50.お土産たんまり 当ててにんまり@maduお話会




ネットの普及とともに会員数はうなぎのぼり、

どんどんアワーアップしちゃってるパンクラブ

協力していただけるパン屋さんもビッグネームばかり、

それにともなって倍率も激化している「パンのお話会」。

(過去のお話会の模様はこちらこちらこちらこちら


今回はあのマディ?! うあぁぁ、どこまで行っちゃうんだ、パンクラブ!!(笑)






maduの松原シェフ、といったら、パン好きでは知らない人はいない(と思う)ほど著明なお方。

このたびパンの本を出版されたとかでマスコミでの露出も増えている最中のこのお話会。

せいぜいMAX30人の会が、急遽50人に変更されたというほどの人気。

平日の夕方なのに、渋谷のカフェマディにはパン好きが集結!


maduのパン屋さんは代官山にあるのだが、

今回の会場は渋谷店(カフェと雑貨のみ)を借りての開催となった。






私の中では、maduといえば、正直言うと微妙な位置付けだった。

何度かお伺いしてパンを買って食べていたが、

たぶん「代官山」というパン激選区にあるのがネックだったのだろう。

「数ある美味しいパン屋さんのひとつ」に埋もれちゃっていた気がする。


そうそう、渋谷のカフェマディにしてもそうだ。

10年くらい前の「カフェブーム」のときには憧れてやまない店だった。

よく渋谷で買い物した帰りにここに立ち寄ったりして「東京人」を気取ってみたっけ…。

表参道ならカフェ・デプレとかね、原宿ならオーバカナルとかね、渋谷ならドゥマゴとかね…。

というわけで大変久々に訪れるマディ、だったのである。



***



代官山店が定休日である月曜日。

焼いたパンを50人分、渋谷店に運び、渋谷店のスタッフの協力を得ながら

このイベントは開催された。かつてこんな大人数でやったことのないパンクラブ、

自己紹介タイムは各自テーブルで済ませ、

あとはひたすら運ばれてくるパンとシェフのお話を聞く!

(といいつつ、耳を傾けながら口を動かすのは至難の技(笑)

聞き漏らしが多々あることを御容赦…)


若いし、なんか軽いキャラクター(笑)のシェフなもんで

妙に親近感を持ててしまう。そう、わりと近くに居そうな、そんな親近感。


さぁ、(予定では)全部で10種類のパンを堪能!


まずはオードブルから!




一見ピンクのペーストが塗られているものは「明太子?」と思いきや(笑)

なんと、ハムのペースト!! ほんとにそのまんま「ハム」なんだが、

リエットやパテの「脂肪たっぷり」な従来のモノに慣れてしまった口には

この「ハムそのまんま!」がなんと斬新だったことか!

もちろん、チキンのリエットの方も美味〜。

後からたくさんパンが出てくるのは分かっているけど、これは残さず食べるべき! でしょう!




1 小黒三 チビクロゾー



全てのパンは、バットで運ばれ、みんなそれぞれ一個ずつ取っていく。

一個一個のカットが大きい!! テーブルそれぞれで悲鳴があがる。

この悲鳴はパンが運ばれるたびに聞こえて来た…。


最初に出て来たのは黒糖、黒ゴマ、大納言を練り込んだソフトなパン。

カタチもユニークだけど、名前も変わってる。

基本は黒糖がほんのりとした甘さとゴマの香り。大納言が時たま甘さを添える。



2 ル・ブッシュ



ねじりぞうきんスタイルの(し、失礼!)生地に、イチジクと胡桃が練り込まれたもの。

うあーーん、こういうのにはホントに弱いの、私ーー。

みんなより先に手を伸ばす私。負けませんからっ!(?)

一番端っこのイチジクがはみ出して焦げている感じのところを死守!(笑)


これが卒倒するほど美味しかった。たぶん素で食べても素晴らしく粉の素朴な風味が活きているのだろうけど、

このイチジクと胡桃は反則! 特にこの胡桃は…渋さってものが皆無。とにかくコクが猛烈…!!

頭痛がするぐらいに、酔うほどにオイリー…!! 美味しすぎる…。

胡桃と言えば、この後にあの名作「リュスティックノア」が待ち構えているんだもんなぁ…。

やばい! なにが? いや、やばい!!



