51-1.期限切れ直前18きっぷ 名古屋経由信州の旅 〜名古屋と木曽路 編〜




9月10日で18きっぷの期限が切れてしまうので

慌てて企画した週末の18きっぷ旅。

ムーンライトながらの指定券は、最近ネットオークションとかで

不当な輩が買い占めてしまい、入手が難しくなっている。

そやつらのせいばかりと思っていたが、「愛知博」が原因でもあったらしい。

18きっぷ最終週のこの日は、木曜深夜出発だというのに、

西を、愛知を目指す人々で大混雑だった。



夏の「ながら」に乗るのはいつぶりだろう。

どれくらいの防寒をしていけばいいのか迷い、

薄手のカーディガンを2枚持って行く。

ビールと酔い止めと前日の夜更かし、

苦手な夜行で眠りに着くにはベストな3条件が揃ったのに

やはりあの騒がしく、眩しく、

姿勢のとりにくい列車で眠るのは私には不可能だった。


小田原から自由席になるが、通路にはびっしりと客が座り込み、

トイレに行くこともできない。

しかもものすごく寒くて寒くて眠れない。

同じく寒さで眠れないでいる、隣の20才くらいのかわいい女の子と話が盛り上がる。

「ながら」に乗るのも初めて、という彼女。

旅行の日程をこと細かくプランニングしてくれたお兄さんがいるらしい。

乗り換えのポイント、車内での過ごし方、食料調達のタイミングなど(笑)

妹がちゃんとプラン通りに旅程をこなし、無事関西に到着したならば

お兄さんはさぞかし得意な気分だろう!!



そう。私もそう。

旅はプランニングが一番楽しい。

今回の旅は、名古屋がまず先にありき、だったのに、

路線図を眺めているうちに、東海道経由で帰京するよりも、

中央本線を通って信州経由で東京に戻ることを思い付いた。

それから何度も何度もプランを練り直す。


「どこのパン屋さんに寄りたいか?」

「どこで宿泊するのがベストか?」

「できればバスを使いたいが、レンタカーの方が利口か?」


散々ルートを考えた挙げ句、バスではとても信州のパン屋さんめぐりは無理と考え

(しかも18きっぷと併用だから!)

松本で宿泊、レンタカーを借りることにした。

こんなシュミレーションは出発当日まで延々と繰りかえされていた。



名古屋まであと1時間ちょっと。

眠気は猛烈に襲って来た。

でもまだ眠くならないらしい彼女につきあい、せっかくだから起きていた。







6時に名古屋到着後、まっ先に立ち寄ったのは名駅太閤口からすぐの漫画喫茶。

名古屋在住のパン友さんが教えてくださった穴場の店だ。

なんと、シャワーが無料で使える上に、女性はなんと最初の1時間は100円!

私は2時間弱ここにいたのでたったの500円程度でシャワーも朝コーヒーも

メールチェックも済ませてしまえたという。





しっかり目を覚まし、最初に訪れたのは、名駅と伏見の間くらいにある

カフェKAKOの本店。ステンドグラスが印象的な、アコースティックな喫茶店。

今回の旅の直前に某パン友さんのブログで知った店だ。

コーヒーにこだわりがあるそうだが、ちょっと苦すぎて(私は酸味コーヒーが好き)

もしかしたらアイスコーヒー向けかと(といいつつおかわり2杯…)


自家製パンやベーグル、サンドイッチ、焼き菓子、自家製コンフィチュール(10種類も!)があり

女性好みのフードがめじろ押し。

でも店内はやはり平日の朝だからか男性常連客が目立つ。

おじさんたちが「いつものね」とか「サンドイッチでパンは厚めの方で」とか、

常連さんたちによる、ゆったりとしたモーニングの空気が心地よい。





オレンジマーマレードのベーグルは、バターつきでトーストしてもらう。

”ふんわり柔らかいソフト”なベーグルは、表面はピンっとヒキがある。

でもバターを塗ったのは大失敗か、ほのかなオレンジの味はキャッチできず(汗)。

サンドイッチで活きるタイプとみた。


しかしこれで400円?! モーニングだからかな、お手頃なり!!







名古屋…と言えば、私が毎度必ず寄るのはそう、あの2店(笑)。

この2店がある限り、一向に名古屋のパン屋さん開拓ができない。

まぁ、開拓する必要もないくらい好きなので今回もこの2店だけは!!

