14-2.3月関西パン紀行 〜掟やぶりのイートイン(東風&ボンボランテ)〜




1日目はこちら


京都に戻り、かなりゆったりとしたペースでパン屋さんを訪問。

私が「ゆっくり回りたい」という要望を伝えたら

京都チームが無理のない、かつ、効率的なルートを提案してくれたおかげだ。

とかいいながら、結構な軒数を回った気がする。



ちなみにトップの画像はhohoemiのベーコンとフライオニオンのエピ 。

このカフェベーカリーは、鴨川に程近い場所にあるので、

「パンと風景」をパシャリ(笑)。

(またこのパターンかよ、なんて言わないで〜(笑))




雑貨屋さんのような手作りカフェ、というような感じなのだが、

どうもテーブルとイスの存在感が薄い。

なんでかな、と思ったら、どちらも背が低いからだ。

天井がより高く感じる。

暖かみもありながらどこか無機質さのあるスタジオ風内装。

京都には入ってみたいセンスのいいカフェがたくさんある。

きっと、私達がパン屋さん巡りをするのと同じように、

カフェ巡りのためだけに京都に来る人もいそうだな。



***



BREAD★ROOM





こちらはビゴの店を経験されている方が焼いているオシャレなパン屋さん。

隣のカフェでもイートインができる(が、経営は違うらしい)。

お昼時だったので、和食のランチのイイ香りが充満する中で

購入したパンと、抹茶&バナナのドリンクでひと休み。

バリと和を融合させたようなアジアンテイストのインテリアで、

ここのカフェのセンスも





ここのパンも、がつんとハードなクラストで優良!!

ざくっとしていて、焼き立てならではの、しっとりしたクラム。

カレンズやくるみ、フィグやアニス、トマトとハーブ、

どのパンも具の効かせ方が上手。

ただ、どのパンも過不足なく美味しいゆえ、

美味しいがゆえの個性のなさ、みたいなものは感じる(笑)。

対面式のショーケースの中から、ザマンドやモーンデニッシュたちも

私を誘惑するけれど…ここはぐっとプチパンだけで我慢我慢。

…あー、ここ一軒だったらもっと買えるのに。



***


私の大本命、ボンボランテ!




本当に看板がなくて、危うく見落としそうになる。

きっと、知らなかったら素通りしてしまうかもしれない。

いや、きっと窯から香るパンの香りに吸い寄せられて

目よりも鼻が先にキャッチできるかもしれない。


残念ながら、店頭の写真しか残っていなくて…。

小さな店ながら、女職人が丁寧に焼き上げるパンは

大量生産できないゆえ、種類も量も少ない。

だからこそ、どのパンもすごく大事に感じられる。


私達が来店した時も、人が並んできた。

普段はもっと並んだりするのだろう。

店の中には入りきれずに、外にまで列をなして、自分の番を待つのだろう。

この感覚は、Parisでパン屋さんを並ぶ時の感覚に似ている気がした。

評判だから、とか、物珍しいものだから、とかではなく、

純粋に美味しいパンを買うために自然にできる列なのではないだろうか。

たぶん、この店のパンなら、並ぶことも厭わない。


幸運にも、私達が来店した時は、選択の余地がだいぶあった。

ライ麦パンや、もち麦のパン(キャラウェイ入り)など、

いくつかのハード系を購入。

歩きながらその優れた腕前を堪能していた。

…ここのパンについてはまたのちほど登場する…



***



東風(こち)




出町柳から叡山電鉄に乗り換えて、一乗寺へ。

ここには、女性パン職人がひとりですべてをまかなうパン屋さんがある。

山梨のお店から、地元・京都に戻り再オープン。

りんごやにんじん、山芋から起こした酵母を使い、ナチュラルな素材のみを

使って、丁寧に丁寧にパンを作っている。…たったお一人で!!





「この中のパンは食べられません。どうぞ中へ…」




素朴な焼き色のパン達が並ぶ。

どれもしっかり中身が詰まっており、

見た目よりもずっと食べごたえのあるものばかり。




今回このお店を紹介してくれた連れは、

すっかりこの店の虜になり、通いつめるうちに、

オーナーシェフ(って呼んだらすごくかっちょいい!)の

女の子と親しくなったらしい。


「東京からパン好きさんが来るんだよ!」


そんな耳打ちがあったらしい。

ずいぶん張り切って下さったのか、いつもよりも品揃えも品数も

その時間帯の割には多かったらしい。すごく感激!!



すごくきさくで、低姿勢で、照れ屋さんで(笑)、

どこかおっちょこちょいそうなサザエさん的な女の子。

(こんなこと書いていいのか?(笑))

いっぺんに彼女のことが大好きになってしまった!!




