2日目前編:嵐のローカル線スタンドバイミーごっこ

朝ご飯はいつもの豆漿で


朝になっても真っ暗だった。…といっても、泊まっている部屋に窓がないせいでもあるのだが。 夕べ、屋根が飛ばされるのではないかというくらいの暴風が吹き荒れていた。 朝になっても風も雨も強い。うーん、これじゃなんとも身動きが取れないんじゃないかしら…? 宿のオーナーに聞いてみると「台湾の雨は降ったり止んだリの繰り返し。大丈夫」とのこと。 よし…今日、やろうと思っていたことは我慢せずにやってみよう。行ってみよう!





まずは朝ご飯。夕べのお粥横丁へ傘をさしながら歩いていく。 去年食べた豆漿のお店に再び訪れた。 ここは町中にある永和豆漿大王の大安店のようだが、他店よりもここの雰囲気と味がとても好きなのである。 台北に来る度に来ていればもう「いつもの」と呼んでもいいよね?(笑)





初めて来た時は勝手がわからずおろおろしたけれど、もう大丈夫。 …というか、去年はなかったメニュー表があった! おぉ、日本語も書いている(笑)。こりゃ助かる。 ニーズが増えたのであろうか(笑)。 今回は、お馴染みの豆漿(温かい+辛い)と、ネギ入り卵焼きを挟み込んだパンを。





風が落ち着いていたので外のテーブルで食べる。 熱々の豆漿には、去年食べた記憶よりも辛めだったが、薬味と揚げパンなどが入りまろやかな豆乳の風味が美味!





ネギ焼き入りのパンがこりゃまためっちゃ旨いーー!! 薄っぺらいクレープのような形状だけど、外はまるでパイのようにハラハラとこぼれる。


美味しい朝食を食べてもなお、気分はいまいち浮き上がらない。 そりゃそうだ、この嵐の様相では…。 今日、これから行こうとしているところは、晴れた太陽の下で歩き回るイメージしか描いていなかったのだ…。




ローカル線「平渓線」の旅 〜台北瑞芳大華〜


台北に来ると、すぐに郊外に行きたくなる。たぶん、街歩きや食べ歩きはすぐに飽きてしまうからだ。 今回目をつけていたのは、台北の北東にある港町、基隆の方からぐるっと折り返した、渓谷の中を通るローカル線「平渓線(ピンシーシェン)」。 (位置関係はこちらのリンクを)

「台湾のナイアガラ」と呼ばれる滝があったり、廃坑の寂れた風情を味わえそうなこの路線。 バスも好きだけどやっぱり鉄道旅が好きな私、このローカル線のことを知ってから、 絶対絶対行こうと思っていた。…のだが、嵐の中行く、というのは全くの計算外(笑)。





出発地点の台北駅に到着すると、なるほど…赤いテントに、赤い服をまとった人たちが座り込みをしている。 テレビの中継車も多く、夕べの騒ぎの余韻が残っているみたいだ。


平渓線は1時間に1本しかないようなローカル線だが、始発点である瑞芳(九イ分へ行く時に通る町)へは、 基隆行きの電車が頻発しているので問題ない。


時刻表とにらめっこしながら、ルートの予定はこう決めた。


台北


八堵(瑞芳行きに乗り換え)


瑞芳


(ここから平渓線)


大華


(ここからは徒歩で十分の滝まで歩く)


十分


菁桐(終点)



バスで豆腐の町、深坑へ


バスでMRT(地下鉄)のある木柵へ


台北市内





取りあえず、滝のある「十分」まで切符(71元)を購入。 ホントはひとつ手前の「大華」で降りて歩くつもりなので「大華」までの切符でいいのだが、 天候次第…と思ったのだ。なんせ、そのルートは、線路の上を歩くことになるらしいのだ。


  



瑞芳で平渓線に乗り換える。ローカル線…といっても、あまり電車自体には風情はなく(笑)、 ごくごく普通の通勤電車的な横シートなのである。 最近、このローカル線旅の人気が出て来て、週末は観光客が乗り合わせるという話を読んでいたのだが、 さすがにこの台風の時では誰も乗っていない! 私だけだった!(笑) うーん、不安は募れど、わくわくの方が大きいのである。





電車自体に風情はないものの、車窓から見える風景が美しい。 からっぽの電車は渓谷の中をゆっくりゆっくり進んで行く。


この辺りは昔炭坑だったらしく、その名残のある廃屋がぽつりぽつりと点在し、 なんとも物悲しさを感じる。そして、瑞芳を出てから十分までの駅は、 「なぜここに駅が?」と首をかしげたくなるほど、何もないような寂しい駅をひとつひとつ停車していく。



