Paris4日目(9月16日)

13区、14区のパン屋さん巡り&エッフェル塔の夜景



もう4日目だ。何もしていないと焦る気持ち。もともと私は普段でも家でじっとしていられず表に飛び出す。旅行などに行ったら、早 朝からむくりと起きだしてバンバン活動しているハズなのに。しかし、パンを巡りに来たのにどうも食欲がわかない。こんなんじゃもったいないよぅ〜と不安に なってくる。どうにも珍しく今回はスロースターターだ。

今朝は朝イチで洗濯をし、プージョラン POUJAURAN へ行ってみた。ドミニク通りの先の方で、 この部屋から空腹の状態で歩いて行くにはえらく遠かった。30分くらい。官庁が集まっているエリアなので、 朝の通勤、通学風景を眺めつつ朝の空気を吸いながらプージョランを目指す。





プージョランは、パンガイドだけでなく、フランス旅行ガイドとかにもポワラーヌとともに載るような人気店である (もっとも、この手の旅行マニュアルに載っている店はほとんど同じ。制作側もそこまでリサーチしていないのかも)。 だから、パン好きだけでなく、Parisに来た普通の(=そこそこパン好き)日本人観光客もどしどし来るようだ。 この店はなんとしても行こうと思っていたので期待は過剰。過剰な期待はいつでも禁物ではあるが、はやる気持ちは 抑えられない! 





ミニク通りの商店街を右手に曲がったニコ通りの中ほどでプージョラン発見。ピンクの壁に青いひさしがトレードマークの小さくてかわいらしいお店。店内に は美味しそうなパンはもちろん、ジャムもずいぶんたくさん売られていた。プージョラン氏は思ったよりも老けていたが(写真がとても若く見えるせいだ)、 やはりすっごく素敵なパリジャンだった!!





・フルート(0.8ユーロくらい)

超美味い!! フルートと言いながら、バゲット並の太さと長さ。しっかり切り立ったクープ。 これこれ、こういうバゲットが大好き!! がっつりと厚く焼かれたクラストは痛いくらいにザクザク口に刺さり、 くすんだ灰色クラムは水分をしっとり保ってみずみずしい。苦いほどに香ばしく、酸味も強く、非常に野性味があって 美味しいのだ…。私が大好きなタイユバンロブション(東京恵比寿)のバゲットカンパーニュをもっと酸味を強くし、 粗野にした感じ。エシレ有塩では塩気が強すぎてケンカした。夕べ買っていたシェーブルチーズとは好相性。





・オザマンド

べっちゃりつぶれていて、何が何だがよくわからないルックス。東京でカイザーのオザマンドを食べて「これが本場の オザマンドか!」と感激していたが、実際にフランスのオザマンドも日本でよくみられるきれいな形はしていない。 このプージョランも、クロワッサンの原型をとどめていないべっちゃりタイプ。クロワッサンの端の方はまだザクザク感 は残っていた。たっぷり入ったアーモンドクリームはまるでプリンのようにしっとりしている。最初は「?」と思ったが、 味わううちにバニラビーンズとカスタードの風味がとても豊かなものだと実感。端っこの焦げがカラメルの焦げた味で 超美味い! (*冷凍保存し、翌日、翌々日と何度かにわけて食べたが、食べるたびにどんどんはまってしまった… もんのすごく美味しいことが後々になってわかってきた)


・ミニクロワッサン

小さいので味わうとまでもいかなかったけれど、中はややしっとりしていて甘くなく塩気は適度。 ちなみにここのクロワッサンは99年のフィガロ誌でカイザーとタイでNo.1クロワッサンとして選ばれている。 私はカイザーの方が好きかも。


・くるみとイチジクのプチパン

バトンサイズのかわいいライ麦パン。プチプチが入っていて、てっきりキビとかの穀物系のパンかと思ったら、 それはイチジクの種だった。固体だけでなく、生地にも種ごと仕込んでいるかのような感覚。 カラメルのような苦甘さとイチジクの甘み。独特のクセがあり(たぶん日本では味わったことのない類のクセ)。 これははまってしまった。やめられない。


・カレンズのプチパン

カレンズたっぷりのバトンタイプ。カレンズの味がこれまた独特。甘くもあるし、酸っぱみもある。かといって単に 「甘酸っぱい」では片づけられないような…。その上で、やはり「外国」なクセのある味。美味しい。





