93.サラリーマンのための箱根小田原こてこて周遊録




いまさらあえて自己紹介することでもないけれど

私はごくフツーのサラリーマン(サラリーウーマン?)。


このところ社会保険料やら税金やらあまりに天引きされる額が多すぎて

「サラリーマンってやだなー」と思っていたところ。

旅に出るたびに「帰りたくなーい、1ヶ月とか2ヶ月とか会社やめて放浪旅したいよ…」

と思うこともしばしば。職業/旅人になりたい! とも安直…)


しかし!!!

そうは言っても(この生活)やめる気なし。

資格も取りえもない私がとりあえず食いっぱぐれないためにも

趣味(パン)を充実させるためにも、サラリーマンであることは必須条件であり


そういうわけで、サラリーマンの特権を利用できるところはとことん利用させてもらってる。

2年前まで熱心に通っていたジムは、保険組合のジムだったので格安。

(今は引っ越ししたので通えなくなってしまったが…)

旅にでるときも、助成金で少し安く宿泊費を浮かせたり。

(有休消化率も福利厚生も会社できっと一番多い私(笑))



そして…今回はじめて、保険組合の保養所に当選!

保養所はあちこちにあるのだけど、箱根の保養所は新しくて人気があり

抽選制度なのである。

気持ちのいい秋の行楽シーズンに、箱根旅行へ行くことになったのである。


連れは一般人(しかもサラリーマンじゃない)なので

「保養所って、サラリーマンって、こんなにいいものなのよ〜」を

終始自慢していた嫌味な私(笑)。


さてさて、箱根一泊二日旅はいかなることに







箱根エリアでは、「箱根フリーパス」なるフリーきっぷを使うのがいいと

薦められた。2日間で新宿からの往復込みで5000円(ロマンスカーは別料金)


残念ながらこのフリーきっぷは、小田原までは途中下車ができないので

伊勢原を通るのにブノに立ち寄れない〜!

くぅぅ、これは不覚!


しかも、フリーきっぷ区間である湯河原に行こうにも

翌日日曜日はB&Cさんは定休日…

くぅぅ、これも不覚!!


パンも充実させてこその旅でしょう?!

こうなったら小田原でパン屋さんめぐりしないと

やってられないぜ、サラリーマン!(?)


小田原といったら

老若男女、パン好きでなくとも誰もが知っている超有名パン屋といえば





そう、守谷製パン。

駅からほど近いので行ってみると、

おばちゃんたちでものすごい行列だった!

並んでいるほとんどの人が観光客のようで

列に並ぶと、並んでいるおばあちゃんたちと自然と会話が弾む。





「小田原に来るとここのあんパンがどうしても食べたくなるのよね」

「こんなにあんこがたっぷりなあんパンは他にないでしょう」





普段パンをめったに食べないような人たちにも

愛される名物パン屋さん。

これは食べないわけには行きませんっ。





ラインナップはとてもオーソドックス。

とりあえず、定番のあんパンはおさえつつ、ジャムパン、クリームパン、

あんドーナツ、栗まんじゅう、ブドウパン、

あれこれ買ってみた。

なんか、給食パンを思い出すね!





小田原城でも見ながらパン食べようかと

歩き出す…といいつつ、食べながら歩く(笑)


うわ、なるほど、たっくさん入ってるなぁ、あんこ!

お味はリアル小豆味の豆豆しさが残った、甘過ぎないあんこ。

連れいわく「これで100円ならすごいー」。


クリームパンは、典型的な「糊」クリーム(笑)。

個人的な好みとは真逆だけど、懐かしさについプププ。

この味こそがクリームパン、って育った人、多いはずなんだ。

ある意味、「昔からの製法を守ってる」ってことなんだろうな。





個人的にはジャムパンがツボった!

なーつかしーいペクチンで固まりました的イチゴジャム!

ひとくちサイズのドーナツも美味しかった、

これが小田原の守谷のパンなのね。





駅から10分も歩けば着く、小田原城。

東海道線から見える姿は結構大きく見えたけど、

間近に見ると思ったよりも迫力はないなぁ…という感想。

ところが…びっくりしたのは城ではなく…


なんと、城の下にいきなり象さんがいたこと!(笑)

全然知らなかったのだが、周りには他にもサル山とかあった。

無料開放のミニ動物園だったのか〜。


結局、天守閣には登らなかったが(ケチった)

十分に楽しんでる、小田原。







城から海の方へ歩くこと約5分程度。

閑静な住宅街に突如現れる白壁の店が、

数年前にオープンしたというLe Rois(レロア)さん。

さっきの守谷とはまさに正反対、いわゆる「ブーランジェリー」である。





スタッフさんが何人いるのかは不明だけど、

たまたま目にしたのは男性2人。

パンはすべて胸くらいの高さの長い平台にずらーっと並べられている。

対面式だけど、横にとても長くてユニーク!!

(せっかく写真を撮らせていただけたのに、それが伝わるような画像がなーい。残念!)





ハード系も、ヴィエノワズリーも、パン好きなら絶対「おぉ!」と

思うような独創性ある内容、ラインナップ!

