95.秋の満月、神奈川パンリベンジ編〜ブノ&サーカス〜





それは先日の箱根旅行のこと

そう滅多に神奈川の西の方まで来ないので

どうせ小田原箱根まで行くならば、好きで好きでたまらん

あの2軒のパン屋に寄りたいと思うのは当然のこと。

しかし無念にも寄ることはかなわず


あれから3週間たったけれど、無念で無念で、

このまま2007年を終わるなんて無理ーーっ。

そこで、たまたま1日ぽっかり空いた3連休の中日、

ふらりとひとりで再び小田急線に乗り込んだ。

今月、小田急線で神奈川に突入するの3度目だ…(笑)






最初に下車するのはもちろん、伊勢原。

時間はもう2時過ぎている。

こんな時間に悠長にいってパンがあるのか定かじゃないけど

とりあえずバスも来ないし歩いて行くことにした。

およそ徒歩20分程度。

今朝は、ブリオッシュを1個食べたっきりで

めまいがするほどお腹すいてます!!! 助けて、ブノ!!!





パン好きじゃなければきっと来ることもないだろうし

名前をしることもなかったであろう伊勢原市(失敬!)。

それが、パン好きの「関東・西の巡礼地」ブノワトン。


*過去のブノ来訪記はこちら*

2005年1月

2005年3月

2006年5月13日DIARY





都内に催事に来る時は、欠かさず通い詰めているし

パンパーティーの時もキャラバナやアンティークは欠かせなかったけれど

やはり伊勢原まで来るとなると、一大イベント

過去に伊勢原に来たのは5度あったが

考えてみたら、ひとりで来るのは今回が初めてだった。





ブノで好きなパンはほんっとうにいくつ挙げてもキリが無い…!

毎回欠かせないのは、カレーパン。

今日のカレーパンは、今までのよりも、今まで以上になぜか

「鍋底カレー」感が一番強かった(笑)。


お客さんがひっきりなしに訪れる超人気のパン屋さんは

どのパンもほとんど「焼き立て」で並べられているのがいい。

どれを選んでも、まだほんのりとぬくいから。



年に1回くらいしかお目にかかれないマダムなのに

なぜちゃんと顔を覚えていてくれるのか

ほんっとうに尊敬します





トレーにあれもこれもとたくさん載せ、レジのカウンターへ進めば

またそこでそれもどれもと追加追加

なのに、お値段は2000円いかなかった。

買い控えちゃったかな、追加しようかな、

そう思った時には遅かった。めまいがするくらいにお腹ぺこぺこ、

一刻も早く食べなきゃ私、倒れちゃう!(笑)





駅までの徒歩での往復はかなりきつい立地にあるブノだけど

帰り道は逆にこの距離がありがたい。

そう、食べるパンはいくらでもある(笑)

そして人通りの少ない道を選んで、…遅めの私のランチタイム!


最初にパクっと一気に食べたのは

ほんの指先サイズのフィンガーフード、

銀杏のデニッシュ!

銀杏の大きさを想像してください、

このデニッシュがいかに小さいかわかるでしょう?(笑)

小ささとは裏腹の絶品っぷりで45円(笑)





この湘南小麦のバゲット・パリゴー。

店主・高橋さんが長年目指して来た、地産地消のためのオリジナル小麦。

ついに、その湘南小麦を使ったパンが生まれたそう!

バゲットの他にも、カンパーニュなどいろんなパンがこのブノオリジナル小麦を

使って生み出されていた。


とっても香ばしくて、おだやかな甘み…!!

色は薄めなのに、どこかしっかりトーストした食パンの耳、みたいな

香ばしい「パンらしい」うまみがある! さすがに美味しい!!





カレーパンも一気に食べちゃったし、次に一気に食べ切るのはどれにしよう。

(ブノはビニール袋にパンを入れないので途中で食べ残すと大変なことに(笑))

定番の「金時豆のグリルバゲット」にしようか、

今回初の「きのことシーフードのクリーム煮」にしようか


結局、来るたびに食べているグリルバゲットは後回し、

クリーム煮の方にしてみた。

この手のお料理詰め込みパンは、ブノのお得意とするところ!

もう少し塩気が強くても美味しかったかもしれないけど

熱々のとろとろのクリーム煮は、ほんっとに歩き食いには不向きで(笑)

(普通しませんて)





ビアブロートのショートバゲット。

なんとエビスの黒ビールをたっぷり使用したバゲットだそう!

ロブションとかのショートバゲットに似て、

外のネチッとした、なんとも鈍いクラストが実はものすごくツボだ。

酸味とともに訪れるコクのある甘みは、ビールゆえ?





これも仕事人・店主のオリジナル惣菜パンのひとつ。

ソーセージまで自家製でやっちゃうこだわりっぷりだから

ブノに来たら、惣菜ものを食べるのがとにかく楽しみ。

ピザを思い出させるクリスピーなフォカッチャに、

豚と野菜のミンチを延ばしたような一品(名前失念!)





時間的にクロワッサンアンティークは当然のごとく品切れていていたけれど

奇跡的にひとつだけ! キャラメルバナナ(以下、キャラバナ)が残っていた!!!

わあんわあん、私が、バナナものの食べ物の中で至上最強に好きなキャラバナ!!!

たぶん、生のバナナよりも好きです(笑)。

ザクザクっとかち割るようにしてデニッシュ層に歯を立て

歯ごたえがぐにぐにっと残る、絶妙の固さのバナナに歯を立て

甘くてほろ苦いキャラメルソースに悶絶…!!!

