51-2.期限切れ直前18きっぷ 名古屋経由信州の旅 〜松本と乗鞍高原 編〜



名古屋・木曽路編はこちら



18時少し前に松本到着。

松本は初めて来るが、典型的な地方都市という感じで、

駅前通りはチェーン系の飲食店や若者向けのオシャレな店が集まるエリアがありつつ

昭和を思わせるような古い商店もあり。

何軒か、名前だけ目にしたことがあるパン屋さんを通り過ぎる。





ホテルは松本城の近くにとってあるのだが、その前に信州蕎麦のお店を探すことに。

駅から徒歩15分の「信州家」というお店なのだが、

プリントアウトした地図のはしっこ部分が欠けてしまい(笑)

延々遠回りしながら30分以上かかってようやく到着…。





川のほとりにあるその蕎麦屋は2階が吹き抜けになった茶屋風の佇まい。

座敷にドカッと座ってメニューをみる。





本当は「ざるそば」とかの方が繊細な蕎麦の味がわかりそうなもんだが

この2日間はほとんど炭水化物以外のものは食べられなさそうなので(笑)

無性に野菜とか食べたい。とれる時に栄養をとっておきたいという貧乏性(笑)。

選んだ納涼そば(納豆)1400円は、色とりどりの具がたっぷり!


美味しいには美味しいが、でもやっぱりそばの旨さは味わいにくいか?

卵液で甘くなった蕎麦は、好きは好きだが…。

あ、そうそう、ミョウガは蕎麦の薬味としては香りが強すぎると思うのは私だけ?(笑)




蕎麦屋の座敷で我慢我慢…だったのはビール。

ホテルに着くまでがまん!

ホテルまでかなり遠いので途中で疲れて歩けなくなったらやばいしな。

ホテルまでの道のりはだいぶあったけれど、レトロで味のある町並みが続いて飽きが来ない。


特にホテルのある付近は、レトロな洋菓子店や、ソフトクリーム屋、酒場が多くて、

一軒一軒が「これ、有名なところなのかしらん?」と思わされるようなものばかり。



泊まったホテルはネットで格安だった「花月」という民芸調のホテル。

修学旅行とかで泊まりそうな、適度な客室数で古いホテルである。

私が予約したのは「アネックス(別館)」だったのだけど、

本館の方が新しくて、別館の方が古かったとは誤算(笑)。

(普通、本館の方が古かったりする)

まぁいいか、なんせ4900円の破格だしね。


それにしても別館はものすごく古い! 古い…なんてもんじゃないな、

私も数多くの安ホテルに泊まったが、ここまで極端なバスルームは初めてだ(笑)。

間違いなく自分が生まれる前から改装してなさそう、

いや、うちの両親が生まれるころくらいから?(それは言い過ぎ)

でもここのホテルにはきれいな大浴場があるし、4900円だし、まぁイイかと思ったが

部屋に「致命的な欠陥」があり、フロントに申告。

すると、超ラッキーなことに新館に部屋を移してくれた♪


せいぜい1000円くらいしか違わないのに、この新館のきれいさ、広さ、快適さはなに?!

もしこのホテルに滞在される方がいたら、ぜひとも新館を指定するよう、お薦めする。

ホテル自体はとてもお値打ち!!







