47-4.灼熱晴女の関西リターンズ4DAYS 〜京都と大阪/再訪編〜



4DAYS 1日目と2日目のストーリーはこちら

4DAYS 3日目(朝)のストーリーはこちら

4DAYS 3日目(午後)のストーリーはこちら



和歌山からその足で今夜の滞在先、京都へ。

去年も同じように和歌山から急ぎ足で京都へ向かったっけ。

同じあのお店に行く。今年も同じあの町家の静かな奇蹟の時間を求めて。





京都駅に到着後、駅前の宅配便にクール便を出す。

いつだったか、パンをクール便で出した時に、

「冷蔵便」にされてしまって泣きを見たことがある営業所(笑)。

いつものように、受付の人をうんざりさせるほどにしつこく訴える。


「絶対に冷凍でお願いしますね! 冷凍ですよ!

パンだからってなめちゃいかんとです、冷凍冷凍冷凍!!」


受付の人も「なんでこの人はここまで熱く…」と怪訝に思ったに違いない(笑)。

おかげさまで無事、今日送ったパンたちは良い状態で届きましたとさ。ほっ。






* 京都・1年ぶりの奇蹟の時間 *


待ち合わせ場所は四条大橋の交番前。

その時まで気付かなかったのだけど、今日は祇園祭だったらしく

大変な人込みだった。うわぁ…。ただでさえ暑いのに、なお熱い。

早めに着いて鴨川沿いの川床の灯りを眺めていた。





いつか川床で食べてみたいなぁ…なんてぼんやり思いながら。

今日、連れを千本出水の町家カフェに連れて行くのだけど、

果たしてその良さをわかってくれるかな、

パンだから文句言わないかな、

遠いとか言って文句言わないかな(結局言われたけど(笑))

心無しか緊張する。


人込みに頭がくらくらしてきた私たちは電車とバスを乗り継ぎ

千本出水のバス停で下車。真っ暗闇の細い道を記憶と地図を頼りに歩く。

そうそう! ここを曲がるの。

そうそう! 砂利道なの。

そうそう! 幽霊屋敷みたいな建物なの(笑)。





ちゃんと記憶通りにその店に辿り着いた。

少しがたつく引戸を恐る恐る開ける。

「おじゃまします…」

下駄箱に靴をしまい、部屋に入って行く。

連れにとってはこういう店は体験がなく驚いていた。


「パンの匂いするよね」

そう思ったのは私だけのよう。

連れにはわからなかったらしい。

鼻につんとくる酵母の匂い、小麦の焦げ付く匂い。

パン好きならわかる、あの匂い。


先客はひとり。

お茶を飲み、ほぼ入れ違いで帰って行った。

そう、もう私たちだけだった。

昨年も同じように、たった二人だけだった。

奇蹟のような時間が再び…。





置き物のように並べられたパンも去年のまま。

(昨年は画像を全部消去してしまい何も残っていなかったっけ)

灯りによってパンが生きていることを確認させられる。





独特の間を持つマスターの話し方。

ぼんやりとした中で一点だけ温かいオレンジ色の光に照らされたパン。

なんだか、あれから1年もたったのか、不思議に思う。

先ほどあれだけの人込みにまみれていたことの方がずっと昔のことのように思える。

それくらいに、奇跡的なほどに静寂が守られている空間だった。





本当はワインの方が似合うのかもしれないけど、

やっぱり私たちはビールじゃないと。手酌でビールを注ぎ、乾杯。




パンと料理の盛り合わせ。

去年も感動したけれど、今年の感動も大きい。

ひとつひとつに、ため息と感嘆を漏らしながら味わった。

パンを普段食べるとか食べないとか関係がない。

美味しいものは誰が食べても同じなんだってことが嬉しかった。




一番私たちが感心したのは胡桃入りのライブレッドに

はちみつとフロマージュブランを塗ったもの。

乾燥しているけれど、パサついているのとは訳が違う。

熟成された、落ち着いた酸味が、フロマージュブランの酸味でより一層高まる。

しかしコクがじわじわと湧いて酸味は良いカタチで姿を消す。


「それは4日目のパンです」

そんな前に作られたパンだとは!





