Paris+MSM3日目(4月30日)

MSM→ST MALO→RENNES→PARIS

目覚めると霧の中…MSMの朝





翌朝。朝焼けを見ようと5時台に起床した。 今日は9時15分MSM出発のバスで、ST MALOサンマロに行くので、時間はたっぷりある。 シーンと静まり返る島内をこっそり出てみあげると…。なんと! 深い霧でMSMがほとんど見えない! 朝日もこれじゃあ望めそうもない。 あたりは深いグレーの明るさだし、時間的にももうとっくに日は出ているはずなのに…。 朝食のレストランは8時までオープンしないようだし、やむなくまた島内をうろうろ散歩。 階段が多くて、空腹のお腹には堪えますな〜。





ホテルから数十メートル坂を登ったところにある、海を臨めるレストラン。 昨日入った店である。注文をしたけれど途中で出て来てしまった店である。 海に面したテラスだが、眼下には灰色の海原が広がるだけ…。とほほ…朝日…。 でも、少しずつ霧に隙間が見えだして来たかな?


朝食は恐ろしく簡素なもので、宿泊代を考えてみても割に合わなさすぎるなぁと思いつつ、 そこは観光地価格ってことか…。 バゲットにクロワッサンにパンオショコラ。 冷凍焼成のそれたちを籠から取ってくる。バゲットにはたっぷりのはちみつとバターとチーズをこれでもかっと挟み込んで食べる。





食事を済ませるころには、ようやく朝日が差し込んで来た! …でも、もうあんなにお日さまは高いところに…。でも、潮にきらきら反射する光が美しく、しばらく眺めていた。





チェックアウトをし、バス停に向かうと……! なんと、またバス停水没してるし!(笑) さっき朝起きた時には潮は引いていたので安心していたら、 朝食を食べている隙にまたまた潮が満ちてしまった(笑)。もうー、七変化過ぎます(笑)。 MSMのトラベル情報をいくつかプリントアウトして来たので慌てて読み返してみると、 「バス停が水没した時は、バスは駐車場の方に止まる」らしい。 おわー、あと5分しかないし! ばたばたとMSMを背に走り出した。


バスが来るのではないかと思われる辺りに来てみると、 別にどこにもバス停はない。そこに日本人の女性が立っていた。 どうやらバス待ちっぽいので思いきって訪ねてみると、 その方も他の人に「ここで待ってろ」と言われたので不安ながら待っているそうだ。 もう、時刻の15分は過ぎているけど、ホントに来るのかー?

バスは5分ほど遅れて到着。ほーっ。一安心。





バスの後部座席に座り、MSMとの別れを惜しんだ。





MSMがどんどん遠ざかって行く…。朝焼けは見られなかったけれど、本当にここまで来られて良かった。 一晩たっぷり滞在できてほんとによかった。また会えるかな。また会いたいよ。





MSMからサンマロへ行くには、一度ポルトンソン(MSMの最寄りの鉄道駅。といっても10キロくらい離れている)で、 サンマロ行きのバスに乗り換えるのだ。その女性もどうやらサンマロらしい。 他の客はすべてRENNES(レンヌ)行きのバスを待っているようで、私たちだけがポルトンソン行きのバスに乗り込んだ。 2人きりってすごい偶然だというのに、その女性は不自然なほどに「一人旅です、ほっといておいてください」オーラが漂っていた(笑)。 行き先も乗るバスも私たちしか居ないというのに、席も思いきり離れて話もせず(笑)。

後部座席で私はぽつん…。





バスはポルトンソン駅についた。ここも特にバス停はないので不安になりそうなところであるが、 バスの運ちゃんが「ここで待っていれば来るから」と言ってくれたので、 安心して次のバスがくるまで20分くらいの待ち時間を、周辺をふらつくことで潰した。





私はやはり鼻が利くのか呼び寄せられるのか(笑)、速攻パン屋を見つけてしまう。 あんな朝食じゃたりないですからーっ。 おぉ、ここはガナ系のパン屋ですかい。ほんとどこにでもあるなぁ。 ほんとにフルートガナを焼くパン屋はあちこちにあるのである。