翌朝。

今日はレンタカーを借りるのだ。

レンタカー屋さんは8時オープン。

それまで松本城を見て、喫茶店でコーヒーを飲んで…と、時間を有効利用。

ホテルの周りは蔵造りの建造物が多くて、店は開いていなくても歩くだけで楽しい。





写真を撮っただけの松本城(笑)。





昔、ある人が「川の側で暮らしたかった」と言った。

駅から遠くても、川の側で暮らしたかったんだって。

私も、どんな町でも、川があるとほっと安心をする。

どんな町の川沿いも、表情がある。





その川に面した、旅館と併設された「民芸茶屋まるも」。

この喫茶店は松本の名物喫茶店とのこと。

大正時代にタイムスリップしたようなレトロな喫茶店だった。





ステンドグラスのランプに、心を落ち着かせるようなクラシック音楽。

まるで「名曲喫茶」のような空間だ。






なによりお店のお姉さんがとても感じの良い方で、

お姉さんも「好きなんです」という自家製プリンとコーヒーのセットをオーダー。

卵の力だけで固まったようなママの味プリン。

そして酸味の効いたコーヒーがとても美味しかった。






今回の信州パンめぐりは、極力電車とバスと徒歩だけでこなしたかった。


私が車でパン屋さんに行くのがあまり好きじゃない理由は3つ。


(1)「ようやく辿り着いた〜!!」みたいな感動が少ない。

(2)運転に一生懸命になると周りの風景が楽しめない。

(3)そしてなにより、居眠り運転しちゃう私の悪癖(そこかよ(笑))。



しかし乗鞍のパン屋さんに行って帰ってくるだけできっと午後を回るだろう。

これから向かうパン屋さんも、車じゃないとアクセスしにくい場所にある。

もしついでに上高地まで行っちゃったなら

時間の制約がある上に、バス代だけで3000円くらいいっちゃう見込みなので(笑)

レンタカーにしたわけだ。

(今回の旅のテーマは「なるべくチープに」でもある(ほんとかよ))


長野県で借りたら、長野県で返車すれば追加料金はかからない。

だからぎりぎり山梨との県境に近い茅野市まで車、その後は電車に乗り込む。

山梨の甲斐大泉と小淵沢にあるパン屋さんに行くには、

少なくとも14時くらいには茅野で返車したいなぁ…。





それでも借りた日産マーチ(笑)。


久々の運転でもすぐにカンは取り戻せる。

でも、私、カーナビって初めて!!

え? どーやるの? あたふた。きゃー。

タイムロス!!







さてさてようやく辿り着いた朝パンの場所!

松本市街地から北の方にある「エクリュ」さん!

そう、ここはZopfのリンクページに入っていることでなんとなーく記憶に残っていた。

Zさんのことが大好きで、ちょくちょくZまで通うという勉強熱心なことも…!

信州に行く機会があれば是非…と思っていた。

これをぱぴさんやぽんさんにも話したら「よろしくね」と。

あ、肝心のZには事前報告してなかったや(笑)。





ぽんさんに「建物の影に隠れてお店は通りからは見えない」

という話を聞いておいて助かった。

建物の裏手に回るとかわいらしいパン焼き小屋が!





オープンキッチンで、カウンターに並べられたパンが一堂こちらを向いている!

客のスペースが小さい分、パンに囲まれているって感覚、すごく好き。


朝早かったのでハード系のパンはまだ。

そのかわり、調理パンやベーグル、デニッシュ、焼き菓子がずらずらっと並ぶ。

奥さんが手を少し止めてZの話をしてくださった。

「パンはZさんにはとうてい及ばないけれど…」

そんなそんな!





朝ごパン向けなパンと、持ち帰りに強そうなパンと焼き菓子系をセレクト。

ベーグルはねぎ胡椒(お? どこかで会った気も(笑))

軽めだけど、味つけがピンポイントで美味しい♪





まさに「朝のパン」にうってつけ!

ハムエッグとミニクロワッサンは一気に食べ切った。

ごちそうになったお茶とヨーグルトゼリー(フランボワーズ)、

ほんのり酸味のあるヨーグルトゼリーはレアチーズケーキのよう。

わーん、ものすごーーく美味しかった♪





そして「お菓子ならZさんにも誇れます(笑)」という焼き菓子!

ダマンドにナッツが載せられたタルト、素直なバターの味わいで美味〜。

スコーンは奇のてらいのない、どこか懐かしさを感じるストレートな粉の味。

どちらからも「手作りの良さ」がすごく出ているのだ。



お店の外でいい朝のパンタイム、すごくハッピーな気持ち。

どのパンもなんていうのかな、美味しさに加えて、

気持ちがたくさん詰まっている気がした。

私も色々がんばらなきゃーと、わけのわからん「やる気」が湧いた(笑)。


今度はR'Zで会える気がしてなりません(笑)。

ほんとにごちそうさまでした!!







ついに乗鞍高原を目指す。

さすがに上高地は諦めたけれど、乗鞍高原の温泉に入るくらいは余裕あるかな?

しっかしカーナビってやつはすごいな。

今までのように、わかんなくなったら車止めて地図を見て…って必要がないんだもん。


おぼつかない私の運転(しかも後半は絶対居眠り傾向…)、

軽くハンドルを切り損ねそうになったエピソードが2つ。


ひとつは、松本駅から国道に入る曲り角の辺りで、なんと「さかたのおやき」を発見!!

