135.思い残すパンは無し! 最後の札幌ひとり帰省



いよいよ出産前の長い休暇に入り、

まずは実家である札幌に帰省することを決めていた。

今回はひとりで1週間たっぷりと。

娘として、ひとりのびのびと帰るのはこれが最後になるんだろうなぁ…と思うと、

結婚前の帰省とはまた違った気分だった。


母に空港まで迎えに来てもらう。

大きなおなかを見て喜ばれる(笑)

東京でもここのところ30度を下回る涼しい日が続いていたが

北海道はさすが、それをさらに下回り、19度!!

風が冷たいっ!!

今回、薄着しか持って来てないけど大丈夫かなあ…。

(その心配はなく、適度に暑く、適度に涼しい北海道らしいさわやかな1週間を過ごせた)





夜は、近所に出来た蕎麦と焼き鳥の料理屋さん。

お座敷の個室は気兼ねなくて過ごしやすいけれど

焼き鳥は…あれ?

お蕎麦は美味しかったので、お蕎麦利用によさそう♪




帰省2日目。

母の提案で「小樽のパン屋さん、行く?」と!!

わーーん。

今回は、私は運転ができない(というかさせてもらえない)ので

あまりわがままは言わないつもりだったのだが

母の方から提案してくれて嬉しかった。

そう、母も海のパン屋が大好き。

そりゃそうだ、あそこのクロワッサンを一度食べてしまったら

もう他のクロワッサンなんて食べられなくなってしまう。

魔法にかかってしまうのだから。





高速を使えば札幌から1時間ちょい。

12時ごろ忍路に到着。

この辺境の地は、やはり今日も客足が絶えない。






パンはほぼ全種類あった。

しかし、表で少しパンを食べて、追加で買いたいと思って

再度お店に入ると、ほとんどなくなっていた。

うわー、なんていいタイミングで来たんだろう。

もう少し遅かったら…。






わーーん!!

一体いつぶりだろう、何度も売り切れで振られ続けていた、

幻のトマトのタルトに再会…!!!

そう、驚くことに4年ぶりだった。

(以前食べたのは2007年8月!ESSAY87番。そんな前?!)


店頭で母と一緒に1枚ずつかぶりつく。

セミドライトマトは甘さをぎゅーーっと濃縮して実に甘い!

まるでチーズのように生地との接触部分がふにゅふにゅになり

そこに乗っているオニオンもさらに甘さを加速。

ほんとうに、これほどまでに美味しいものを他に知らない…!!!


改めて今回食べた母も感動していた。

こんなに美味しいのは初めて、と!

そうよ、そうよ、これがトマトのパン。

最後の最後に食べられて、本望

いや、最後かどうかはわからないけれど、

それくらい崖っぷちな気持ちだったの。





私が世界一愛する、クロワッサン。

それが海のパン屋のクロワッサン…。

これまで何度も何度も食べているこのクロワッサンだが、

(実は、海のパン屋さんに来るのは今回で通算10回目!)

今回、改めてそれを痛感することになる。



やはり、ここのが世界一だ。



世界中のクロワッサンを食べた訳じゃないとしても、

そんなことはもうわかる。

Parisでクロワッサンコンテスト優勝店のクロワッサンも

数多く食べて来た私が言うのだから信じてほしい(笑)。


いつもお値段を気にしたことがなかったのだが、

たったの220円でこの大きさの、このクロワッサンを食べられるなんて

日本中どこを探しても他にない。


母と1個ずつぺろりとたいらげながら、

バターまじりの吐息を漏らしながら、

なんか嬉しさと切なさが混じりながら、


「これでもう、明日すぐに産まれてしまっても

思い残すことはないかもしれない」

とすら思った。


他に、いろいろやりたいこと、行きたいところ、

たくさんあるけれど、それもすべてどうでもいい。

このクロワッサンとトマトパンを食べられたから

もうすべてどうでもいい。

それくらいの達成感を得られてしまった。






母も私も、毎回シェアすることなく、お互い1個ずつ

「ひとりじめ」するのがこのフルーツのロデブ。




相変わらずこのオレンジの鮮烈な甘さといったら!!!