プージョランの絶品バゲット(フルート)を歩き食いしながら家路についている途中、 ペルティエ Peltier に遭遇! まさかこんな近くにあったとは。やっぱりこのエリアはおもしろい…。 朝早いためか、まだケーキの数も少なく、ヴィエノワズリーも数種類しかなかった。ヴィエノワズリーを買うには 少し躊躇するところがあった。というのも、ペルティエは言わずとしれたパリの名パティスリーであり、日本でも あちこちのデパ地下でみられパンもおいてある。パン好きさんには周知のことであるが、銀座松屋と赤坂店では、 志賀シェフのレシピのパンが食べられ、私は超愛用している。しかし、それ以外のデパ地下のペルティエ (銀座店などでもクロワッサンを初めとするほとんどは)は工場で作られている全く別物のパンであり、 それらははっきりいって…味の差が歴然としているのだ。それらのものと酷似しているヴィエノワズリーばかりが 並んでいたため、しばし悩んだ。しかし、ここはやっぱり試してみようと思い、ミニクロワッサンと ショソン・オ・ポンムとブリオッシュを購入。





・ミニクロワッサン

焼き色が薄い日本のペルティエの巨大クロワッサンとは違って、焼き色が均一で、層がしっかりとしている。その上歯ごたえもあり。 塩気が効いているのは共通している。これは美味しかった。


・ブリオッシュ

とても中途半端(食感、味ともに)。ほめどころは見つけられなかった。


・ショソン・オ・ポンム

これは…。口にしてみてびっくり!! 超うま〜!! 表面のキャラメル味と中のリンゴが絶妙で、 生地の風味も抜群にいい。これは驚いた。本当に美味しいのだ。1個食べきる当たりではちょっと半ば リンゴのピュレに「?」な味の部分もあったが、強烈な美味しさを与えてくれたのは確かだ。


朝からずいぶん美味しい思いをしてしまった。おかげでずいぶんスロースターター。いつもの旅とはほんと 大違い。でも、こういうのが一番楽しいんだよな、と。美味しいパンを朝から食べて「ふはー、食べ過ぎた かなぁ」とお腹をさする姿。これってやっぱり私らしいのだ。これは旅行ではなく、違う土地での 「いつもの私」。だから、全然焦る必要はない。まだまだ時間はある。





部屋を11時頃出た。今日はとことんパン巡りをしよう、と決める。まずは15区のマックス・ポワラーヌ Max Poilane 。(リオネル)ポワラーヌとは兄弟に当たる店らしいが色々事情があって、あくまで別の店、 とのこと。しかし、品揃えはほとんど変わらない。のれんは違えども昔ながらのパンを受け継ぎながら 作り続けているようだ。デパートやモノプリとかの大型スーパーはポワラーヌを置いていたが、とある 小規模チェーンスーパーではマックス・ポワラーヌの方を置いていた。その辺の傾向がわかってくるのも Paris滞在のおもしろいところ。さて、白くてかわいらしい、レースのカーテンが似合いそうな店内。 例のマックス・ポワラーヌ氏も写真通りのスマイルをしてくれた。ここではポワラーヌと同じように、 カンパーニュを一枚、タルト・オ・ポンム、松の実のサブレ、クロワッサン(合計4ユーロくらい)を。 ちょうどお昼時で、お向かいの公園で食べることとする。おこぼれを期待して群がる鳩と格闘しながらの ランチとなった。




・カンパーニュはポワラーヌと同様に乾いた感じでかなり引きが強いクラスト。風味からすると、 ポワラーヌの方が香ばしさが勝っている気がしたが、たまたまかもしれない。基本は同じだと思うから。


・クロワッサン。かなりいびつででかい。外はややハードでぎゅぎゅっとしていて、中身は伸びやかで ふわっとしたクラム。のびるのびる!! バターの風味もそうだが、塩気がうまく効いており、食事に 十分なボリューム感。食べ応えあり。


