82.パンバイヤーmi_waの1日
82.パンバイヤーmi_waの1日
それは忘れもしない、2007年2月下旬。
かれこれ2ヶ月くらい前のことだが…
知人の知人で、料理関係者が「パンのイベントを開きたい」ということで
パンのセレクトのオファーが来た。ひぃぃ、私が?!
このサイトを見ている人なら御存じだろうが、
(私のクセのある人格を…(笑))
私はあまりその手のあちこちのパンを集めて一堂に羅列〜みたいな
イベントはあまりしないし、自分からはたぶん今後もしない。
(まぁ、自分がやらなくても、参加はほいほいします(笑))
理由はいろいろあるのだけど、
そのひとつが「こだわりすぎて大変だ」ということ(笑)。
今回引き受けたのも理由はいろいろあるのだけど、
そのひとつが「だけど一度くらいはやってみてもいいかも…」
今回はいつものパンイベントととは勝手が違う。
予算が決められ、その中で店鋪数も、パンも、個数も全部、私が決定できる。
定員はおよそ30人弱。しかもほとんど全員パン素人さん(=カタギとも言う(笑))
そして、会場は湘南だという…。昼までに湘南にパンを集結させるのは
実はかなーり大変なのである。
通販は極力したくないし、
前日パンは用意したくないし、
あのパン屋のパンは朝から焼けてないし、
あのパン屋は遠すぎて昼に湘南には間に合わないし、
あのパン屋は前回の同イベントで使われたらしいし、
あのパン屋は土曜日休みだったり…
あのパン屋とあのパン屋はタイプが似ているから片方却下しなきゃだし、
……数々の制約の中で、ようやく決めた8軒のパン屋さん!
極力、私がいける限りは自分で買い付けに行き、
すべてのお店に予約に”直接”店鋪に訪れ(←2月ごろのDIARY参照)
イベントに参加する私の友人たちに手分けしてもらって、
当日の朝、立ち寄って来てもらった。
そのうちの一軒は、もうこの話をもらった直後に決まっていた。
「湘南ですか?! ならばB&Cさんに買い付けにいけるっ!」
…ばかな。。。湘南と湯河原がこんなに遠いとは思ってませんでした(笑)。
(1)ブレッド&サーカス@湯河原
イベントの当日、朝11時前。
私と某パン友は湯河原の駅に立っていた。
私はすでに前日に、三宿のシニフィアンシニフィエ(以下、SS)で
パンを買って来ていたので、すでに手にはずっしりとパン。
おお…そういえば、去年のちょうど今頃もB&Cさんに来たよナ〜。(ESSAY60番参照)
ちょうど梅祭りの真っ最中で、梅を見ながらパンを食べたあの1日。
朝11時オープンのB&Cさん。
会が始まる1時前までに湘南方面に戻るには30分しか滞在できない!
うぅ、そんな我々の前に、次々と焼き立てのパンが陳列…
マダム! 御無体です(笑)
イベント用に考えていたのは、
ディバイン(フルーツ入りのケーキみたいな型入りパン)、
キャラウェイ風味のプンパニッケル(素人さんには難しいかなぁ…と思いつつも…)、
テキサスコーンブレッド。
…にしては、ずいぶんトレーが満杯ですが。
ええ。自分用ですが、な・に・か(笑)
店の外で速攻かじりつくは、焼き立てのたまねぎのパン!
さらに画像にはないが、芋と南瓜と小豆とチーズのパン!!!
あれも焼き立てで…イベントに向かう途中で悶絶を繰り返す私であった。
B&Cさんでもしかしたら一番旨いんじゃないかとわかっているのに
あえてイベントには出さない私である(笑)。
これもイベントで出したら争奪戦だっただろうなぁ…
レジ横のでかいピザがこんなに旨かったなんて、今日まで知らなかったのだから。
(いつも、ショーケースの薄い野菜ピザを食べていた)
値段は確か360円くらいで、「あれ? 結構高め?」と思ったら大間違い。
1カットがでかすぎる(笑)。
乱切りカットの温野菜がごんごんと載り、トマトなんてもろ原色系。
乗っているチーズだけでなく、生地にまでチーズが仕込まれてしまっているため
猛烈コクマロの嵐に打つ手無し! ものすごく美味しかった!
