67-3.'06夏 関西灼熱ロングステイ 〜大阪h編〜





06関西ロングステイその2〜神戸芦屋編〜はこちらから*



同じ時期に東京からパン友たちが関西に来訪。

おぉ、よくキタネー

…って、おいおい、私も東京から来たひとなんですけど。

(すっかり"こっち"の人である…)


彼女らの目的は何はなくともh。

当然、私の目的だってhだもん。負けないもん???

(そこ、競うとこじゃないし)


もちろん、集まるのはhのお隣、マルシェ。

例えhのパンをイートインができるからって…

毎度毎度あれだけたくさん持ち込まれちゃマルシェだってイイ迷惑?(笑)

いやいや、その分飲みますから! 大目にみてくださいな。


ビールを3杯もおかわりしたのは別に遠慮だけではなく。

「これで飲みたい!」と思わせるようなパンがめじろ押しだったのである。

よく言われるのセリフは

「ビールってお腹いっぱいになっちゃうでしょ?」



…はい。ごもっとも。

でもでも、目には目を! 麦には麦を!

(意味不明)






これも毎度のことながら、この日食べたパンを全部ここに載せることができない。

実はマルシェはとっても「暗い」のである。

きちんとパンがきれいに撮れたものが少ない…。とほほ。

(単に私の腕の問題とも言えるが…)

さらに、再び遭遇できるパンも少ないと思われる。

だから、すべてのパンに対して真摯になれる。

「今しか会えない」一期一会のパンたち!!


今日も、とことん食べたのである…。シェフのパンを。

よくばりな私たち、パンだけではなく、

真心まで食べ尽くそうだなんて、どこまで貪欲なのだろう?!




いまさらながら、過去のh来訪ストーリーは…

こちら こちら こちら こちら こちら こちら こちら こちら

私って…いったいどこの人なんだろう(笑)





つい2日前、仕事帰りにhに立ち寄った時にラスト1個で残っていた

自家製ホロホロ鶏のリエットをセーグルにサンドしたサンドイッチ。

今日はバゲットと合わせて頂いたのだが

うぅーーー…。ほんっとに美味しいのだ。

リエットだけでも十分美味しいのだが、決め手は厚切りバター!


あのサンドイッチのバターはもっと厚切りだったはず。

でも…自分でやると、どうにも手加減をしてしまうのだ(笑)。

そう、料理も、自分で作ると油は控えめにするわよね。


そんな乙女の心理状況、ここでは捨てよ!

こんなところで躊躇してはだめ! もう手遅れだっ!

…そう、同席の仲間たちに叱咤するのである。

「バターは厚切りで!!」(笑)





…どう考えても「一期一会」である。





…これもどう考えても一期一会…。


あぁぁ、ホントにすまない。

美味しすぎてすまない。

なんで私があやまるのかよくわからんが(笑)

こういうことになっていたのである。


特に、上の画像のほにゃららとほにゃららのクリーム煮は

この具材を「生」で食べたのは初めてかもしれない。

それだけに、その鮮烈な香りには心臓が一瞬飛び出した。

これはこんな味だったのか!!!





たぶんこれも「一期一会」…?

シェフもマダムも大好物だと言うこのキッシュの様なタルトは

極上のラザニアを思い出させるような…。

あー、ラザニア食べたくなって来た。そういう起爆剤的な絶品タルト。





この日店頭に並んでいたパンたちは

これだけ何度も足を運んでいる私ですら、初めましてだらけであり(笑)

まったくもって、シェフの創造力には脱帽

…いや、むしろシェフの帽子を脱がせたい(笑)。


画像に載るパンたちは、いずれもチョコレートがキーになっている。

パティスリーAマノ氏だからこそできる、マジカルなチョコパンたち。

どれもこれもが絶品、夏なのにチョコパンがめじろ押し(笑)。


画像上の「モハベ」。

ぎっしりレーズンが練り込まれているのだが

それと同じくらいにチョコレートがぎっしり…。「黒光り」してます(笑)。

あぁ、断面がないとそのサプライズは伝わらん…。

その内部はレーズンもチョコも色合い的に境目がないくらいに真っ黒なので、

どこからどこまでがレーズンなのか、チョコなのか?!

あ、どこにあるのかわからないのは生地の方である(笑)。

ジューシーなレーズンの甘さって、チョコにも負けないほどなのなぁ…。


画像下は「セーグル・ジャンドゥーヤ」。

生地には刻まれたヘーゼルナッツ、

さらにジャンドゥーヤ(ヘーゼルナッツ入りチョコレートペースト)がどろ〜んと溢れ出す。

プラリネをパンで食べる、かのような


画像右は「甘さと苦さのセーグル」。

だーかーらー(笑)。そのネーミングっ。

甘くて苦い…色恋沙汰のことを言ってるの?(笑)

名前だけでチョコのパンだなんてわかる人、いるのかい?

甘さはホワイトチョコで、苦さはビターなチョコレートで。

同じチョコでも、対極の味わいがセーグルによって結ばれる。


そうそう、パンにホワイトチョコが使われる時、

いつだって、味以外の「甘さ」を連想させられる。

初恋にも似た、甘酸っぱさ。

…いや、ここでは「酸っぱさ」ではなく「苦さ」か。

じゃあ、オトナの恋か(笑)。深いなー深い!(?)





チョコの甘さが身体全体に行き届いたところにポテトチップ…。

違う違う違う(笑)。

ちょうど焼き立てに遭遇した、ド悶絶パン「じゃがいもとアンチョビのアンシェンヌ」。

この美味しさは…ちょっと筆舌しがたい。

「あなた、道産子ですか?!」

そうツッコミを入れたいくらいに、見事なジャガイモのあしらい!

