47-3.灼熱晴女の関西リターンズ4DAYS 〜和歌山GAMA#2〜



4DAYS 1日目と2日目のストーリーはこちら

4DAYS 3日目(朝)のストーリーはこちら


2004年GAMA来訪時はこちら

2004年を復習してからご覧頂くと一層お楽しみ頂けます(笑)



2004年に数多く出会ったパンとパン屋とパン旅の中で

一番強烈に再訪したかったのは、ここだった。

忘れろって言われても忘れられない。

世界の中心でパンとふたりっきりになったあの日のことを。



あれから一年。

まったく同じストーリーを求めているわけではない。

ところがこの日、私はあの日とまったく同じルートを通っていた。

朝シュクレへ、昼に和歌山へ、そして夜は京都へ行く。

まったく同じことをくり返そうとしている。


偶然なのか、はたまた意図的なのか(笑)。

でも、去年のあの日とはまったく違う、

また強烈なストーリーが生まれてしまった。






シュクレから車で難波まで送ってもらう途中の会話。

私はシュクレのパンをナイフとラップで梱包していた。

mi_waちん、保冷剤は持ってきたん?」

「は? クリームの入ったパンは買ってないし、いらないよ?」

「違う違う、自分を冷やすやつ! 熱射病になるでー」





そう! 今日は恐ろしいほどに灼熱の関西地方、

淀屋橋の電光掲示板が示す気温は36度?! ありえない!!


くれぐれも熱射病には気をつけや、

そう姐さんに見送られて難波から南海電車に乗った。


一年前のあの日から、絶対再訪しようと決めていたGAMA。

もちろん、歩いていくことしか考えてなかったし、

ひとりで行くことしか考えてなかった。


たったひとりになりたい、またあの森の中で。

だから、週末を避けて金曜日のこの日にすべてを…。

まぁ、去年があの天気だったし、

雨だろうと嵐だろうと歩いていけるさ、と(笑)。





難波から約1時間。

最寄り駅の御幸辻に着いたのは13時ちょっとすぎ。

「一心不乱に迷わず歩けば50分」

これを信じるならば(笑)、14時には到着するだろう。

日傘をさし、いざ行かん!





想像以上にこの日は暑くて、アスファルトからの照り返しで

ほんの10分歩いた程度で顔が火照ってきた。

そうそう、しかも少し坂道だしさーっ。

歩く先々の風景は、まさに自分のHPに載せている画像そのもの(笑)。

同じところで同じ写真を撮っている私である(笑)。





しかも同じところで缶ビール買ってるし(笑)。

一気に飲み干した。かーっ、気持ちいい!

もちろん、この暑さにアルコールは悪いと思うんだけど、

この後、この空き缶は大きな助けとなるのだった。





去年も同じところで手を合わせたトトロの地蔵さん。

でもお賽銭は今回はしなかったの(笑)、ごめんあそばせ。





これも(笑)。和歌山は柿の産地。

同じショットばかりで失礼〜。

歩き始めるときは、「今年は去年ほどのサプライズはないだろうなー」と

もしかしたらつまらない道のりになるんじゃないかなと思ったのだが、

おかしな話、自分のHPに載せたことで記憶は鮮明、

「あ、ここ覚えてる!」「あ、ここも!」

みたいなことをやっているから飽きやしない(笑)。





そうそう、最初の看板はここだったね。

今度はだまされないぞー(笑)。

ここからが長いんだってば、道のりは!!





どんどん汗が吹き出してくる。

でも、田んぼの穂先が揺れない程度の柔らかい風が吹いていた。

その風のおかげでだいぶ楽だったのかも知れない。





実はさっきから一生懸命さがしていたのが、水のくめるところ。

どこのお宅でも玄関先に蛇口があったが、

ホースが着いていたりで、ちょっと勝手に触れない(当たり前)。

ようやくみつけた最初の水汲み場が、古い公民館の軒先。

ビールの空き缶に水を注いで、マラソン選手のように体にかけて冷しながら行こうという作戦。





体にぱしゃぱしゃ水をかけながら歩く。歩く。

遠い、と分かり切っているところを歩くのは心理的に楽なのか、苦なのか。

自分でもよくわからないや(笑)。





おぉ! わき水がじゃーじゃーでている!!

これなら心置きなく水が汲める!





ひんやりして気持ちがいいーー!!

さあ、じゃぶじゃぶかけて進もう!