途中、どこかの駅で、若い男女のグループが乗車してきた。 隣の車両だったので、私は相変わらずこの車両を独り占めしていた。 彼らはごつい一眼レフカメラを持ち出して、フラッシュをたいて何やら撮影している。

「ローカル線の風景を撮影しに来ているのかなー」なんて思っていたら





ローカル線で貸切(?)の素人カメラ小僧たちのモデル撮影会だったらしい(笑)。 どこぞの国とほんとに似ているなぁ(笑)。しかもそういう彼らを隣車両から盗撮する私…。




滝を目指してスタンドバイミー 〜大華 十分瀑布〜


(*地図はこちらのサイトを参照)





どっぷり山奥。川沿いの無人駅(駅舎はあったけれど、人がいたかどうかは定かじゃない…)。 「大華」という駅で下車をした。 たぶん、これが晴れの日ならば同じように滝を目指す観光客がいくらかいただろうに、 こんな嵐の日では私だけ…。





ぽつねん…。


廃屋のような駅舎と、渓谷を流れる濁流、あとは一本のレールがひたすら伸びているだけ…。 晴れの日なら飲み物を売る屋台が出ているという話だったのにこんな日ですから。私だけですから。 事前に読んでいたサイトでは、「台湾のナイアガラ」と呼ばれる「十分瀑布」は、この駅と次の「十分」の中間にあるらしい。 あえてこの駅で下車したのは、もちろん線路沿いを歩いて滝に行きたかったから。

…そう、ひとりスタンドバイミーごっこである!

(ちなみにこの線路歩きはわりと知られているルートらしいのだが、ホントはダメとか、 …でも、線路沿いに「滝」の看板が出ているんだからなぁ…)





私は、持参した100円ショップのレインコートをすっぽりかぶり、荷物をコートに隠し濡れぬようにした。 スニーカーだと濡れると思い、プラスチック製のビーチサンダルを履いていた。 (これは結局、歩きにくくてあとで大変な思いをする…)

そして、傘をさし歩き出した。ひたすら砂利を歩くのでサンダルだとすべる&ずれる&疲れる!


映画通りのスタンドバイミーだったら洒落にならないが(だって、あれは死体を発見する冒険だった…)、 雨の中、誰もいない線路沿いをひたすらもくもくと歩き続けるのは、 これぞまさしくスタンドバイミー!(=私の側にいて!!!)





このような道(って、道か?)が延々と続く。脇には渓流の音が鳴り響く。 風が強くなって来たので傘はもうさせなくなり、傘を閉じようと、線路の脇の木の下に一旦避難した。 頭からすっぽりとレインコートをかぶっていると、意外と音が聞こえなくなっているようである。 ふとレインコートのフードをとると、汽車が接近する音が聞こえた! うわーーー、もう少し歩くとトンネルだったから、めっちゃ危険だったかも!!! 汽車が私の横をかすめていった。こんな嵐の日に、レインコートを来た私の姿はどう写っただろう??? (もしこのルートを通る人は、上り電車の時刻も確認しておくように!)





頭の中をひたすら無にして歩いていると、ようやく見えて来たのがチェックポイント(?)のトンネル! ここもそのまま通るのである。脇には急流の白滝があったのだが、 この雨のせいか水量がものすごく増えていて、水流は激しさと美しさを増していた。 この分だと、到着した滝はものすごい水量だろうなー…。





トンネルの中はもちろん真っ暗である。一歩ずつ、足元を確保しながら進んで行く。 あぁ、濡れてもいいからスニーカーとかちゃんとしたもの履いてこればよかったよ…。 ずるずると滑りながら、幾つも張り付けていた靴擦れのばんそうこうも次々と剥がれて行く。 トンネル自体は通り抜けるのに5分もかからなかったし、この道のり自体も1キロ程度だったと記憶している。 それでもこの雨の中、この靴だと、ずいぶん歩いた気がした…どこまで続く、この道は?(もとい、線路は?)