はひー! ふへー! ほほぉーー!!!

やっぱりこれ以上のキャラメルバナナデニッシュはない!!(断定)


キャラバナを食べ切った頃には駅に到着。

伊勢原自体は遠いけど、店から駅までの帰り道は決して遠くない!







小田急に再び乗り込み、小田原で乗り換え。

そしてJRで西へ4駅。

湯河原へ向かう。

途中、車窓に広がる夕暮れ時の海と空のコントラストが

あまりに美しく、それを画像に収められたらすばらしかったのに





「もうすぐ2007年が終わるなぁ」

そう思う時、どうしても年内に会っておきたい、

会いに来たいお店、人がいる。


今年は、2月のパンイベント時に、慌ただしく立ち寄っただけだったけれど

今回は、すっかり夕暮れ時。そしてひとりでの来訪。

そう、あの時と同じ


*過去のB&Cさん来訪記はこちら*

2005年10月

2006年3月

2006年10月

2007年2月





すっかり夕方だったけれど

パンはまだまだ残っており、お客さんがひっきりなしに訪れる。

昨日の方がもっとすごいごった返しだったそうで

今日来たのは正解だったと思う。





まったく予告せずに来たので驚かれたけれど

いつもと同じ、温かく、おもしろく(失礼(笑))

心からほっとする。顔を見ただけで癒される。







先生がオススメの「チャバッタ」!

ものすごくでかいので最初ひるんだが、ざっくざっく切り分けてくれてしまった(笑)

淡白ながらもストレートな香ばしさが美味!



マダムは「この間、誰々が来てね、」そんな話で盛り上がる。

このB&Cさんは、同業のパン屋さんからも慕われる店だ。

私の行きつけのパン屋さんでも「夏にB&Cさんに行ったんだけどね!」と

そのときのエピソードを(なぜか)笑いを交えながら聞かされることがあった。

みんながみんな、B&Cさんに関してはあっけにとられるようなエピソードがあり、

みんな、このお店に、人に、たちまち取りつかれちゃうんだ。







到着後、私が迷わずトレーに載せたのは、田舎風バゲット。

B&Cさんの数あるリーンなパンたちの中でも特に好きなものだ。

むっちりと詰まりまくった重たいバゲット。旨味がその分凝縮しており

バゲットのカタチをした、カンパーニュといった感じ。フランスで食べる、ほんものの味の濃いパンそのものの味…!!!



”先生”はうちの父に激似で、いつもそのことを話すと

喜んでるのかどうなのかよくわからないが、にこにこと

「このパンがほんっとに美味しくて」とパンを持ってくる(笑)

あーーー、もうほんとに先生ってばーーーっ、マダム、止めてーーっ(笑)






来週から母が上京するので、母の好きなレーズンパンを選んだ。

ライ麦が入った重ためのレーズンブレッドは、ナイフの歯が欠けそうなほどに激ハードな「耳」(笑)。

それとは正反対に、ふんわりコシのある甘めのレーズンブリオッシュ。

どちらも、レーズンの味がものすごく濃厚でじゅわーーっとエキスを放つ。

レーズン自体に、なんだろう…自然の雫というか…生命力を感じてしまう。



今回、5回目の湯河原にして、ようやく初の「温泉」に入ることにした。

B&Cさんにパンを預けたまま、駅まで戻ってバスに乗ること約10分。

町営の日帰り温泉施設に行った。


奥湯河原の辺りは、なるほど、典型的な「温泉街」。

中央に川が流れて、レトロな「射的場」があったり、こてこてのスナックがあったり。

既に真っ暗だったので、温泉街の写真を撮っても真っ暗だったが

フラッシュをたいた時に、川沿いには見事に赤く色付いた紅葉で一杯だった。

あーー、明るい内に来ていれば…!



温泉はとても混雑していた。

更衣室を清掃するおばちゃんが常連客のおばちゃんに話していた内容に大ウケ。


「毎朝男湯洗うより女湯洗う方が大変なのよー、

女の方が脂よくでるみたいで脂っこいのよ」


うわー生々しい(笑)ベーコンかよ






バスを待つ間、ビールを飲みながら空を見上げると

闇にくっきりと輪郭を持って浮かび上がる真ん丸の月。

ああ…そういえば、去年の10月に訪れたあの日も、

こんな真ん丸なお月様だった。


あの日、あの時、私はとても心が不安定で、迷いがいっぱいで。

そのとき、マダムにかけてもらった重みのある言葉が忘れられない。

あの言葉が…そのときの私を助け、その後の私を支え、今の私の土台になっている。


少しはあの時よりもマシな自分になっているんじゃないかな

そんな報告をしようと思っていたけれど

つかの間の時間では足り無さ過ぎて。


「そういえば前と同じ満月ね」

だけど覚えていてくれたことに少し目が潤った。

それがたまたまの偶然であっても、

必然的なものだったように思えてしまう。


偶然の必然は、満月を見るたびにきっとマダムを思い出させるのでしょう。

花火が持つ記憶のように。桜が持つ記憶のように






ブノのグリッシーニとB&Cさんのグラマラススコーン。

一度だって欠かしたことのない、かけがえのないアイテムたち。



また2008年に元気に会えますように。

そう思った。

小田原で乗り換え、小田急線の長い長い車中で

抱えたパンの重みとそれ以上の重みを受け止めながら

2007.11.24