3 パン・ド・カンパーニュ



一人当り1/4ずつ割り当てられた。太っ腹ーー!

周りをみるとみんなパン切りナイフ持参で(笑)そりゃー物騒なパンクラブメンバーであるが、

このパン・ド・カンパーニュには、ナイフがなくてもスライス一枚分の切り込みが入っていた。

この細やかな配慮…。だからあえてこの部分はナイフを使わずに頂いた。感謝!


うわぁ…!! なんてこと! これ、めちゃくちゃ美味しい。

薪のような香りのする、くすんだ茶色の打ち粉をなめるだけでも旨い(笑)。

喉が詰まらない程度にしっとりしたクラム、しっかり粉の個性が出ていてそのままでも絶品!!

思わず心の中で謝罪する私。…知りませんでした、こんなに美味しい食事パンを作る店だったとは!

まだ食べ始めの方なので舌は敏感。こういう「粉の旨み」で勝負のパンを、最初に食べられて良かったーー。



4 ロータス



お次は惣菜系! ピリ辛レンコンとチキンが入ったフォカッチャ。

このレンコンは素揚げして酢で締めているとか。

上に生地をクロスして覆っているのは、肉がパサつかないためと、見た目的に豪華だからということみたい。

やばい! これもすごーーく美味しい。マヨネーズ系の味付けで、ごぼうサラダ的な親しみやすい味付け。

私、こういうふわっと柔らかい生地に染みたマヨネーズって、たまらんのだ……あぁ、お昼に食べたいわ!

ていうか、今、夜に食べるならお酒が欲しい! お茶じゃもったいなーーい!(笑)




5 リュスティックノア



キターーー!! maduといったらリュスティックノア。代名詞的な、看板娘的なパン。

もちろん私もかつて食べたことが何度かあるけれど、確かに美味しかった。

でも、どうしても小さい方を買って食べるから、クラムを味わう…というよりはクラストを味わう、感じだった。

しかし大きい方はどうだろう! こんなにみずみずしくて、むちょむちょしているじゃないの!




しかも、この胡桃は……さっきのル・ブッシュでも前振りがあったが、猛烈なコク!! 渋みが全くない!!

ひたすら「胡桃の脂肪」「胡桃の甘さ」「胡桃のこりこり」……鳥肌が立つほど旨い。

これは餅かと勘違いしてしまうほどにねちょねちょ粘着質なクラムも…甘い甘い甘い!

あぁ、やっぱりこのリュスティックノアは段違いに美味しい。


同席の友達らと「リュスティックを作るのって大変なんだよねーべたべた手についてさ」と

話をして盛り上がっていたのだ。…まさか、この時の会話は後で生きることになるとは!




6 フォカッチャゴルゴンゾーラ



今度はゴルゴンゾーラと胡桃の載った細長いフォカッチャ登場!

パン好きって、ゴルゴンゾーラとかクセのあるものが好物な人が多いように思う(もちろん私も大好物)。

…というか、昔に比べて「クセのある食べ物」が好きな人が増えたように思うんだよな、これも人気がありそう〜。

ハードに焼き上げられた生地に、ゴルゴンの塩気と胡桃の甘さが絶妙。ゴールデンコンビだよね、翼と岬?


シェフの解説によると「ロータスと同じフォカッチャ生地ですが、焼き具合でこんなに違うんですよ」。

むーん、甲乙つけがたい。どっちも好みなんですー。




7 マガジーヌ



私がめちゃくちゃに参ってしまったのがこれ!!!

なんかえらく大雑把な形状のパンオショコラだ。

一層一層がこんなにめくり上がっているのってあまり見たことがない…。

一枚一枚めくって食べるか、そのまま層を一気に嚼み崩すか、迷うなぁ〜。

この層は、見たまんま、ぱりんぱりん!!

揚げ春巻きのごとく、気持ちよくバリンバリンと大きな屑を飛び散らかす。

しかも味がめっちゃ濃いっ!!! ほんのかけらを拾って口にしただけでも濃〜いバターの焦げたような香りが…。

私の中でまさに伊勢原方面のあのクロワッサンが脳裏に浮かんでしまったほどに美味しかったのだ!

どれくらい美味しかったか、伝わります?(笑))


ビターなチョコもかなり厚手に入ってる。

普通パンオショコラって、チョコを入れ過ぎると生地の味が負けちゃう気がするけど、

これは生地もストロングだからなーー、イイ勝負!


