27-2.2泊3日初秋の夕暮れ旅 〜名古屋こてこてグルメ〜




* 旅の1日目はこちら *


12時半ころ名古屋に到着。

「ボーカル」が参加しているライブは15時から。

…もちろん、行くべきところは決めている!

名古屋から名鉄で20分の有松にある「ダーシェンカ蔵」だ。

昨年12月のぱぴぽんだーの旅で来訪した

ダーシェンカ幸田店よりは遥かにアクセスがいい。


 


近代的な歩道のある駅からすぐ側にも関わらず、

角を曲がるとそこは蔵屋敷風の建物が立ち並ぶ、ちょっとした風情のある通りだ。

目印の薬局をまがってすぐの建物がダーシェンカ蔵の入った建物。





和装雑貨屋さんの横の小石を敷き詰めた通路を入って行くと、

手前に和食屋、一番奥がダーシェンカだ。

ここは季節ごとに使う酵母が変わるパンが焼かれているのだが

冬に来た時は「りんごとグレープフルーツの酵母」。

今度は「梨とビールの酵母」。

梨とビール?!

前回食べた時とは風味がだいぶ違っていそう!


 


小さなパン売り場からは石窯とパンを焼く女性たちの忙しい姿が垣間見れる。

さすが有名店、観光がてらのお客さんがたくさん訪れている。

さぁ、持ち帰りも意識しながらパンを購入、中庭でいただこう♪


 


注文したドリンクやスープは、中庭に面したカウンターから渡される。

雰囲気はいいが、季節外れの蚊と格闘しながら、パンを堪能〜!



 

素材が透けて見えるほどに、ひとつひとつのパンに丁寧な説明がなされている。

私はアレルギーは一切ないし、原料とかそれほど気にしない方なので

丁寧な作り、季節感、素材、温かさみたいなものを

押し付けがましさや説教くささでなく

「美味しさ」で提供してくれるパン屋さんが好きだ。




去年食べて感動した「ダーシェンカ」(クルミとレーズンのパン)と

「ダーシャ」(いよかんピールとくるみ。今回はベーグルで購入)と

今回初めて味わう「イリス」

(カシュナッツ、いよかん、レーズン、くるみ。画像のもの)。

イリスは他の2つのいいとこどり(笑)と言う感じで

より一層塩気が強く、味が濃い。


昨年、一口食べただけでたちまち私を盲目にさせた「ダーシェンカ(パン)」だが

前回味わった「りんごとグレープフルーツ酵母」に比べると

奥行きのあるフルーツの突き抜ける不思議な香りはあまりしなかった。

なるほど、酵母が違うと、こうも変わるのか。


しかし…今回のもしみじみと美味しい。

ビール酵母という先入観があったからかもしれないが

雄々しさというか落ち着いた味わいになっている。

フルーツよりも「生地の甘み」が伝わりやすくなっている気がした。


でも、甘みが伸び伸びと、後へ後へと広がって行く感覚、

口に含んでいるうちに舌の上で味がどんどん変わって行く感覚、

この説明しにくい不思議な味わいは酵母が変わっても同じ!




かぼちゃあんのゴマパンと、栗あんパン。

季節のパンたちは、こんなにカラフルな野菜色を隠し持っている。

その鮮やかな断面を並べてみたくなる…食べるのが惜しくなる。





有松店一周年記念ということで、おまけパンをいただいた。

チョコcocoにお芋のあんをサンドしたもの。

イモ栗かぼちゃ。ラッキーなことに秋の味覚をここ一軒で味わえてしまったみたい(笑)。








名古屋・栄へ出て、ライブ会場へ向かう。

とあるビルの屋上で行うという。

雲一つない青空には、強い夕暮れの日ざしがさし

初秋とは思えない暑さだった。

冷たいカンパリオレンジが気持ちいい。





「ボーカル」の高校時代のお友達さんと一緒に

変わり果てた(笑)彼女の姿を眺める。

彼女は学生時代はせいぜいカラオケでかわいらしいボイスを

披露してくれた程度だったが…。

人ってわからないなぁ…。

この年になって、バンドのボーカル&キーボードをやって

そして人前で歌うようになるなんて

人生ってどこでどう変わるかなんてわからない!