・タルト・オ・ポンム。すごいボリューム。ポワラーヌよりもリンゴがたっぷりでパイもかなり高く 盛り上がっていて豪華。パイ生地はやや大味で、ポワラーヌの方が美味しいように感じた。リンゴも たくさん入っているが、甘さは控えめ。しかしシロップが池のように入っているのには驚き!!  ぼたぼたこぼれてべたべたになってしまった。こういうときにウェットティッシュは大活躍。 ご注意を(笑)。


・松の実サブレは素朴な美味しさ。大きいので、部屋のテーブルの上に無造作においておいた。 気が向いたときにちびちび割って口に入れていた。





お次は13区のパン屋巡りへ。右岸は来週巡ることにして、今週は左岸のパン屋さんを回ってみたいと思う。 Place d'Italieで下車。大きなショッピングビルがある駅だ。なにやら人が溜まっていてにぎやか…という か、印象的には学生交流センターとかのバイト求人掲示板の前のような感覚が…(分かる人には分かるかな ぁ…)。円形のPlaceをぐるっとみわたすと、一軒のパン屋が目に入る。人も並んでいるし入ってみた。 オーソドックスなラインナップの中で、変わり種のパヴェを発見。なんと、プラムとベーコン!!  まだ温かくもっちろとしたパンをかみ含めると、たっぷりのプラムに…刻んだベーコンが合わさっている。 ベーコンの食事臭さに邪魔され、甘いんだかなんなんだかよくわからない混乱するお味だった。パーツは 悪くないのに思わず無言に…。


   LE BOULANGER DE LA PLACE 9 Place d'Italie





イタリー通りを南下すると、通り沿いにル・グルニエ・ア・パン Le Grenier a Pain が見えてきた。 ここはVIRON社の粉を使っているアンテナショップの一つだと聞いていた。絶対に行く店の一つに あげていたところである。少し田舎風なウッディな雰囲気の店構えは、他の大勢のパン屋さんとは違う。 何か違う、と思わせるものがある。とても小柄なおひげの職人さんがいた。マダムは即決できない私の 不慣れ具合にちょっとイライラしていたみたい。






・ドゥミバゲット 

VIRON社のレトロドールを使っている。オーソドックスなバゲットの堅さ、ルックス。食感はVIRON(渋谷) のとは違うけれど、なるほど…強烈な塩気の奥に、覚えのある深い粉の味。ちゃんとクープが立っていて、 黄色く気泡がぷつぷつあいたむっちりクラムはしっとりしていて、口溶けがとてもいい。 かなり塩気が強いのだけど、なんかやめられない美味しさだった…。



・プチ・ルヴァン・オ・レザン

そういえばルヴァンが名に付くパンを食べるのはこっちに来てからは初だ。とっても小さくて、 このハードさはカノムパン(神奈川葉山)のハード系を思い出させる。こんなに小さいのに指で割ろう にも割れない。とても重たい。一口をじっくり咀嚼しないとダメなほど密度が濃い。小さいくせにとって も手がこんでいる感じで好き。


・ダマンド

ここのもぺっちゃりタイプなのだけど、クリームは上にはあまり載っていない。替わりに粉糖がたっぷり 載っていて、 この甘みがよく効いている。クリームはアーモンドよりもカスタード的なタマゴ甘さがあって美味。 バランス的にはプージョランのよりも美味しいと思った。 (*…のだが、後日改めて食べ比べてみると、プージョランの方が好きだったみたい(笑))





次に行ったのは、バゲットコンクールで優勝経験があるというプジェ POUGETを探す。 しかし看板には店名が書いていないので(パン職人、とだけは書いてある。このようにParisの多くの パン屋は名前を掲げていない)少し不安になる。 なんか暗くて活気がないし、あまり魅力的ではない感じだ…。間違ったかな? と思ったのだが、 そこのバゲット トラディショネル(1ユーロ)はものすごく美味しかった!! たとえるなら、VIRON(渋谷)で言う ところの レトロドールファリネのよう。打ち粉がたっぷりで真っ白なのだが、この打ち粉の風味が際だっており、 さらに一層味に立体感を出している。そしてクープの立派なこと! ざっくりと乾いているクラストと、 それを跳ね返す弾むクラム。クラムもこれまた美味いのだ…。グルニエ・ア・パンのように極端に塩気が 効いているわけでもないので食べやすい。





