36-2.大阪パン出張 -2-モバックと食べ切りパン



* これまでのあらすじはこちらから *




モバックショー@大阪


国際製パン製菓関連産業展 モバックショー2005

本来は製パン製菓産業に必要なあらゆる製パン製菓機械、原材料・資材、

包装機械、関連機械・設備・器具、 食品加工機械等の専門展示会であるのだが

クープデュモンドの選考会をやったり、有名シェフを招いて実演をやったりと、

パン好きにはヒジョーにマニアックな楽しみ方ができる展示会(笑)。

2年ごとに東京、大阪で開催され、全国のパン業界の人たちが集まるのだ。

最新の技術や製品、世間のトレンドを把握したりと、

さながらパン屋の学会みたいなもんか?(とらえ方が違う)


私は2年前の東京のモバックに行ったのが最初だが、

その時に、一歩歩くだけで差し出される試食の数々を

まともに受け取り食べまくってしまったせいで大変な目にあった(笑)


私たちみたいな一般ピープルには色んな楽しみ方がある。

あれこれ試食しまくって満腹になるのもよし。

スターシェフ達のお姿を見て目をハートにするもよし。

ありとあらゆる「できあい」のものを目の当たりにして

「パン屋さんはすべて自家製でやっているわけじゃない」と幻想を打ち砕くもよし(笑)。





入り口の近くには、ガレット・デ・ロワのコンテストの受賞作品(?)の

きらびやかなブースが! 有名シェフたちの写真とともに。





モバックショーの華、クープデュモンドの選手や審査員の巨匠たちが

パンを実演…! はい、まん中のこの方はどなたでしょう?!

バゲットの巨匠です。もうお分かりですね?(笑)





自分ではこういうふうに縦割りを(もったいなくて)できないからこそ

バゲットの気泡をみているだけでぞくぞくくる。


 


左のパン! これぞコンテスト用の飾りパンだよなぁ。

実際にお店に売られたらいくらするんだろう? …と不粋な詮索。

右のパンは試食も出ていたのだ。

がっちりカリカリのクラストにねちねちしたクラムが美味〜。





会場を埋め尽くす数々のブース。

ひとつひとつのブースを試食していたら大変なことになる…のは

重々承知しているのでかなりセーブして、ほとんどは見るだけで済ませる。

ソフトクリーム業者のブース、なんだか浪花っぽくていいよね〜。

しかし業者側にしたら、一般客に試食されても利益無し…って思わないかなぁ?(笑)





例えば刃物などを取り扱う業者ではパンきりナイフを「お試しください」と。

「イイ切れ味ですねー」なんていいながら、切ったパンのカケラはお口へポン(笑)。

すんません、業界のものではなくて…。





うきゃーー♪ おいちそうなケーキたち!

…といいつつ、こちらの商品はあくまで「ショーケース」。

中のケーキはしっかり有名パティスリーのものばかりなのだけど、

主役は「ショーケース」なのでもちろん食べられません(笑)。





機材を販売する会社のブースでは、自社のオーブンをスターシェフたちに

実演してもらうことで製品をアピール。

しかし一般ピープルの私たちが見入る先はもちろんシェフとそのパン(笑)。

じっくり実演を見はしなかったのだが、ちゃっかり試食だけはいただいてしまうのだ(笑)。


私が行った時にはコムシノワ西川シェフが実演中!

他の時間帯では、プチメックの西山シェフやアビアントの松尾シェフなど

関西ならではの蒼々たる顔ぶれ…!


 


流木のようなバゲットやガレット・デ・ロワ!

このときつまんだ流木ノア(クルミ入りのリュス)がもうもう絶品で…!

おっと、オーブンにも感謝しなくては。

ここはあくまでオーブンが主役のブースなんだから(笑)。




一角を大きく占めていたのは御存じMK。

ますます拡大しているなぁ(笑)。関西に一号店ができるのも時間の問題だよね。

ここで試食したパンとバターが、この日会場で試食したものの中で

とにかくいっちばん美味しかった〜!! 連れとメロメロしていた。


私が行った時はカイザー氏はいなかったけど、木村シェフが実演していた。

翌日、パン仲間たちと集合した時に、みんな「カイザーと握手した」だの報告を受ける。

みんなミーハーだなぁ〜。…って、自分のことを棚にあげる私(笑)。





こちらのムッシュに関してはもう説明はいらないでしょう。

私も銀座のお店ではパンを買わせてもらってますけども。

やっぱり芦屋に買いに行ってみたいなぁ。


まぁそんなこんなでパンのブースを中心に紹介したのだけど、

連れがスイーツに詳しいので、あれこれパティシエたちに声をかけている。

関西ではとても有名なシェフのブースでは、

クレメダンジェやらタルトやらいろんなものを食べさせてもらってしまう。

超いい方で、優しくて、男前で、サービス精神旺盛の超イカすシェフ!(表現が下品で失礼)

すっかりファンになってしまった私。

いつか連れて行ってね、小山シェフのお店に!!




