Paris+MSM2日目(1)(4月29日)

憧れのモンサンミッシェル! MSM滞在記-前編-

15区パン屋 Quartier du Pain


いよいよモンサンミッシェル(以下、MSM)に行く当日! 明日の5月1日は国民の祝日につき修道院も閉館しているそうなので、 到着した次の日である今日に行くことに決めた。 朝の目覚めは上々、寒い中、身支度を整えて8時20分モンパルナス3駅出発の電車に間に合うようにでなければ。





その前に、もちろん朝パンを買ってから電車に乗るべし! 今回の渡仏で絶対に行こうと決めていたパン屋さんのひとつがQuartier du Pain。 たまたまであるが、今回滞在しているこのお部屋から至近だったのである。





…意外に…パンは普通に美味しい、という印象だった。 パン袋をみると、どうやら支店が4店もあるお店のようなので、もしかしたら他が美味しいのかも知れない。 小さなこのフルートは、バゲットカンパーニュのような、酸味と塩気と、少々のツブツブ感がある。 カリッともちっとした食感はばっちりだけど、味がなんだか浅く感じてしまった。 それは昨日買ったバゲットたちにも通じるものがある。もしかしたら焼き立てゆえ?


私はなんでも焼き立てが好きである。「焼き立てではなく、冷めたてが食べごろ」と、 パンを売る側のプロはそう言うだろう。それはごもっとも、ごもっとも。 でも、買い手の私たちは、なお焼き立てを求めるのだ。 売り手ではない私たちにとって、その焼きたてほやほやに出会えるのは一期一会。 どうせ数分ほっとけば冷めるパンである、その味の変移を楽しむのも買い手の醍醐味なのである。


…そう。このバゲットも、昨日買ったバゲットも、買いたての時はイマイチピンとこなかったのだが、 忘れたころに取り出してかぶりつくと、さっきよりもずっとずっと美味しく感じるようになる。 今回、そういう味の変移を何度も経験したように思う。





味的には、小さなプレーンな塩味のパヴェの方が美味しかった(画像無し)。 電車に乗り込んだときにはミニクロワッサンも、ショソン・オ・ポムも潰れてしまっていた(!)。 あーん、なんだか不発だったかも?


ところがやっぱりポムは無敵であるのだ。 このショソン・オ・ポムの旨さはなにー?! たっぷりのリンゴのブレザーブは、 バターの甘みがたっぷりで、まさに焼きリンゴ! バターと砂糖をたっぷり吸わせたあの焼きリンゴの味わいだ。 美味しかったー。美味しかったー。


フルートがやや不発に終わったので、これ以外のモノを完食し、 フルートは非常食代わりにしよう。そう、見知らぬ土地に行くと、いつだって食べるタイミングを逃して、 腹ぺこ状態のパターンが多い私だから。(しかし、この非常食バゲットは、あとでヒジョーに大活躍することになるのである!)


Quartier du Pain

270 rue de Vaugirard,15e

日休



ParisモンパルナスからMSMまでの道のり


モンパルナスには、発車の15分くらい前には到着。 私は郊外に行く時はいつもSNCF(国鉄)のサイトからネット予約をして行く。 割引もあるし、都合のよい時間帯のルートを捜せるからだ。 (ただし、どのみちチケットを窓口かブティックで引き換えなきゃならないので手間的には変わらない)


MSMには昼の12時ジャストに到着するようだ。今回、こんなに早く現地に到着するつもりはなかった。 一泊するのに、こんな昼間に到着しては時間を持て余すと思ったので、 先に近くのST MALO(サンマロ)観光をしてから行きたかったのに、 電車の接続が悪く、早めの到着を余儀無く去れたのだ。


