〜!! トマトとゆで卵とマヨネーズ。このマヨネーズの せいなのか、これぞサンドイッチの単純明快な美味しさ。


フランスに来て一番の美味しさだった(まだ3日目だが)。パンもPAULのよりも弾力感があり、 表面は薄く乾いた感じで中はもちもち。厚みもあるし、これは当たりだった(*のちに、この店は随所 で見かけるチェーン店ということが判明。2週目に滞在した部屋の最寄りのパン屋もこの店だった。 赤と白のデザインが少しファーストフードチックではあるが、このサンドイッチの美味しさは強烈に 印象づけてくれた)。





途中、ルヴァン・オ・ダンタン levain au d'antin というごく普通の町パン屋さんでも1個パンを購入。 1ユーロで、穀物とクランベリー、オレンジが入ったプチパン。食感的には平凡だが、なんか素朴で良い。 穀物の中にすごくクセのある覚えのある粒があったけど…松の実かな?


それにしてもピガール駅から西に続くClichyという通りはエロエロ通りだ。こんな場所、 夜にひとりで歩いたらそれこそ命取り(貞操取り?)だ。 その後、坂をくだり、 ギャルリーラファイエットとプランタンのParis2大デパートへ。お昼は「料理王国」に紹介されていた エリックカイザーの新レストランにしようと決めていたので、買い物は早々に切り上げた。ところが、 カイザーの店はなかなか見つからない。まだ地図や番地の並びの規則をうまく把握していなかったためだ。





やっとこたどり着いた店は、思ったよりも小さくレストランと言うよりはカフェテリア的な気軽な感じ。 狭苦しくて落ち着かないが、さくっと食べるにはこれくらいがいいかもしれない。 パンの品揃えは日本で見慣れたものたちもそろっている。日本のカイザーはかなり忠実なのだろう。




そこではサラダを注文。しかし、どんなサラダがくるかなどわからない(なにせcarteが読めないので、 トマトくらいしかキーワードにならなかった(笑))。白くスタイリッシュなプレートとボールに 盛られたサラダにはオリーブオイルが別添えされていた。初めは淡泊だったが、塩を加え、オリーブ オイルを回しかけ、混ぜて頂くとすっごく美味しい!! 感動するのはこのトマトのコンフィだ。 トマト缶のジュースを全て捨てて絞った後にオイルに漬け込んだかのような実が6個くらい載せられて おり、すっごくトマトが甘い。それにシェーブルチーズと松の実が振りかけられているのだがこれが良い ドレッシングになっている。コリアンダーも良いアクセントになっている。チャバッタのような プレーンなパンが一切れ付いていたのみだが、やはりこれで十分なボリュームだ。7.5ユーロもしたが、 ちょっとした創作料理と思えば高くない?!





テイクアウトにプチオリーブ(のつもりだった。1.2ユーロ)とタルトモンジュ(2.5ユーロ)を。 カイザーのパンは日本ではほぼ全種類食べた自負はあるのだが、タルトモンジュは初。すっごくチェリー に洋酒が効いていて超美味!! こんなに美味しいものだったとは。生クリームもわりとあっさり していて、いくら食べてももたれなさそう。危険極まりない…でもこれは帰国しても食べられると思うと すごく嬉しい♪ オリーブのパンの方は、どう見ても隣に並ぶラルドンを入れられてしまった模様。 ショック。しかし、塩気はマイルド。日本のカイザーで食べるラルドンは塩気が強烈できつく、 苦手だったのだが、これは細かく刻まれていたからよかったのだろうか。バランス良い塩梅と微かに 香るオリーブがいい。ちなみに、これらは通りのベンチでマイナイフでカットしながら食べたが、 そういう日本じゃお下品なことを平気でできるのが私にはすっごく向いているみたい(笑)。 だって、美味しいうちに食べなきゃパンに対して失礼だもーん

…と、日本でもパン屋から出るなり 歩き食いしている私はいつもこう言い訳する)。老若男女、誰も彼もが買ったパンは店を出るなりかじり 付いている。バリバリと新鮮なうちに。そう、みんな美味しいパンの食べ方をよくわかっているのだ!





それからはラファイエットとプランタンで終日お買い物。サングラスと靴とプチバトーのTシャツ類を 購入(日本より1000円くらい安い)。ラファイエットのフードコートもこれまたすごい。世界の高級食材の 見本市のようだ。フォアグラとワインが飲めるイートインカウンターまである。しかし、ルボンマルシェで 経験済みなので何も手は出さず、眺めて楽しむ。パン売り場のパンは、なんかカイザーそのままだった。 一応オリジナルとしているようだが、明らかにカイザー。バゲットなんてその名も「バゲットモンジュ」。 そのまんまだ。ポワラーヌやモワザン等のメジャー店のも袋売りされているし、ベーグルや ニューヨーカースティックなど、他では見られないラインナップもあり、日本的、紀ノ国屋的。


へとへとになりながら帰宅。部屋で今日の戦利品(パン)を少量ずつと、スーパーのMONOPRIX (*モノプリ。今後非常にお世話になることになるヨーカドーやJUSCO的なスーパーだ)で 買ってきた人参サラダとチーズを。人参サラダはパック詰めのものなのにレモンの風味が効いていて 脂っぽくなくてちゃんと美味しい。これは常食になりそうだ。


本日の歩数 26000歩


BEFORE DAYNEXT DAY