54-1.秋を愛でて萌ゆる関西ショートステイ 〜紅葉の京都と大阪h〜
54-1.秋を愛でて萌ゆる関西ショートステイ 〜紅葉の京都と大阪h〜
2005年11月の最終週末。
関西行きを思い立ったのがほんの2週間前だったから
この週末が紅葉咲き乱れているだなんて全然計算外。
すでに始まっていた「師走のごとくの忙しさ」。
毎日毎日日付けが変わってから帰宅するような
睡眠もろくに取れるわけもない日々の中で
毎月のように来ているような関西に行ってる場合じゃない。
でも…私を呼び寄せるものが関西にはいつもいくつもあり…
すべてを放棄して駆け付けた。
関西は秋だった。
先月来た時よりも冬に限りなく近く
それでもなお、私が思い描く「関西の秋」そのものだった。
〜京都嵐山で紅葉サイクリング〜
いつものように、超早朝便で伊丹空港に着いた私。
早朝便にしたら前夜は眠れない(徹夜で準備(笑))ってことは毎度のことなのに
安さには勝てないのである。しかも今回は、帰りは夜行バスを予約してしまった。
月曜日の朝に東京に着いて、そのまま出勤しようという暴挙。暴力的!!(笑)
朝8時台に大阪に着いたら、まずは京都へ直行。
京都でさくっと紅葉を見て、それから京都の今出川のパン屋さんに行って
大阪に1時の約束に間に合うように帰ってくる…と。
だいたい早朝便に乗るときは、私はすっぴんで飛行機に乗り、
向こうの空港のトイレでコンタクトを入れ、化粧をするのだ。
化粧していたら私は4時に起きなきゃならないからだ(笑)。
ところがなんてこったい、バッグの中でマニキュアのフタがあいて真っ赤っか(←お馴染みのあの色…)。
急いで除光液を空港の売店で探して…とかなんとかやっていたら、もう9時過ぎてるし!
わーん、なんていうタイムロス! 和訳でいうなら「パン食べ時間喪失」!!(笑)
阪急嵐山に着いたのは10時ちょい過ぎ。
今から観光をして、大阪本町に1時に着くにはあと1時間ちょっとしかない。
しかも阪急嵐山駅は、いわゆる「嵐山」とは距離があって歩いて10分はかかる。
あーー、これは歩いているばやいじゃない。チャリだ、チャリ!!!
駅前のレンタサイクルを借り、人込みをかき分けながら目的のお寺を目指して走り出した。
渡月橋は、橋が折れちゃうんじゃないかというくらいの人人人。
歩くのと変わらないような速度でしかチャリは進めない。
あぅ〜これじゃ遅刻してまう〜。
人力車の後ろに付いて走れば、ガイドが聞こえてくる(笑)。
ここでは人力車を追い抜かさず、しっかり背後をとらえていた(笑)。
京都の紅葉は、学生のころは毎年のように愛でに来ていた。
いつのころから「花よりパン」になってしまったのか(笑)、
そのときに二軒、印象に残っていた紅葉の美しいお寺がある。
そう、この竹やぶの向こうだ。
当たり前だけど、竹やぶっていうのは風景が年中「夏」な気がする。
涼やかな林の向うには、赤と黄色で彩られた別世界が待っている。
予想通りだったが常寂光寺は大変なにぎわいだった。
どこが「常寂…」なんだかわかったもんじゃない(笑)。
この石段の両側から咲き乱れる赤と黄色のアーチ。
一段登っては上を見上げ、一段登っては振り返る。
思わず美しさで足をすべらせてしまいそうになるのだ。
(石段には無数の人だかりでイマイチいいショット撮れず)。
寺を出て、次のお寺に向かう前にトイレに寄りたい…
そう思ってすぐ側の茶屋に入る。わらび餅をとりあえず注文し
「トイレお借りできますか?」と訪ねる。
しかし「故障中なんです」とな(笑)。マジかよぉ〜。
この時期、京都のトイレはあちこちで故障が出ていたりしてね(笑)。
あー、、、先に確かめておけばよかった!(笑)
でも、朝5時にご飯食べたっきりだったのでお腹ぐうぐう。よいことにしよ。
もう一軒のお寺は、宝筐院。
外からは全く庭の様子が見えないので素通りしてしまう人も多いと思うが、
嵐山に紅葉愛でに来ておいてここに寄らないなんて…私にはありえない。
拝観料を払い、庭に入った瞬間に飛び込んで来た紅の嵐!!
ひとりでは持て余してしまうほどの圧倒的な美しさにしばし呆然…。
ひとりでここに来るのは初めてだけど、無性に誰かに呼び掛けたくなった。
そしてここのもう一つのポイントは、本堂の中から眺めるシーン。
開け放された障子がフレームとなり、まるで一枚の絵のようなのだ。
だからといって、写真では納めきれない、自分の目と心に焼きつけなくてはならない絵なのだ。
しばしここで正座をしながら外を眺める。人がどんなに多く居ても、心に静寂が訪れる瞬間だ。
真正面(つまり本尊に尻を向けて…というカタチになる(笑))からシャッターチャンスを狙う。
しかし込み合った中ではそれがなんと難しいことか、おじさん、早くどいて!(笑)
周りの人たちもみんな同じように「あのおじさんじゃまよね、どいてどいてっ」と
小声で囁きあっているのが面白い(笑)。
人の出入りがなくなった瞬間、みんなが一斉にパシャパシャと(笑)。
一度席を譲ったら、おばさんは「ほらほら、私はいいわよ、撮りなさいな」と譲り返してくれた。
あぁ、ありがとう、おばさん。でも、やっぱり無人のシーンは撮れませんでした(笑)。
さぁ、二つのお寺で紅葉を愛でたし、大阪に戻ろう。
あともうちょっと時間があれば、ここままチャリで今出川まで行って
バゲットとサンドイッチを買いにいったのに…どのみち無茶だったかな?(笑)
〜hアッシュ、2度目の秋を食らう〜
過去6度(笑)の来訪ストーリーはこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら…我ながら…★
シェフは私が行くたびに「ほんと東京の人とは思えない(笑)」と
半ば呆れながら迎えてくださる。一番呆れているのは私自身ですからね(笑)。
仲間たちといつものように「hで集合!」となっても、
いつだって時間通りにたどり着けたことがない私。ほんとごめん。
その報いか、今日はパンがスカスカ!!
