56-2.「2005年食べ納めパン」を巡る旅 〜盛岡→ランプの宿〜




* 2004年食べ納めパンの旅はこちら *

* 2005年食べ納めパンの旅<前半>はこちら *






2005年 食べ納めパン? その4「福田パン」



昔なじみのパン友さんが盛岡に帰省中とのことで

タイミングよく会えることに。

タクシー使ってでも行ってやるぅと思っていたパン屋さんにも

連れて行ってくださるとのこと! あー、ありがたやありがたや!


待ち合わせ場所は、早朝からやっている…あのパン屋。

そう、あのパン屋!

2004年食べ納め旅の時に、立ち寄ったあの店である。

そう、盛岡市民の「ふるさとの味(?)」、福田パンである。

強烈なインパクトの、ぞうりのようにでかいあのコッペパンサンドに再会できる!

今回は寄るのをやめようかと諦めていたが、拾う神ありだなぁ〜。

(福田パンの詳細は2004年食べ納め旅<後半>を参照のこと!)


久々に会ったパン友さん、赤ちゃんを抱きかかえ、ダンナ様も一緒に

福田パンの店内で待っていてくれた。おぉ、朝早くからありがとう!!





相変わらず毒々しい…いやいや、カラフルな色彩のフィキシング(もとい塗り物)たち。

ていうか、この緑色のはなんじゃ?! うぐいす餡か? もしくはキウイジャム?!





「人数もいるし、3個くらい買っても大丈夫だよ?」

くはーっ。頼もしいお言葉! そうそう、去年は一人で2個買って大変だったのよー。

(といいつつあっさり完食できたのだが(笑))


去年食べてものすごーく美味しかったオリジナル野菜サンドはまた食べたい。

ほいじゃ、それに新作の「れんこんしめじ」をサンドしてみよう。

もう一つは、去年食べ損ねた「あん+バター」を!!


…もうひとつはどうする?!

延々と迷い決めかねた私。

するとパン友さん、高校時代にすごくはまってよく食べていたけど

今じゃもうくどすぎて食べられないだろうなー……という組み合わせがあるという。

それが、「スパゲッティ+ツナ」!!





ぎゃーーなんじゃそりゃーっ。そりゃくどいわ(笑)

そりゃハイスクール・ハイカロリー時代なら

私もがんがん食べただろうけどねー今じゃ無理だよーーわはは。

…わはは…


…結局、その「スパゲッティ+ツナ」に決めた私(笑)。

オフィス街のパン屋」を食べ慣れている私だもん、きっと攻略できるはず?!(笑)

(ちなみにパン友さんも「オフィス街のパン屋」のファン、好きなパンは「はちバタ」…(笑))





ぎゃははーーっ。見よ! この具っぷり!!

野菜とマヨネーズとチーズとレンコンしめじ(マヨ和え)、そしてカラシ!!

そう、このカラシがめちゃくちゃグッドジョブしてくれちゃっているんだ、

ほんっと、このカラシがあるからくどさに気付く前に食べきれるんだ!(笑)

それにしてもマヨが絡んだ野菜サンドってのはどうしてこんなに旨いのだ。

いやー、、めっちゃ旨い。旨い。旨いーーー。





そして前回食べ損ねた「あん+バター」!!

はっきり言ってコンビニで売っている袋パンのあんバタとさほど変わりないのに

もっと美味しく感じるのはなぜ?

それはきっと、このぞうりのようにバカでかいパンを

食べることの背徳的快感とでも言おうか(笑)、

「きゃーこんなの食べちゃって、私ったらだいじょうぶー? いやいやーん」

…なのである。いやよいやよも好きのうち、なのである。





そ、そして!!(笑)

スパゲッティ(もとい弁当の惣菜に入っていそうなナポリタン)とツナマヨ!!

まさかとは思ったが……。う。う。うまーーーい!(笑)

ただでさえくどそうなスパゲッティにツナマヨをプラスして

相当脂っこいはずなのに、この無味無臭なぞうりパンにサンドされることで

脂っこさが完全に中和されてしまうのだ。なかったことにされちゃうのだ(笑)。

ツナマヨがほどよーいまろやかさをプラス、ほんっとに美味しい!!


これら3色のパンは、次の目的地までのバスの中で「弁当」として食べたが

ほんとにいくらでも食べられそうだった。

そう…そうなんだよ、コッペパンサンドって、たとえどんなボリュームでも

あっさりぱくぱく食べてしまえる魔力がある。

私の高校時代を懐古させる福田パン。

食べてなぜだか笑いが生まれる福田パン。

ああ…また食べられてよかった!