カンパーニュに野菜と豚肉を挟んだシンプルなサンドイッチ。

この豚肉の甘さが本当に美味しくて、ついつい連れにも

「豚肉食べた? 豚肉食べた?」

同意を必死に求めてしまうのだった。





食べ終わっても、お腹が落ち着いても、

まだここに本当はいたかった。

奇蹟のような時間をまだまだ、十分に味わい切れていない気がした。

だから、きっとまた来たいと思うんだ。





よくわからん展開が続き、他の店で他の客らと意気投合したり、

なんやかんや2軒ほどはしごして朝まで飲んだくれ。

結局宿を後にしたのは昼ころ。


今日は京都のパン屋さんを徹底的に回るぞーーはしごしてみるぞぉぉと思ってた。

朝一番に起きて、あの店もこの店も行きたい、食べたいと計画していた。

かつて今出川ストリートパン巡りなんてものをひとりでやってみたが、

4軒目くらいで断念、途中でなんかどーでもよくなってしまって(笑)。

やっぱパン屋のはしごは3軒くらいが限界だなーと痛感したあの今出川ストリート。

そのリベンジを今日は果たしてみるぜ、欲張って見せる!

かなり気合いを入れて来たと言うのに、やっぱ私には向いてないのか、…計画倒れ(笑)。





なんで京都まで来て昼飯に小籠包食べてんのよー、自分!(笑)





* 東風のおねえさんと再会 *


去年の春に訪れて以来ごぶさたしている東風

あの元気でひとなつっこい笑顔の彼女が作るパンが食べたいなー。

関西に行く度に心に思っていたのだけど、なかなかここまで来ることはかなわず。

でもでも、今回京都に来た目的のひとつだもん、果たしたい!

カートをごろごろとひきずりながら叡山電鉄で一乗寺まで。





「こんにちはー」





変わらずに豊かな表情のパンたち。

そして一人でパンを作り、パンを売る彼女。

わぁわぁ、変わらずに頑張ってるんだ!

再会が嬉しい!





長々と居座らせてもらった間、お客さんがコンスタントに入ってくる。

いずれも、ここに来慣れているようなお客さんという感じ。

そうそう、前にも思ったけれど、こちらのお客さんはかわいい女性が多い。





「イイお客さんがついてくださってなんとか順調で!」

そう彼女はにっこにこ笑顔を見せる。

そう、このアンパンのような表情で!





私がもう一度食べたかった「雑穀パン」。

他のオーソドックスな定番パンに加え、季節のパンも。

東風の近所に住む友達もこのオレンジパンを薦めてくれたっけ!





「オレンジたくさん入っていそうなもの、選ばれました?」

そのつもりだけど食べてみなきゃわからないかも(笑)。

お昼は控えめにしたから、今すぐにでもパン、パクつけちゃうよ。

えーい、食べたるっ。





パクっ。

ん、一口目にはオレンジピール遭遇せず、思わず笑う。

ふた口目にはオレンジの優しい優しい甘さが広がって来た。

やっぱりこちらの生地の味、好きだ〜。

最初はあまり味がしないけれど、しばらく噛み締め、喉を通るころには

不思議な甘さがじわじわ〜っと広がる。その余韻はなかなか納まることがないの。

派手さはないけど、なんだか絶えまなくほの甘くて、まさにこちらのお店みたいな。


そして、やっぱり雑穀パンも「このパンのためにまた来る!」と思わせる

そのままの味。ほんっとここだけでも寄れてよかった。





近所の友達のお宅へ御挨拶に行くために道のりを地図で書いてもらう間、

出してもらった梅エキスのジュース。

店頭でも売っています。水割りで絶品の梅ジュース!! 美味しい〜。

ありがとう。また、ここに遊びに来るから。

変わらぬままでここにいてね。






4時までに大阪本町に戻ろうと思っていた。

あと一軒、行くべきお店に行くぜと思いバスに乗る。

今出川経由のバスに乗る。

このお店にも今回の京都の目的だったわけだし。


友達にもメールを打とうと思うが

打ってはZZZ…打ってはZZZ… …全然打てない。

そういやほとんど寝てないので猛烈な睡魔に襲われ…ついに爆睡。

ぐえ! 乗り過ごした! 気付くと京都駅じゃないか!!(泣)

