35.パンとチーズのマリアージュ@D&D丸の内
35.パンとチーズのマリアージュ@D&D丸の内
2月中旬。恒例パンクラブのお話会。
前々回のZopfライ麦パン、
前回のORANGクリスマスパーティーに続く、
今回で三回目の参加。今回はパンとチーズというテーマで、
なんと丸の内Dean&Delucaのレストランスペースを貸し切りにしての開催だ。
パンクラブメンバーで、フランスでのチーズ研修の経験のある方の
チーズに関するお話を聞きながら、パンとワインも楽しんじゃおうという企画。
私はチーズは臭ければ臭いほど好き、どんなにクセがあっても大丈夫。
やっぱり脂肪分の高い、とろけるようなチーズがコクのあるチーズが好き!
(ブリーやカマンベールがやっぱり好き。もちろんブルー系も、ウォッシュ系も…)
Paris滞在中には、ここぞとばかり安価に買えるチーズをいただいた。
普段もチーズの入ったパンには目がないし、たまに奮発して購入することもある。
…といいながらも、意外とチーズの銘柄って詳しくないかもしれない。
ラベルを見ればわかるけど、名前だけ聞いてもピンとこないことが多い。
自分が食べたことがあるものなんて、ほんの微々たるものにしか過ぎない。
よっしゃ、チーズにちょびっと詳しくなっちゃえーというわけで即申し込み!
*
今日はあいにくの雨模様なので、本来光がたくさん差し込む昼のD&Dもちょっと暗め。
でもその分間接照明が効いて雰囲気は上々!
(*残念ながらかなり暗かったので画像は手ぶれだらけ失敗だらけ…あしからず)
メンバー35人全員の自己紹介が終わってから、
まずはチーズのレクチャーからスタート。
今回用意されたのは9種類。フランス産は8種類、イタリア産は1種類。
ひとつひとつに丁寧で詳しい説明がなされる…その時間、約1時間。
メンバーたちはみんな真剣にレジュメにメモを書き留めている。
私だってもちろん一生懸命聞いたさ。聞いていたとも。
…聞いていたけど、なんせ昼ご飯抜きで来たので腹ぺこグーグー。
説明がなされるたびに口に入れたくなるのが人情だわ〜(笑)。
じゃん! これが今回用意されたチーズたち!
D&D品川店から取り寄せた、クサさぷんぷんの熟れたチーズたち。
これだけのチーズが揃うと、本当に臭い立つ。
写真撮影に群がるメンバーたち。えぇ、もちろん私も乗り出して激写!
早く食わせろー(笑)。
各テーブルには、チーズと相性のいいジャム瓶が用意されていた。
洋梨のジャム、サクランボのジャム、アカシアはちみつ。
あぁ、だめ。蛇の生殺し(笑)。今すぐ開けちゃだめ?(笑)
早く食わせろーっ。
そして本日のパン。
D&Dらしいラインナップということで、
ポワンタージュからは1種、
バゲットトラディショナル。
メゾンカイザーからは4種、
パンオノア、カンパーニュ、イチジク、チャバタ。
どれもよく食べる店なのでその美味しさは重々承知の助。
だからというわけじゃないけど、本音は重たいドイツパンも欲しいところだったかもしれない。
それと、ちょうど私はこの日パンをいくつか買って来ていたのでそれを取り出して
食べてもよかったかも…なんて思ったり。
しかしそんな必要は全くなかったのだ。
結局のところ時間的にこれでも十分すぎるほどだった。
(もちろん、このパンたちでめっちゃくちゃ至福の思いが出来たのだから!)
とにかく早く食わせろーー(笑)。
そしてソムリエの方の説明を受けながら、ワインも紹介される!
私はワインには全く疎い。
赤ワインのあのタンニンの香りが苦手だったりするのだ(ものによるけど)。
白のフルーティーなものが好きなのだ(子どもだと言ってくれ(笑))
だいたい、ワインの味の説明って、抽象的でよーわからんものが多いじゃない?
貴婦人のような…とか、濡れた子犬の鼻のような…とか。わかんないって(笑)。
カリフォルニアワインの「ソービニヨンブラン」という品種の白ワインは、
けもの臭とかアスファルトの匂い…とか言っていたな。
なんとなくわかるようでやっぱりわからない(笑)。
なので私は一番分かりやすい説明だった
フランス産白ワインの「マージュ」にしてもらった。
マスカットの風味のフルーティーなワインで、とても飲みやすかった。
ようやく実食!!
各テーブルには、ジャムとバターがまず置かれる。
うぉう、ジャムの瓶、開けなくて良かったよ(笑)。
残り時間あと30分くらいしかないけど、果たして好みのチーズは見つかるかな?