(さかたのおやきのエピソードは05/07/23のDIARY参照)

うわっ、まさかこんなところにあるとは!(ていうか松本にあるとは知らなかった)

運転中、しかも久々の運転なので動揺しまくり(笑)

もう戻れない。帰りに寄れるだろうか? わーん。



二つ目はたまたまかけていたFMラジオ。

とあるブログの紹介をしていたのだけどまさに友達が出ていた!(笑)

山中のカーブを曲がり損ねそうになった(笑)。

いやいや、かなりまとまったイイ内容の番組でしたな。

あとでメールで「聞いたよ!」と報告すると

本人は恥ずかしくて人に告知していなかったそう。

ふふふ、なんかラッキー♪ …事故んなかったし(笑)。





松本から1時間くらい。

のりくら高原の「ル・コパン」だ。

あまりに遠く感じて、何度途中運転放棄しようとしたことか(笑)。

(私は途中で運転に飽きてしまうという致命的欠点を持つ)

今回、信州パンめぐりを計画して、まず思い付いたのはこのお店。

とあるパン職人さんが働いていたことがある山のパン屋さんだ。


偶然にもパン友達がつい数週間前に同じく松本に18きっぷで往復、

しかもほとんど同じ行程をたどる私(笑)。あぁ、上高地も行きたかったよ…。




石窯で焼くピザはここだけのもの。これを目当てに私はレンタカーを借りたのです(笑)。

このパンコウバは、乗鞍高原から車で5分程度のところにあるので

ドライブついでに寄ってみるお客さんも多いのかも知れない。

それにしたってこんなところにわざわざ来るパン好きがいるのか!

(バスで来たあなたは偉すぎる!(笑))





広いコウバ兼、カフェ兼、パン売り場には石窯がどーんとすえられている。

幸い、お客は私だけ。ピザはオープンテラスの方で頂くとして

さあ、パンを見よう。選ぼう。





陳列されたパンをみると、大きくわけて2つのカラーがあった。

いわゆる町場のパン屋さんっぽい、普通のパン(失礼)。

それと、いわゆるごっついハードな天然酵母パンたち。

正直言うと、やはり買って帰るべきパンは後者だな、と思った。


私がお目当てにしていた「おにぐるみ」と、…あともう一個買うのに迷った。

「山ぶどう」と「石窯フルーツ」。

どちらも干しぶどうを使っているのだけど、

前者はこのパンのためだけに乾燥させたぶどうを使っているそう。

うーん、どっちにすべき?!

優柔不断に悩んでいたところ、お店の方が「3種類、試食してみますか?」とのこと。

わーん、ラッキー。感謝です!





庭に出る。テーブルが点在した、林の中のオープンテラスだ。

別棟にもパン工房があり、そこからぱちぱちとパンの焼ける音といい匂いと発している。





ピザセット1500円は、サラダとスープとドリンクがつく。

ピザは乗鞍スペシャル(岩魚の薫製とチーズ)に。

焼き立てのピザはふすまのような穀物の素朴な香りがする。

スモークされた岩魚は、アンチョビのような類を想像していたら思いきり

そのまんま、…ほんとにそのまんま薫製で(笑)

ピザの具としては初めての味わいでちょっとびっくりした。

チーズも淡白なものだったので半分は持ち帰って

ちょっと塩気をプラスしてみたらGOOD。

不思議と持ち帰って後に食べた方が美味しかったのだ。






スープはもちキビとコーンとパンが入っている。

とろっとしていて、これが自然なほの甘さで美味。






試食させてもらえた3種類のパン達。

昨日焼きとのことで少し落ち着いた味わいになっていた。

「おにぐるみ」の強いコクがとても美味しく感じられた。

「石窯フルーツ」はオレンジも入っているので甘く爽やかだが

「山ぶどう」のジューシーさの方が印象的で、こちらを買って行くことに。


今日は高原にしては暑い日だったけれどパラソルの日よけのおかげで

爽やかな高原の風を体に受けながらいいランチを過ごした。

こんな山奥で、パンを焼いて暮らしているって凄いことだなと

目の前で焼かれる黄金色のパンたちを見ながら思った。

夏はまだいい。雪深い冬は? それでも山でパンを焼く人たちに尊敬の念を覚えた。




 

「おにぐるみ」はとても小ぶりな胡桃で味が濃い。





「山ぶどう」は、ジューシーでみずみずしいぶどうがたっぷり。


いずれも生地はやや酸味が効いていて、焼き戻してバターをぬって食べるのが

一番食べやすいかもしれない。



お店のお姉さんに「乗鞍高原でいい温泉はありますか?」と尋ねた。

一応、日帰り湯をひとつ調べて来ていたのだが

思いがけず、おすすめの無料露天風呂を教えてもらえたのだ。

丁寧に手書きで地図を書いてくれたお姉さん。ありがとう!