ここは…ただものじゃなさそーう!





ハード系もさることながら、ヴィエノワズリーがすごい。

これだけ日本中のパン屋さんを回っている私だけど、

こんなクロワッサンの成形、みたことないよ

(もちろん、通常のクロワッサンもある)


このメープルクロワッサンは、一見パンオレザンのような「一重巻き?」と思いきや、

なんと、三重巻き!!! こんなの初めて!







早く食べたい! 興奮を抑えられず、

店からすぐ側の海で食べてみることにした。


ちょ、ちょっと日射しが強すぎるかもっ

(思い出すのはあの灼熱の沖縄ビーチで食べたパン! あれは熱すぎた…)


袋に入れられてシナる前に食べてしまいたかったのは

なんと言ってもメープルクロワッサン!

ほんとは三重なんだけど画像でみる限りはこれじゃ一重だわね(笑)

ほんっとに見たことがないような成形!


バリッと一層一層に主張があり、

パリパリサクサクじゃない、バリンバリンなハード系!

そして、メープルの甘さと対等と思わせる粉の存在感…!

これ、すごいよ…美味しい…!

(このクロワッサンのすごいところは、翌日になっても、食感が落ちても、十分美味しかったところ!)





一目惚れしたのが、「オレンジのブリュレ」。

デニッシュ生地に、オレンジ風味のクリームを敷き、オレンジの輪切りを載せ、

さらに表面をバーナーで焦がした、まさに「ブリュレ」。

うわーーーん…クリームのまろやかさと、オレンジの鮮烈さ、

そしてカラメルの焦げた様な甘苦さ…秀逸!


マンゴーのデニッシュは、なんと中にマンゴーだけでなく、

ブルーベリーのようなジャムとクリームが! うわ、すっごい美味しい

こういう、味の二重にも三重にも組み合わせてくるのは

普通のパン屋さんじゃない…!





他にもハード系のパン(カンパーニュとか)も買ったのだけど、

意識は完全にヴィエノワズリー。

連れが買った野菜のグラタンのデニッシュも、

外のハードなバリンバリンクロワッサンに、

オレガノなどのハーブがかかって重厚な野菜グラタンが激ウマ!!!

ビーチで我々はぎゃあぎゃあ大騒ぎしながらひたすらクロワッサンを食べていた。


あー、またクロワッサン系食べに来たいなぁ…。





余談だけど、黒い小石で敷き詰められたビーチって私には珍しい。

波打ち際で耳をすませれば、波が引くたびに

「ニカニカニカ…」という音がするの。

この「ニカニカニカ…」な、”浜の笑い声”が妙にツボり、

しばし「ニカニカニカ…」。


それにしても今年は妙に海に来ることが多かった。沖縄とか逗子とか

…水着は一度も来て無いけど(笑)。








この時期、箱根はすごい混んでいるという噂だけど

果たしてそれは本当だった。

箱根湯本はすごい人、人、人!

駅前のお土産屋ストリートは、ほんと身動きもとれない。


私が行きたいと思っていた蕎麦屋(まだ食うの!(笑))は、

駅から少し離れた場所にある。



そう言えば…。

大学最後の冬に、サークル仲間と箱根旅行に来たっけなぁ

この箱根湯本の、どこかの小さな旅館に泊まった覚えがある





暁庵というお蕎麦屋さんは、箱根湯本ホテルの経営らしく、

だけど木造の掘建て小屋という簡素な雰囲気が期待を高めてくれる。

入口の隣に箱根ベーカリーの出張販売店もあるが、ここは目的が蕎麦なんで。

(箱根ベーカリーと言えば…以前、飯田橋にも出店していた。

飯田橋でジム通いしていた自分はクロワッサンを食べたことがあったなぁ。福利厚生つながり!(笑))





1500円の蕎麦コースを頼んでみた。

焼き味噌(しゃもじの上に胡桃とネギと味噌)、冷や奴、漬け物、蕎麦の実ケーキがつく。

今時計を見ると4時ちょっと前…

この時間にまともに蕎麦を食べて、夕食食べられるのかしらーー?!(笑)

だから頼んでは見たものの、正直、せいろ蕎麦だけでもよかったかな、とも。

あ、冷や奴にかけたお醤油が美味しかった!(それかい)


お蕎麦は思ったよりも香りは控えめ…だったけれど、つるッと喉ごしは良し。

つゆはキリッと辛めで、蕎麦湯を飲む時に美味しくいただけるタイプ。

(ただし満腹すぎて蕎麦湯はきついー)








店を出た頃にはもう4時過ぎていた。

6時前には宿につきたい。

でも観光もまだしたい。


宿に行って先に荷物おいてから軽く観光するにもあまり時間ないな

私が絶対に行きたいと思っている観光スポットはちょっと遠め。

でも湯本の駅前からバスで一本で行けるはずなので

一か八かバスに乗って、目指すは、すすき野原で有名な仙石原!!







まだ5時台なのに、急ピッチで日は沈み、

仙石の辺りに来たときにはもうほとんど暗くなってしまった!