オレンジとクルミの美味しいパンは他でも食べられると思われがちだが

やっぱり、ここのは別格。





チーズ入りパンに新顔が。

ほうれん草入りのチーズのパン♪

カリカリの香ばしいチーズの風味が食欲をそそる。





今回、さらに感動を倍増させてくれたのは

この2つ!!!

なんと、クロワッサンオザマンドに遭遇してしまった!!!

うわーー10回目の正直ってやつかしら(笑)。

それともプレママラック?!

ボストックも実はお初かもしれない。



まずボストックがとっても美味しい!!

まるで、極上のプリンに浸し込んだかのような

まろやかな甘さ!! ここのアーモンドクリームは

アーモンド臭もかなりしっかりしているけれど、

どこかカスタードのようなまろやかさもあり

ものすごーーーく美味しい!!!



さらに、オザマンドの美味しさに脱力!!

これはパンオショコラにクレームダマンドをかぶせているのだが、

このパンオショコラ、いつぞや食べたことがある、

ミント入りのバージョンだったのである!

ミント入りパンオショコラとクレームダマンド。エグ版オザマンド!!

これを食べられたこと、世界中に自慢したい!!(笑)






もう一度お店に戻ってトマトパンやクロワッサンを

追加しようと思ったら焼き上がりまであと1時間以上かかるそう。

ではパンオショコラ1個追加しておこう。

やっぱり、この子も必ず買われる宿命、なのね。




このあと、小樽でどこかお茶休憩していこうということに。

ふと、「ドゥーブルフロマージュって食べたことある?」という話に。

今を代表する北海道銘菓であるが

実はなにげに未食。

小樽でなら、イートインできるのではと、

本店のカフェへ。





チーズケーキ3種盛り!

これを母とシェアした。

一度食べてみたかったからその欲求は満足された。

意外とミーハーなのである(笑)。




さて、帰省3日目は


パン屋さん新規開拓!

野幌に、よさげなパン屋さんがあるという情報を得るも

野幌といえば、野幌森林公園には子どもの頃遠足で行ったことがあるが

めちゃくちゃ郊外、というか江別?


ところが、札幌駅からは快速でたったの15分で着くみたい。

意外とアクセスしやすい。

うちから札幌駅までバスで10分、

札幌駅から15分、

トータル30分ならそんなに遠くない!


(と思ったけれど、結構駅から歩いたし暑かったので若干難儀だった)




まるでジャズ奏者のような名前のパン屋さん。

やはり由来はその通りらしく、ショップカードには

トランペットの絵が。

住宅街の中に突如現れるこちらのお店、

よほど近くでなければ、車で来るのが当たり前なのだろう。





地元密着型のオールマイティな品揃え豊富なパン屋さん♪

北海道産の素材をいかに美味しく食べてもらうかに

注力してパンを作られているそう。

正直、シンプルなリーンなパンよりも、

惣菜系のパンが魅力的に見えた。



なによりもお値段がびっくりするほど良心的!

バゲット半分かち割って作った夏野菜のバゲットピッツァが250円ですってよ!!

これもとっても美味しかった♪


クロックムッシュも、やはりパンを最高に美味しく食べさせてくれる技。

サルシッシャのクロスティーニも非常に美味しかった。

自家製のサルシッシャをしき、上にトマトがたっぷり。

みずみずしさとコクがバランスよく絶品!


甘系では、ジンジャーシトラスをぜひ!

これは、カンパーニュ生地にオレンジとジンジャーのクリームチーズを

包み込んだもの。甘いだけではない、大人の味わいで美味しかった!





クロワッサンだけはその場(というか帰り道(笑))で食べてしまった。

サクサクハラハラ系で、甘さよりも塩系のクロワッサン。

シャープな大人向けのクロワッサンでした。









その夜は、高校時代からの友達とごはん。

大丸のレストラン街で適当なイタリアンに入った。

飲み放題で90分で1500円のところが今だけ1000円だそう!

