Paris8日目(9月23日)

8日目:エッフェル塔のふもとでラストパン〜そして、帰国

旅立ちの朝は、エッフェル塔のふもとのパン屋さん


最後の朝。今朝も6時に目が覚める。 身支度中に、隣人のもう一人の女性(隣の部屋には女性2人が滞在しており、いつも片方の方ばかりと顔を合わせていた) と初めて対面することができた。 この女性も、お菓子の研修に来ているとのことで、東京は本郷三丁目でお店をやっているそうな!  とても若々しく、大きなお子さんがいらっしゃるようには見えない。 それにしても、お二人ともすごいなぁ…私よりもずっと年上なのに、家庭もあるのに、 いつでも海外に飛び出して来てしまう。 私は逆に「今しかできないから!」と必死に飛び出している感じだったのだが、 彼らと出会うことで、「この先、その気になったら何でもできる」という勇気みたいな、 安心感を与えてくれた気がする。そう、この先、何年先でも、何度でも、Parisに来ることができるんだ、私は!





7時前に部屋を出たが、バスはまだ来ない。 カフェで少し待ってみてもこない。よくよく時刻表をみると始発はまだ先じゃないか。 結局バスを待ち、エッフェル塔の方まで乗り、7時半頃にPain d'episに到着する。 エッフェル塔にほど近いこのお店は、とあるHP読者の方が、私の出国前にメールで教えてくれたお店だった。 かつてないほどに長い長い、丁寧なメールをいただいた。 以前、Parisに長期滞在していたことがあり、あちこちのパン巡りをしたというその方は、 事細かにいろんなParisの情報をお知らせしてくれたのだ。その心遣いが嬉しくてたまらず、 彼女がプッシュするこのお店を最終日に来たい、と思っていたのだ。





ちなみにこの店もLE GUIDEにしっかり載っていたが、その写真のおじさんがそのままパンを売っていた。 バゲットを取りあえず買うが、これはバゲットカンパーニュだったよう。 それとオザマンドも購入。これらをエッフェル塔まで持って行き、眺めながらかじりつく。 あいにくの曇り空。





バゲットカンパーニュはめちゃくちゃにハード、クラストは甘く、クラムにはほんのり酸味が漂う。味わいは濃い目。 なかなか美味しいバゲカンだ。このバゲカン、美味しいけれど、ちょっとまとまりすぎているというか、 はみだしがない。ペルティエ(赤坂銀座)のように、“うぅぅ!! (甘みが)キタ−ーーー!!”みたいな盛り上がりはないかも。 これは日持ちにたえそうだし、少しかじって止めておいた。


オザマンドはというと、かなり甘い味付け。アーモンドのシロップの甘さが強く、ラムが効いていない。 シロップ甘さだけが強いオザマンドって変わっているなぁ! 全体にメリハリはなく、ただ淡々と甘さだけが続くので途中で飽きて来た…というのはある。


朝からバゲカンだと少しハードだったかも。まだ寝ぼけた状態に、激ハードなクラストの咀嚼はしんどすぎた。 なんか…お薦めしてもらっておいて、後味が悪い。…きっと、彼女が薦めてくれたのは、これではなく、 「バゲット」だったはずだ。私は「バゲット」を食べるべきなのだ!!





…というわけで、お店に逆戻り、バゲットのドゥミを買った。 まん中あたりだけ微妙に細くなっていて、なんとしっくり手のひらに収まるのだろう。 厚すぎず、フルートガナよりは薄くない、カリカリミシミシっとしたクラストの食感がいい!!  歯にメリメリッと食い込んで行き、クラムの「もっちり」に押し返されるような、 歯のがクラストへの侵入で立ち往生するような、この堅さ…好み好み!!  味わいは塩気がとてもマイルド、甘みも適度に湧いてくる。 この手の「控えめの味わいのバゲット」は、食べ続けるとじわじわくるのだ。 一口前に食べたかけらの甘みの余韻が残っているうちに次の一口…。 そうして甘みの上塗りをしていくから止められなくなるんだ。


さっきのバゲカンとは全く違う味わい。そう、朝っぱらでなければこのバゲカンも噛み切る元気はあったはずなんだ。 あぁ、いずれにせよバターをたっぷりぬって食べたいじゃない…!  より美味しくなるんだろうな。 あぁ、お薦めしてくれたバゲットが美味しくて本当に嬉しい…! ありがとう!!  そして最後にエッフェル塔からバゲットを齧りながら部屋の方まで歩いて帰れるご機嫌な朝に感謝!!