ParisからMSMに行くには、いくつかのルートがある。主に知られているのは以下の通り。

TGVでRENNES(レンヌ)まで行き、そこからMSMまでバス。

TGVでサンマロまで行き、そこからMSMまでバス。

・パリからツアー会社のバスに乗車、乗り換えなし


もちろん、ローカル線で時間をかけていってもいいのだが、接続が悪すぎて結局はこのルートが一番なのだ。 しかし、今回私は、SNCFサイトで、ガイドにもなにも載っていないルートで行くことになった。 Paris→MSMで検索すると、急行のルートが出て来た。 特に乗り換えについての説明がないが、現地12時に到着するようなのだ。 しかもTGVで行くよりも遥かに安く、49ユーロ程度。 でも…MSMの最寄りの駅は10キロも離れているからバスしか行きようがないはずなのに。 どこかで乗り換えるんだろうか? まぁ、行けばわかるだろう、なんとかなるだろう。



キップに書かれている車両番号と、駅構内のホーム案内のモニターを照らし合わせると、 どうも行き先はGranville(グランヴィル)とある。MSMからは遠くない終点であるが、 直接は行けるわけではなさそう…どこで乗り換えするの?


それよりも、手にしている朝パンが早く食べたくて(笑)、席に着くなりパンをもしゃもしゃ食べ出す私。 そこに、一つ前の席に座る日本人家族に声をかけられた。 「MSMはこれ一本で行けるんでしょうか?」と。 私のペットボトル(イエモン)を見て、日本人だとわかったらしい(最近、日本人よりも中国韓国からの観光客の方が目立つから、一見ではわかりにくい)。 私はのんきゆえ、どこかで乗り換えれば大丈夫だろ、でも果たしてどこで? という感じだったので、 全然あてにならない(笑)。


その日本人の人が、駅の人に"ここで乗り換える"みたいなことを言われたそうで、 キップになにか駅名が書いてあった。んん? 地図には載っていない駅名だけど… と、よーく地図を眺めると、確かにこの名前の駅があった! ここで乗り換えるのかー。初めて知ったよ(笑)。





Villedieu-les-Poelesという駅の前で"MSMへ行く方はここで下車してください"というようなアナウンスがかかった。 とても小さな、聞いたこともないような駅。改札を通らず、駅の外にでると、 国鉄のバスが待っていた。MSMへの乗り換えバスである。なーるほど、これは急行とバスのセットだったのかー。


運転手さんは往復のチケットの呈示を求めて来た。えーっと、、私、持ってませんよ。 明日、帰りは別のルートで帰る予定なので。


バスは1時間もかからずにMSMに到着することになる。 あぁ、どれだけ私はMSMに恋していたことだろう。 会いたい人についに会える! じんわりと汗ばんでくるのがわかる。 バスの運ちゃんがちらっと指をさした遠く、かすかにMSMが見えた時には、思わず歓声をあげてしまった!





羊が横たわる田舎道を爆走するバスは、じりじりとMSMに迫って行く。







対岸のホテル群を過ぎればもう、あとはMSMは目前、一本道!! 全身総鳥肌!!





視界に入り、徐々に迫りくるMSM。たぶん、MSMに行く醍醐味はこれにあるのかもしれない。





ふわーーー…。ほんとに天空の城ラ○ュタのようだ…。 海に囲まれた、陸の孤島。要塞、という言葉はこの建造物のためにある気がしてきた…。 今にもそのままズズズ…と動き出し、天空に浮かんで行きそうな、地に足のついた感じのしない不自然さも合わせ持つ…。 本当に目の前にあるのがMSMそのものなんだ…。



MSM島内、恐るべき観光地物価


私が泊まるホテルは2時からチェックインということだったので、 それまでにランチでも食べて過ごそう。MSM島内は、修道院が上半分、とするならば、 ホテルや土産物、レストランは下半分にひしめきあっている。


まずは観光案内所に入る。明日のバスの確認をしておこうと思ったのだが、 そこでなんと行きの飛行機で隣り合わせていたベトナム娘と遭遇してしまった!! ひえー恐いよー(←なぜ怖がる、私!)向こうも気付いて「!」みたいな顔をしていたが、 私は思わず気付いていないふりをしてしまった。狭いなーフランスは(←?!)…ははは…。


