140.この海にあのパンがある限り。2012年8月札幌帰省〜



7月にも北海道に帰って来たばかりだけれど

8月の第1週は、どんなことがあっても必ず札幌に帰ってくる。

それはこの10年間、一度も欠かした事がない、ひとつのルール。




まだ生後10ヶ月のベビ子、すでに北海道は5度目の帰省!

ただ、飛行機の中ではどんどん大変になってくるのは母ちゃんの私。

1秒たりとも気が抜けない機内、

1秒でも早く札幌についてくれ〜と、

動きたい盛りのベビ子をぎゅっと抱きしめる力が強くなる。



今回は4泊5日の帰省。

札幌はこの10年で信じられないほど暑い日が増えた。

帰るたびに堪え難いほどの暑さが増して行く8月の北海道。

ついに我が家も数年前にクーラーを導入したものの

今年は拍子ぬけるほどに涼しかった。

ベビ子が風邪気味だったのと

ちょうど開催していたオリンピックの深夜観戦が重なり

帰京後は私が風邪をしっかりひいてしまったという




寝不足でもなんでも

パンは欠かさない。

それもひとつのマイルール。




札幌滞在の終盤。

ベビ子の体調が回復したので今日はばあばと3人でデパート。

その前にパン屋さん寄って行こう〜


円山随一の美味しい&美しい、両立型パン屋(?)

カトルフィーユさんに2度目まして。

(初めての来訪は2010年夏。ESSAY125番

私が結婚式を挙げた東京のホテルでパンを焼いていたという

経歴が、ますます心ひかれてしまう所以。

それ以上に、前回以上に、

今回はパンが心底美味しすぎて〜!!






夏にぴったり!!

夏季限定、冷やしデニッシュ♪

通常のデニッシュもあるけれど、それらを冷凍したデニッシュなのだ。

たったそれだけのことなんだけど、ありそうでなかった気がする!

だって、すぐに飛びついてしまったもの。

洋梨の冷やしデニッシュは、車の中で瞬食してしまった。


もうひとつ、車の中で瞬食してしまったのは

オニオンとマッシュルームのタルティーヌ!

あまりに美味しすぎて、画像はおろか、

具体像まで忘れてしまった(笑)

美味しすぎるとそういうこともたまにありえる(笑)




オレンジ入り…だったかな、

変わり種のショコラザマンド! これも激ウマ!!

季節によってサクラであったりモモであったり

いろんなザマンド・バリエがあるらしい。


リュスティック・ポアブルもぬかりなし。

ショコラフランボワーズのラスクは

ラスクとは思えないくらいのチョコリッチさで

まるでブラウニーが化けたのかと思ったほど。


次の帰省からは、もう絶対欠かさないで通いたい。

こんなに近いのに、まだ2回しか行けてないとか

もったいなさすぎる…!






10年後の夕暮れは…




なんにも変わっていないんだよ、と語る。

でもすべてが変わっているんだよ、とも語る。

すべては照らされる者の心次第、だから。






やはり、あの海を見なくては今年の夏も終われない。

(前回は2011年8月。つまり1年前。ESSAY135番参照

そろそろベビーシートもうっとうしく感じる年頃のベビ子、

ありがたいことに、出発してから到着するまで

ずっとすやすやおねんねしていてくれた。



さぁ、ついたよ。

目が醒めたらそこは

空と、海と、パン。






この風景は、

世界一のクロワッサンを含めたこの風景は

なにひとつとして変わらないんだなぁ。






この辺境の場所でも、訪ねる人が絶え間なく。

まさかガイドブックに載っているのか?!

…と錯覚しそうなほど(笑)







年に1、2回、くるたびに

少しずつお店の充実度が増して行っているような

そんな気がする。

パンの焼ける量が格段に増えた気もする。

知名度。

客層。

確かにあがっている。

確かに広がっている。



でも

でも、初めてここに訪れたときから

2004年の雪と海の日

基本的なことはなにひとつ変わっていない。


ここには、あのクロワッサンと海がある。

そして、圧倒的に私はこれらに心を震わせ感動させられる。

何度経験してもなにひとつ変わっていない。


そして…かつては、

かつてないほどに、

このパンたちに、癒されていた自分がいた。

確かに、そこに…。






夏の風物詩!!

私と母はこのトマトタルトがものすごく好き。

この世の食べ物の中で一番美味しいかもしれない、と

食べているときは本気でそう思っている。

甘すぎるトマト。

甘すぎるオニオンソテー。

さりげないチーズの貢献度。

すべてのエキスを余すところなく

ぐじゅぐじゅに吸い込んだパン。


一度も温めて食べた事がなかったが

(いつもここでその場で食べてしまっていたから)

もう一個余分に買って来たのを、

翌朝温めて食べたら

ぐわーーーこれもたまらんっ!!

そのまま食べてもよし。

温めてもやっぱりよし。






これも私たち母娘が毎年必ず買う大好きなタルティーヌ♪

ジャムの塗っているものより、はちみつ&バターが一番美味しい。

あ、あまりに日差しが強烈すぎたので車の中から

撮ったのでなんかすごいアングルでしょう(笑)






久々の酔っぱらいフルーツパン。

前々回の帰省のとき、母が買って来て冷凍庫に入れておいてくれたのを

東京にもって帰って食べた以来。

2、3日常温で持ち歩いた後の冷凍保存、しかもその後、

私によって再冷凍されたという乱暴な扱いを受けてもなお

絶品といわしめる、その底力。





初めて来たときから、ほぼ欠かさず買っている、

クロワッサンの次に(あ、夏はトマトタルトの次に)

大好きな…いや、大好きすぎる、フルーツのロデヴ。

うちの母も、わかっているのである。

クロワッサン、フルーツのロデブ、酔っぱらいフルーツのパン。

頼まれなくても娘にパンを土産にとっておくときは

この3点を買えば良いのだ、ということを(笑)





そもそものパンの作る量がだいぶ増えた…気がする。

しかも、普通なら客足が減るであろう真夏のパン屋さん、

なのに真夏でもお客さんがどっと押し寄せる、海のパン屋さん。

ブルーベリーのパンやボストック。

定番以外のパンにもたまに出会えるのは嬉しい。

(これらもしばしばよく見かけるパンではあるけれど)






わ! これは見た事がないー。

リンツァートルテみたい。

アーモンドタルト生地が厚めで、ジャムがたっぷり。

1センチのみカットしてあとは明日ね…と思っていたのに

あらら美味し、あら美味し。

深夜のオリンピック観戦のお供にあっさり完食…。



今年の夏も、美味しさを、感動を、癒しをありがとう。

また来年。この海に会いにくるからね。





いや、癒し…というならば…

今、妻となり母となった今の私に「癒し」という言葉は合わないな。

癒される必要がないほど、シアワセを感じているから。


この10年、必死に生きてきたことを痛感する。

いつしか図太いオバチャンに変貌していたことすら誇らしく。

今、こうしてシアワセであることを実感すればするほど

「8月」を乗り越えてこれたんだってことを。

胸をはっていいんだってことを。



この世にパンがある限り…私は生きて行ける。


そう願いを込めて、

そう想いを込めて、

パンとともに歩み始めたHP。


世界一好きなクロワッサンを食べながら、

10年前の、どうにか救われたかった自分を思い出していた。


そして結果、ちゃんと生きて行けてるよ、と言いたい。

あの頃の自分に。



2012.8.5〜8.10