これは4つ目の看板。

去年行った時は「看板増やそうと思ってるんですよね」なんて言っていたのに

全然増えてないじゃないですか(笑)。





この辺りで、一台の車に声をかけられた。

熟年夫婦の乗ったセダンだ。

「この先に、山田のGAMAというパン屋はありますか?」

「ずーっと先ですよ、不安になるくらいの距離ですけど。

まっすぐこのまま行ってください!」


私もGAMAに向かっている、と告げると、

案の定(?)乗って行かないかと言ってくださった。

もちろん私はお断りした…。

この炎天下の中、まだまだ歩く私はなんと酔狂な若者に写っただろう。





また湧き水発見!!

今度はここで顔もざぶざぶ洗った。

水もたっぷり補給した。こっそり飲んでもみたが、冷たくて美味しかった。





しばらく歩くと、あのセダンが引き返して来た。

もう着いたの? もう帰って来たの? 早いなーと思ったが、

その数分後、またセダンは後方でUターンしてまた戻って来た。

やっぱり不安になって引き返して来たらしい(笑)。

「大丈夫、ほんとこのまま進んでください、ありますよ!」

まだあなたは歩く気なのか、乗って行かないか、と心配してくださったが

また丁寧に辞退させて頂いた(笑)。とことん酔狂なのである。

セダンの後ろ姿を見送りながら、また歩き出した。





そうそう、もうすぐだ。

民家がだんだん減って来たからもうすぐだ!

柿畑の向こうに広がる、歩いて来た道のり。ずいぶん遠くへ来たもんだ!




…そして、ようやく見えて来た、最後の看板!!

一番中央にうっすら見える、白い看板。





「ゴミ捨てるな!」

そう、この町では、やたらゴミ捨てるな看板を見かける。

おかげさまで、ビールの缶はずっと持ち歩きましたとも。

(あ、でも最後GAMAさんところに置き去りにして来たかも…)





さぁ、この看板を曲がればラストスパート。

でも、ここからが記憶以上に結構長かった(笑)。

汗は滝のように流れ、息はぜーぜーはーはー。

サウナ風呂でマラソンをしているかのような感じだ!





「♪ ♪ ♪」

陽気なアフリカンダンスが流れてる。

あぁ! 着いたーー!!!

ほぼ50分!! 実証「一心不乱に歩けば50分!」(笑)





本当は梅雨が開けてじめじめが過ぎ去ってから

金曜日限定ランチを再開するつもりだったらしいのだけど、

何の気なしに「金曜日行きますっ、ランチ楽しみにしてます!」みたいな

挑戦状(?)を送りつけた私(笑)、

なんとこの日は雨だろうと嵐だろうとランチをやってくれるとな!

わーん。泣いていいですかー。





社長ー! ごぶさたでっす。

私のこと、覚えてますか?

はーん、知らないよ、暑いんだもん。

彼がそう言ったかどうかは定かではない。





パンの小屋に入ると、さっきの熟年夫婦がパンを選んでいた。

よかったよかった、無事つきましたね。

あ、それはそっちのセリフですか。

(このおじさん、私が中条でランチを食べているときにも「乗って行きませんか」

とわざわざ声をかけていただいた。ほんとありがとうございます)





相変わらずソウルフルなパンたちばかり…!

あぁ、あのパンもこのパンも、また食べたかったものばかり。





それにしても、なんて魂のこもったパンだろう。

味だけでなく、造形が、何かを叫んでいる。

それを説明する手書きカードは相変わらず底抜けに陽気!

やっぱり酔っ払ってんなぁ〜(笑)。





たまたま居合わせた雑貨を卸しているアーティストの女性がこう言った。

「まるでスコールにあったように濡れてる!」と。

店に入って、玉のように汗腺から吹き出す汗に驚いた!

全身がこの状態だった。

シャツもズボンも下着もずぶ濡れだった。

去年は雨で濡れていたのに、今年は汗で同じ状態に(笑)。





取りあえず、ランチを待つ間に、パンを食べていよう。

もちろん、場所は「中条」で!!

窯を通り過ぎ、建物の裏側に回る。





去年来た時は曇り空だったけれど、今日は緑がなお一層映える。

くつろぎの川床、中条はこちらです!!





やったやった! 今日も一人きりだ!

ほんとにこれは狙い通り、この空間をひとりじめできる!!





私は川に足を入れた。冷たい! けど胸まで浸かりたい!

溢れる緑と爽やかな風と差し込む光。

やっぱり来てよかった…!