今回泊まったホテルは谷町にあるのだけど、ここが超気に入った!

手頃だし、きれいだし、広いし、女性向けだし、なにより全室パソコン設置されているのだ。

今後の大阪出張の際は定宿決定。


ホテルでパンを大急ぎでスライス、ラップ、梱包。

あらかじめ調べておいたヤマトの営業所へ持ち込んでクール便指定。


「絶対に冷凍でお願いしますね! 冷凍ですよ!

パンだからってなめちゃいかんとです、冷凍冷凍冷凍!!」


めちゃくちゃくどくしつこくお願いする私(笑)。

過去に2回も「冷蔵便」で送られている痛い経験があるので…。

みんなも気をつけましょう(笑)。

ちなみに、冷凍されていないパンを冷凍で送る時は絶対に段ボール箱で。

発泡スチロールで送ると、冷気が遮断されて中はちゃんと凍らないと思うので。


朝から大阪入りして、パン屋さん2軒、イベント1軒。

もうこれでたっぷり満足〜なんだけど夜は夜でお約束が…。

関西に来たら飲みにいく宿命なんですから(笑)。

居酒屋で串カツを食べたのはいいけど、泡盛を飲んだせいで前後不覚、泥酔…。

これで明日はちゃんと起きれるのだろうか…。



***



旅パンの鉄則:2日目は食べ切る分だけを買え…に基づいて


今日の用事がてっきり朝から…と勘違いしていたのだが

夕べ「昼からだよー」ということが判明。おぉ、これなら諦めていたパン屋さんに行けるぞ。

そして、本町hのクロワッサンも買えるじゃないかーー!


二日酔い気味につき、旅先のパン巡りとしては遅すぎる9時出発。

今日買うパンは、保存できないので今日食べ切るぶんだけを購入。

…え? それでがまんできるかって?

いやー、…私は朝は人の2倍は食べるので十分可能なのです(笑)。





まずはホテルから徒歩10分くらいのこちらのパン屋さん。

ブーランジェリー・イエナは、谷町7丁目にある小さな町パン屋さん。

この佇まいはすごくかわいらしい! 大阪の街角でありながらフランスを彷佛(笑)。

これね、画像では分からないと思うけど、大きな谷町筋の通りの向こうからみると、

本当に外国でのヒトコマなのだ。





ハード系、デニッシュ系、そして懐かしい三角サンドもある

「おしゃれな普通の町のパン屋さん」という感じ。

わざわざ行く…というよりは、近くにあると嬉しいタイプのパン屋さんだろう。

しかしこのクロワッサンの陳列は! 秀麗な層は!

そして、なんなんすか、この100円というのは!(笑)





もうひとつの名物、クリームパン。

これを目当てに来たのだけど、一見小さなクリームパン。

…しかし、「へらですくってください」とのこと。

…これ、まさにあの店のあのクリームパンを思い出さないか?

名前もかなり似ているしね(笑)。





次のお店に行く道中、クロワッサンとクリームパンを歩き食べ。

え? それ以外の食べ方、私知らないから(笑)。

クロワッサンは濃厚なバターの味。バターそのまんまを齧っているかのようなバター味(笑)。

最初は甘みがくるのだけど、結構しょっぱい系な気もする。後味が塩味系。

そして非常にオイリー。好きな人には好きな味なのかも?





このクリームパンは本当にすごかった!