Pain d'epis

63 Avenue Bosquet,7e

M: Ecole Militaire

7h-20h

日月休み



最後の最後に出会う、これが私の中のParisナンバー1クロワッサン!!


部屋の付近まで歩いて来た。ふと、3日目に行った店、フランシスロー(BOULANGERIE MADAME)に立ち寄った。 後で資料を見返していたら、ここのクロワッサンは美味しいらしいとのこと。 確かにこのお店のセレアルバゲットやオザマンドは美味しかったが、本当にこのお店なんだろうか。 だって…このクロワッサン、しわしわしていてあまり美味しそうに見えませんっ。





…と思っていたら、なんとクロワッサンは2種類あったのだ!





AU BEURRE使用のクロワッサン。あぁ、確かにこちらはいかにも軽く、パリッとザクッと層が出ていて旨そうだ。 迷わずこちらにしてみる(余裕があったら両方買って食べてみるのもマニアック?(笑))





近くの食料品店でリンゴを買って、一緒に歩きながらかじりつく。 クロワッサンを早速ひとかじり。…一口目から、むせかえるようなバタ臭さに圧倒される!  外は薄い、春巻きよりも薄い、例えるならパータフィロ−が何枚も重なったようにパリパリするのに、 中はむっちり、かつふんわりと柔らかい…!! この食感の二変化がもうもうもう、理想的!!!  塩気が強いのに、最後にはきっちりバターの濃厚な甘みが勝ち残る。 これは…本当に…本当に! 絶品だ。美味しすぎる!! 




あぁぁっ…もう、もうなくなっちゃうぅぅ…!  あまりに名残惜しくて、最後の一口をためらって画像を撮る私(笑)。 最後の最後まで、かけらとなってしまうまで堪能した…。 本当に一瞬の夢のようなクロワッサンだった…。 いや…夢がクロワッサンになった、という感じか…。あぁ、また食べたい…。


BOULANGERIE MADAME

48,Rue Madame




さよならParis、そして空港へ。


15分で身支度を整えて、ゴミを捨て、部屋を出た。 また来ることもあるかもしれないな…。この部屋に。いや、本当はまた来年も来たいのだ。 隣の御夫人2人も、私より20歳は年上だろうし、何度でも来ようと思えば…いつでも!


トランクの重さは尋常ではなかったが、私はバスと列車を乗り継いで空港まで行った。 ルボンマルシェ近くのバス停からRER停車駅であるSt-Michel駅まで、そこからRERに乗り込んでシャルル・ド・ゴールまで。 本当に難儀だったが、どうにか間に合う。 …しかし、途中空港のエスカレータで荷物ごと数段転げ落ちる(笑)。 後ろの体格のいいおじさんに受け止めてもらって助かったが…足には大きな青タン、 そしておじさんにはなぜか「Take It Easy!」と励まされる(笑)。時間がなくて焦っていたのがバレバレだったのかしら?





出国審査などはあまりにスムーズに終わり(というか、審査官のお姉さん、なんと雑誌を読みながらやってんの。超テキトーだなぁ) 、残りは免税店めぐり♪ 両親へのフォアグラ缶詰めと、そして迷いに迷ってアルザスワインのTOKAYと、 めちゃくちゃ気に入ったゲヴュルツトラミネールを2本も購入! バカー重量オーバーよぉぉ。 でも、こうやってワインの銘柄って覚えて行くのかな、「これが好きなワインです」って。 まだアルザスしか覚えてないけど(笑)、一歩ずつ。一歩ずつ!



機内食における大失敗。セレクトに注意?!