そうそう、私だって。

まさかパンで全国行脚するようになるなんて

あの頃は想像もしなかった。

…片鱗はあったかもしれないけど(笑)。


音楽でもいい、パンでもいい、なんでもいい。

自分のやりたいこと、好きなこと、

迷いがなくためらいなく、それをやっている人が私は好きだ。

だから彼女は面白い。

だから私はここまで追い掛けてきた。





今日は助っ人なので演奏のみだが

45分の長くてゆるい名古屋の夕暮れを楽しんだ。


日が暮れて初秋の冷たい空気が暗闇とともに降りて来た。

ビルの谷間で、空の下で、ゆるゆるとしたメロディが響き渡る。

ギターとアコーディオンの奏でる優しい音色が夕暮れの空に溶けて行く。


ゆらゆらと…ゆらゆらと…。


……

…い、いかん、眠くなってきた(笑)。

自慢じゃないが私はコンサートでも映画でも芝居でも

どんなに面白いものでもがっくんがっくんできる万年居眠り女。

すまん、「ボーカル」(笑)。







ライブ関係者の打ち上げと、高校時代の友人さんたちとの

飲み会の会場は偶然にも同じ店だった。

…名古屋の人なら知らない人はいない、

手羽先で有名、超こてこてな名物居酒屋だ(笑)。

街のいたるところにある…東京で言うと大戸屋みたいなもん?

(ジャンルが違うだろ(笑))





胡椒が辛いほどにかかったスパイシーな手羽先。

パキっと折って身を骨から外して食べる。

もちろん骨は最後にしゃぶる。

身を食べると言うよりは舌についた濃い味付けをビールで洗い流す感じ?

いや、結構こういうジャンキーな食べ物は大好きだ(笑)。





「ていうかさー、この店、池袋にもあるらしいじゃない(笑)」

「あんかけスパゲッティてどんなの?」

「味噌煮込みうどんってどーなのよ?」

「高校時代の○○って今どーしてんの?」





味噌串カツ。私は味噌とんかつが大好き。

味噌ソースが染みて、ゴマのふりかかったあれ。

以前名古屋に来た時に食べて目からウロコだった。

同じ味噌モノでも味噌煮込みうどんでは「辛い! 濃い!」と思ったが。

ここの串カツも薄切り肉を竹串に巻いて揚げたものだけど

止まらないのだなーー。パンでも「棒状」のものに弱い私(笑)。

止め所がわからないのだ(笑)。





私以外のメンバーはどうも保守的らしく

注文するかしないかでえらく議論が交わされた八丁味噌アイスと鬼まんじゅう。

味噌の風味はせつないほどにほのか。言い換えれば誰でも食べやすい。

もっと八丁味噌くさいものだったら、ゲテ好きの私も嬉しかったのだが…。

ちなみに、コーチン卵アイスはラムの効いたごく普通に美味しいアイス。


料理も他には豚シャブやキムチ鍋なんかを無難にセレクト。

もっとゲテゲテしたものが食べたかったよー(笑)。




錦のど真ん中、外はホストがうようようごめいている

インビなエリアの格安ビジネスホテル。

一人旅が多い私、久々にツインルームなるものに泊まる。

なんだか照れくさいって?


パン好きには最低限やらないと寝てはならない作業がある。

化粧を落とす、

コンタクトを外す、

そしてパンの切り分け作業(笑)。

彼女がシャワーを浴びている隙に

本日のパン戦利品をカットラッピングジプロック。

時折カケラを試食。

あぁ忙しい、パン好きの夜。






翌朝。

今日は名古屋最終日。

さぁ、今日のプランニングは?


