2日目後編:疑惑のほくろ占い+夜市ごはん

行天宮の無料おみくじ





市内から戻り、その足で向かうのは行天宮。

その隣の立派なお寺がそれかと勘違いしたのだが、ただのお寺だったようで、 御葬式が3件も行われていた。驚いたのは、霊柩車にカラーの遺影がかかげられていたこと。 それ以外は、わりと日本の御葬式と似ているように見えた。





行天宮には雨にも関わらずたくさんの人がごったがえしていた。 こちらの人は、ものすごく長い時間、真剣な顔をしてお祈りをしている。 いや、台湾に限らず、どこの国もお祈りってすごく大切なものなのに、 日本くらいなのかも。パンパンって手を合わせてお賽銭放り投げておしまいーというシンプルさは(笑)。


長い線香を配っているおばちゃんたちがいたが、線香をもらいそこねた。 というか、どうやって参拝すればいいのかわからなかったから、もらっても困ったかも知れない(笑)。 テーブルにはお供物が一杯。果物やフツーのお菓子やあまりにデイリーな食べ物が多いせいで、 まるでお店のようだった。





お守りが売っている社務所みたいなところに入ると、 おみくじの棚が。こっちのおみくじは無料らしいのだ。 おぉ、一枚ひいてもいいですか?(*私はそのままひいたが、どうやらおみくじを引くのにプロセスがあるらしい。 そんなこと知らずにそのまま引いたので、ホントに当たっているかどうかなんてあてにならない(笑))


親切な案内人のおじさんが、「日本語のできる人があそこにいるから、意味をきいてごらんなさい」みたいなことを言ってくれた。 案内されるままに日本語ができるおじさんの元に伺う。 一つだけポイントを絞って聞くことができるらしい。


…占いの結果は、肝心なところはあいまいに濁されたような気もしないでもないが(笑)。




占い横丁でまさかの顔相占い?!


そもそも今回突発的に台湾に行ったのも

台湾行きを決める数日前に台湾通の友達に聞いた話がきっかけだった。


「台湾の顔相占いでは、運勢的に不吉な位置にあるホクロは、 その場で除去しちゃうんだって。しかも格安で」


ほくろ取り?! レーザーとかじゃなく、クリームかなんかを塗って、 ちょいちょーいと取れるらしい? まじでまじで?!

顔にいくつか気になるほくろがある私には、それだけでも十分に台湾に行く動機付けになってしまったという(?!)。 占いなんて基本的にあまり信じないし、お金もかけたいなんて思わない。 …でも「ほくろ」が関わってくるとなると別である(笑)。向かうは行天宮の側の地下通路にあるという、 占い横丁へやって来た。夜市とかでも顔相占いはやっているようだが、夜まで待てなかったのである(笑)。





怪しいムードが漂う、地下通路にずらっと並ぶ占い屋さん。 日本語OKという看板がいくつか見られる。もちろん、日本語OKのところじゃないと、 肝心の占いの内容が聞けないので、占いのブースをひとつずつ覗き込み、 人が多く入っているブースに並んでみた。


私の前に、すでに日本人の女の子グループが占いを受けていた。 一通り話が終わったところで、最後に顔相をみているようだった。

「こことここのホクロはとった方がいい」

おぉ、やはりホクロを取ることを薦めている! …と思ったら、占いはそこで終了した。 あれ? ホクロ取らないの? あれー、、、がっくり。そうなのかぁ。



ホクロ取らないのなら、占い受けるのやめようかな

迷っているところに、その占い師のオバチャンは手招きをしてきた。 は、はいっ。受けます受けますっ。




日本語が流ちょうなオバチャンに、運勢をあれこれ聞かされる。 ひとつ女性にとって「一番気になる運勢」については(笑)、 まさに、以前別の人が私に予言した通りのことをずばり言っていた。 おおお、やはりそういう運命なのですかっ!  占いは、仕事、恋愛、結婚、健康、多岐に渡って語られる。 時にネガティブに、時にポジティブに。落とされては励まされ… …やたら確信を持って語るオバチャンのペースに完全に乗せられていた私である。





そして最後に、先ほどの女の子たちと同じように、顔をじっくり見られる。


「こことここのホクロは健康に悪い。取る。」


謎のクリームを取り出したオバチャン、 おもむろに鼻回りのホクロにクリームをちょんちょんっと塗布してきた。 あまりに突然だったので驚いた!(←しかも本人の無許可(笑))