もう、すでに裏側はクリームが決壊して破れているんだから(笑)。

まだ焼き立てだったのでぬるいクリームがまるでクリームお焼きのよう。

タマゴたっぷりなのだけど、かなりミルク風味。ちょっと淡白かな。

非常にゆるく滑らかなクリーム。ぽわぽわ系ではない。

まさにシュークリームそのまんまのクリームパン。

私が思い出したのはCコーナーのジャンボシュークリーム(笑)。

この量で100円なら人気がでないわけがないよ。これぞ町のパン屋さんだ〜。







お次は玉造までてくてく15分くらい。

最近オープンしたH&L BAGELS。もちろんH&H、ではない。

身体に優しい素材だけを選んで作るベーグル屋さん。

個人のベーグル専門店って最近注目の的であるなぁ。





数種類のベーグルたちはすでにラップに包まれてレジ横に並んでいる。

クリームチーズとかのフィキシングやサンドイッチの具が冷蔵ケースに並ぶ。





サンドイッチを注文すると、その場で作ってくれる。

本当は本当は…ハンバーグサンドにしておけばよかったなぁ…と思うのだけど

野菜が多そうだったBLTサンドにした。

ベーグルはプレーンと全粒粉をセレクトできる。

パンチェッタとトマトとレタスが入っている。パンチェッタが臭くてグー。

ここのベーグルはとにかくソフトだ。外はぴぃんと膜がはったようにヒキがあって

中はソフトだけど延びのある、チュウイーな食感。

正直、マスタードではなくてマヨネーズだったら生地の味も味わえたのかも。





すでに2日目の鉄則「食べる分だけを買う」を冒している私(笑)。

以前お友達にここのバジルトマトベーグルをお裾分けしてもらったことがあったので

今日はくるみレーズンベーグルを持ち帰ることにした。

この表皮のぽこぽこした蒸しまんじゅうっぽい感じ、伝わるかな?




玉造…といったら、もうひとつパン屋さんと、ケーキ屋さんが浮かぶのだけど

時間もなくなってきたのでケーキ屋さんは断念、

パン屋さんの方は、以前も来ているので身体が場所を覚えている〜。





関東圏の人間にもお馴染みのレオナイスブレッド。

私もだいぶ前に来て、クロワッサンが美味しかったなぁという記憶が♪

で、「これならきっと明日も美味しいだろう」と勝手に解釈して

名物(?)パン「さつま金時」を1/4個だけ購入…。

あぁぁ、またパン買っちゃってるよ、この人(笑)。





これはこれで美味しいのだけど、以前来た時に買った、

さつま金時にダマンドをかけて焼いたやつが美味しかったんだよー。




そんなこんなでタイムリミットは近づく。

ベーグルサンドまるまる一個と、クロワッサンやらクリームパンやら

齧っているというのに私はちゃんと腹八分目。

…そう。この店のクロワッサンを食べるためにっ!!


玉造から本町へ地下鉄で向かう。

小走りに昨日訪れたh(アッシュ)へと向かう…。

ドアを開くなりシェフに「クロワッサンはありますかっ」と詰め寄る。





おぉぉぉぉ〜! これが「クロワッサン・スペショー」。

焼き立てじゃないか! まだ温もりがあるじゃないかっ!!

昨日来た時よりも品揃えがずっと多くて、買い足したかったのはやまやまだけど

これ以上買ってもいつ食べるんだという感じで我慢我慢…忍!!!

(でも東京に戻ってみると、「やっぱ買っておけばよかったぁぁ」と後悔するんだよね(笑))

本当はシェフの前でクロワッサンを齧って「うまいっす!!」と

伝えたかったのだけど時間がなかったのでダッシュで去る。

「また大阪来た時には絶対来ますから!!」と再び誓いを立てて…。





駅までの道のりで、クロワッサンまるかじり。

ほんわか焼き立てのクロワッサン、表皮はザクッと芯のある堅さ。

ザクザク…と齧ると、中はものすごいもちもちもちーーっ!!

外がザクザクなだけに、この中のもちもちには意表をつかれて言葉を一瞬探す。

普通だったらこの固めの表皮ならば、中は噛み付いてすっぽり抜けてしまうような

「からっぽクロワッサン」になりがちなのに、これは違う。

外と中身を常に一体で食べ進めるのだ。


一口目でほんわかとした甘さが口一杯に広がる…!

うっわ、なんじゃこら。めちゃくちゃ美味しい…!!

コシの強い生地を噛み締めるから余計じわじわじわ…と甘みが甘みが甘みがーー!


このクロワッサンを食べて思い出すクロワッサンがたくさんある。

甘めのクロワッサンはもろ好みのところだが、NYCで食べたシティベーカリーのあの甘さ。

PANYA-Z'Sのハードなクロワッサンを柔らかくしたような感じ…ともいえる。

超美味しい…。あえなく一気食い。本町の駅に着く前にはあとかたもなく…。



ここで向こうから良く知った顔が私を呼び掛けるではないか。

昨日もモバックで偶然遭遇した子なのだが、まさかこんなとこでも目撃されるとは(笑)。

口の周りのカスを慌てて拭う私(笑)

「これからアッシュ行くんでしょ? クロワッサン絶対食べてね!」

そういって彼女の後ろ姿を見送った。さぁ急がなきゃ、集合時間に遅れちゃう。


…あ、彼女に伝え忘れてしまった!

シェフに伝えてもらいたいことがあったのに!

「クロワッサン、最高に最高に美味しかったですーー!」


余談:ちゃんと彼女は言われなくても伝えてくれたらしい。

「歩き食いしていましたよー」って(笑)。




* 3へ続く *