「ボーカル」は私のHPの読者でもある。

(でもパン語はわからぬ、パンも滅多に食べぬパン一般人(笑))

ぱぴぽんだーの旅」も 名古屋途中下車」も

しっかり読んでくれているわけで…。

助っ人をしたユニットの2人も巻き込んで

(男がギター、女がボーカルの男女デュオなのだ)

「絶対に名古屋へ行ったら『ぽんさん』に行こう!」

と出発前から盛り上がっていた。


もちろん、「ひつまぶしも食べないと帰れない〜」と私と「ボーカル」。

でも、見るからに胃腸が弱そうな「ギターさん」はハシゴは無理だろう(笑)。

なので11時オープンと同時にポンさんで「早めのランチ」をし、

その後解散して私と「ボーカル」は、ひつまぶしで「遅めのランチ」をすることに!


…しかし…

あのボリューム満点のシチューランチとひつまぶし、ハシゴできんのか?

…それなのに、まだ眠っている彼女をホテルに置いて、

私は朝一人、ホテルを出て行った。


名古屋といったら「モーニング」!

どこでもいいから喫茶店で「モーニング」を食べたかったのさ。





ほんっとにどこにでもある、通勤前のおじさんたちが憩う喫茶店で

モーニングセットを…。ほんっとにどこにでもあるものだったのだが(笑)。

私の心はすっかりなごや〜んだ。




10時にチェックアウト、一同そろってタクシーで名駅まで出る。

夕べ盛り上がった「味噌煮込みうどん論議」の続きをしていたら、

タクシーの運ちゃんが口を挟んで来た。


運「確かにみんな最初は抵抗あるらしいけど食べ慣れるとはまるんですよ」

うちら「でもあの味噌の濃さはご飯が欲しくなりますよねー」

うちら「もっと煮込んだら美味しくなるんでしょーかね?」

運「いや、うどんに味噌が染み込んだら塩っぱすぎます」

運「クラウンホテルの下にある店の煮込みうどんは同業者の間でも評判で…」


延々とうどんを語ってくれた。

…きっと、このおじさんは大好きなんだろうね、味噌煮込みうどん(笑)。

賛否両論の「否」が多いことにだまっていられなかったのか(笑)。




近鉄に乗り込み、さぁ、ポンさん到着!

私は秋シチューの「若鶏とお豆のトマト煮込み」を

他の3人は「ポーク腕肉のシチュー」を。


 


私以外はみんな「パン一般人」(笑)。

パン好きさん以外とポンさんのパンを食べるのは初めて。

ちょっとこういう時はどきどきする。

でも、そんな心配は無用だった。誰にでもわかるさすがの美味しさ!

とくに、イチオシのイートイン版ミニサイズのミッシュブロートは

ユニットのボーカルさんもはまっていたみたい。




これが私のシチュー。

若鶏がほろほろと柔らかくて、お豆がたっぷり。

野菜もたっぷりで…やはりポンさん、さすがはポンさん!!





みんな「美味しい美味しい」

mi_wa「でしょでしょ」

…ひたすらこの応酬だった感じだ(笑)。

無言でもくもく食べる「ギターさん」、普段は相当小食らしいが、

「ユニットのボーカルさん」曰く、

彼がここまで食べるのは珍しいことだって!

私も「ボーカル」のシチューの鍋底を

ピカピカにするくらいにパンでぬぐって食べる。

パンに染みた腕肉シチューの絶品さ…味覚中枢がパニック!





私は何度もここのランチに来ているし、

ひつまぶしのためにお腹を開けておくはずだったのに作戦大失敗(笑)。

パンも残さず食べちゃった始末。

あーらら…。ものすごく満腹なんですけどっ!


パン素人である彼らには「パンの保存の仕方」と

「焼き戻し方」をしっかりレクチャーして(笑)、

お持ち帰りのパンも存分に購入!

