Paris5日目(9月20日前半)

5日目前編:アルザス・サバイバル編 〜ストラスブール〜

夜明け前のストラスブール到着


がくん、という音で列車が停止した。そこで私は目が醒めた。 同室の人たちも目覚めたようだ。いったい今は何時だろう。真夜中のようだが…。 一人が降りる支度を始め、そして荷物を抱えて出て行った。 時計を見ると朝5時50分頃をさしている。 …え? もうストラスブールに着いたの?  まだ全然眠たいのだが…もう一眠りしたいのに…!


 



まだ真っ暗なホーム。少々肌寒いものの、思ったよりも冷え込みはない。 真っ暗なので身動きは取れないので、6時半に有料トイレが開くのを待ちながら、 駅の構内の自販機でカプチーノを買い、お弁当として作って来たサンドイッチを食べた。 昨日買ったル・ブーランジェ・デュ・モンジュのカンパーニュに、 ブリーチーズとトマトをたっぷり挟んだサンドイッチを作って来たのだ。 駅構内のPAULは開店準備を始めていたが、たまにはこういう自家製サンドイッチ弁当、というのもいいだろう。

有料トイレは0.5ユーロかかるものの、清潔であるし、 ゆっくり身だしなみを整えることが出来た。清潔が一番!!


 


7時頃、まだ外は暗いが中心地まで歩き始めた。 駅から市街地まではおよそ10分くらい。橋を渡るとトラムが走っていた。 おぉ〜本当に噂通りの近未来形デザインだ。街の風景とのギャップが面白い。


  



広場のベンチでしばし座って、どこを回ろうかを検討していた。 ストラスブールには、お菓子屋さんがとても多い。かのピエールエルメなどもアルザスの出身だとか。 なので、旅立ちの前から、アルザスに来たらお菓子巡りがメインになる、という期待をしていた。 そして、何よりも私が食べたいのはシュークルートやフォアグラなどの名物料理!  だから今回はパン巡りはそれほど重視していなかった。


(*しかし帰国後に思い出して地団駄を踏んだのは、 パン好きがアルザスに行ったなら必ず行くであろうドルフェール氏のお店のことは全く思い出さなかったこと…!  私としたことが(笑)。もう、これはアルザス旅行での最大の失敗だったと思う…)


なんと! 月曜日定休の店があまりに多い!!  行こうと思っていた店がことごとく休みのようだ。 実は、今日は午後一番にはストラスブールから鉄道で30分の町、コルマールへ行き、 かのクリスチーヌフェルベールの店、メゾンフェルベールへ行ってみようと思っていたのだ。 しかし、月曜日が定休日とは…がーん。予定が大いに狂う。


…というか、もともとあまり予定というものを立ててなかった。 宿すら予約もしていないので、どの町で泊まっても構わない。 だから、今夜はコルマールで宿を探し、明日改めてフェルベールへ行こうと決める。 ストラスブールで行ってみたかった店で、今日お休みの店は、 明日またもう一度ストラスブールに戻って来た時に行ってみよう。 …さて…どこまでアルザスを楽しめるだろうか?!



クグロフ食べ比べ(1) クリスチャン


  



月曜日でも開いている、希少なお菓子屋「クリスチャン」を探してふらふら歩いていた。 角を曲がると、突然目の前に広がったのはそびえ立つカテドラルだった!  なんと荘厳な建物なのだろう。これは誰もが息を止めるだろう。 いくつかの大聖堂を見て来たが、この錆びたような銅色の建物の美しさは比べようもない。

下から見上げると鳥肌が立ってくる。強い風が吹いているのだが、 風に吹かれて今にもゴー−ーとでも音が鳴りそうな威圧感がある。 取りあえず登るのは後にして、クリスチャンでお菓子を買うことに。





クリスチャンは老舗のパティスリー。軽食も食べられるサロンドテもある。 (*もう一店鋪が近くにあった)  オープンとともに入ったので、 お目当てのクグロフはまだ並んでなかったが、どんどん生菓子が並べられて行く。 チョコレートが美味しそうで、ひとつ選ぶ。 しばらく周辺を回った後、クグロフも買い直す。


  


トリュフアランシェンヌはノアゼット風味だった。甘さ控えめでカカオが渋く、 オトナの味わい。


 


 



アルザスと言えばクグロフ。どこのパン屋やお菓子屋へ行っても、 置いていない店はない。大小様々なクグロフがウィンドーを飾る。 あまり甘くはないのだが、粉の風味がすごく良く出ている。 クグロフと言えばもっとお菓子っぽいものをイメージしているのだが、 イイ意味で「パン」だった。後味がじんわりといい。 砂糖甘さではなく、粉の甘さと言う感じで。 びっくりするほどの美味しさ…とは違うのだがついついもう一口を誘う。 (私にとってサプライズな美味しさのクグロフは、大阪岸辺のパン屋さんのクグロフ…) これはクグロフをいろいろと食べ比べたくなって来た!!