MSMと言えば、なんといっても巨大なオムレツが有名。ここに来てこれを食べるのは必然というくらい。 スフレのような食感で、非常に淡白らしい。はっきりいって美味しくないそうだが、 それは昔、卵が貴重な時代に修道院で作って食べられていたそのままの味を守っているからだそうで、 少ない卵でいかにたくさん大きく食べるか、というのを重視しているオムレツであるから味は二の次なのだそうだ。 …しかし、これがめちゃ高い。ランチでも4000円くらいするのだ。 はっきりいって、食べても「ふーん、、、なるほどねぇ、、、」と複雑なセリフを発するのが目に見えているので、 私は食べなかった。そのことに後悔はない。


そこで、他になにか食べるものを探していたが、…ほんとに! 噂通り…というか、噂以上の「観光地価格」には驚いた。 質素なレストランやカフェでさえ、定食が最低でも15〜18ユーロからスタートなのだ(2500円近い)。 とりあえず、手頃なガレット(といっても、ガレットの割には高い)くらいは食べようかと、一つの店に入る。 海のみえるテラスの店だ(この島内にはそういう名前の店ばかりだが)。 とりあえず、アペリティフにカルバドスを頼み、ガレットはあるかと訪ねると「3時から」と言われた。 えー! 今この時間にはないって?! がーん。どうしよ、このカルバドス…。 すまないが、ガレットがないなら用はない、ギャルソンさん、このカルバドスは手をつけてないので堪忍してーと、謝って退散。 (*この店がのちに、自分が泊まるホテルのレストランであり、朝食を食べることになる。 あのギャルソンさんに遭遇しないかヒヤヒヤものだった)





昼から夕方にかけて、観光客がごったがえすMSM島内。 1時くらいからまたどどっとバスが到着するので、今の内に早くランチを済ませておかないと!! そこで選んだのは、とあるクレープリー。海のみえるテラス席で、スーパーコンプレ(トマト、チーズ、ハム、卵)のガレットと、 カルバドスを頼む。これだけで13ユーロ(2000円近い!)してしもうた。ひー。





私、カルバドスが「蒸留酒」であることをすっかり忘れていた。 ウイスキーみたいなもんをストレートでなんて私、飲めませんから!!(笑) 一口飲んだだけで喉がヒーーーッと熱くなる、やばい!!(笑) 持っていたミネラルウォーターを少し注いで水割りにしてやっとこ飲んだ(薄くなってまずくなったのは言うまでもなく…)。


ガレットは、恐ろしくしょぼいボリューム…。 ボリュームがなさすぎてがっかりしたのは、海外旅行では初めての経験だ!!(笑) 味はまあまあだったが、かりかりしたところはなくてふにゃふにゃ…。これじゃー昼ご飯には足りなさ過ぎる。



 

ガレットにはバターが添えられていた。そのバターを見て、…そうだ!!「非常食」!! そう、朝食べ残したあのバゲットを取り出し、このバターをぬって食べる。うんまーい!! バターをぬったからだけではなく、朝食べた時よりもずっと味が濃くなって美味しくなった感じがする。 わーん、非常食にして大成功!





土産物屋を物色し、今夜書こうと思っている絵葉書を数枚購入。 島内は、土産物屋や飲食店の並ぶ目ぬき通りに平行して城壁沿いにも通路がある。 歩くなら絶対海を見ながら城壁を歩くのがいい。





MSMの周りは一面の海。海、といっても、この海は干潮と満潮を繰り替えす。 その干満の差は激しく、干潮のときは地平線までずっとグレーの湿地が続く。 満潮の時はすっぽりと島の周りを潮が取り囲み、陸の孤島となって浮かび上がるのだ。 時間は日によって変化し、昼間の今は干潮。遠くまで干拓を歩いて行くことができるらしい。 (ただし危険なのでガイドの同行がないと一般の人はダメらしい)