2005年 食べ納めパン? その5「ベッカライベルグ」





泊まっていたホテルの超至近にあったパン屋さん。

ドイツパンのお店で、通販もやっている美味しいパン屋さん。

まぁ…ちょっと緊張感があったり気を遣う必要もあったり(笑)

残念ながらパンの画像は残っていない。

フロッケンセザムも、ベルベデーレもどちらもとても美味しかった。

特にフロッケンセザムは、びっしりまとった白ゴマの風味が強くて

正月中、おせちにお雑煮に飽きた私の舌を癒してくれた(笑)。


ただ、ちょっと気になったのはチーズ…。

このミニバラットという、ほんの指先サイズの山羊チーズ。

4個入っていた。ちょうどパンのおつまみにイイかもと思い

そのときは何も考えずに購入した。

数日後にレシート見て驚愕。これ、ひと粒200円もしたようだ。

4個で200円と思って買ってしまってあとで落胆。800円かーっ?!

…もっと大事に味わって食べればよかった(泣)。






2005年 食べ納めパン? その6「ボワ・ド・ヴァンセンヌ」





そして今回の盛岡本命のパン屋さん、ボワ・ド・ヴァンセンヌ

駅からは相当遠いのでタクシーに乗ってでも行ってやる−と思っていたけれど

パン友さんご夫婦のおかげで車に乗せてもらって到着!





お店に入った瞬間から私のハートはわしづかみ。

フランスのおっされーな香りがぷんぷん!! ついでにハードなライ麦ドイツパンも豊富!!

朝早いからあまりパンの種類はなかったとはいえ

あまりありすぎても私は迷って大変だっただろう





「一週間は美味しく食べられますよ」

そう、あれこれアドバイスをしてくれた親切なマダムの言葉通り

ライ麦パンを中心に、きらきらのヴィエノワズリーも選ぼうか。

ライ麦パンはこんな洒落たペーパーにくるんでくれる。





左はヴァイツェンミッシュブロート。ライ50%。

右はロッゲンシュロート・ブロート。なんとライ100%。

色で判断したら、もっと配合が少なそうなのに

なるほど味わいはとっても深みがある。

いずれも、酸味が非常に強いけれど、1日、2日、…一週間、

熟成させるほどに酸味よりもまろやかなコクの方が台頭してくるのだ。

実に…実にクラストが香ばしくて絶品!!!

こりゃーパン屋もないようなド田舎で年越しをする私には最高の保存食!!





フランスのエスプリが効いた店では絶対にリンゴ系を選ぶ私。

そういえば岩手ですからリンゴですなぁ〜。

酸味はそれほどでもなかったけれど、

シャクシャクで肉厚なリンゴスライスの下には

したたるように溢れるカラメルソースが!





これもフランスかぶれの私にはマストアイテム、御存じダマンド。

しっかり中にもクレームダマンドがサンドされている。

しっとり系ではなく、がりがりっとハードなのだけど、

ダマンドがサンドされた部分は実に甘い!

メリハリのある強い甘みに、血糖値が急上昇、そして美味!

ここまではっきり甘いダマンド(なのに美味しい)のは久々〜。


結局、この2005年食べ納めパンをめぐる旅のラストパン屋さんは

このボワ・ド・ヴァンセンヌだった。

いやはや、有終の美である…。


パン友御一家には、駅まで送ってもらう。

本当に朝早くからどうもありがとう!!