Christian

10, rue Merciere, 67000 Strasbourg

12, rue de l'Outre, 67000 Strasbourg




カテドラルからの展望





天気がどんよりとしている上に風が強い。 朝早くのせいか、心なしか観光客が少ない。 今のうちにカテドラルに登っておこう。 大聖堂の横側にある入り口で3ユーロを払い、ひたすら階段を登る。 この階段が超ヘビー! ぐるぐると続く階段で目が回る(笑)。





ようやく登り詰めた時に報われる!  褐色の屋根の家々が並ぶ美しい町並み。 この風景を眺められただけでも来た甲斐があったなぁと思わされる。





かなり高い建物なので、登りよりも下りの方が恐かったりする。 足元の人が豆粒だ〜。



アルザスはブレッツェルの宝庫


 


途中、カテドラルの近くにあるPAULでプランを立てながらコーヒーを飲む。 そうそう、さすがはドイツに隣接した地方、パン屋にはクグロフ同様、 必ずあるのがブレッツェル。なんと、PAULにもあるじゃないの!!  これにはびっくり。さすがにこれを試すお腹的余裕は無さそうなので止めておいたが、 試してみたいなぁ〜。





これも、良く通る道にあったブレッツェルの専門店。 こういう飾りブレッツェルを至る所で見かけた。



プティットフランスを歩く





こてこて観光コースであるが、お昼ご飯はメゾンカメルツェル(カテドラルの前にある超有名店) でシュークルートなどを…と考えていた。 お昼ご飯までの時間はまだまだあるので、どんどん歩こう。

4本の運河が走る観光名所、プティットフランスへ向かう。 コロンバージュという木骨造りの建物は、まるでおとぎの国のよう。 プティットフランスにはこれらの建物が多く立ち並び、水面にコントラストを描いている。


  


レストランも多い。メニューを見ていると、カメルツェルはやっぱり値段が高いなぁという気になって来た。 観光客価格的で、ちょっと抵抗があるな。この辺りで店を探すのもいいかもしれないな。



クグロフ食べ比べ(2) プティットフランス近くのパン屋さん


プティットフランスを川沿いに旧市街地方面に向かって少し歩いたところに、 一軒のパン屋さんを見つけた。近付いてみると、ルセット集とか、 紹介された本などがディスプレイされており、どうやら地元で有名っぽい職人の店らしい。 (店の中にも表彰状などが飾られていた)



 


どう見てもハード系の方が美味しそうなのだが、 アルザスではしっかり「食事」をしたいのでパンには手を出せない。 ここではプチクグロフを一個購入。 トップに粉糖がたくさんかかっているにも関わらずやはり甘くない。 レーズンもほとんど入っていない。 ちょっと乾き気味で、正直「こんなもん?」と思ってしまった。 食事向け、というなら納得が行く。塩気が幾分効いている。 (*しかし、時間が経つとともにやはり粉糖の染み込み効果か、 生地が馴染んでとても美味しくなっていた)

(*調べてみたらHP発見。やっぱり名店だったんだろうか。 ハード系も食べてみたかった…)


Boulangerie Hanss

24 rue Saint-Marc

67000 Strasbourg



プティットフランスでアルザスの味を堪能


 


昼食で選んだのは、プティットフランスを歩いていてたまたま見つけたレストラン。 かわいらしい外装と、自家製のフォアグラとシュークルートを掲げていたからだ。 客は私の他に老婆が一人、お店の人とずっと話し込んでいた。 内装も趣味がよく、ちょっとした装飾品、シャンデリアもセンスがいい。 アルザス調だけど子どもっぽくなく「オトナのかわいらしさ」がある。 接客のおばさんは愛想が悪く恐かったし、時間が早かったせいか客がいないことが気になったが、 店自体の選択は悪くないと思う。





ここでは奮発してフォアグラとアルザスワインのゲヴュルツトラミネールを(合わせて22.5ユーロ)。 フォアグラのテリーヌはたっぷり1枚、それにジュレも添えて。 自家製パンは胚芽パンのような味のトーストされている。 これがフォアグラの一般的な食べ方なのかな(滅多に単品でフォアグラ食べないもん)。 スーパーのフォアグラ売り場にもジュレが別売されていたりするし。 ワインが、めちゃくちゃ甘いのだけど、ふぬけになるほどに美味しい〜!!  食事に合う感じではないのだが(飲んだ後に水で口をすすぎたくなる感覚)、 このままで飲んでつらくない、うっとり美味しいワインが好き。 このワインは私にうってつけ!! アルザスのワイングラスもかわいい!  (*あちこちでこのワイングラスで出されるのですっかり気に入ってしまったが、 もろく持ち運びにくそうなので買うのは断念…)





フォアグラのお味も感動的…! このためにストラスブールに来たか、というほどに。 トーストの上にフォアグラとジュレを載せて口の中に滑り込ませる。 あぁ…心底美味しい。トーストとワインと、なんて相性がいいのだろう…!  しばらく食べた後にも、延々と口の中でコクの余韻が残る…すごい美味しい…。 両親へのみやげにフォアグラは絶対買おう。 ほんと、自分だけこんな美味しいものを食べていることが申し訳なくなって来ちゃって(笑)。





しかしシュークルート(15ユーロ)は不満の残る皿だった。 どうしてもここのザワークラフトの酸味は好きになれなかった。 ソーセージは旨いのだが、バラ肉は思ったほどジューシーではない。 すっかり出汁の出尽くした出汁ガラ肉と言う感じだ。 昨年9日目 にParisのブラっスリー・メゾン・ド・アルザスで食べたシュークルートに感動して、 今回のアルザス旅行を思い立ったというのもあるので、 「感動的に美味しいシュークルート」に当たらなかったのは残念…。 がんばって食べたものの、ザワークラフトどうしても攻略できずだいぶ残してしまった。 ソーセージも量が多くて脂酔い。…お腹一杯!!


RESTAURANT LOHKAS

25 RUE BAIN AUX PLANTES

67000 Strasbourg

0388320526



こうして食事も終わり、駅へ向かった。コルマールへ向かおう。 月曜日休みのお店は、明日時間があれば是非立ち寄ろう。 明日の昼には戻って来て、アルザス料理のひとつ「ベッコフ」が食べたい!






結局ストラスブールではパンは買わなかったけど、 駅に向かう途中にあるパン屋のディスプレイにうっとり齧りつく(笑)。





Pairs 2004 TOP
DAY BEFORE5日目後編へ