そうこうしていると14時に。ジャストでホテルにチェックインをする。 レストランを併設するこちらのホテル、商店街に面しているのだが、 私が泊まった部屋はレセプションのすぐ裏の一階の部屋。…つまり、路地に面した部屋、 人通りが多くて寂しくない(=うるさい)部屋であった。





島内に泊まるか、2キロ離れた対岸に泊まるか。 MSM宿泊のときには誰もが絶対に悩むところだ。 対岸のホテルは、MSMからは歩いて20〜30分かかるが、ホテルにいながらにしてMSMの夜景を眺められる。 もちろん、歩いて近づくのは時間がかかれども、私は歩くことを厭わないから大丈夫。 一方、島内のホテルは、歩く必要はないが、島の中からでは部屋からMSMを眺めることはできない(当たり前だが)。


最初、対岸のホテルを予約したかったが、満室のためやむなく島内ホテルにした。 …しかし! これは結果的に大成功だったのだ。荷物はすぐにこうやって部屋に置きに帰れるし、トイレもばっちり(笑)。 MSMを見たければ、島の外にぴゅっと出ればいいだけの話。絶対に島内に泊まることを薦めたい。 …しかし忘れてならないのはその「観光地物価」。ホテルはいちおう三ツ星ではあるけれど、設備は簡素なものであるし、 シングルだから13000円くらいもした。…その辺の覚悟があれば、島内を是非。


その気安さから、私はチェックイン後、身軽になってからベッドで一眠りしてしまった。 目がさめるともう16時! …いやいや、焦ることは全然ない。時間はたっぷりあるのだ。 日の入りは21時すぎなのだから、、、ひえー、あと5時間もある!




モンサンミッシェル修道院内部へ





ちょっと教科書的なことを書いておくと(笑)、モンサンミッシェルの修道院の建設が始まったのは966年… そう、1000年も昔にさかのぼるんだそう。増改築を繰り替えして現在の姿になったのは16世紀くらいのこととのことだけど、 十分すぎるほどの歴史である。





修道院へは階段を相当登る。健脚でなければかなーり難儀とみた。 入場料は8ユーロくらいだったかと思う。壮麗で厳粛な修道院は、やはり観光客で一杯で、 入るにも長い列だった。しかし中は人気のない写真を撮ることが可能なくらいの余裕はあった。





MSM島内を上下にわけるとしたら、修道院はまさに上。上から眺める遠浅の地平線の景色といったら! 正直、難しいことのわからないどてかぼちゃな私は、修道院内部よりも、修道院から眺める周囲の海の景色に心を奪われる。 おぉ、さっきの「海を歩こうツアー」な人たち、あんな遠くの島まで歩いちゃってる!! 潮が満ちるまでに戻って来られるのかしらん?





私は日本語音声ガイド(4ユーロ)をレンタルしてゆっくり巡った。 …といっても、あまり真面目に聞いていなかった気がする(笑)。ここはお約束の写真スポットの回廊。





はい、これも(笑)。そろそろお腹も空いて来たし下山しますか!





どこの軽食屋さん、パン屋さん、売店でもガレットブルトンヌやクイニーアマンが売られていた。 いかにもブルターニュらしく、パン屋さんで定番のクイニーアマンをおやつに買ってみる。 これはリンゴ入り。表面は砂糖がびっしりついて甘甘。ちょっと観光地価格なバター焼き菓子、 まぁ正直日本のパン屋さんのクイニーアマンの方が美味しかったのだけど(笑)。 カフェ…ではなく、なぜかビールで流し込む私である。あぁ、まだまだ時間がたっぷり余っているんだ。酔うにはまだ日が高すぎる。


一度部屋に戻り、ひと息ついてから、私は島の外へ飛び出し、MSMを背にして対岸へ向かって歩き出した。 向こう岸までいったら、今度はまた同じ道を引き返してくるのである。 そう、夕焼けのMSMを眺めるなら、離れて、そして近づいていくのが一番だから。 これをするために私ははるばるこの地までやってきたのである。



Paris 2006 TOP

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