Paris5日目(5月2日)
18区パン屋めぐり、そしてベトナムへ
Paris5日目(5月2日)
18区パン屋めぐり、そしてベトナムへ
18区バゲットムニエ再挑戦
Paris2006の最後の朝。今日の昼の便でベトナムへ向かう。10時くらいまでに部屋に戻ればきっと飛行機に間に合う。 部屋を出たのは7時半。お土産を買うために、9時オープンのLe Bon Marcheに辿り着くには出遅れた感もあり。 さぁ、昨日のメーデーで大打撃を受けた分、今朝はどれだけフォローできるだろう?
一軒目は、昨日敗退したテュエリームニエ氏の店。 このシェフの名を冠した「バゲットムニエ」は、 日本では丸ビルユーハイムや代官山アルトファゴスなどでも出会うことができる(2006年6月現在)。 日本で食べたバゲットムニエの生みの親の作る味は、果たして?!
壁には写真や賞状(?)のようなものが飾られた店内。 パンも美味しそうなのだが、じっくり品定めなんて出来ないのがParisのパン屋(泣)、 日本のパン屋さんのように自分でトレーを持ってあーだこーだ、くるくる迷いながら買うなんてことはありえない。 即決力が求められるのだ! 実は苦手である。即決って(笑)。
しかし、一目で確実に私の心を捕らえたのはクロワッサンブール。 うむ、ウマそうなバター色…。バターがそのまんまクロワッサンになりました的な。
今回、Parisの後にベトナムでの寄り道を計画したのはある意味失敗だったな、と思うのだ。 だって…パンを買って帰れない! バターやチーズもきっと溶けてしまう! いつもならスーツケースいっぱいに詰め込んで帰るのに、今回はお土産がほとんどない。 くぅぅ…。こんな焼き色のパンたちを目の前に、私は蛇の生殺しを味わう羽目になるなんて!
Demiサイズで買ったバゲットカンパーニュは、やはり薄皮むっちり、ムニエ味! そう、ムニエ味というのは、とうもろこし味なのである。 小麦ととうもろこしの、同じ穀物でありながら非なるその融合、どこかポップコーンを思い出す香り。 日本のあの2店のバゲットムニエはもう少し表皮が厚めでガリっとハードであるが、 こちら(本家)はその逆。カリッとはしているけれど、むっちりやわらかくソフト。
クロワッサンは甘くて美味ー!! 外の表皮だけがパキパキっといい音をさせて割れ、中はひたすらむちりとヒキのある 「外側も中身も食べさせる」クロワッサン。 シンプルだけど、この店の個性をよく表しているこの2品を「即決」して正解!
Boulangerie Patisserie MEUNIER
Duc de la Chapelle
32-34 rue Tristan Tzara,18e
2006年最後は来訪3度目のTORO
時間もないのですぐに12号線に戻り、次のパン屋さんへ向かう。 同じく18区サクレクール近くのTOROさん! そう、この店こそ、3度のParisパン旅で3度とも来ている店である(2003年、2004年)。 夕べサクレクールに来た時はやはり閉まっていたので改めてリベンジ、である。
バゲット・デプレ…!
やっぱりこれだ。これが食べたくてここまでやってきた。 一本しっかり買い、もう一つはショソン・オ・ポムのアンシェンヌの方。 こちらにはショソン・オ・ポムが2種類あり、いわゆるフツーにパイで包まれているものと、 表面に砂糖がまぶされているものがアンシェンヌ。私は変わり種として後者を選ぶ。
この界隈はパン屋さんが密集しており、もう一軒行っておきたい店(Le Fournil du Village)があったのだが、 ざ、残念…。火曜定休だったのである(事前に調べはついていたけれど場所を知る上でも店まで来てみた)。 次回こそは是非。そう、4度目のTOROさん来訪と一緒に。
バゲット・デプレは、シリアルがたっぷりのバゲット。 2003年に食べて、あまりの美味しさに「このためにParisにパン巡りに来たんだわ!」と言わしめたバゲット。 久々に食べたデプレは、記憶よりかなり塩っぱい。ひたすら「ゴマ」のパン、という感じだった。 あの時の感動がなかなか蘇らず、少し気持ちが焦る。
…しかし…キタキタキターー! 一度食べ出したら一向に止められない、この後味!! (このバゲットはこの後の「非常食」となる。本当にスルメのような滋味深い、しつこ〜いウマさなのだ)
アップルパイは、サクレクールからParisの街並を眺めながら食べた。 シナモン風味のリンゴのコンポートが入っているが、これがめちゃめちゃ旨い。 Parisでパンを選ぶ時は、リンゴものを選べば絶対に外れない、というジンクスはまたまた更新されるのである。
ところが、このパイ、うーん…アンシェンヌ(昔ながらの)とは良く言ったもので、 バターがかなり控えめの配合なのではないだろうか? 某菓子メーカーのパイの実の味がする(笑)。 バターは贅沢なものだったのかもしれないなぁ、昔は。…なーんて思ったり(笑)。
そう! あの味だー。 フィリングの味付けと生地のチープさが思い出させるのはマックのアップルパイ(笑)。 いやいや、褒め言葉である。だって、私。昔大好物だったのだから(笑)。
BOULANGERIE TORO
59, rue d'orsel,18e
そして私は2006年Parisを離れる。
時計を見ると、もう9時すぎ! おぉう、急いでLe bon Marcheに行かないと。 お土産をひとつも持ち帰れないままParisを後にすることになるのだ。 ジャムは取りあえず買うとして、…問題はバターとチーズである。 いつもParisに来たら、ありったけのバターとチーズを買って帰るのだが、 今回は帰りに年間平均気温30度以上のベトナムに寄るので間違いなく溶けるに決まっている。 …でもなぁ…。いちかばちか…買ってみる?(笑)
軽くて安い冷凍食品を一つ買い犠牲になってもらう(といってもここは高級食品店なのでどれも高いが…)。 これをアイス代わりにしてタオルぐるぐる巻にして持って帰ってみる。溶けたら…そのときは料理にでも使うもん!(笑)
いつものエシレと、今回ノルマンディーに行った記念にイジニーのバターも買ってみる。
部屋に戻ったのは10時頃。急いでパッキングをし、家主のRさんに別れを告げて部屋を出た。 ものすごく短い滞在だったけれど、この部屋に出会えてよかった。イイ家主さんに出会えてよかった。 …あぁ。秋もまた来たいよ。この部屋の天窓から、エッフェル塔に別れを告げた。
パスツール駅までゴロゴロとトランクを転がし、メトロ→RERを経由して空港まで到着。 電車の中では、始終「非常食」のバゲットデプレを齧っていた。 止めようがないのである。素材の複雑な旨味が、塩気によってぐいぐい引き出される。 一口食べればまた一口。唾液がどんどん分泌される。うぅ…やっぱり最後に食べるパンがこれで良かった…! これでまた、「Parisに戻って来よう!」と固く誓うんだ。
し、しかし、ベトナム空港の出発ターミナルの掲示が出ておらず真っ青! 取りあえず(←こういうときに「取りあえず」をやってしまうのが私の悪いクセ)2Cのターミナルに行ってみるが、 そこで「2Fです」とあっさり玉砕。ぎゃあ、全くの反対側じゃないかーっ。 (成田空港で言うと、第一と第二を間違えたようなものである) なんでこんなに広いんだよ、この空港はっ。…はぁ…。最後の最後までかっちょ悪いよ。私。
こうして私は2006年のParis滞在を終え、全くの未訪の国、VIET NAMへと旅立ったのである。 Parisとは対極の…未知なる国へ。