えーん、もう戻る時間はないよぉぉ。

ほんとに今日は京都で一軒のみだよぉぉ。






* やっぱり並ぶか本町人気店 *


戻って来たのは大阪本町。

実は飛行機は18時発なので、本町を17時に出るべし。

アッシュで取置きパンを取りに行くのだけど、

時間的に微妙に空いているかも…。

ほいじゃ、もう一軒行っておくかっ(よくばり〜)





同じ本町界隈だというのに、意外と遠いのがこちら。

めちゃめちゃ暑い上に、カートと荷物を引きずって

日傘もさして、めっちゃへとへと。

そして、やっぱり店内でぐるぐると列をなしている。

あぅぅ、わかってはいたけどどっと疲れるばい。

結局ここで15分以上かかってしまって、アッシュの時間がなくなりかけてる!

あぅーー。まじでアッシュまでタクシー乗ったろか(笑)。


にちょっとこちらのパンとはやや相性が悪い…みたいなことを書いたけど、

今日買ったパンたちはヒット率高い!!





一度冷めた状態で食べたことはある、天然酵母のオリーブパン。

焼き立てに遭遇したので思わず2個ゲット。

まるで揚げたて(揚げ物ではないけど)、ジュージューオイルがはじける感じ。

このオリーブ、まさに一昨日の晩に心斎橋のバーで食べたオリーブと同じ。

オリーブがめっちゃ美味。そんなんがエンドウ豆のように5粒くらい入ってる。

うわーーこの暑さだし、ビールが飲みたくなるじゃないかぇ〜。





もひとつヒットだったのが50円(!)の

栗のクリーム入りのブリオッシュ(名前失念。誰か教えてください)

ほんの一口サイズだけど、表面の粉糖がほどよい甘さを加えて美味〜。


画像にはないけど、イベリコチョリソーとチーズの入ったパンも

(名前失念! 誰かHELP)やっぱ具が美味。

何を選べば成功か、自分なりに掴んで来たようである(笑)。


やっぱ人気店だけあるよね。

うん。うん。わかる。


でも、並んでいる時間以外の「滞在時間」が

ここだけはどうしても短い。

パンプラスアルファの何かを求めてしまう、

そういう私はとても欲張りなのかも知れない。




* いいパン屋にはいい夫婦の法則 *


アッシュへ(マジで)ダッシュしてかけつけると

店先でシェフがこれから帰宅しようとしている奥様とおじょうちゃんと話している。

あー、よかった、間に合った! おじょうちゃんにも初めまして出来てめっけもん!

なんかとっても理想的な御夫婦で、見せつけられちゃったよ、まったくもぅ。


そう言えば、私の好きなパン屋さんの法則を今、見たような気がする。

いい夫婦(いいカップル)がやっているパン屋さん。

あるいは、女の子(あるいは女の人)が一人で頑張っているお店。

あ、おじさん一人でやっている店も(笑)。


話をしていたらパンを選ぶ時間がなくなっていた!(笑)

いったい何してんだ、あたし(笑)。

(だから店内での画像も一切なし)

予約分と、追加分をばばばばーっと選び、

また来ますーーと捨て台詞してダッシュする。

(なんかこのパターン多いなぁ(笑))




伊丹に着いたのはまさに登場手続き1分前。

毎度のことながら、冷や汗 脂汗、

スリル満点!(って、ちょっと違うでしょ)




東京に到着後、我が家に1時間もかけてパンを取りに来た酔狂な友人と

ワインを飲みながら、夜遅くまでアッシュパンを堪能。





復活したネオ・栗のパン。

もうぅぅぅ、、、このねっちょねちょの生地に

ぎちぎちに入りまくった栗!! 二人の本日悶絶賞はやっぱりこれだったわ。





友人のリクエスト通りのパンたちを買えて、そして実際に食べてもらえて

案の定、こちらの思惑通りの反応が嬉しい嬉しい(笑)。


この濃密な旅の報告を、ESSAYにまとめる前に、

誰かに聞いてもらえて嬉しい。

いろんなサプライズといろんなハッピーを、パンととも。





ていうか、先月よりまたさらにフルーツ増えてません?(笑)

どこが1対1なんですかっ!!

…これが旅の最後のサプライズだった。


*おしまい*