47-1.灼熱晴女の関西リターンズ4DAYS 〜大阪飲み食い編〜


つい先月も来たばかりの大阪。

6月の来訪時はイベントのための1泊しかせず、

パン屋さんもよくばらずにそれほどいかなかった。

それはこの7月の出張を見越してのこと。

仕事自体は一泊で済むところを、毎度毎度の職権濫用、

2泊余分に自腹を切って、今回もやっぱりパンとグルメとお酒となんちゃらと。


"あの店"へもう一度いくことを一年前からずっと夢に描いていた。

だから、混雑しない静かな平日に行けるように

出張の日程を操作しまくり(笑)


梅雨はまだあがっていないから天気予報のマークは曇りor雨だらけ。

暑すぎるよりはいいかなぁなんて思っていたら、

到着した早々に天気予報は一転、

灼熱の4DAYSとなってしまった。


そのせいなのかなんなのか。

いろんなことが予定通りにいかないハプニングの連続で

それはそれは濃厚すぎる「出張」と相成った。


「あんた、いつ仕事したの?」

そんな声は耳にタコなり。

今回も激・関西レポ、始まり始まり。




* 阿部野の正統派居酒屋 *





夕方inした大阪。

いつもの連れを付き合わせたのは阿倍野にある居酒屋「明治屋」。

とことん年季の入ったこの居酒屋はとても有名であり、

行った人はほとんどが納得・満足するという。


一度、阿倍野のとあるパン屋さん訪れたことがある。

再開発が進み、新旧入れ替わる町。

とても古いアパートの背景には、超高層マンション。

ノスタルジックな路面電車が商店街を抜けて行く。

そんな、もの寂しさと可能性を両方持ち合わせた町だ。





カウンターで二人かける。

会社帰りのサラリーマンたちや、若者、おじさん、

ひとりであったり、複数であったり。

酒とうまい肴で思い思いに楽しんでいる。





とても古い店なのに、古さを感じない。

とても手入れの行き届いた古さ。

「良い歳のとり方をしているなぁ」とうなずきあう。





どて焼き。

豚の角煮。

揚げたてのイカボール。

ゲソ揚げ。

お新香。

どうってことない普通の居酒屋メニューだけど

ひとつひとつがきちんと美味しい。

明日も仕事だし、あまり今日は飲まないって決めたのに、

…いったい何杯飲んだだろう?

その後カラオケにまで行っちゃうのって、どういうことだろう?(笑)




* 本町パンデュースで朝ごパン *


10時までに会社へ出社しなくては。

その前に行きたかったパン屋さんで朝ごパン。

それが、過去2回ともお休みだった本町の新店、パンデュース





朝一番だったので、そろっているパンはそれほど多くはなかったけれど、

プロデュース元の神戸のあのお店を髣髴させる、美しすぎるほどの「パンの花畑」。

たぶん、昼時はさぞかし咲き乱れていたんだろうなぁ〜。


ハード系はまだバゲットくらいしかなくて断念したけれど、

かえってそれは功を奏した。

パンがもっと種類そろっていたら、私はきっと迷って迷って

会社に遅刻してしまっていただろう(笑)





小さなパンたちのディスプレイが光るイートインカフェで、

選んだ3つのパンたちと、野菜とトマトのスープを。

このトマトのスープ、なんとまぁ、これだけの野菜を入れたものだわ…!

トマト、ベーコン、セロリ、ズッキーニ、にんじん

薄味のやさしいコンソメで軽く煮込まれたスープは、

まさに朝いちばん食べたいスープだった。これで300円…! あぁ!





調理パンの選択肢はこれしかなかったのだけど、野菜テンコ盛りのホットドッグには、

トマトソースが塗られ、かぼちゃとパプリカ、そしてジューシーなソーセージ。

パルメザンがうっすらかけられている。

温めなおして食べたいところだなぁと思いつつかじりついたら

そのソーセージのぷりぷりっ&ぱきっ! な軽快さ!

かぼちゃの甘さにも感動的だし、やっぱり美味しいよぉぉ。

パン生地を味わうことはあまりできなかったものの、満足度高し!





予想以上によかったのがパンたち。

散々悩んだけれど、このセレクトは間違いなかった。

中でもびっくりしたのが、このベーグル。

なんと有機ミントとドライポワールが入ったベーグル!!

ミントはフレッシュなので、香りがワイルドで鮮烈!