やわらかい薄皮のフルートガナ、確かに食感はフルートガナだが、お味はイマイチ。 フルートガナ系はいろんな店で食べたが、けっこう当たり外れがあるかも。




城壁に囲まれたリゾート地・サンマロ



サンマロ行きのバスはまもなく到着。客はさっきの日本人女生徒二人きりだというのに、 やはり遠くに離れた席に座る(笑)。なんだかなぁ(笑)。


道中、海が見えて来たときには感動! 昨日、今朝と、あれだけ海に囲まれ、海を眺めていたと言うのに。 こっちの海(といっても、MSMの海と同じ海のハズだが)はエメラルド! これ、晴天だったらどんなにか美しかっただろう…。





1時間後、サンマロ到着! 風も強く寒い。寒い。…寒ぅー。 さっきの女性とは「じゃ」と一言言ってお別れ。 うーん、私も「一人旅」派であるが、ここまで徹底されちゃうとなんだか考えちゃうなぁ…。まぁいいか。


まずは観光案内所でサンマロの地図を0.5ユーロで購入。 今回、サンマロに行くにあたって、一軒の生ガキが美味しいというレストランを調べておいた。 その場所を知るために、地図を買ったのだ。





サンマロの中心街にはヨットハーバーがある。 この加山Y三的というか、石原Y次郎的な世界(ってちょっと違う?)、サンフランシスコに通じるものが。 天気が悪くて、まだ寒くてオフシーズンなのだろうが、心が軽くゆるーくなる港町、 ブルゴーニュのリゾート地なのだ。





まずはぐるっと城壁を登ってみる。 私は日本史専攻で、世界史はまるでわからないのだが、ここはかつて第二次世界大戦で激戦地となり、 一度はこの城壁も壊滅したそうだが、こうして再建されたそう。 もっと世界史とかいろいろ勉強していたら旅行の楽しみも違ってくるんだろうなー。


旧市街地を取り囲む高い城壁は、海を眺めながらの散策ができる。 やっぱりこの海もMSMのように干満の差が激しくて、引き潮のときには、 あの島まで陸続きで歩いて渡れるらしい。今日は自慢の白砂のビーチもエメラルドの海も、 天気と潮のせいでやや色褪せている。


サンマロの次には、レンヌに行く予定。18時頃発車するレンヌからからParisまでのTGVを予約しているからだ。 レンヌまでは電車でもいけるが(その方がずっと早いし本数もある)、 私はバスで行ってみたかった。小さな村々をぬけながら、ゆっくり時間をかけて車窓の旅をしたかった。 …しかしそのためには12時55 分のバスに乗らなくてはならない。あらま、あと1時間もない!

路地にはたくさんのかわいいお店が賑わっており、どこも惹かれる。 バスで行くか(=車窓を楽しむ)、電車で行くか(=サンマロでゆっくりする)…。迷う!


ところが、そのお目当ての生ガキのレストランは…なんと月曜日定休?! ぐわー! とてもセンスのよさそうなかわいらしい外装なだけに、ショックは大きい…とほほ…。 しかし、泣いている時間は私にはないわっ。食べられる店を探す。 城壁の内側にはたくさんの土産屋やレストランが立ち並ぶ通りがある。 クレープリーはたくさんあるが、海の幸も、となると…。





そこから1、2本隣の路地には、数軒似たようなテイストの店が並び、 どれも女性向けの色合いの明るいレストランだった。 MSMで食べ損ねたムール貝もあるし、値段も手頃のクレープリー。ここに決めた!


店内には私の他に一組しかいなかった。 これが一本隣の路地とかであればお客さんもたくさん入りそうなのにな。





まずはガレットをシードルとともに。数あるガレットの中で、私が決めたのはカマンベール! やっぱりこっちにきたら名物のカマンベールを食べるでしょう!(昨日も食べたね?) 潔くカマンベールしか入っていない至極シンプルなガレットである。 これがちゃんとパリッと香ばしく焼き上げられていて、ちゃんと適度に大きくて、美味しかった! (昨日の失敗があるからな、余計にそう思う!)





意外と、フランスに来てレストランでパンが美味しいことはほとんどなかった。 たぶん、味ではなく、状態が悪いせいかも知れないが(カラカラに乾き切っていることが多い)、 こちらはパンまでもが美味しかった。むっちり、しっとり、ほんのりとした酸味のライ麦パン。 ご近所の美味しいパン屋さんから焼き立てを買ってくるのだろうか。





そして、お待ちかねのムール貝(ア・ラ・クレーム)とフリットも♪ ムール貝にはア・ラ・クレームの他にもマリネ、カレー、というように、 幾つか味付けを選べるのだが、これはクリームソース。 一見すると、ちんまりしたボールに盛られているのでボリューム控えめかと見えたが、 嬉しい裏切りが。アサリのようにかわいいサイズのムール貝は、 食べても食べても減らない。50個くらいは入っていただろうか? しかし味付けも非常に美味しく、値段もこれだけ食べて全部で12ユーロ程度と手頃で大満足ー!