…そんなこんなで大量のパンを抱えてよたよた湘南の会場に辿り着いたのである。
*
会場は、素敵な個人の邸宅。
お料理教室をやってらっしゃるスタジオだそう。
キッチンリビングが2階にあるので、天窓から光が射す。
天気が良ければもっとパンたちが映えたに違いない!
すでに到着しているパン・関西組はすでに切り分けられていた。
手書きの店名プレートも作っておいてくれたようだ。
(2)ameen's oven@神戸西宮
今回、唯一の通販パン。おなじみameen'sさん。
もちろんコウバに直接買いに行くのがベストですがね、
今回はちょうどタイミングよく通販時期とイベントの日が重なったので
思わずオーダーしてしまった。
パンパーティーで使わせて頂くことを知らせると
ミシマさんの暖かい「うちのふつつかなパンたちがおじゃまするんですね」という
メッセージにほんわかしてしまった。
…うう、到着した時にはすでにカット後だったので(時間的制約で)
原形はみられなかったけれど、酒種酵母のパンたち、美味しかったです!
それにやっぱ、いよかんトーストが好きだぁ〜。
(3)ブノワトン@神奈川伊勢原
今回の主催者さんに、朝、買い付けに行ってもらったブノパンたち。
「クロワッサンアンティークとキャラメルバナナはマスト!!!
…なんですけど、人数と予算を考えたら無理ですかねぇ」
……などと言っていたのだが、
あっさり買って来てくださっていたようだ(笑)こりゃほんとに争奪戦(笑)
(私は、パン好きのイベントに行き慣れ過ぎているせいか、
「ひとり全種類行き渡るように」に固執し過ぎていたようなのである(笑)
フツーの人には「食べたいものだけたべる」がフツーよね。。。(笑))
(4)シニフィアン・シニフィエ@世田谷下馬
06年パン業界最大のニュースと言っても過言じゃない、
SSのオープン。オープン以来、足しげく通い詰めているので
もうこれも絶対絶対当確!! ということで、ココのパンは翌日になっても
全然美味しいので、このパンたちは前日に買い付けに行って来た。
もちろん、パン・オ・ヴァンとパン・ペイザン!!!
ここは予算をちょっと多めに割いておいたのだ(笑)。
普段は値段が高すぎて、こんなにでかいものを買うことなんてありえないのだけど
気持ちいいーーーー! SSのパンをまるごとホールで買う快感!!!
…ところが、パン・オ・ヴァンは、1/2本しか残っておらず、30人全員にあたるか不安。
なのでピカンも追加して…。ああ、ペイザンの大きさに感動…意外と重くはない…。
そして、会場に到着後、早速パンをカット…
まな板にもおさまりきらないこの大きなペイザンを横たわらせ…
ああ…気持ちいい…!
SSのパンを丸ごとホールでざくざく切り刻む快感!!!(笑)
(パンキチのあなたたちならきっと分かってくれると思いますが(泣))
そう、結局は私は今回、これ(=パンの切り分け)が
やりたくてたまらなかったのだろうと思うのだ(笑)。
たっぷり白い粉をまとったペイザン。
初めて食べた時、そのあまりにも存在感の強い打ち粉の香ばしさに
「和三盆でも食べているかのような」錯覚に陥った。
そして06年ベストパンの1つ、パン・オ・ヴァン。
赤ワインだけで練った、贅沢きわまりないパン…いや、パンを超えた作品を
慎重に一枚ずつスライスして行く。
ああ、、、食べる前から悶絶です(笑)。
(5)パリットフワット@千駄木
これも(パン好きさんには)おなじみのパリフワ!