また関東で再会しようね。オフィス街にもまた来てね(笑)。




11時盛岡発のバスで、今度は弘前を目指す。

弘前から乗り物を乗り継ぎ、黒石温泉郷の奥地にある

温泉宿を目指すためだ。

盛岡から弘前まで確かに電車も走っているのだけど

時間的にも金銭的にもバスがお得。

車内で福田パンとヴァンセンヌのヴィエノワズリーを平らげ

私は車窓を眺める間でもなくたちまち眠りに着いた。


盛岡11:10発 → 弘前13:25着


高速バス代 2930円

累計 15330円






ランプの宿「青荷温泉」で手探り一夜



2004年の帰省旅が忘れられない強烈なものだった。

その理由のひとつは宿泊した「ひなびた温泉宿」。

あの宿にまた泊まるのもいいけれど、

2004年と同じようなパン屋さんに行くわけだ、宿は違うところにしたい。


そこで、年末の忙しい最中、上海旅行よりも遥かに時間を割いてリサーチした。

あらゆる温泉を調べ、電話をかけまくる。

しかし年末の繁忙期に、独り客を受け入れてくれるところは本当に少ない。


そして私が出会ったのは、「ランプの宿」で知られる秘温、青荷温泉だった。

黒石温泉郷は、学生時代の東北温泉一人旅のときに立ち寄ったことがあるが

それよりももっと奥地にある青荷温泉。

冬は車の通行も規制され、たどりつくのに一日がかりになる。

すべてはこの宿に泊まるために…函館滞在も諦めた。


「お一人様ですか。もしかしたら相部屋にさせていただきますが大丈夫ですか?」

そう予約のときに言われた。

「ええ、大丈夫です。…女性であれば(笑)」


相部屋は学生時代にはユースホステルで慣れっこだったし、

住み込み相部屋で1ヶ月、山奥バイトしたこともある。

なにがなんでもそこに泊まりたかったので快諾した。


…結果的に、相部屋ではなく済んだ。

客室もランプ一つだという。もちろんテレビもラジオもない。

そんな宿に年末の30日→31日に一人で宿泊しようという女性客。

考えてみたって、そんなの私くらいしかいるわけがないのだ(笑)。





弘前からは弘南鉄道に乗り換え、ローカル線に揺られながら黒石を目指す。

ちょうど向い側に、ものすごい重装備のカップルが座った。

かんじきやらなんやら担いでいる。

人ひとりくらい入るんじゃないかというくらいのでかいバックパックで。

一体どこの山奥を歩いていたのだろう…という二人。

でもどことなく都会的で素敵な二人。


そんな二人の重装備を見た、私の隣の老夫婦が話し掛ける。

「(東北なまりで)あんたたち、どこから来たの。すごいね」

この二人もどうやら今夜、青荷に泊まるらしい。

私は結局話し掛けなかったが、まさか…これから行く青荷は

かんじきがなかったら歩けないようなところにあるのだろうか?(笑)どきどき。


弘前14:30発 → 黒石14:59着



黒石に到着、そこからバスに乗り換えて「虹の湖」という

道の駅を目指す。本来は片道1000円くらいもする路線バスだが

宿泊客ならなんと往復500円!! ありがたいー。


この路線バスがまた、ずんずん山奥に入って行く。

山に入って行くほどに雪深くなっていく。

例年よりも今年は積雪の多さに加え、寒波のせいで雪が溶けないから

どんどん積もってしまうという悪循環らしい。


黒石15:15発 → 虹の湖15:47着





虹の湖からは、宿の送迎バスが迎えに来る。

この道の駅「虹の湖」は、その青荷温泉で使われているランプたちが

展示されているのだ。趣き深い手作りのランプたち。

うわーー今夜が楽しみだぁ。

…と、この時までは「ランプ」で暮らす、ということを甘く見ていた。

ランプの灯りは「ロマンチック」?

…いやいや、この先待ち構えているのは「サバイバル」だったのだ(笑)。


虹の湖16:00発 → 青荷温泉16:20着



バスに乗り込む客はかなり多く、1台では足りず、2台目も来た。

みなさん、最終バスに合わせてやってくるのだな。

そうだよね、盛岡からここまで来るのにいったいどれだけかかったことか。

ほんとに半日がかりで来るところだ…。


バスはこの温泉の社長自らが運転していた。

その温泉宿のユーモア溢れるHP通り、実に語りが面白い。


(聞き取れないほどの東北なまりで)うちの宿、ほんっとーーに暗いです。

しかも寒い。しかもすべる。消灯も早い。な〜にもない。

あげくのはてにうちの従業員、働きません(笑)

だから説明は最初の一回きり。

お布団もぜんぶお客さんで敷いてもらいますんで。

私たち、お客さんからお金がっぽりもらったらあとはなにもしません(笑)」


いちいち話すことが面白い。


バスはずんずん山奥を徐行してのぼっていく。

立っている電柱をよく見ると、全ての電柱になにか看板が…。





な、なんて書いてんの?





アワくなって? 焦るなってことか?





あとちょっと、ってことー?(笑)


全ての看板に、ようするに「安全運転しろよー」みたいな

メッセージが「東北弁」で書かれているので一切解読不可能(笑)。

私はひとりで笑いが止まらなかった。


弘前黒石 420円

黒石からバス往復 500円

累計 16250円





もうすぐ日が落ちる寸前で宿に到着した。

すでに携帯は圏外、一歩外に出たら遭難も辞さないほどの山奥だ。

これが2005年に最後に過ごす宿。





宿は何棟かに分かれ、4つの温泉が敷地内にある。

部屋は満室で(この宿はとても人気があるところらしくいつも土曜は満室)

家族連れもさることながら、カップルが実に多かった。

…私は独り。…うーん、ふて寝でもしてやろか?(笑)





この宿は、ほんっとに嘘偽りなく「ランプの宿」だった。

ランプしか灯りがないのだ!!