ここでシェフの解説が。「雑誌を丸めたようなカタチをイメージして…」

あーー、なるほどなるほど!! 確かにこの大雑把な巻き方は!

パンだけじゃなく、ネーミングとかにもすごいセンスを感じるなぁ。

(って、レジュメにも書いてあったのに全然目を通してない私…)




8 トリコロール



これ以後のパンは、最初は出る予定がなかった、ピンチヒッターなパンたち!

結局14種類ものパンを披露してくれることになったのだ…。あぁぁ、なんてこと。なんてこと。

(*このトリコロールのあとに「恒例・クイズ大会」があったのだが、先にパンを全部紹介しよう)


この惣菜パンはトマトのあざやかな赤が目を惹く。

それにバターロール生地とバジルで三色のトリコロール。

口に運ぶと、ぷぅんとツナサラダの匂いがする。ビンゴ! 下にたっぷりとツナサラダが敷いてある。

さっきも書いたが、油の染みたソフト生地に弱いんですからー!

こういうのをお昼に食べたいよ、たまにはこういうきれいなトマトパンを!

(私はいつもぐちょぐちょべちょべちょのトマトパンを食べておりますから(笑))




9 レザンヴェール



カリフォルニアレーズンコンテストで優勝した作品なんだとか! むひょー。

これ、グランマニエ漬けのレーズンとピスタチオをクリームチーズを折り込んだ生地にまぜこんだもの。

さらにローズマリーで香りづけ。見た目もリッチで、特に断面図が…!

ここでローズマリーを使うところが、やっぱり普段からグルメしている人ならではのアイデアだと思うなぁ。




10 ルパン・ジャポネ



粉比100%のあんこが練り込まれた(!)ケーキ。

これも口にした瞬間に、悲鳴をあげてしまった…。お汁粉をイメージしているとかで、

中に求肥みたいなものが入っているではないの! クコの実も入っていた覚えが。

しーかーもー、これ、生地全体にココナッツがまぜられているから食感もしゃくしゃくとしていて

たんなる「あんこケーキ」とは一線を画す!! ものすごぉ〜くリッチなケーキ。

そう、今日は改めてmaduのパンがいかに凝りに凝っているということを見せつけられた…。

このお汁粉ケーキはだめ押しみたいなもんだった(笑)。




11 ショソン・オ・ポティロン


(ごめんなさい、画像なし…)

小さなパイには、名前の通りにかぼちゃペーストが入っているのだけど、

かぼちゃにしては妙に甘い。この甘さ…いったいなに?!

同席者の間で一斉に「これはイチジク!」と。

かぼちゃなのに、プチプチとイチジクの種が入っていて濃厚〜!!




12 ボストック・オー・フルール



絶品ヴィエノワズリーはまだまだ続く。

ボストックにしてはやたらしっとりほろほろとしていてもろい、手で持つと崩れる!

生地のほとんどがクレームダマンドって感じで、ほろほろしているのだ。

ピスタチオのクレームダマンドで、色は少し黄緑かかっている。

シロップでしとしとしているのだけど、なんとローズヒップのシロップ?!

うひゃあ、またまた凝ってるぅ…!




13 トロペジェンヌ



一見シュークリームのようなクリームパン。

焦がしバターとヘーゼルナッツの入ったブリオッシュ生地にクレームパティシエ−ルがたっぷりと溢れんばかり。

中にはなんか黒い板みたいなものが入っているけど…、、もしや…、、これって?!

な、なんと「トリュフ」が入っているのだ!

がーーん、やっちゃいましたか、入れちゃいましたか(笑)。

クリームにトリュフ…というのは、もちろん初めての組み合わせだけど、

これが不思議に合わなくはない。トリュフの酔っ払いそうなコク(というかクセ)がぐわぐわ来るので

不思議にクリームの方がさっぱり感じてしまうほど。ひゃーー、一体これを売るとなったらいくらになるの?(笑)






ここで恒例のプレゼント争奪クイズの開始!!

今回の商品はなんと、出版されたばかりのシェフの著書とのこと!

商品がパンでも嬉しいけど、本となるとそれ以上にやる気がでてしまった。

前回もクイズで外れたし、ここはぜーーーったいに負けられない!!

前回も前々回もかなーりいい線まで行ったもん、今日は負ける気がしません!