友達はプレモルをジョッキで5杯のんだ。

(本来の私なら同じかそれ以上飲んでいただろう)

パスタやピザなど料理もたっぷり食べてお会計一人2500円。

安っ!! 札幌ラブ!(笑)






帰省4日目。

叔母と母の3人でランチへ出かけることに。

叔母が以前一度行ったことがあり「手頃で雰囲気がよかった」という

ことで訪れたのは、藻岩下にある結婚式用チャペル内にあるレストラン。




わーー。キレイな大聖堂。

バージンロードが長くて羨ましいなぁ。





2000円のランチだが、品数の多さは立派。

正直、お味や内容は特筆するものはなかったのだが…。

まずはアミューズから。

北海道の宝物、というテーマで。




前菜はフロマージュ・ド・テット。

パンの出てくるタイミングが遅かったので

豚の脂に負けた(笑)




パンについてきたバターが美味しかった♪

ノースプレインファームの発酵バターを使用した自家製ホイップバター。

赤肉メロンの冷たいスープ シャンパン風味のアイス添え。

この冷製スープもなかなか♪




サーモンのポワレとカニのムース、

それに付け合わせがインカのめざめなどのお野菜。

シンプルだったけれど、これくらいの方がいいかも。




デザートの盛りあわせは、数種類の中から3種類選べる。

マンゴーのソルベとシュークリームとフランボワーズのムースをセレクト。

この盛り合わせは豪華!

これで2千円だなんて相当コスパ◎。



その後、川沿にオープンしたブーランジュリー・マルゼルブを探した。

(といっても、オープンは2年くらい前みたい)

オテルドカイザー出身としては3軒目の独立店。

期待大! だったのだけど

て、定休日でした…、、、不覚!!!

これはまた別の機会に、だなぁ。。。とほほ。





街でネットカフェにいったついでに

(実家ではPC環境がないので街までネカフェに出向かなければならない(笑))

なぜか札幌でいまさら初体験(笑)

ハーフやカット売りがあったので手を出してみる気になった。

それと、裏参道にもこの支店があるのにびっくり。

誰が買いにくるんだろう、わざわざこんな場所まで…。





帰省5日目。

午前中、宮の森のルルドに行こうと思っていた。

以前は自分の運転で来たが、今回は歩いて行ってみようと思った…が、

母に止められ母の運転で。


以前、一度自分で運転してここに来たことがあるので

2008年5月。ESSAY101番

当然、宮の森の一番上、ということはわかっていたので

そりゃ足でのぼるのは大変とはわかっていたけれど

やっぱり車で来なきゃ無謀だった(笑)。





だって、ほら。

街がめちゃくちゃ遠い!(笑)

隣の小学校区であり、中学の校区内でもあったので

子どもの頃は、 ここのすぐそばの友達の家にチャリで元気に遊びに来たこともあった。

さすがにこのカラダじゃ無理だわな(笑)。






相変わらずパンはMK色の強い、

だけどオリジナルもいくつかちらほら。

全体的に焼きがかなり強いので、もう少し水分がふっくらあると

魅力が増すのになぁと思う。


でも、クロワッサンは相変わらず美味しいー。

パリンパリンで、一層一層に味と力がある。

私好みのやや甘めの風味もたまらない。






ハード系各種。

美味しかったのはハチミツシナモン♪

MK系ならマイ必食のノアレザンも絶品♪

トマトオリーブやクロックムッシュなど、

すぐにお昼に食べたい系を調達♪




甘系では、なにはさておきアンパンは死守。

ここのあんこが何よりも美味しいのである。

(母がひとくち食べてまた同じことをいった。「Bルクのアンパンを思い出すわねー」)

レモンパイは懐かしい鉄板なレモンクリームレシピで!!

これが本当に美味しいのだ〜。


個人的に大ヒットだったのが、

パンペルデュ。

その名の通り、余りパンを使って作られたのかもしれないが、

何気に一番美味しかったという(笑)。

プリンをそのままハードに焼き固めたかのような食感と味がたまらない!!