最近の土曜日のhは売れちゃって売れちゃってこんな状態みたい。
地元の友達は「土曜日は午前中がベスト!」と言う。
でもシェフはいつも通りに「今日はまぐれまぐれ」と、どこまで謙遜なのか本気なのか(笑)。
マダムまで一緒になって「いつもはヒマでヒマで」と(笑)。
夫婦そろってどこまで謙虚!(笑)
今回、全く予約をして行かなかったのでセ−グルフリュイセックもマロンも
買えなかったのだけど、行くたびにカメレオン状態に七変化(いや、進化)するh。
今日も新作のラッシュ。一度出会えたパンは次には会えないかも知れない、
スリリングな「一期一会」パン屋なのである(笑)。そこが好きなんだけど(笑)。
遅れてごめんね、待たせてごめんね。さぁ、みんなで食べよう〜!
今日も、hは衝撃のhだった。
シェフの「反則技の数々!!」に、ノックダウンの連続だったのである。
(ノックダウンと言うのは、何度経験しても立ち上がれない打ち勝てないものである)
この真っ黒なフーガス、そば粉のフーガスなのだが、
にんにくの濃い味付けとチーズの香ばしい香りがまさに、酒のあて!!(笑)
一緒に選んだ友達曰く「絶対シェフはオペラ座の怪人をモチーフにしたに違いない」と(笑)。
お馴染みの生ハムのピッツァも、夏に食べた時よりもずーっと美味しく感じた。
なんでなんで? 私を飲ませようと言う魂胆なのね?!(笑) (案の定、私はビールを飲んでいた。…私だけ)
立川Zもビックリの、このルーロセ−グル!!
栗もかぼちゃもさつま芋も、秋の味覚……
……いや、「芋栗かぼちゃは女の幸せ」を具現化したような奇蹟のパンなのである!!
ハッキリ言って、やりすぎです、シェフー!(笑)
セ−グルはむちょんむちょんとまるで炊き込みご飯のように味が濃く、
セ−グルマロンを食べたことがある人がいるならば、あの絶品栗に、
芋かぼちゃも、同じようにひとつひとつがしっかり仕事がなされて、加勢されたようなもの。
野菜の甘みがMAX引き出されているのだ。
ただ野菜ぶちこみました的パンとは一線を画す!
これも絶対一期一会パン。次行った時には儚い思い出でしか残ってないのだろうなぁ…(笑)。
シェフの反則は続く(笑)。
これは先に来ていた友達が買って分けてくれた「栗のボストック」。
そう、前回に“美味しさ測定器”が振り切れてしまった
あの「栗のクロワッサンザマンド」の姉妹品!!!
ぼわんと立ちたちこめる芳香で吐息までがラム酒…
運転してる人! 今すぐ車から降りなさい! てなくらいにぷんぷんなのである!!
止めどなく広がる甘い甘いマロンとクレームダマンドとしとしと生地……
言葉を失い、めまいを起こし、体ががくがく震えてくる…
……やばい! これ以上書けないので画像で逃げる!(笑)
これも友達が分けてくれたルヴァン。
(画像がひどくてすんません)
これを食べた時、私は突然フランスに心が舞い戻った。
まさに、あっちのカンパーニュなのである。
まるで薪のような香りのする表面の粉と、酸味とコクの深い深い味わい、
世界的に有名なあのPとかのカンパーニュよりも、遥かに美味しかった。
(でも、食べた瞬間に、あのカンパーニュを思い出したのは事実である)
なぜなら、このカンパーニュは、まるでお餅のように、
みよみよぉ〜んとつややかで伸びやかで
滴るような水分を貯えていたからである…!!!
そして嬉し有り難しエンガティーヌ!!
焼き菓子まで買う余裕はいつもないのだけど(パンでパンパン)
このキャラメルがぬがーーーっと甘くてこれまた測定不能の美味しさ…!
とろとろのキャラメルがツツーっと糸を引く、甘さも口の中でいつまでも引く…。
これらのパン以外にも、あれこれ新しい衝撃に出会った。
(特にすごかったのはビションキャラメルポワール!)
前回に続き秋尽くしのアッシュは反則技の数々で(笑)、
次にアッシュに行くのは冬の真っ盛りだけど
きっと、さらなる技が待っているに違いない。
私も今から鍛えておかねばならないって(←どうやって?(笑))。
*おまけ*
この日ご一緒した友達が先月企画したアッシュの集いの時のパンを
大事に預かってくれていた。あぁ、私も遅ればせながら参加…!
このパン達も結局は「一期一会」でもう会うことはないけど
進化し続けるhのパンは、いつもそのときの「ベストパン」が並ぶ。
だから、想い出は想い出として刻まれる。すべては次の出会いのために…。
(オレンジベーグル、さつまいものブリオッシュ(名前不明)、濃密なる栗の囁き)
*関西2日目に続く*