鼻回りのホクロを6個。 アゴ回りの方が気になるホクロがいっぱいあるんだが、


「それはいいホクロ。取っちゃダメ。残す」


…あー、さいですか、、、(とほほ)



「クリームは今から4時間半。絶対さわっちゃだめ。 4時間半後、拭き取る。そしてよく洗う」


肌色のクリームとはいえ、これを4時間半も顔に6ケ所つけたままなんてちょっと恥ずかしいぞ?! こんなクリームでほんとにとれるのかなんて、 あまりに怪しいモノなのだが、オバチャンの有無を言わせぬ迫力にただただ従うだけだ。


「このクリームは日本にない。台湾のこの気候だから効果がある」


あのあのあのーーっ、その一言は余計に怪しいんですけどっ(汗)。


「いつ帰国?」オバチャンは尋ねて来た。

「えーっと、4日後ですね」

「ホクロは、毎日しっかり洗う。7〜10日後にきれいに取れるから」

(*この会話を後で何度も思い返す羽目になる…)


おぉ、7日後か! そりゃ楽しみだ!!! 絶対4時間半、触りません、拭き取りません! ちゃんと洗います!(笑)


占い料は、基本1000元(=3500円)+ホクロ1個当たり100元(=350円)×6カ所(=2100円)。 6600円かー。エラく高い占い代じゃないかよ…。でもホクロがこれで取れるなら安いもんか? でもでも! これで私の顔から6個もホクロが消える!


顔に恥ずかしいクリームを付けながらも、私は生まれ変わったような気持ちで(笑)占い横丁を立ち去ったのだった……





今夜の宿は…典型的な昼夜兼用ホテル


夕方5時頃、預かってもらっていた荷物をピックアップに宿に一度戻った。 今夜は別の格安宿を手配していたのである。あーあ、もっとこの宿を早く知っていたなら、 ここに滞在していたのになぁ。もうお金振り込んじゃっているからな。 オーナーの女性の人に、今日の昼間に嵐の中で遂行したローカル線旅のことを報告した。 そして、この顔についた6個の謎のクリームを見せた。「占い屋で付けられた」と告げると、 「そんな話は聞いたことがない」という。…ちょ、ちょっと待て。イヤな予感がしますけど(笑)。



宿を離れ、今夜の宿へ向かう。 台北駅の隣のエリアで、若者たちが集まる「西門」という街(隣にはアキバのような電化街がある)。 その付近は、格安の宿が集まっているのだが、 前回の台湾旅でもよくよくわかっていたことだが、台湾では安いホテルっていうのは、 昼間は「御休憩」に使われているのである。…そう、ひとつのホテルで二毛作(笑)。 24時間、ある意味有意義に(?)商売をしているのである(単に、そういうホテルと、普通のホテルを区別していないそうだ)。


この格安宿も、当然、そういうホテルではあったのだが





うーーーん、相当場末感が漂っています(笑)。フロントには全室パネル紹介が(笑)。 ある意味笑いが止まらない(汗)。


いや、笑えなかったのはこの後である。 予約していた部屋と、案内された部屋の「タイプ」が違ったのである。 それは困る! その部屋じゃヒジョーに困るんです! 日本語も英語も通じないフロントのおばちゃんとしばし口論に。 部屋の写真を指差し、「私が予約したのはこっちだ!」と一生懸命アピールした。 しつこく訴えたせいか、ようやく部屋変更に応じてくれることに。


本来予約していた部屋に連れていかれた。おばちゃんがノックをしてその部屋のドアをあけると… すでに何日も滞在しているっぽい一家(大人2人、子供2人!)が、 きょとんとした顔でこちらを見ているではないか。 うわー、…なるほど、、、この部屋はすでに、他の客に貸していたわけなのか(笑)。 でもこちらにも事情がある。やはりここは譲れません! ホテルのおばちゃんが、彼らに事情を説明をした。すると一家はとくに異論を唱えるでもなく荷物をまとめ始めた。


その謎の一家の大引越し、その後の部屋の掃除……私はその間、ホールで待たされることになった。 出されたティーパックのお茶を飲みながら。 荷物を抱えて部屋を移動するその一家のさばさばした表情からは(むしろなぜかニコニコ挨拶された)、 どうやら私が無理矢理追い出した感じではないことが伺えて、安堵した。