ここ最近、札幌に行く友達が多く、

車がなくても行ける店を聞かれることが多かったのだが、

…ごめん、やっぱりルルドは車が無いと来られないわ(笑)。

札幌のパン屋さんめぐりには、やっぱり車がないと厳しいなぁ…。







小学校からの同級生がネイリストを始めたので、

ご自宅(近所)にお邪魔してやってもらってきた。

ネイルを普段やらない私にとっては、

結婚式以来だし、おそらく出産後はもうしないような気がする。

記念すべき、最後かもしれないネイル。

彼女にぜひともやってもらいたかった。


同じく幼なじみの友達も顔を出してくれて楽しかった!

みんな小学校からの知り合いって、すごいよな。




帰省6日目。

この日は、お客さんが来るので午前中にばたばたとパン調達。

ぜひとも今日じゃなきゃだめだった。


札幌で一番好きだったパン屋さん、マデュースベーカリーの

高田サンのパンが、うちの近所のワイン屋さんやチーズ屋さんで

買えるのである!

いわゆる「高田パン」である。





めちゃくちゃ近所じゃないですか!

フェルミエ札幌円山店。

(夜に、マルヤマクラスのワインショップにも行ってきたが

ほぼ同じパンが並んでいた)

懐かしいトマトバジルベーグルやコンプレ、

めずらしいハスカップの酸味が強い、ハスカップ&ブルーベリーに

父のふるさと、瀬棚産岩のりフォカッチャなど。

道産のウォッシュチーズをセレクトしてもらって、

合わせて食べた。


こういうカタチでの再会、円山での再会!

でもでも、いつか、彼女のパンがたくさん並ぶお店で再会できたらな…。

この札幌の街に帰ってくる楽しみがまたひとつ増える。

いや、ひとつ戻ってくる。




ついでに、こちら円山INDIGOという

アートとフードのコミュニティスペースにも立ち寄った。





ここでは、厚別で人気のふわもち邸のベーグルとドーナツが買える。

それ以外にも、ここでのオリジナルのパン屋さんも入っており、工房も併設していた。

(そっちの方のパンも購入したが、かわいらしいが割と普通な感じ)




種類がほとんど無かったが、

4種類のベーグルと1種類のドーナツを購入!

どれもフレーバーがユニークで、変わり種ベーグル好きとしてはかなりツボる。

(いや、もちろんシンプルベーグルも好きだけどついつい個性派ベーグルに手を出してしまうサガ(笑))




お昼にぴったりな、ハムエッグベーグルとアラビアータ。

なんと、ハムエッグ(スクランブルエッグ状)が入っていたり、

アラビアータのパスタが入っていたりと(笑)相当個性的。

むちゅむちゅした生地が濃い口具材とマッチングして単純明快にウマイ。

母も「ベーグルは固くて食べにくいと思っていたけど、これなら好き」とな。


ミックスフルーツは、甘くてジューシーなドライフルーツが各種入っていて

かなり得した気分! 甘くて美味ちー。

チョコバナナもさつまきなこドーナツも、乙女のツボをしっかり押さえたフレーバー。



残念ながら、去年訪れたカトルフィーユさんは夏休み中だったが(ESSAY125番

ますます充実した円山パン事情。

近所が充実してくれるなら、子連れ帰省のときも行きやすいかも!

そんな青写真を思い描ける。





もひとつオマケに円山パン!

…といってもこちらは

パティスリーポルトルージュさんで見つけたパンクッキー。

(こちらのお店、かなりラインナップが面白いのでギフトや日々のおやつにおすすめ。

味もはっきりくっきり甘さの輪郭が整っていて美味しい!)






今日で丸9年経過。一生分の残酷を味わったたからこそ、

今の私が思い切り幸せであるのは当然のことなんだと思える。

そう思える日がくるとは到底思えなかった、二十代の8月。

9年もたてば、ね。

人ってたくましいものですよ。






7日目の午前中、札幌を後にした。

帰省の最中、母は「こうして親子でのんびりごろごろできるのも最後なのねー」と。

そう、結婚したときとは違う。

子どもが産まれるというのは、

結婚のときとは遥かに違う人生のターニングポイント。

それを、人生の先輩である母は十分知り尽くしているからこそ

寂しそうに、でも楽しそうに喜んでくれているのだろう。


次に札幌に帰ってくる時は、チビと一緒に帰るからね。

新しい家族と新しいシアワセのカタチとともに。





2011.8.1〜8.7