まるで、中山峠の揚げじゃがを食べているかのような(わかりにくいよ)

ジャガイモの美味しさが極限まで引き出されているの!!

しかも、アンチョビによる強い塩気がじゅぅぅーーっと唾液分泌を促す!

ものすごく美味しかった。はー。





パンの紹介を淡々と(?)続けてみる。

画像上は「ノワレザン・ポンム・エ・キャネル」。

クルミレーズンにリンゴの蜜煮とシナモンのパンなのだけど、

hっぽくない」と思ってしまうくらいにオーソドックス(笑)。

しかし、具の入れっぷりがやはりhであり(笑)…クルミなんて1/2ごろりと。


画像左は「桃と松の実のカンパーニュ」!

白桃の果肉がころころと入っているだけではなく、

松の実を合わせてしまうとは!

ネクター並みに桃が甘くて香り強いのに、松の実のシャープさがより甘みを際立たせる…。

すごいよこれは…。桃って、生じゃなくてもちゃんと香りが出るのだねぇ!


画像右は「リュスティックカカオ・ドゥ」

そう、h黎明期(?)からある、定番のリュスティックカカオが甘くなりました!(笑)

以前のバージョンは、甘くないカカオリュスだったのに (かなりマニアックな味だった)

今度はチョコ率が3倍アップ、あともう一息でチョコそのもの、

というくらいに濃厚に甘くなりました(笑)。

あ、でも私はこっち(ドゥ)の方が好きであります〜。





これは夏の新作。

爽やかにカシスたっぷりのパン!


…といいたいところなのだが、…なんと…中のカシスのコンフィチュールの中に

潜んでいたのは…なんと栗である!!!

出たよ、出たよーーー(笑)。

夏なのに栗のパンを新作にする、もう、年中無休状態ですわ(笑)

このカシス+栗の組み合わせは、スイーツ界ではあり得なくない組み合わせだと後で聞いたが、

パン界では前代未聞かと思われます(笑)


しかも、栗はカシスに溺れて紫色に染まっているから、

栗と言われなきゃきっと気付かない(笑)

味までカシス色に染まった栗は、栗のほくほくっとした食感は生きている。

美味しい! が、美味しいがなぜに笑いが止まらないのだろう


hのパンは、なぜか、感心とか感動とか以上に、「おいおいおいおい!」と

その変態っぷりにツッコミ入れたくなることがしばしばなのである。

天然なのか?

…いや、絶対狙ってるな(笑)。





とどめは…!


なんと、おはぎ!(笑)

一瞬、シェフがどーにかなっちゃったのかと思った(笑)

パティスリーからパン屋、そして和菓子の世界まで足を踏み入れて

それは禁断です! 禁断!!


いや、実はこのおはぎ。包まれているのはしっかりパンなのである。

そう前回来訪したときに出会った日本酒とゆずのパン「スィオ」を

おはぎにしちゃったという(笑)。

粒あんで包まれた「スィオ」…。ぷぷぷ…(思い出し笑い)

しかも、しっかり日本酒の香りが粒あんの隙間からぷぅんと香って

さながら酒種あんパン(笑)。旨いのになぜこんなに笑えるのだろう(笑)。

狙ってる? 絶対狙ってるよ(笑)。


しかももっと笑えるのは、ちゃんとこれが店頭に並んだ、ということである(笑)。

季節は夏なんですけども?(笑)

でも、結局は「やっぱり売れませんでしたぁ」と

笑うシェフの顔が浮かぶのである(笑)。





どんなにたくさん食べても、どんなに満腹でも

別腹…というか別舌ってあるみたい。


この「ガレット・セーグル・マロン」は、久々に登場らしいのだが

…これまで散々hで食べて来た栗パンだが、あの栗もこの栗もどの栗も、

ぜーーーんぶ吹き飛んでしまうくらいにこれが旨かった!!!(笑)

刻んだマロンに、サワークリーム、バターの甘みが染みまくった薄いセーグル、

さらに上にかけられた砂糖がじゅわっと溶けて…!!

甘さとまろやかさの渦に、感覚が麻痺して行くのがわかる…しあわせ…

今なら抜歯でも手術でもなんでも受けられます(笑)。






hのようなパン屋をひとつ、知っている。

そこのシェフはかつて言っていた。



「ひとりでもくもくとパンを焼いていると、

パン屋の仕事は日々同じことの繰り返しで滅入ることがある。

だから変化を自分なりに見つけて行きたい。

違うパンを焼いて、自分でも楽しんでやって行きたい」



お客さんありきであると同時に、自分ありきであること。

もちろん、それがパン屋として可能であるかどうかは、

商売や生活がかかっているとどうしても難しいかも知れない。

それがやりたくてもできない人もいるだろう。

だからこそ、こういう「変な」パン屋がひとつくらいあってもいいんじゃないかなと思う。

変態パン屋と呼ばれる(呼ばれる? いや、自称?(笑))そんなパン屋が。



hを好きな理由は目まぐるしく新作パンが出ること…だけじゃない。

基本のセーグルやバゲットがちゃんと美味しいから。

それがある限り、私たちは安心してシェフの冒険を見守れる。


私たちみたいなうるさい客の

(いや! うるさくないっすよ! なんでも旨い旨いって食べるっす! 誤解しないでぇぇ(笑))

「次はなに? 次はなに?」なんていう挑戦状に、

真っ向から挑戦してくれるような。

それを本人も楽しんでくれているような。

そんな風にうぬぼれてもいいのかな。





*次は和歌山#4へつづく*


2006.7.15