…なんかおかしなことばかり起こるなぁ…なんだかコントみたいだよ…。




龍山寺付近の夜市で「虫可仔煎」


若者の街、西門でとりあえず歩きやすいサンダルを購入し、バスを適当につかまえて隣町の龍山寺へ向かう。 がらっと変わってここはディープに下町の匂いがするエリアである。 ここで食べてみたい「胡椒餅(豚肉とネギと胡椒を包み込んだお焼きみたいなパン)」 なるものがあったのだが…人に道を尋ねながらうろうろ歩いているとどんどん下町に飲み込まれて行った。






この界隈には、有名なアーケード付きの「華西街観光夜市」なるものがあるらしいのだが、 そこには行かずとも、この辺りは夜市だらけであった。 夜市というよりも、商店街の出店、という雰囲気もありチープな生活雑貨ばかりの夜市のあったり。





目当ての胡椒餅は、地図が間違っているのか、探せど探せど見つからない。 スコールのような冗談じゃ無い大雨も降っては止み、降っては止み。

延々と続く屋外の夜市を冷やかしながら歩いていると、一軒の夜店で足が止まった。





虫可仔煎(無登録の漢字。虫ヘンに可で一文字である)は、牡蠣入りのお好み焼きなのだが、 これも食べようと思っていたものの一つだった。 手際よく次々と焼くオネエサンの実演に思わず見入ってしまう。





まずは大量の油で牡蠣を炒め、さらにまた油を敷いてサツマイモ粉を溶いた種を注ぐ。 別にまた油でキャベツを炒めて、とき卵を加えて、皿に盛る。最後にタレをどぷっとかけて出来上がり!





牡蠣が5個くらいも入ってキャベツも入ってこの大きさで50元(約175円)。くぅーーーなんて安上がり! このオレンジ色のタレが甘い味噌ダレのような風味でものすごく旨い!






チープなのに、牡蠣がにわか高級感を高めてくれるというか(笑)。デンプンの固まりのような少し伸びのある生地もこりゃまた美味っ! …しかし…これ一枚にえらく油が使われているのを目の当たりにしているので気持ちフクザツである(笑)。



この「虫可仔煎」を食べているとき、問題の20時半を迎えた。 そう! さっき占い師に塗られたホクロ除去クリームを拭き取る時間である(笑)。 よーやくこの恥ずかしい顔ともおさらばね?

…と思いきや、鏡をみるとまだ顔にはホクロが我関せずと言わんばかりに黒々と残っているのだ。あ、あれ???  …い、いや、きっとせっせと7〜10日間、顔を洗えばホクロはどんどん薄くなるのね?! そ、そうよね???



アンダーグラウンドな路地をうろつけども、一向に「胡椒餅」のある場所がわからず、 土砂降りにもかなわずで、ついに断念…台北駅に戻り、また夜の街を徘徊するのであった。





「胡椒餅」用に空けていたお腹はきゅーきゅーなりだしたので、西門のどこかで軽く食べるものを探していた。 宿から一番近い場所にあった、「鴨」を看板に掲げた食堂に入ってみた。





店先では強面のおっちゃんたちが鴨肉をぶっつんぶっつん切り刻んでいるのだが、 頼んだ鴨の麺(50元)には鴨肉はほんのひとかけらしか入っていなかった(笑)。 別で鴨肉の皿を頼めばよかったみたい。 しかも、米粉麺を頼んだつもりが、ただの麺だった。あまり味のないほぐれてないラーメンと言った感じでやや不本意?




麦酒を2缶買って宿に戻る。 相方が到着するのは深夜の便。ほんとにちゃんとここにたどり着けるのだろうか、 携帯もメールもならないし、下まで迎えに行ってみようか…と思っていた矢先にノックの音が! おぉー到着! よくぞ無事でっ。


今日の「ひとり旅」の模様は、明日ゆっくり話すこととして、今日はもう休みましょう。




【ホクロ後日談】


帰国後、せっせと顔を洗い続けた私。「さらばホクロ」を信じて疑わなかった私。



…そして10日後…


…ホクロ。一個も全然消えてないんですけど(笑)

薄くもなってないんですけど!!!!


あのオバチャンとの会話を思い出す。 そういやあのオバチャン、私の帰国の日を聞いてからホクロの消える日を予告していなかったか?(笑) や、やられた…orn  

てことはあの予言も全部嘘なのかーー????!!!!

誰か、台湾の占いでホクロを消した人、報告待ってます。 私はまだ人を信じる心を失いたく無いのです(笑)。


鏡に消えぬホクロを写しながら私は思う。

今回、台湾に一体何しに行ったのだろう…(笑)。


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