「名古屋に来たらまた絶対に来たい!」

「でしょでしょ」

ぜひぜひそうしてください。

私のようにポンさんに行くためだけに

名古屋に行くなんて事はありえないでしょうけど…(笑)。




ポンさんを出たのは12時過ぎ、名古屋に戻ったら13時ちょっと過ぎ。

…まだまだお腹は一杯なのだけど

絶対に食べると決めていたひつまぶし。

16時の新幹線こだまに乗るには14時半には食べないと帰れない(笑)。

ひえー。お土産探しで必死にお腹をこなそうとするけど

試食とかに手を出すばかやろうな私…。ばかだもーん。


名古屋に行くまで、練習そっちのけで

グルメプランを立てていた「ボーカル」(笑)。

「ひつまぶし」は「あつた蓬莱軒」の登録商標だ。

残念ながら月曜日は本店が定休日、

神宮南門店は14時半まで。

選択肢は松坂屋の中の支店しか残っていなかった。


しかし、この松坂屋店は高級感もあり、デパート内といいながら

ゆったりとした座敷きもあって非常にオススメ。

なんせ昼下がりだったので空いていた。

(本来はどこの店鋪もすごく混んでいるらしい)





一人前は無理でも、半人前ならなんとか行けそう!

二人でシェアすることにした。

おぉぉ…。これがあこがれのひつまぶし。

まずはおひつのウナギご飯をしゃもじで

十字にほぐして4等分に(二人なので8等分に)。





ステップその1。

まずはそのままでいただく。

8等分だとわんこそばの一杯分くらいしかないな。

まぁこれくらいなら食べきれそう…。

と口に運んだその瞬間、呼吸が止まる!


…!!!…


めっちゃくちゃ美味しい!!!

関東のぺちょっとしたうな重とは違って

かりっと香ばしく焼けているのがこちら風?

甘いタレが絡まったご飯、たまりませぶん…。

なんか、このまんまで全部食べたい気もするんだけど、

やはり次のステップに進まなければ!!





ステップその2。

薬味を入れる。ネギと海苔とわさびをちょろちょろっと…。

ううう〜ん、これまたたまらん…!

うなぎの脂が薬味でさっぱりと中和される。

ぐぐぐ…これもほんの一口だった…。

でも…次のステップへ…!





ステップその3。

お出汁をかけて茶漬けにして食べる。

このお出汁がまたまた香りがよくて美味しい…さらさらって進む。

以前東京でなんちゃってひつまぶしを食べた時は

「やっぱそのまんまで食べた方がうまいって」って思ったのに。

これなら、あと5杯くらい食べられるっ!


ステップ4。

最後は、自分のお好みの方法で締める。

…悩んだけど、やっぱり私はステップ1かな。

あぁ、でももっと量があったら全部リピートしただろうなぁ…。

半人前じゃ全然足りない。

もっと食べたい〜という欲求不満を残しながらおしまい…。





あぁん…切ないよぉぉ…。

別れが辛いよ〜。

「ボーカル」のバカぁ〜(いいがかり(笑))




というわけで、こだまに乗り込み名古屋を後にした。

相当満腹なのに、まだ食べたりない、

後ろ髪ひかれる思いで名古屋を後にした…。




まだ食べる(笑)、大好物赤福を2個だけ買ってきた私(笑)。

さすがに「ボーカル」はギブアップみたい…。


2泊3日のあっという間の旅はおしまい。

「パンが目的じゃないのよ」といいながら

パンも欲張ったし、名古屋グルメも、近江八幡観光も

ライブも、飲みも、すべてを欲張った。


旅の道連れ「ボーカル」よ、

また地方遠征してちょうだい。

「たとえそれがどこであってもついて行くからね」

「わーい、ほんとー? うれしー!」



ボソッ。

…できれば美味しいパンのあるところがいいなぁ…

ん? ひとりごと、ひとりごと。