自分好みのマリアージュは見つかるかな?!
ずわん!!!
す、すごい!! めちゃくちゃ壮観!!
次々とチーズたちがテーブルの上を占拠して行く!
「今回はあまり量は用意ができないからお昼は食べて来た方がいい」
そういうふれこみだったのだけど、こりゃ空腹で来てよかったわ〜!
ひとつあたりのカットがなんていう大きさ!
あまりの豪華さに、どこから攻略していいか、あわわあわわと右往左往。
えーい、落ち着け自分!!(笑)
もうどれがどのチーズだか全然わかんなくなってくる(笑)。
レジュメとにらめっこしながら、「これは○○だよー」って手探りしながら食べる。
「これはヤギ味だから○○だわよ」と断言しつつも全然違ったり(かっこ悪ー(笑))。
でも、その失敗を経たからこそ思いがけないマリアージュを発見できたりもしたのだ。
上から右回りに見ていこう。
フルムダンベール
(フランス・オーベルニュ産/青かび/牛乳)
お馴染みのブルーチーズ。よくはちみつと合わせてパンに使われているあのチーズ。
青かびの量のわりにはマイルドで食べやすいのは、
白いチーズ部分の塩気が控えめでクリーミーであるため。
はちみつと合わせるのはもちろんだけど、なんといってもジャムとの相性が最高!(詳しくは後述)
ブリー・ド・モー
(フランス・イルドフランス/白カビ/牛乳)
やっぱり私はこれが一番好き。フランスでもこればっかり食べていた。
熟れ熟れのとろとろ〜!
日本でこの量を買ったら、数百円はするよね、一人当りたっぷり当るので絶対お得!!
オッソー・イラティ
(フランス・アキテーヌ産/非加熱圧搾/羊)
バターのような風味とぴりりとしたスパイシーな風味の硬質チーズ。
サクランボジャムと合わせたお菓子が美味しかったとのことで、
サクランボジャムといただくのが当地風だとか。
その通り、臭みとジャムの相性が絶品だった(詳しくは後述)
コンテ
(フランシュコンテ産/加熱圧搾/牛乳)
おなじみのコンテ。臭みのある硬質チーズ。
よくカスクルートにも挟まれたりと、食べる機会がほんとに多い。
私はParisでも一杯買って来たけど、安物ばかり買って来たので生で食べるとなんか臭くてさ(笑)
なのでほとんどパンの上で焼いてとろとろにしていただくのがマイ定番だった。
しかしこれはさすがに生でも美味しいコンテだったー。栗のようなほくほくした風味というのはよくわかる。
しかし今日はあまりその場では食べず、結局家でとろとろにとろけさせて
ニコラロデブにサンドして 食べたという(笑)。悶絶。
セル=シュル=シェール
(フランス・サントル産/自然の表皮/山羊)
表面にブルーグレーの木炭がまぶされた山羊チーズ。
これ、チーズショップで見かけるたびに食べてみたいーっていつも思っていたけど
なかなか食べる機会がなくって。超ラッキー!
シェーブルって、臭くて太刀打ちできない時があるけど
これは臭みがなくて酸味が強くて爽やか! さっぱりしている。
ミラベラ
(フランス・シャンパーニュ地方/ウォッシュ/牛乳)
ミラベルのお酒で洗ったもの。 ウォッシュなのでその鼻がもげるような臭さを期待したら、
あらら、結構クセがなくて淡白。話に寄ると、これはかなり若いものなのだとか。
チーズ自体が淡白だったので、これはイチジクのパンとか、
パン自体に甘さやクセのあるものの方が美味しく食べられる感じだった。
タレッジオ
(イタリアロンバルディア地方/ウォッシュ/牛乳)
ウォッシュだけどねっとりとした酸味のあるクリーミーな味わいとのこと。
地元ではリゾットによく使われるらしいが絶品だそう! うひー、そういうの食べたい。
このチーズに関してのみ、全く記憶がないのだ。
この原稿を書くのにもう一度食べ直そうとしたら、すでに残ってなかった(泣)。
残さず食べて来た、ということはよほど美味しかったはず。覚えてないけど(笑)。
(もしかしたら↓のサン・フェリシアンと間違えている可能性も…もうごちゃまぜ(笑))
モン=ドール
(フランシュコンテ産/ウォッシュ/牛乳)
熟成するとスプーンですくえるほどにとろとろに…ということで
粋にスプーンで提供された。もみの木のベルトでまかれてあるとのことだが、
一口食べてその草木のような草クサさに笑みがこぼれる。
このクサさ…私がイメージする「フランスのクサさ」なのだ。
向こうで何を食べても、なんとなーくこの「草くささ」みたいなものがつきまとっていたっけ。
私の中では、これが一番「あぁ、フランスのチーズ臭いなぁー」って思わされた。
サン・フェリシアン
(フランス・ローヌアルプ産/自然の表皮/牛乳)
爽やかだけど、まろやかでクリームチーズっぽい優しい味わい。つまり非常に食べやすい。
私はてっきり最初にこれを食べて、「これがサクランボジャムと合うチーズだよぉ」と主張して
同席していた人たちにジャムをつけて食べさせたが全然はずれだった(笑)。ごめーん。
しかしそれは怪我の巧妙、これがすんごく相性がよかった!