焦っていたのだろう、私はなんと間違えてバス停ひとつ手前で降りてしまった。

うあーん、ここじゃないーー!(笑)


日が落ちたらせっかく来たのに何も見えない!

寒さも手伝って、バス停ひとつ分、我々はダッシュした。

わーーーん、お願いだから私にすすき野原みせてーーっ。





画像を加工修正すれば、こうやってすすき野原がみえるけど

実際は、上の画像の状態よりももっと暗くてほとんど見えませんでした(泣)

それでも、すすき野原を無理矢理歩いた我々(笑)。

足がぬかるんでますーーっっ。


結局、あの観光ポスターにあるような一面の金色のすすき野原の

風景は見られなかったけれど…またいつか秋の箱根でリベンジすべし!








最終バスを逃し、すったもんだで宿に着いたのは6時過ぎ。

我々は想像以上にすばらしい保養所に絶句…!!!

な、なんなの、このデザイナーズホテルは!

これがほんとに保養所…!!!


画像はあえて載せないが、ほんっとにすごい施設だった。

これ、もし普通にホテルだったとしたら…一泊二食2万円くらいしてもおかしくなさそう。

エントランスも、公共スペースも、お部屋に至ってもすごいすごいすごすぎ!!!

しかも、これで食事込みで4000円程度なんて…(泣)





お風呂もすごかった。

多少塩素の匂いはしたが、大好きな露天風呂が4つもあるわ、

すごく洗練されたデザインで、内湯に浸かっていても息苦しさは全然ないわ、

他の人は夕食中だから貸切り状態だわで

サイコウーーー!!!





夕食のビールも、中瓶で300円程度、さすが保養所♪





夕食の御膳、これはほんの前菜。この他にも目一杯出てくる

(追加料金でもっとグレードアップした内容のコースも頼める)

お味も本格的で卒なく美味しい!





食事のあとは、卓球やって汗かいて。

有料だけどカラオケも1時間たっぷり唄い!

(そういうベタなアミューズメントもしっかりあり!)

またひと風呂浴びて、休憩ルームで寝そべりながら大画面でテレビみて

翌朝もお風呂につかって、充実しまくったバイキングでたらふくモーニング



わーん、この世の極楽ぅ〜!

サラリーマンでほんっとよかった!

高い保険料払っててよかった!!!




いや、待てよ

ふと私の耳もとで囁く悪魔の声。


我々が月々払っている保険料はこんなところに

じゃぶじゃぶ使われていたのか



…なーんてことを考えるようじゃ、幸せにはなれません(笑)。

都合のいいように解釈するのが一番です(笑)。



…我ながら不協和の解消がうまいのだ(笑)。

さすがサラリーマン(笑)










翌朝は、コテコテの箱根観光へ♪

まずは強羅で登山電車に乗り換え、目指せ箱根ロープウェー☆

子供に戻って、一番先頭の席でわーいわーい♪





箱根のお約束、大涌谷めざしてロープウェー。

見えて来ました、もくもく地獄谷





「富士山って、神奈川にあったんだっけ?!

箱根って静岡にあったんだっけ?!」

そうバカなことを言いそうなくらいに、富士山が近い!!!





ひーひーふーふーいいながら、大涌谷を登る。

辺りにただよう濃ゆぅ〜い硫黄の香りに

「あんた今オナラしたでしょー?」の応酬(笑)。





そしてお約束の大涌谷名物の黒タマゴ!!!

あっつーーーーい!!!

朝バイキングを食べ過ぎたのと、ゆでタマゴ食べ過ぎたせいで

我々はなんと、昼食を省略する羽目に(笑)。





さらにさらにお約束、コテコテの海賊船で芦ノ湖遊覧(笑)。

あまりにベタな内容で、私は乗船中、甲板の上でほとんど眠っていたのだった(笑)。

ちなみに、すべてのコースのコーディネイトは私自身ですが…何か。





えーっと、、、この風景はどこだっただろうか

元箱根と箱根町の間にある公園に迷い込み、公園にしてはハードすぎる

山林コースを歩く羽目に(ちなみに私、パンプス…)

写真で撮るとイイ画像なんだけど…なぁ。





ここも、本来はすがすがしい気持ちで歩くはずの杉並木。

実際はへろへろのへとへとで「もう早く東京帰ろう〜」状態だったという。

しかも帰りの登山電車は満員電車、朝のラッシュ状態。

ずっと座れずきつかったなぁ…ほんとにきつかった!


東京に戻って来たのは6時くらいだったかな、

昔ならもっと遅くまで遊んでいただろうに。

「明日に堪えるから」

仕事第一に、明日を第一に考えるところは

やっぱり私は疲れたサラリーマンなんだな、と実感したのである(笑)。


だけど

やっぱり疲れても、明日に堪えても

バカンス大好き、旅が大好き。

それもこれも、日頃がんばって仕事しているからなんだよな。


「サラリーマンのありがたみ」を痛感できた、箱根一泊二日旅☆


*おしまい*

2007.11.3〜4