しかし、どこのバゲットも塩気がすごく効いていて、これは有塩バターじゃきついだろうなぁと思った。 無塩バターの方がよさそうだ。実際、フランスでは無塩バターが一般的だそう。日本では有塩バターが一般的。たぶん、食パンとか あまり塩気の強くないパンが多いからなのだろうか(パン中心に考えるからそう思っちゃうが(笑))。 私もいつもの癖でエシレの有塩をParisに着いて早々に購入したが、すぐに無塩エシレも買わなきゃだわ。 …などと、ようやくパリのバゲットがどんなものなのかを若干ながら把握しかけてきた (といってもまだ数本しか食べてない(笑))。





次は料理王国に載っていたヴィエノワズリーの美味しいローラン・デシェーヌ Laurent DucheneE。なるほど、ケーキはどれも素敵。14区という、ダウンタウン的な 町並みの中では浮いている感じがするほど。ここではパン・オ・ショコラ(1ユーロくらい)を。 えらく軽い。しかし脂がすごく浮いていて、ハラハラですごいカスが飛ぶ。表面の層が一気に一枚 ハラリとはだけてしまったほどだ。味はバターが濃くてすっごく美味しいのだけど、なにせすごい脂。軽くて 脂っぽいクロワッサンは美味しくてもお腹が一杯の時にはきつい…。作戦ミス。 ちなみにこの店はハード系も美味しいらしい。





さんざんパンを食べた一日。あきれるほどに…。しかし、パンばかり食べていたのでお野菜も 軽めにとっておこう。そこで夕食は初めてのクッキングをしてみた! スーパーで買ってきたフェンネル (野菜としては初めて見た)と人参と紫色の小粒タマネギでミネストローネを作った。フェンネルをどう 切ったらいいのかとか、わからないことばかりだったが楽しかった。実はアーティチョークも買って きたのだが、さわったことなど一度もないので、いったいどうすりゃいいのかわからない! 一応ま るごと茹でてみて、葉をめくってみようと思ったのだが、めくれどもめくれども、可食部分がどこなの かさっぱりわからなかった(笑)。根元の部分…ってことはわかっていたのだけど。結局泣く泣くさよ ならすることに…ごめんなさいぃ。


スープを煮込んでいる間に、チーズをつまみ食い。ブリー・ド・モーと白く小さな小売りのシェーブル、 それに安かった赤ワインとちょっぴりのバゲット(さっきのトラディショナル)。ブリーが叫びたくなる ほどに美味しい!! この日買ったシェーブルの方はカマンベールをもっと水分を多くさせた感じの味。 最初のテイスティングではイマイチに感じたワインも、チーズと飲むと一気に極上品に変わって しまった! まさにこれってキッチンドランカー。最高に楽しい!! こういう生活を待っていた。 観光などしなくても全然充実している。そう、むしろこういうのが大好きなんだ〜。





…といいつつも、そのあと腹ごなしにしっかり観光へ。Parisの夜は長いので、8時でもまだ夕方くらいの 明るさだ(しかもここずっと真夏の灼熱が続いている)。エッフェル塔の夜景をみにいくことにした。 ギリギリに間に合い、行列にもまれつつ切符を買う(最上階までは11ユーロ。さすがに階段は疲労につき 回避…)。21時と22時、23時には10分間ずつまばゆいほどのイルミネーションが点灯する。私はそれを 知らなかったのだが、切符売り場に並んでいる最中に21時の点灯が始まった。一斉に観客から歓声が沸き、 皆がエッフェル塔を仰いでいる。なんだか、Parisにいると、毎日がお祭りのよう。。。






風の強い最上階に立つ。下から眺めるのも、上から眺めるのも、言葉には表せないほどの美しさだ。 しかし、美しい街並みに、つい「あれ? エッフェル塔はどこ?」と探している自分(笑)。やっぱり エッフェル塔が見えない夜景はちょっと寂しかったりするのだ。


タクシーで帰宅。さすがに深夜23時過ぎていたので公共機関や徒歩で帰るわけにはいかなかった。 もうへとへと…。タクシーの運ちゃんには通りの名前と番地名を言ったのだが、 数字の発音が通じない。私の発音、全然ダメなんだ…とトホホだ。しかし、ちゃんと部屋の前まで しっかり送ってもらい無事到着した。


本日の歩数 30000歩

BEFORE DAYNEXT DAY