帰りの便も大韓航空ではあるのだが、行きとは違って共同運行のAIR FRANCEだった。 アメニティやデザインは大韓航空にくらべると格段に違う。アイマスク、フリスク、耳せんなどのアメニティがつく。 しかし、私は機内食で大失敗をした。 来る時に食べた大韓航空の韓国料理がイケたので、帰りもフレンチか韓国料理(プルコギ)かで、迷わず後者にした。





しかーし、フランス人に韓国料理作らせるなーっ(笑)、えらく味が濃くてはちゃめちゃ。 救いはパンだけだった。いや、町場のパンと比べてではなくて、プルコギに比べて。 プレジデントのバターをサンドして食べるパンは私のオアシスとなった…。えーん。 別の日に同じくAIR FRANCEで帰国した友人は美味しかった、と聞いた。なにぃー?!  郷に入れば郷に従え。フレンチにしておけばよかったぁぁぁ(笑)。





朝食は…もうノーコメント(笑)。早く大韓航空に乗り換えたい!!(笑)

長いフライト中、帰りの便では隣り合わせに座ったのは日本人の男の子2人(それぞれ別々に乗り合わせた)。 一人が現役の学生さん、一人が留学経験ありのスペイン語勉強中の社会人。 しきりにイタリアへ行くことを奨められた。 Parisはイマイチに感じたらしい。えー? そうかなぁ。確かにParisは男性よりも女性の方が好きだろう。 女性の方が親切にされるし、何より女性が大好きなもの(パン、お菓子、料理、ファッション、アート…) 全てが詰まっているParis。私は何度だって帰りたいよ?!


彼らのおかげもあり、長いフライトは幾分早く感じられた。 おやつにハーゲンダッツアイス、ツナサンドの軽食(激マズ…)。



韓国トランジットでつかの間グルメ、そして日本へ



韓国へのトランジットでは、機内食は出るだろうが、とにかく「韓国に来ました」証が欲しいなぁ…というわけで(笑)、 食堂でサムゲタン定食(140000W)を食べる。





すごいボリュームだが…ははは、味がしません(笑)。 塩を大量に加える。カスタマイズカスタマイズ。





ナツメや高麗にんじん、松の実もしっかり入っている。 キムチが美味しい、ニンニクの芽のナムルが美味しい♪  さぁ、満腹になったことだし、行きますか。 …はっ。航空券の確認は?! お、おっけー、大丈夫! 往路では航空券をここでなくして大変な思いをしたんだったっけ…。 一週間前のことなのに、偉く遠い過去のようだ…。





やはり大韓航空の機内食は私にとってはビンゴだった。 中華料理っぽいとり肉の塩炒めって感じで食が進む。あれ? あなたさっきサムゲタン食べてましたよね?(笑)








こうして、二度目のParis滞在は終わった。 やはり観光だけで何日も一都市滞在するのは長いなぁ〜というのが正直な感想だった。 去年、散々遊び尽くした気がするからだ。旅の前半は正直「マンネリ」モードが入っていたことは否めない。 「食」目当てだと、それが痛いところなのだ。だからいっぱいいっぱい失敗を繰り替えしてしまった。 まさに「失敗列伝!」だったのだ。


しかし、そこに新風を注いでくれた今回のアルザス旅行。 国内であるのに、全く違う文化を持つ「異国」への旅。 そこで繰り広げたサバイバルの数々。「わざわざここまで来る甲斐があった!」と感じさせられた味との出会い。 全てが私の五感をフル活動させてくれた。


そして帰って来た時のParis での楽しさといったら!  「明日には帰らなきゃならない」という気持ちが、Parisへの思いを駆り立ててくれた感じだ。皮肉な話だが。 まるで、Paris の楽しさを再確認させてくれるための小旅行だったと言ってもおかしくない。


たぶん、来年はParisに行くことはあっても、数日のショートステイになるだろう。 今、他に見たいものがたくさんある。他の国に、他の土地に見たいものがたくさんでてきた。 でも、最後はParisに寄って、ほっと落ち着きたい。 外国に「帰って来たなぁ」とくつろげる場所があるのが自分でも不思議なことだ。 そして、また何をするでもなく、同じところで、同じ店で、同じものを買っているのかな。


もちろん、前回と今回とでますます色んなパン屋さんを知ってしまった今、 リピートしたい、そして新規開拓もまたしたい…と、 宿題は山積み。…やっぱり、繰り替えしParis に戻ってしまいそうな気もするのだ(笑)。


大丈夫。幾つになっても私はパン好きのParis好きな「私」。 「私」である限り、きっとParisのパンを求め続けているはず。


…というか、いっその事、住んでしまいたいと思っているのだけど、どうでしょう?(笑)



2004年Parisレポート <Fin>


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