すっかり打ち解けてしまい、長居してしまった。

なんと、厨房でみんなで円を囲んでお茶を頂いてしまっている始末。

厨房までお邪魔できるお店なんてそうそうないよ〜?!

しかも…しかも…。

買ったパンをひとくち味見したいとパンを開けようとしたら、

オーブンで焼き戻させてくれちゃったりして!

食べ過ぎると夕食に響きそうな時間だったのでほんのカケラずつ(笑)。


まさかこんな形でイートインできるなんて、嬉しい誤算!!



クロワッサンは噛むと「ぎしぎし」となりそうなほどに巻き込まれた

ずっしり重たいクロワッサン。

バターは控えめであるのに、粉の味に負けないくらいに香りが高い。

それを焼き立て(というか焼き戻してほかほか)で頂けるなんて…。


厨房で過ごさせてもらえるなんてなんて貴重な経験。

仕込みがひと段落ついた彼女も交えて楽しいひとときを過ごす。

前日の余りパンも出してきてくれたのだが、

ここの「雑穀パン」の美味しさに白目をひんむいた…!!

なんでこんなに美味しいのだろう…!!

あわ、ひえ、きび、そば、はと麦、くるみなど、

あらゆる雑穀が混じりあっているにも関わらず、

どれが突出しているわけでなくてひとつの「まろみ」を生み出している。

さらに「むっちりもっちり」とした食感も「甘み」をより強く感じさせてくれる。


遠慮なくむさぼる私(笑)。

ちなみに画像のパンはいちじくのパン。




来るお客さんも交えて大いに話が盛り上がってしまった。

(たまたまかもしれないけれど、若くておしゃれなかわいい子ばかりだった)

みんな、この店のパンと人が好き! って顔をしてお店に入ってくるものだから

ついつい「美味しいですよね〜!」と話し掛けずにはいられない私(笑)。


きっと、お店に来たどんなお客さんとも、会話が必ずあるんだろうなぁ。

私が近くに欲しいのは、こういうお店なんだよな。

パンも好きで人も好き。

残念ながら、私の生活圏にはなかなかそういう店がない。

だからこそ、私は遠くまでパンを買いに行くのだ



***



このあと、本日買ったパン達を梱包し、お得意のクール宅急便。

これなら、東京に帰っても変わらぬ味で楽しめる。

もちろん、全てのパンはちゃんとひとくちずつではあっても味はみている。

(中には食べ切っちゃうものも…止められなくて!)

焼き立て当日の味をしっかり舌にインプットしてから

あとで解凍、焼き戻して食べるのが私のパンの食べ方。



***



夜は、一乗寺のとある居酒屋さんで宴会。

「パンだけでなく、今度じっくりビールでも飲もうよ」

そんな話が出ていたので、この日、個室を予約しておいてくれたのだ。


 


個室?

そう、「個室」。

言葉を変えれば「密室」である。


おもむろにパンを取り出し、昨日大阪のパン友さんが土産に持たせてくれた

絶品のクリームチーズも出して、料理と同時平行に食べていた私達!


ボランテのライ麦パンを切り分ける。

このライ麦パン、ものすっごーーーーく美味しい!!

どれくらい美味しいかを例えるならば、

私の行きつけの店(水海道N(笑))のベルリーナラントブロートの味。

マンデルブロートの生地と同じなのだが、

目がきゅうきゅうと詰まったしっとり生地は

ダイレクトなライ麦の風味に加えて、ものすごいコクがある。

酸味が酸味だと気付かないくらいにまろやかで、

口の中は強烈なコクで一杯になる。




この生地で、豚の角煮の残り汁をぬぐって食べてみた!

ど、どんな塗り物よりも、お、おいしすぎ…!!

バターやクリームのソースよりも、まさか砂糖と醤油と出汁のタレが合うなんて。

居酒屋でなかったらきっと試してみなかった組み合わせ。

ちょっと反則気味のイートインだけどこれはやみつきになるってば!!


***


実はこの夜の宿を確保していなかった私。

一泊目はきちんとしたホテルに泊まったので、

二泊目はチープに行こうと思っていた。

四条のサウナの仮眠室で…と考えていたのだが(大阪ではたまにやる)

一乗寺のお友達が急きょ泊めてくれることになった。

ありがたやーー。


この2日間、濃厚すぎて、昨朝大阪に到着してランチしたことは

もう一週間前の出来事のようだ。


この日、京都のたくさんのパン屋さんを回ったが、

どこの店も、私の中になんらかの感動を残し、しっかり刻まれた。

自分でもびっくりするくらいに一つ一つが刻まれていた。

出発するまでのあの「不安」は取り越し苦労だったみたいだ。


明日もいくつかパン屋さんを回る計画。

一軒は、かつて残念な思いをしたあの店へ「リベンジ」だ。

大丈夫、きっと最後までスーパーテンションで行けそう!



神戸へ続く