そこに洋ナシのほんのりとした甘さが絶妙にマッチ。

それ以上に、このむっちりとした食感と、弾力あるコシの強さ。

ぱっつんと切れるクラスト。大阪でこれまで食べたベーグルの中で一番好きだ。





そして、カスタードとサワークリームを敷き、有機レモンのジャムを載せたクロワッサン。

一見、焼き色が濃くて、もしかしたらヒキがあるのかも…と、

それほど生地には期待してなかった(すんません)。





しかし! それはたったのひと口で覆されちゃった。

思い切りぱりぱり! そしてざくざく! うわぁ…一見厚手に見えるのに、

ものすごーく軽快なの!! そしてこのさわやかなレモンジャムぅぅぅ。

サワークリームが別の酸味を加えて、美味しい美味しい。

なんだか、力いっぱい朝ごはんを満喫。

本町は本当にパン屋激戦区だわ。




* 本町アッシュの暑苦しいパン?! *


そして…御堂筋を横断し、地下鉄に乗るために堺筋本町まで歩き出す。

なぜか自然と足はあの店に向かっていた。

もう今日はパンは買えないのだけど、

そう。最終日に買って帰るパンを予約しに行こう。

直接シェフの顔を見に行こう。

そして、先月のあのまだ醒めない夢のイベントのお礼を言いに行こう!

とかなんとか口実をつけてでも行きたいお店、それがアッシュ。





朝8時、オープン前のh。

まだパンはあまり並んでいないけれど、絶対必須のセーグルたちは並んでいる。

外からお店をのぞくとシェフと目が合った。

「あれ?!」みたいな顔してる(笑)。

いひひ。びっくりしてる。


「どこかで見た顔だと思ったら!」

「出張で来てるんですよー。

でももう今朝は他んとこで食べちゃいましたから(笑)

予約だけしにきましたー」

なんて罰当たりな発言だろうか(笑)





先月のあの感動のお礼と、いかにみんなが喜び、感激していたかを伝えると、

ほんとにあの会を引き受けてよかったですよ、とおっしゃるシェフ。

あぁ、シェフ! 男前!(笑)

楽しい朝のひととき、やっぱりこの店が大好きだ。


「栗のパン、復活させたんですよ」

なんか、例のイベントで栗のパンがいまはもうない、と書いたら、

問い合わせが何件か来たために、また復活させたらしい(笑)。

しかも、また栗を増量しちゃったらしい(笑)。

もう…あきれるほどにお人よしというかなんというか(笑)





シェフと奥様とひとしきりお話したあとに

「じゃ、また土曜日に来ますねー」

立ち去ろうとする私にシェフがひとつのパンをくれた。

「これ、前に話していた昆布のパンですけど

相変わらずぜんぜん売れないんですよね(笑)

たぶん、これもきっと夜までずっと売れないと思うから(笑)どうぞ」


ぎゃーーー。まじですか、まじ食べちゃいますよ?!

ぬけぬけとその場で遠慮なくかじりついたその昆布パン、

ほんとに「塩昆布」が入ってるじゃないか(笑)

めちょめちょしとしとしたセーグル生地にふじっの塩昆布と

ゴマをふりかけて食べるのを想像してほしい。

合わないわけがない、ハッキリ言ってめちゃくちゃ美味しい。日本の味。

ほんっとにそのまんま、塩昆布とごはんの味だから(笑)


とは言え…、この店に塩昆布でしょ?

「売れないというのはなんとなーくわからないでもない(笑)」

「うちって夏はいつも以上にヒマなんですよね、暑苦しいパンばっかりでしょ(笑)」

…それもわからないでもない(笑)。あぁっ、失言失言(笑)。

でもほんっとに旨いっすよ、このままお蔵入りするのは惜しい気がしますぜ、シェフー!!





* 難易度ハイレベル・絶品モロッコ料理でランチ *


午前中の仕事は終わり。

どこか梅田方面まで行ってひとりランチでもしようと思っていたら

姐さんがつい前日に食べて大感激したというモロッコ料理のお店に

急遽行くことになった。だって、会社から至近だったのだもん!!

姐さんも急遽付き合ってくれることになり、思いがけないランチ。





大阪の食通も魅了するこの店は、現在平日のランチしかやってない、

席数も少ない、12時オープンと同時にすぐ満席、

というなんとも勤め人には難易度高い店。

地中海の風が似合う店の佇まいからハートをぐわしっとわしづかみされる。





姐さんと平日のビジネス街ランチできるってのが嬉しい。

だから「これが飲まずにいられるか!」(笑)。

ランチビールもつけて。あぁロクデナシロクデナシ。


人参のポタージュには、ぬわんとレモングラスの香りが!!

タイ料理とかアジア料理にはお馴染みだけど、こういうスープにレモングラスが使われるなんて初体験。

シナモンとかの甘さに近いような、でも爽やかな香りで、なんとも説明できない美味しさ!!

ランチにはライ麦パンとサラダもついてくる。





タジン(モロッコの煮込み料理。とんがり帽子のふたの器でまるごとぐつぐつ煮込む)は

お野菜、お豆、そして羊肉の団子、半熟卵が。

トマトとスパイスが、野菜とお豆にしっかり馴染み、とにかく美味〜!!