(昨日のMSMがあまりに高かったので余計にそう思う)




すっかり食べた食べたー♪ ムール貝、完食なり。

 

ちなみに、お店の場所も名前も説明しにくいのだが、 窓の外から見える向かいのお店が…かなり強烈だったので、目印になるかしら?(笑)





日曜日のRENNES トホホにトホーに暮れる


ぎりぎりセーフでRENNES行きのバスに乗る。 レンヌまではたったの3ユーロ!! 恐るべしローカルバスの安さ。 1時間半のバス旅でレンヌに到着した(本来は2時間の道のりらしいが、 タトゥー入りのチンピラ風の運転手のお兄ちゃんがずいぶん爆走族やってくれた模様)。 もっとゆっくりしたかったサンマロの滞在時間を削ってまで選んだこのバス旅は、 時間がかかっても、途中通る小さな町やかわいらしい村の景色を眺めたかったのだ。


しかし…猛烈な睡魔に勝てなかった私、バス車中ではほとんど眠っていた。 10分に1回くらいはふと目を覚ますのだが、そのたびにため息の出るような美しい景色が広がっていたのだ! 時には人形のおうちのような民家が点在していたり、 時には牛たちが草原で草をのんびり食べていたり、 時には一面の菜の花畑の黄色いじゅうたんだったり。 あぁ、もったいないことをした…。ほんの一瞬一瞬しか眺めることができなかった。


一番感動したのは、レンヌ到着の少し前に目覚めたときのこと。 北大のポプラ並木のような林道の中をバスが走り抜けた時。 それは「緑」ではなく、「木緑」のトンネルだった。 それは自分が物語の世界に迷い込んだ瞬間だった。 夢うつつで通り過ぎたため、あれは幻だったのではないか…という錯覚にさえ陥る、 忘れられない光景だった。





黄緑色のトンネルを抜けてしばらくすると、バスはレンヌに入って行ったようだ。 レンヌの第一印象は「かっちょいい町だな」。 それまでの田舎道とは打って変わって、ピンピンっとまっすぐに整列した建物のギャップが大きく、 「小さな町」→「大きな町」に来た、ということを印象づけるからだ。


ところが、今日は日曜日!! ことごとく店は閉まり、人通りも閑散としていて寂しい。 駅には、不自然に一人でうろうろする男の人たちがたくさんおり、それが怪しく見えて物騒にすら思えた。 (この感覚は、この町にいる最中、ずっと拭えなかった。…相性の悪い町、だったのかもしれない)

TGVの時間は18時。ひぇー、あと4時間近くもあるよ。 特に目的もなくたどりついたこの町で、何をしようか、すべきか。





とりあえず町をぐるっと回る。がらーんとした通りを突き進む。 一泊分の荷物が余計にずっしりと重さを増す。しかも、鼻風邪だろうか、くしゃみがさっきから止まらない。 花粉症だったらいいんだが?(笑)


アルザスで見たコロンバージュのように、木組みの家が並ぶ旧市街。 しかし…入っている店鋪がどうも健全さがないため、私にはマジックで書いた落書きのように見えてならなかった(辛口失礼)。 あぁ、ダメだ、なんか心が踊らない。相性ってやつかもしれない…。





そんなとき、広場に面した角っこでふと発見した一軒のパン屋さん。 名が知れたパン屋さんなのかもしれない、美味しい香りと、カラフルな生菓子とパンたちが私を手招きした。

ケーキはわりと繊細なものもあり、ばりばりハード系も充実。 プチパンはまるでスコーンのようにぎゅっと固そうで種類が豊富! イチジク+シェーブル、なんてのもある。このプチパンたちは具の組み合わせがユニークでどれも買ってみたくなる。





とりあえず、リンゴ入りのクイニーアマンと、チョコ+リンゴ+オレンジのプチパンを買い、 広場のバス停のベンチに腰かけて齧った。





プチパンはごくごく普通の天然酵母パン、という感じだったが、クイニーアマンは美味しかった! ぐにゅうっと中から出てくるリンゴの果肉。キャラメリゼ部分は少ないせいもあり、甘さが控えめですいすい食べられる。 MSMでもクイニーアマンは食べたけど、これでようやくちゃんとしたブルターニュのクイニーアマンを食べられたということで、思い残すことはない?(笑) しかし、まだまだ時間は有り余っている。しばらくトホーに暮れていた私。 トホーに暮れればまた体が冷えてくる。うーーいい加減に寒さから解放されたいよう!!