考えてみたらクリームチーズとサクランボジャムが合わないわけがないものね。
そらー旨いわけだ。って、言い訳がましい(笑)。
パンはいくらでもお替わりがあって、こりゃまいったわ(笑)。
お持ち帰り分なんて全然期待していなかったのに、めっちゃたくさんいただいちゃった。
これはほんの一部。この倍はいただいたのだから。
ちなみに、素で食べても絶品のポワンタージュのバゲットを何度もお替わりしまくり。
甘くてネチネチしたバゲットは、チーズに負けない旨味があるから、なんでも受け止めてくれる。
もちろん、カイザーのパンたちもどれもこれも大好きなものばかりなので、
パンナイフでカットしてはチーズ載せて、ジャム載せて、
ワインで口をすすいで…と、あー忙し忙し!!
それに、いちいち「なんじゃこりゃー」「ぎゃおうウマすぎー」と
いちいち大騒ぎするのでますます忙しい(笑)。
あぁ、落ち着け自分!!(笑)
*
では、本日発見したトレトレボーンなマリアージュたちを紹介!!
まずは最初に組み合わせた、カンパーニュ+サン・フェリシアン+サクランボジャム。
本当はオッソー・イラティが「サクランボと合う」と紹介されたのに、
どれがどれだかわからんから、とりあえずこれを組み合わせて食べてみたら、早速悶絶ぅ!
クリーミーなチーズにはやっぱり酸味の強いジャムが合うのだわ。
…しかし、本家(?)オッソー・イラティとサクランボジャムの方がやっぱり絶品だった(笑)。
臭みがより強いオッソー・イラティの方が、コクがしつこく口の中で停留するのだった。
なんといっても今回の悶絶大賞はこれ!!!
バゲット+フルムダンベール+洋梨ジャム!!
とにかくこの洋梨ジャムがいったいなんなのーーってほどに美味しいのだ。
ジャムだけど、今にも「しゃくしゃく…」と洋梨の食感まで蘇りそうなほど、
洋梨そのままの甘さがするジャム。だから甘さもそれほどきつくない。
ものすごく美味美味。これにフルムダンベールのコクと、カビの酸味が合わさってかつてない体験…。
みんなごめんね、最後の最後までこればっかり食べていた気がする。
もちろん、これもやりますよ、フルムダンベール+はちみつ!
さらにジャムを組み合わせるパターンもやってみた。もう最高ですからっ!
わりとクセのないタイプのはちみつだけど、私はこれくらいマイルドな方が好き。
クセが強すぎると、はちみつがチーズもパンも支配しちゃうから。
垂れるハチミツ…。カメラに納めるためにこの後、本当にズボンに垂れましたから。自己犠牲!(笑)
そうそう、番外。
チーズと胡椒の組み合わせの美味しさは、パンでもよく味わう機会がある。
(最近、チーズ&胡椒のパンがよく登場しているから!)
そこで、同席のNさんがお店のスタッフに頼んで胡椒をもらってくれたのだ。
ナイスアドリブ!(笑) うちのテーブルだけだよ〜こんな美味しい思いしたのはっ!
*
時間があれば、際限なく組み合わせて食べていたでしょう。
それでも、あれだけあったチーズはもうほとんど残ってなくて、
半分以上はその場でしっかり味わって帰って来た。
せっかく家で復習しようにも、ほとんど残ってなかったよぉぉ。
今回チーズを解説してくれたAさんの知識には脱帽!
たぶん、こんなのはほんの引き出しの一部にしか過ぎなくて、
きっともっとチーズの語り箱が用意されているんだろうなぁ〜ってひたすら感心した。
同席の子たちとため息をついた。
「チーズ売り場に一緒に行ってもらいたいねぇ、
レストランに一緒に行ってもらいたいねぇ」と
彼女を拉致ってしまおうか計画も画策したが(笑)。
今度はどっしりライ麦パンも用意してチーズのおさらいから始めようか。
チーズの世界を開いたら、ますますパンの世界も広がって行く。
でもそれはちょっと恐いかな、
パンだけでもうちは十分にパンゲル係数が高すぎるのだからねぇ、危険!(笑)