なんですの、この卵をからめて食べる時のまろやかさといったら!





デザートのココナッツブラマンジェ&マンゴーソースには、

黒胡椒がふりかけられている。最初から最後まで完璧〜♪♪

お腹がMAX、あー、このまんまホテル戻って眠りたいよ。

仕事戻んの、ヤダ(どの口が言うかっ!)





* スペインバーでパンを押し売り?! *


今夜はひとり。

17時頃終わった仕事のあとは特にあてもなく梅田のデパートをさまよい

足が悲鳴をあげ始めたので飲みにでも行くことにしましょう。


東心斎橋の「ゼルコバ」という名の雑居ビル。

絶対知らなければ行くこともなかったであろう、こちらのお店、

千葉から来たパン友がひとりでこちらにおじゃまし

イベントで私を捕まえるなり「絶対行ってみてぇ〜!」と言われていた店(笑)。

(彼女のブログはこちら)




バー・ヘミングウェイは、スペインのバールであり、

オーナーのシェリー酒を注ぐ手さばき(っていうのか?笑)は動く芸術。

ラーメン屋の湯切りに似ている(絶対不適切な例え・笑)


とりあえず私はモルツを。ここに来てまでビールとは頑固なほどに麦酒党。

料理はどれも美味しそうだったのだが、私は今夜はあまり食べないと決めていたので

モツ煮込みは断念、カウンターの隣のお客さんがバゲットをずぶずぶ浸して食べているのが

うらやましくてならなかった。よしゃ、次回、連れにつき合わせたる。





スペイン産ポロネギとホワイトアスパラ。

これが超美味。オリーブオイルでひたひたにされて、舌の上で勝手に溶けてくれる。

これに合うお酒はなんだろう? もちろんビールでも十分なんだけど。

最近、よーく自覚した私。白は好きだけど赤ワインはやっぱり苦手なの。

だから、「どこでもビールを飲んだっていいじゃないかよ」と開き直っているのだ(笑)。

しかしこういうときにワインが苦手っていうのは寂しくなる自分である。





せっかくなのでシェリー酒を試してみることに。

シェリー酒は飲んだことがないので、とりあえず自分のワインの好みを告げてみる。

なかなか難しい注文だったのかも知れないけれど、

ハーフで二種類出してくれた。赤い方はなんだか紹興酒の味がする(笑)。

あまり得意じゃないジャンルのお酒と自覚(笑)。背伸びしすぎました(笑)。

いやしかし、オーナーの華麗な手さばきを見られて感動している私である。





ハモンイベリコ! 最高級のベジョータ。

天上から吊るされたハモンイベリコ、あれって一本10万円くらいするのよね、

6枚スライスくらいで2100円〜。

私は一人で来ているのもあって、半分の量にしてもらった。

口にした瞬間は蝋(ろう)のような脂の匂いがするが、そのあとに濃厚な甘み。

コクが舌に余韻を残している間にお酒を飲んで、その脂を口の中隅々まで行き渡らせる…。

うーむ、旨い!


枝付きケーパーに加えて、オリーブ3種も盛り合わせてくれた。

若いオリーブはちょっと苦手だったけど、黒オリーブとグリーンオリーブは絶品。

とくにグリーンオリーブにはアンチョビが入っている模様で、、、くぅぅ〜!





実はハモンイベリコより「キタ」のは、このタパスに載せられたサラミ。

こっちの方がより脂が甘くて絶品。

しかし惜しいかな、ついつい私は気になってしまった。

バゲットが弱い!(笑)


オーナーに「パンはどこのですか?」と尋ねると、

●●です。本当は不本意なんです。でも近場なもので…」とのこと。

料理にひたひたにして食べるためのパンとしては、こういう方が合っているらしいのだが

オーナー的には、美味しいパンを出したいと思っている模様。

私の目がキラーンと光る瞬間だ。


「本町に超ーーー美味しいパン屋がありますよ!

ここのセ−グルは唾液出まくりですから!」

自分の異常なパン好きっぷりをついつい話してしまったが

オーナーは本町の某店(笑)に興味を示し

「今度伺わせて頂きます」とメモをとってくれた。

美味しいもの好きな方であれば、あのパンの美味しさ、きっとわかってくださいましょう。


エレベーターまで見送ってくれたスタッフさんが、

「もしかして、先月お友達がいらっしゃいませんでしたか?」

「えぇ! 彼女の紹介で今日来ました。覚えてらっしゃいますか?」

「千葉からパンのためだけにお一人で大阪にいらしたとかで、よく覚えております」


パン好きたちの熱さは、人々の心に何かを刻み付けるのかもしれない(笑)。

また次回来た時にはパンが変わっていたら…と

淡い期待をしながら東心斎橋を去った。



* シュクレへとつづく *