(過去のぱぴさん来訪エピソードはこちらこちら…画像がほとんど同じだ(笑))



植田のぱぴさん10時オープン。

店の近くの公園で少し足踏みしながらジャスト10時に来店!





「あはは、早いですねー(笑)」

ども、ごぶさたしてます! けんせいさん。

ランチをぽんさんで食べるためにはこの時間以外来られないのだ(笑)。

いつもと同じラインナップのパン。





だけど、今日は先を急ぐ私にバゲットを早めに焼いてくれたそう!

わーん、ありがとうですーー。ぱぴさんのバゲット、超好きなもんで!!





ぱぴさんのところでは、買うものはほぼ決まっている。

カリッカリのエピ2種と、アップルシナモンのクグロフと、ザマンド系と…。

近くにあったなら、もっといろいろと手を出しちゃうだろうなぁ…。あーん。


あんなネタ、こんなネタ、ぱぴさんとあれこれお話をしながら、

あともう少しゆっくり出来たならーーと先急ぐ自分が恨めしい。

今後のぱぴさんもますます楽しみ!! がんばって!



地下鉄の時間まで残り10分(笑)。

いつもの公園でがさごそ朝パンを食べる。

また鳩が寄ってきよった。こらこら、ありがたいカスなんぞよ。

心してつばみなさい(笑)。





バゲット、超うまい…!!

カリカリザクッとした食感を楽しんだ後に粉の甘みがじんわぁ〜と来る。

深い。深い…!!

これはエピにも同じことが。

ぱぴさんのパンは、最初は食感で、締めは粉の甘みで、

という理想的なフランスパンだ。





クグロフもオザマンドも、しっかり甘くて付け入るスキがない。





あぁ、あんパンの生地までリッチ…!!







植田から約1時間かけて蟹江のぽんさんへ向かう。

タイムスケジュール通り(笑)事は進行中。





しかしこの名古屋←→富吉間の準急は

どうしていつもこんなにガラガラなのか(笑)。

実に快適である。

(過去のぽんさん来訪エピソードはこちらこちらこちらこちら…よく来てるなぁ(笑))






ぽんさんの目の前には大型スーパーも出来、

TVにも出てしまったそうで、お客さんがいっぱい!

ル・クルーゼのシチューは残り3つ。

11時台だというのに店内はPTAの奥様たちで一杯。

ぱぴさんが「早めに行かないとシチューがなくなっちゃうらしいよ」と

言っていたけどこのことだったのかぁ〜。


前来た時よりスタッフの数もだいぶ増えているようだけど

ビストロの厨房はやはりぽんさんお一人でこなしてらっしゃる。

ひえぇ、大変そう…。


「もういいかげん飽きたでしょ」

そうおっしゃるぽんさん、いやいや何をおっしゃいますか。

かれこれ6回目のシチュー(笑)だけど、

年に1〜2回くらいなら飽きませんって。





うん。やっぱここのパン、好きだなぁ〜。

カンパーニュのガリガリ、ザクリとした鋭いクラストに口の中を裂傷しまくり。


シチューはちょっと今までのとは違った印象が。

「さらっと」していて、少しさっぱりめ。

聞いてみると、夏だからあまり重くないように…ということ。

個人的には次回は秋冬仕様のこってり気味でお願いしますねとリクエスト(笑)。





今日は定番・秋味と、キャラウェイシード入りのサワーライ。

キャラウェイは局所的にキリリと香る。

あぁ、秋味の甘さと歯切れのよい「サクリ」とした食感。やっぱ好きーー!


さて。次回の18きっぷの際にも来れるかな?(笑)



***


名古屋に戻り、今度は各駅停車で信州、松本を目指す!