この暗さは画像では説明できない。なぜなら、ほとんどの画像は

暗すぎて、画像修正しても全然だめだったからだ(笑)。





廊下もランプひとつで真っ暗!!

唯一煌々と輝くのは非常灯くらいなもんだった(笑)。





私の泊まる部屋…。

うわーー! ほ、ほんとに真っ暗。

ランプひとつだけ、あとは…目が慣れるしかない?!(笑)

もうすぐで日が暮れるが、暮れてしまったらもっともっと暗くなるのか?!





これがカメラで撮影できる限界の暗さ(笑)。

フラッシュを使わない主義の私です、お見せできるのはここまで…。

どれくらい暗いかというと、部屋の電気の「豆電球」を想像してほしい。

あれくらいの暗さなのである。あの灯りだけであなたは生活、できますか?(笑)


昨年の旅のように、することもないひなびた宿の夜は

年賀状を書いて過ごそうと思っていたのに

「相手のツラコ(顔?)がやっと見えるくらいの暗さ」

であるこの部屋の中ではランプをもう少し借りて来なきゃ書けない!!


ランプを借りに行ってみると、一部屋ランプは一つのみだという。

なぜなら、ランプというのは相当酸素を食うらしく、

灯油ストーブもたいている冬場では、酸欠になってしまうそうだ(笑)。

うあーーごもっともな理由だ。

何度も何度も「寝る前はストーブを消して。酸欠で死にますよ、ホントに」と説明された(笑)。





おぉ、懐中電灯がある!

さっそくつけてみて、部屋の壁の説明書きを読んでみた。

「懐中電灯はあくまで非常用! そんな風情のないもの使うなってば」

…みたいなことが東北弁で書かれている(笑)。

あはは…わかりました…がんばります…。





荷物をほどくのも手探り状態(笑)。

下手に広げると絶対なくしものしそうだ(笑)。

お風呂グッズを用意して、浴衣と丹前を着込んで外に出てみた。

夕食(5時半)までにひとっ風呂浴びて来よう。

まだ外はうっすら明るい。シャッターチャンス(笑)。





お風呂の帰り道はもうとっぷり暗い(笑)。

画像加工もここまでが限界、ほんとは真っ暗なのです(笑)





大広間で夕食。

これでも画像加工しまくり。マジで真っ暗なのです(笑)

客室やお風呂やホールがランプだけで暗い、というのならまだわかる。

しかし! この宿は本当に徹底して「ランプの宿」なのだ。

驚くべきことに、「厨房までがランプのみで作業している」のだ!!

ものすごく暗い。真っ暗ななかで、これだけの料理を作るのか!

そのことにひたすら感動してしまった。





あまりの暗さに、やむなくフラッシュをたいて撮影…。

フラッシュの灯りがめちゃくちゃまぶしく感じるほどに暗い(笑)

東北の温泉宿と言えば、大好きな岩魚! 塩焼きはおひとり一本(そりゃそーだ)。

頭もしっぽもまるごと全部残さず食べた。





ここまで光源がないところで料理を撮影するのは初めてだ(笑)。

フラッシュ撮影してあとで見たからわかるものの、ホントに暗くて料理もロクに見えないのだ(笑)。

料理は山菜を中心とした、地元特産のモノばかり。

どれもこれもが素材を大事にした調理でしみじみと美味しい!

一番印象的だったのは、てんぷら。

赤いのは(実際あの時は真っ暗で「赤」であることもわからない)なんと紅ショウガ!

そして、その横はたくあんのてんぷら!!