(あぁっ、シェフに関する記事とか、おさらいしてくるべきだった〜)




1問!

1番手間ひまかかっているパンはどれ?」

(1)リュスティックノア

(2)クロワッサン

(3)パン・ペルデュ


これはかなーり引っかけだろうなぁ〜。

パン・ぺルデュは、元になるバゲットを作る時点から含めるのかしら?

でも、決め手はさっきテーブルのみんなで話していた

「リュスの生地って扱いづらくてほんと手間かかるんだよねぇ〜」の会話。


結局正解は(1)リュスティックノア。

うちのテーブルはほぼ全員勝利(笑)。




2問!

「マディで1番個数が売れているパンはどれ?」

(1)フォカッチャゴルゴンゾーラ

(2)マガジーヌ

(3)ル・ブッシュ


…これもなかなか難しい問題だけど、実は私、ル・ブッシュをイチジク胡桃のパンではなくて、

「カンパーニュ」と名前を勘違いしていたから正解したのだ(笑)。

「カンパーニュは絶対売れにくい(一般受けしない)パンだと思うからなぁ…。

ゴルゴンゾーラもクセが強いから一般受けしない。

一番一般受けするのはクロワッサン系だろう!!」


結局正解は(2)マガジーヌ。

イエー−ーイ!! 勝てる! 勝てる!!




3問!

「パン職人を目指したきっかけは?」

(1)実家がパン屋さんだった

(2)お母さんに「あんた、パン屋でもなったらええねん」と言われた

(えーっと、セリフ違ったかな?(笑))

(3)好きな女の子がパン職人を目指していた


正解は(2)。

…この問題をどうやって間違えると言うの!(笑)




4問!

「採算や手間を考えなければ、どんなパンを作りたい?」

(1) フォアグラ、トリュフなど料理の食材を元にしたパン

(2)自分の生まれた年のワインやバルサミコを使ったパン

(3)種から育てた野菜やハーブを使ったパン


普段、パンのアイデア収集するときに、パン屋さんにはいかず

飲み屋やレストランでパンのアイデアを得るというシェフ。

そんなようなことをさっきお話されていたから、これも正解は(1)!!



えぇ?! も、もう3人に絞られてる!! もしかして次が決勝?!

こうなったら絶対あてたる!!! 私に二言はなーーい!





5問!

「パン屋として働いていて一番嬉しかったことは?」

(1)毎日焼きたてのパンに会えること

(2)本を出版できたこと

(3)早起きに強くなったこと


こ、これは…なんとなーくシェフのタイプを考えても、(1)と(3)ではなかろう(笑)。

自信満々で(2)を選択。そして正解ーーー!!! きゃーー勝ったーー!!






「本を出版できたこと」が一番嬉しかったこと、と聞くと

「ミーハー?」って思われるかも知れないけど

でもよく話を聞くと、こういう思いがあるそうだ。



「パンは食べたらカタチには残らないけれど、

こうして本にすることで、

自分の『作品』が後々にも残せることが何より嬉しい」



あぁ、…それ、すごくよくわかる。


人は何かを残したいから、音楽を作ったり、小説を書いたり、芝居をしたりする。

シェフの場合は、自分が考えて生み出したパンとレシピだったわけだ。

そう、私も何かを残したいから、HPを作っているんだもん。

(私の場合、人様の作品を撮らせてもらっている立場だが…ずるい?(笑))

すごくよくわかる。


このレシピ本に載っている宝石のように美しいパンとお菓子たちは、

直接食べることはできない人にも、

きっとため息と幸せなひとときを味わってもらえるはずだもの!


シェフの喜びが詰まったこの本をゲットできて、本当に私も嬉しい。

パンのお土産も、本のお土産までも!!


そして、もうひとつ。

これまで、「代官山にある美味しいパン屋さんの中のひとつ」だったmadu。

こうやってフューチャーして徹底的に頂くことで、今まで知らなかったmaduがそこにあった。

「大好きなパン屋さん」がひとつ増えてしまったことが

なによりも一番のお土産かも知れない。





シェフと抱擁こそしなかったが(笑)

握手をしてVサインをしながら席に戻った私だった。




(ハンドルネームのスペルを説明するのが面倒だったのでカタカナで(笑)。

そしてお土産のプレシュード・レザン…山椒入りのレーズンパン!)