「問題はシャワーがないから、ほんとにそのまんまなんですけどねぇ」

「もしかして、ここの温泉って、『強い』んですか?」


…言わんとしていることはなんとなくわかった。

私、一度東北の乳白色の温泉で経験している。

素で入った後の「大変さ」を…。





ル・コパンから車で5分程度山を登るとそこに「乗鞍高原」があった。

温泉旅館やペンションが集まっている場所である。

最初お目当てにしていた日帰りの共同浴場からは乗鞍の山岳が眺められるということだったが

せっかく教えてもらった無料の立ち寄り湯に挑戦してみることに。

(ある意味、節約も兼ねていた貧乏性の私(笑))





その「せせらぎの湯」という立ち寄り湯は、日帰り温泉の駐車場の脇の小道を入って行くらしい。

特に目立った看板もないので、聞いていなかったらわからなかったかも。





小道をかき分けて進んで行くと、おぉ、ひとつのほったて小屋が!

一応男女分かれていて、脱衣所もある。全くの無人。

一応管理している人がいるようで、不潔ではない。





わっほ! ほんと「せせらぎ」が聞こえるお湯じゃないの!

林の中の、川の上にこのお風呂はあるのだ。





ざぶんとお風呂に入り、せせらぎに耳を傾ける。

源泉掛け流しのお湯は乳白色で、匂いが強い。





この緑と空を眺めながら、きままな一人ドライブを選んでよかったぁ…としみじみ思った。

こんなに暑い高原の夏はもう終わりなのかな。

いい季節に18きっぷは設定してくれているなぁ〜(笑)。


しかし危惧した通り、この後が大変だった。

そう、硫黄の強い温泉を「素」で入った後の匂いの強さを!(笑)

昔東北で同じように洗い流せないまま18きっぷで電車に再び乗り込んだ後、

自分から匂う猛烈な硫黄臭さにずいぶん困らされた思い出が。

今日もやっぱりものすごーーく匂う私(笑)。

さっきまでパン臭かった車の中は、一転して硫黄臭くなってしまった訳で…(笑)。




車に乗り込み、松本へ戻る。

おやきの店を探そうと来た道をぐるぐる回ってみたものの、

どこにも見つからない(泣)。

起動修正するたびに「到着時間は××時××分です」とカーナビ。

あぁ、うるさい!(笑)






おやきは諦めて、もう一つのお目当てのお店に向かうことに。

レンタカーを借りたら絶対行こうと思っていた松本のジェラート屋さんだ。

独り言:このお店…知り合いの縁のあるお店なわけで…当人がみたら吹き出すだろうな!!(笑)勝手にリンクすんまそ。





独創的なフレーバーは、ぬわんと400種類!!

そのうちの20種類が日替わりで出るそうな。

どれもへんてこな…いや失礼、ファンシーな名前がついていて遊び心あり!

どなたがこのネーミングをつけるのだろうか、面白い〜!!

駅から遠いのに、次々とお客さんが訪れて、私のあとには行列が。すっごい!





優柔不断に延々悩んだあげく、山のフルーツ系、

「いたずらすぐり」(すぐりヨーグルト)と

「恋のヴィーナス」(ナイアガラのシャーベット)。


余計な脂肪分、余計な糖分のもたれるような重たさが全然なくて、

フルーツそのまんまの味わい…でありながら、しっかり甘くて美味しい!


さってと、もう14時近くかぁ…

もうこの時間だと甲斐大泉のパン屋さんは間に合わなさそう。

そっちは諦めて、塩尻のあのパン屋さんに行ってみることにしよう!

カーナビを設定し直して、いざ塩尻へGO!!




* 塩尻・小淵沢編につづく *