まずは中津川までの電車に乗る。

びっくりするほどにタイムスケジュール通り(笑)。

明日はこうはいかないだろうなぁ…。


名古屋12:46発 → 中津川14:04着


この中津川までの乗車中、爆睡。

せっかく料理王国の最新号パン特集を買ったのに読む隙が一向にない。


中津川14:23発 → 奈良井15:48着


途中、宿場町の奈良井宿で1時間ほど下車。

昔、飛騨高山方面に旅をしたときに妻籠宿などをめぐったことがある。

本当はこの奈良井に宿泊をしようと計画をしていた。

昔ながらの旅籠に泊まり、時計のいらない、のんびりした時間を過ごそうと思っていた。


けれどそうもいかないパン旅、18きっぷ旅(笑)。

奈良井で歴史の古い2つの宿に電話して問い合わせてみた。

1軒目はもう満室、もう一軒にもあたってみたが 「その日は役員会があるのでお休みです」とのこと。

は? 役員会?(笑)

他の宿も同様に「役員会」で断られたので宿泊は松本に変更したのだ。





山と川に囲まれた奈良井宿。

中山道十一宿のうち北から2番目の難所として知られるこの宿場町は

国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受け、

人々が生活をしながら江戸時代そのままの風景を維持している。





その役員会のせいなのかなんなのか、夕暮れ時だからか、

宿場町全体がひっそりとしていた。

「奈良井千軒」と謳われ木曽路一番の賑わいはここにはない。





でも、逆にこの夕暮れ時の寂しさがこの町にはとても似合う。








人通りのほとんどない、実に「守られた」この町を歩きながら、

私は鳥肌が立つほどに気持ちが高揚していた!!





一軒一軒にかつてこの家が何をやっていたのかがわかる表札がかかっている。

「時計屋」「新聞屋」「床屋」…。





わは! 「御岳百草丸」。

この漢方薬は一体なにに効くクスリなんだろう?


 


泊まりたいなと思っていた宿、伊勢屋とえちごや。

うーん、残念。昔の書生さんごっことかしてみたかった(笑)。





泊まりたい、と思った理由のひとつが、宿場町の民家の内部に入ってみたかったからだ。

代わりに中村邸という、一般公開されている邸宅を見学。

あまり時間がなかったのだが、係員のおばさんが丁寧に説明してくれた。

今回、全く事前勉強(?)しないで来たので聞くこと全てが興味深かった。





囲炉裏端はどこの家にもあるが、現代ではそれでは不自由が多いので

各自で家のお勝手の方は手を加えているそう。

懐かしい。うちの祖父母宅もつい20年前までは囲炉裏端だったもんなー。





通りの景観を維持するために電柱の類は全部、町の裏道に立てているそう。

だから、こういう風情のある、昔のまんまの風景が維持されているんだな。

あー、書生さんごっこ、したかったー(笑)。






おわっと、電車到着まで時間がない!

走って駅まで戻ることに。もうひとつ、駅の近くにある「木曽大橋」とやらを

見に行こうと思っていたのだが、ありゃりゃ、これは完全に「作られたもの」って感じ。

うーん、ライトアップされた写真はきれいなのにな★





奈良井の駅のホームで電車を待つ間、居合わせた旅人風のおじさん。

どうやら18きっぷユーザーなのではないかな。

だって、列車の写真を撮ろうとしているんだもん。

お互い、そういう雰囲気というかオーラを醸し出しているのはわかるのだ(笑)。





奈良井発16:57 → 松本17:42着


松本までの車中。

小腹がすいて来たので「秋味」を取り出してパクつく。

えへ。栗がごろごろ♪

車窓の山をバックに「秋味」を撮っていたところ、

隣のボックスシートに座っていたさっきのおじさんが私に声をかけて来た。


「ガラスの反射を抑えたいなら窓と直角にレンズを向ければいいですよ」


どうやら私が、ガラスの向うの風景を撮るのに試行錯誤しているように見えたらしい。

(撮っていたのはパンなんですけど(笑))


そんなこんなで結局、旅人おじさんと向かい合わせに座り、

おじさんの目的地である塩尻まで話をしていた。

おじさんも相当の猛者で、車中生活が長いよう(笑)。

だって、今朝は身延山の久遠寺にのぼってからここに来た、というし、

昨日は喜多方(!)でラーメン食べてから自宅(中野!)に戻ったとかいう(笑)。

あちこちのデジカメ画像をみせられた。

(この手の旅人は、旅のストーリーを語るのが大好きである。あ、私も(笑))


ほんと、18きっぷって年齢制限がないんだよね。

列車旅を楽しめる心と時間の余裕があればいくつになってもできるんだから。


ほどなくして、松本に到着した。





* 松本・乗鞍高原編につづく *