ランチがくるまでパンを広げていよう。





前回ひたすら感動したヨモギベーグルの裏側(笑)。

なんだかほんと、生き物みたいだなぁ〜。





ガーリックと塩ががんがん効きまくったフォカッチャ、

ニョクマムフランス、どれも「酒もってこーい、酒ー」なパン。

飲め飲めーと、パンにあおられる私。

パンとビールを交互に飲んでは、悶絶している私だった。





ここからが、思い掛けないことが立て続けに起こる。


おにいさんが持って来てくれたのは、替えのTシャツと水着!

「あいつのものなんですけど、よかったらこれ着て川で汗を流しては?」

ぎゃーーー!! なんですと!!!

いいんですか、ほんとにいいんですか?

私、こういうおもしろいことには全然遠慮しないんで、まじやっちゃいますよ?!





ひとりっきりであるのをいいことに、ずぶ濡れの衣類と下着を全部脱ぎ、

遠慮なくおねえさんの水着を着る。

おぉ、奇跡的にサイズはぴったり!(いや、ちょっときつい(笑))

服は木にかけて乾燥。


そして





本邦初公開、水着ショット(笑)。

なぜかビールを片手に川に入ったが(笑)、川の中心で飲むビールはなんて旨いのか!!!





ビールを岩に置き、ざぶざぶと水を体にかける。

遠慮なく川に浸かる。なんて気持ちがいいんだろう!!

川遊びなんて、いつぶりだろう。子供の頃に戻ったかのよう!!

前に来た時、「魂の洗濯をしにまた来たい」と思ったけれど、

まさか本当に体を洗濯するとは思わなかった(笑)。





私が川遊びをしているころ、おふたりがランチを運んで来てくれた。

ぎゃー、めちゃくちゃ恥ずかしいけれど、恥ずかしがっているのももっと恥ずかしい。

ずぶ濡れのシャツを見て、「日なたに干せばすぐ乾くと思うから」と、

シャツを上まで持って行ってくれたおねえさん。


あぁぁ、水着姿を見られることよりも、

干しっぱなしのブラジャーとパンツを見られることよりも、

汚いずぶ濡れシャツを手づかみで

運んでいってくださったことの方が恥ずかしいですっ、わたし!(笑)





川からあがると、用意されていたのはGAMAスペシャルランチ!

えぇ、えぇ?! こんなにすごいボリューム!

とくにパンの量がすごいんですけどーー。

なんともワイルドでGAMAらしいランチじゃないか!





お行儀なんて今さらなんだってんだ、水着のまま、足を大の字に広げて食べるべし!

だって、ここには私しかいないんだもん!!

いっただきま〜す!!






アサリと野菜のトマトベースのイタリーラグーソース。

海老とニシンの出汁がめちゃくちゃ効いていて、とにかく絶品だった。

これでもかと入っているアサリの実をひとつひとつ剥く。

とても時間がかかるのだけど、これぞまさしくスローフードなんだなぁ…と実感した。

次の一口がこんなに待ち遠しくなるんだもん、スローフード万歳だ。





トーストされたパンたち。オリーブオイルがかかっていたり、バターが塗られていたり。


ドライトマトと大葉を刻んだブルスケッタにひたすら感動…!!

本当に美味しいパンを焼く職人は、料理も上手なのはよくあることなのだが、

それは、美味しいもの、をよく知っているからなんだろう。

中条で食べるから、なおさら美味しさが加味される。

最高のGAMAランチだった。


(*そうそう、この中条は最高に気持ちがいいのだけど、欠点はものすごい虫だらけということ。

虫嫌いな人にはちょっと無理かも。虫ごと食べる気合いで行けば(笑)大丈夫でしょう)





食後にはアイスコーヒー、

そしてサービスして頂いたキャロットオレンジ(ほんっとに濃くてイタリアーん!)。

4時すぎの電車に間に合うように送ってくれるとのことで、

それまではゆっくりゆっくり、ゆるゆるさせてもらった。

ここに来ると、本当に予期せぬことばっかり起こるんだもん。

時間が許す限り、ずっとここでこうしていたかった。


風邪ひくからと、シャワーまで進めてくださり、

しかもおねえさん、私の下着がまだ乾いてないことに気付いて

…あぁ、これ以上、パンサイトでは書けません(笑)。

パン屋さんにここまでして頂くなんて、うわぁぁ、マジでっか!(笑)

なんかほんとにイイ人たちで、泣けてくる…。


ありがとう。

ありがとう。

この御恩は、来年また「川の家」(笑)に

遊びに来ることでお返しさせていただきやす!

今度はちゃんと水着とタオルと「着替え」を持って行きます(笑)。




* そして京都へつづく *