初めて食べるこれがものすごく美味しい。


独り手酌で瓶ビールをもくもくと飲み、もくもくと食べ、

私は大広間を後にした。部屋に戻って、年賀状書きに挑戦だ!(笑)






ランプを机の上に置き、布団にくるまりながら、年賀状を書いた。

テレビもない。ラジオもない。コンセントすらない。

そして灯りもランプのみ(笑)。

ものすごく壁が薄く、隣の部屋からものすごいいびきが聞こえて来た。

どうやらお隣もお一人客のようなのだが、…まだ8時前なのにもう就寝ですか?(笑)

確かに一人じゃなにもすることはなかろう、そう、酒を飲んで眠るだけさ(笑)。


こうして、真っ暗の中でランプの灯りだけを頼りに、

住所録を手元に引き寄せて書く年賀状。

昔の人の生活を体験しているようだ。

この暗さの中で、昔の人たちは暮らしていたと言うのならば

その「昔」というのはいったいどれくらいさかのぼるのものだろう。


年賀状を一枚、一枚、書き上げるごとに

この暗さと灯りは当たり前のようになって来た。

暗闇のなかでもくもくと書き続ける。

時にふと天井や部屋の隅の暗闇に目を向けて、この現実を確かめる。

私にとって、この灯りの中での「もの書き」は、かつてない「浪漫」だった。

忘れられない、2005年最後の「浪漫」だった。




*ランプの宿、夜のトピックス*


4つのお風呂のうち、2つは混浴。

そのうちの1つは、レディースタイムが設けられており、

8時から1時間、急いでお風呂にかけつけた。

こりゃまた暗すぎて(笑)凍り付いた岩の上を歩くのはそれはそれは恐ろしいものだった。

露天風呂はとても気持ちがよく、晴れていたならきっと満点の星空だったに違いない。


…考えてみたら、もしかしたら混浴に入っても平気だったかも。

自分の足元すら見えない暗さだ、

見えなかっただろうし、見られなかっただろうさ(笑)。




お布団を敷く時。

シーツをばさっと広げたらそのはずみでランプが消えてしまった!(笑)

ぎゃーーまっくら、何も見えない!!

ほんっとに手探りで懐中電灯を探して、フロントにSOS。

ちょっとの風でランプは消えてしまうそう。

はー、気を付けなきゃねぇ。




暗くて困ったことはまだある。

トイレ。トイレがあまりに暗すぎる上に、

凍結防止のために水が止まらない(=流れない)。

…流れたのかどうかもわからないのはヒジョー−に恐ろしい(笑)。

(明らかに流れてなかったよー朝が恐いよー(笑))

館内で唯一、本館の女性トイレだけは「文明的」なトイレだったので

わざわざそこまで足を運び、用を足して、身を整えた。




夜中、何度も目を覚ました。

「ズドーン!! ズドーン!!」

爆弾でも落ちたかのような号音が幾度も響くのだ。

地震か? 爆撃か? 何ごとかと思ったら屋根の雪が雪崩落ちている音だった。

朝までずっとこの「ズドンズドン」が続いた。…参った(笑)。寝かせてくれ(笑)。







翌朝。

5時に起きて、まだ暗い中、露天風呂にまた入りに来た。





夜はほとんど周りの景色も見えなかったけれど、

辺りがぼんやりと明るくなってくると、

夜のランプで幻想的な風景とはまた違う美しい景色が開けて来た。





ランプの灯りだけでは何も見えなかった夜の内湯も

朝の光りの中ならこんなにきれいなお風呂だったとは。





川と雪と山に囲まれた朝。





2005年12月31日の朝。

今年最後の私の朝だ。





お風呂と周辺の散歩を終えて、大広間で朝食。





山に囲まれているから朝日を拝めたのは宿を出るころだった。

朝日にきらきら光る雪景色が美しい。

本当にこの温泉に泊まってよかった。

この旅をして、本当によかった。





8時半に宿を後にし、送迎バスで再び虹の湖まで戻る。

山の景色が本当に美しかった。

私は雪国育ちの道産子だったことを、雪を見なくては思い出せなくなっている今、

思い出すのは故郷のスキー場の林間コース。

久々にスキーでもしてみたくなった。

弘前から青森へ。青森から函館へ。もう北海道は目の前だ。


弘前10:56発 → 青森11:32着

青森11:57発 → 函館14:00着





海峡線の特急の中で、宿で飲み残したリンゴジュースと

青森駅で買ったカキフライととんかつと、昨日のパンを食べる。

そして私は青函トンネルに突入したことも、出たことも気付かないほど

深く眠りについていた。





函館14:26発のサッポロ行きの特急に乗れば

私の2005年帰省北上旅も終わる。

2006年、私が繰り広げるであろう旅が

どんなに面白く、強烈なものであったとしても

2006年の年末にはきっと同じことを思うだろう。

「去年のような年末帰省旅がしたい…」と。



青荷温泉宿泊代 10650円

黒石弘前 420円

弘前北海道の目的地 9460円

累計 36780円



* おしまい *