いちおう名所であるという植物園のような庭園へ。 ここのベンチに腰かけ、日記でも書いて時間を潰す。 この日記は、私が海外旅行の時には必ず書き残しているものである。 といっても、実はこれ…帰国後に書くPARIS2006レポートの台本、なのである(つまり、このコンテンツである)。 そう、今こうして書き残しておけば、後で本当に楽なのである(笑)。 せっせと今日の分まで追い付かなくては。


しかし、30分も木陰に座っていると、みるみる体が冷え、くしゃみは止まらず、 だんだん頭が熱っぽくなって来た。おいおい、こんなところで風邪引いてたまるかいな…。 でも、この連日の冷え込みと薄着では、風邪ひかない方がおかしいさ。 (しかし結局、本格的に風邪にはならなかった。…私ってバカなの?(笑))





そう、どこかで休もうにも、ほとんどの店がことごとく閉まっているため、 カフェで暖を取ることすらできなかったのだ。 もう我慢の限界! 寒い寒い! とりあえず、駅の方まで戻ることにしよう。 そうして入ったのは、駅前のカフェ。ひたすらここでも日記を書き続ける。 …でもビール飲んで寒がっている私はやっぱりバカなの?(笑)


はぁ、、、サンマロでゆっくり時間を過ごしたかった。それがこの日の一番の後悔である。




モロッコ料理で冷えたカラダを暖めよう





定刻通りに出発したTGVでParisへ戻って来た。到着は8時すぎ。 とにかく寒さに疲労していた私が今一番食べたいのは、パンでもなく、 温かい料理だった。朝から一切口にしていない野菜も食べたいのだが、なにかこう… 体の芯から暖まるような煮込み料理。そういうのを食べたいよぅ…と、とぼとぼモンパルナスから部屋の近くまで歩いて戻って来た。 そして、Pastuerパスツール駅の前の一軒のビストロの看板を覗き込む。





画像は昼間に写したものだが、通りかかるたびに気になっていた、かわいい羊のマークのビストロ。 でも…よくよくメニューを見てみると、どうやらモロッコ料理のお店のようだ。 おぉ、大好物のタジンもあるでよ! しかも、12ユーロ。安いんじゃない? (←家主のRさんにいわせれば、「高いよ、12ユーロなんて!」…なんだが、 MSMから帰ってくれば何を見ても安く感じます(笑))


中はいくぶん上品なレストランと言う感じで、センスもいいのに、客は2組だけ。 ちょっと静かである。日曜日だからだろうか? お通しで出て来た、にんじん+ジャガイモ+オリーブのおつまみは、カイエンがたっぷりかかって辛い! パンもカピカピだし(←これはよくあることである)、なんかハズしたかなーと思ったが、 出て来たタジン(モロッコ風の煮込み料理)は期待以上に美味しかったー!!





ラムと野菜のタジン。ものすごいボリュームだったが、野菜も肉も出し殻にならず、味が馴染んで実に旨い!! レモンとミントとクミンの味付けで、後はラムの旨味がスープの輪郭を描く。 熱々を、はふはふしながら、もりもり食べた。 どんなに大盛りだとしても、野菜だしラム肉だし、うぅーん、これならいくら食べても太らなさそうな気がする!



22時頃帰宅したが、まだ今夜も家主さんは戻って来てない。 彼女が帰ってくる前に洗濯とシャワーを済ませておかなければ。 ドラム式の洗濯機の使い方がわからず四苦八苦。 でもこれ、面白い。脱水に差し掛かると、最初はくるくる…とゆっくり回転し、 徐々に加速、高速回転を始めた。これでもかこれでもかーっとゴーーーーっとマッハでスピンする! 「のわー!」と、独り思わず感嘆してしまう。


家主さん、毎日遅くまで御苦労様だな。 気兼ねしなくていいが、このまま最後まで会えず仕舞いで最終日を迎えるのは寂しいかも知れない。 明日は会えるかな。



Paris 2006 TOP

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