ほんとによく足を運ぶ大好きな店のひとつであるが
この「クレヨン」は取置きしておかなくてはなかなか遭遇できない。
今回はしっかり事前にお取置き。
クレヨン2本と、以前食べて感動したたまねぎのパンも2本。
(今日のクレヨンは人参とサツマイモとよもぎ)
パリフワは友達に当日のピックアップを任せた。
なんせパリッともフワッともしていないこちらのパン、
大きさはさほどでもないのに、ボムッとドスッと重たいパンなので(笑)、
さぞ重かっただったろうに…すまないのう。
ここの、パンとは思えないリアル野菜味、パンとは思えない発色、
そして「パンはこうであってほしい」と思うような尋常じゃないほどの水分保湿量。
それをぜひみんなに味わってもらいたかった。
見た目の奇怪さ(笑)を裏切る、優しい野菜の甘みが広がる
このパンはやはりパン素人さんにも人気者だった★
(6)ラ・マン・キ・パンス@神奈川生田
神奈川湘南でのパンイベント…ということで、もう少し神奈川方面の
パンを充実させたかったのだけど、湘南にも魅力的なパン屋さんが多いのだけど…
私は神奈川では、こちらのパン屋さんがどうしてもはずせなかった。
以前、一度来店して以来、直接くるのは久々になるけれど
近くに住む友達が何かとお裾分けしてくれて、その美味しさは私の中でもまだ新鮮なものだった。
それが、このポモドーロ。自家製ドライトマト入りのパンである。
当日に別の友達にピックアップに行ってもらう予定なのだが、
やっぱり自分でも直接食べに来たい。イベントの前日に、直接顔を出しに行った。
夕方だったからもうあまりパンは残っていなかったが、相変わらずパンの顔がかっちょいい。
ポモドーロは、しっとりむっちりと伸びやかな生地に、
やわらかい自家製ドライトマトが入っている。
トマトパスタを作っている最中に「えーい丸めてしまえ」といって出来上がったかのような、
そのまんまイタリアーんな味わいである(笑)。
入ってはいないが、まるでチーズでも入っているのかと錯覚させるほどに
まろやかな優しい味わいで、少しも酸味の尖ったところがなくて絶品!!
(7)デュヌラルテ@南青山
いろんなパン屋さんのパンを集めるにあたって…
ビジュアル的に「!」と思わせるようなお店のパンがひとつ欲しかった。
そこで思い浮かんだのは、こちらのクロワッサン。
クロワッサンなのになぜにカメラのフィルムケースの様なフォルムなのか、と(笑)。
しかし、ココのパンは、見かけ倒しじゃない、味の美味しさも信頼しているので
ひとりひとつ当たるようにお願いした。
これも、直接予約に伺い、ピックアップは当日友人に…
できることならば、全部の店のピックアップを自分でしたかった。
ほんとは、お店で陳列されているように、平台に並べた買ったのだが
スペースの都合上、こういうカタチに。
こういうふうに籠に押し込めると、なんだかおしぼりみたいに見えますが…(笑)。
(8)フール・ドゥ・アッシュ@大阪本町
このサイトをご覧頂いている人なら、この店のパンがここに並ぶのは
まぁ予想通り(あって当然?!)でしょうが、やはり「大阪までわざわざ買いにいったんですか?!」と
驚かれた。まぁ、確かに直接買いに行って来たんですけど(笑)
その2週間前に大阪に行った際に、すでにプロジェクトは動きだしており(笑)
しっかりセーグルと、フリュイセックと、セーグルノワは予約済みだったのである。
それを、直接主催者の家にクール発送していたのである…。
(ちなみに、片割れのブーランジェリーSCのパンは、冷凍解凍だと魅力が十分伝わりにくいと思ったので今回は止めた)
「私がもっとも好きなパン屋がたまたま大阪にあるんです」
というだけの話なんだが、やっぱり普通の人には理解できないだろうか(笑)。
一個一個のパンについて、パン屋さんについて、
僭越ながら解説をさせてもらいつつ、私自身が早く食べたい気持ちを抑えつつ(笑)
ほんとに…
パン好きさんなら絶対垂涎もののラインナップなんだと思う…
お料理スタジオでの開催なので、準備してくれていた
ミモザサラダや自家製のハムなども美味しく、
ものすごく高級なワインなぞもふるまわれ…
しゅるしゅるっとジロールで一枚一枚削り落とされた花びらのようなチーズ!
なぜかバンドの生演奏つき!
食べ疲れたカラダにインストルメンタルの心地よい音色が癒してくれる。
おかげさまでパンは好評のようで、私の任務も無事果たせた…
とてもイイ経験をさせていただいて、このような機会を与えてくださって
ありがとうございました。
…と思いきや、反省点はいっぱい。めちゃくちゃいっぱい(笑)。
「たくさんありすぎてどこのパンだかわからなくなっちゃった」
…と、ささやく参加者の声を聞き逃さなかった …orz
そ、そうだった。。。
力み過ぎたが今日はあくまで「普通の人」ばかりの集まり。
パンヲタの私は、ちょいと力が入り過ぎていたようである(笑)。
どう考えてもマニアックすぎて再現性ないし(爆)。
レジュメも作ってこればよかった。。。
パンの種類も多すぎたよナ。。。
今度やるなら、ライトに…万人向けに…
(……できるのか?(笑))
2007.2.24