ところが、トンネルを抜けると、水の流れる大きな音がする。近くに滝が?  何か木の塀が視界を邪魔して滝が見えるようで見えない。 すると、線路沿いに滝の入り口を示す看板があった。あぁ、なるほど! もうついたのか! (この看板は、明らかに「大華」から線路沿いに歩いて来た人に見えるような位置にかかげられている。 もう、線路で来ることが前提なのであろう)





そう、その「台湾のナイアガラ」を見るためには、公園への入場料(180元=630円!)を払わされるのだ。 木の塀も、滝をタダで見せないためなのだな…180元って、めちゃくちゃ高いんですけど… (ここまでの交通費の倍以上!!) しかしここでしぶっているのもどうかと思い、入場する。 近くに駐車場があるらしく、バス観光の御一行様もいた。日本人はいなかった(さすがにここはマニアックな場所なのかも知れない…)。





うわーー! 想像していたよりすごい水量。 正直、「ナイアガラ」…ってのは、ちょっと言い過ぎかも知れない(他にないんかい! と突っ込みたい)、 有料公園の中に滝がありました、みたいなイメージかもしれない。 しかし逆に台風のおかげで迫力が倍増していたみたいだ。 画像で見ていたものはもっとちょろちょろっと子供騙し的なチンケな滝に見えたのに(←!)。





すごい、いかに水量が多いかってことがわかる。足元まで水が溢れている。 あぁ、やっぱりサンダルでよかったかも?(←って、後悔しているくせに…)





洞穴のような場所から滝を真正面から見た、の図。水しぶきでずぶぬれである。 こういうときにレインコートは強い! 私の人生の中で、レインコートが役立ったのは富士急ハイランド以来かもしれない(余談)。





この滝の公園には、食事のとれる休憩所やトイレがあったり、 バーベキューもできるらしい。…なぜかカラオケボックスもあったりする(笑)。 晴れていたなら、ここでお茶をしながら滝を眺めるのはすごく気分がいいかもしれない。 お腹が空いていた私は、タロイモアイスを購入した。20元。 タロイモはそのまま食べても、チップスにしてもアイスにしてもうまいなぁ〜。 でもタロイモって「芋泥」って書くようだ(笑)。 時に、中国語ってやつは意味がストレートすぎて食欲を損なうことがあるな(笑)。


12時「十分」発の電車に乗らないとまた1時間以上待ちぼうけなので、早々に滝を去る。 いったん公園を退場し、再び線路沿いを歩く。線路沿いをひたすら行けば次の駅、「十分」に着くかと思っていたら、 どうやら吊り橋を渡っていく道しかないようである。





この吊り橋、一見立派で頑丈そうなのだが歩くだけでぎっこんぎっこん揺れるし、ましてや今日は突風が吹き荒れる! これがなんともスリル満点だったのだ…こんな吊り橋を2回も渡らなくてはならない。 私はこういうのは平気なのだが、きっとダメな人はダメかも知れない。 そう言う場合、どうやって戻るんだろう?(笑)





吊り橋を渡り切ると、風はますます吹き荒れ、いよいよ傘が使い物にならなくなってきた。 観光ガイドさんが、おばちゃんたちに何か指示をしている。おばちゃんたちは吊り橋を渡らず引き返して行った。 何を言っていたかはわからないのだが、もしかしたら吊り橋危険だから渡るな、とか言っていたのかも???




線路が突き抜ける町、十分 〜十分瀑布十分〜


(*地図はこちらのサイトを参照)

吊り橋から十分までは1キロ程度なのだが、…ここが猛烈な嵐で吹き飛ばされそうになりながら、 レインコート来ていても無駄なくらいに豪雨に打たれまくっていた。 うーーーっ。私は「自称・晴れ女」のはずなのにー(笑)。洒落にならん、ほんと頼む、勘弁して、、、





嵐の中、ようやく町らしいものが見えて来た。「十分」である。 古さと寂れた具合が逆に「味」になっているような町並みだった。 左右を見れば、家の中が丸見え、人々の生活が垣間見られる。





この町は、平渓線が町の中を突っ切って行くらしく、まるで普通の道路のように、線路が通っているらしい。 電車が通らないときは、普通に往来があるらしい、生活の中に線路が溶け込んだ町。 残念ながら、今日は台風通過中ということで人々は家に引っ込んでいたのだろう、 人通りがほとんどなくて寂しいものだった。





線路のぎりぎりまで迫った状態で商店街が並ぶ。電車が来たら車を避けるのと同じような感じで線路から立ち退くようである。





そう言えば…今回台湾に来て思ったのは、「犬がかっこいい」(笑)。 犬がやたら多いのだが、犬の見分けがつかない私には全部「シェパード」に見える。 というか、こんな狭い道に似非シェパード君が何匹も居られては恐いんですけどっ!





十分の駅に到着した。ここも晴れていたらもう少し散策できたのになぁ…。 線路の向こうには川が流れ、その対岸へは吊り橋がかかり、山の麓に家が点在する。いい風景だ。





電車が到着するまで30分くらいある。駅の側の商店を覗いてみた。 おばちゃんに呼び込まれるままに、食堂に入った。





軽くデザートが食べたくて、選んだのはコーヒーゼリー…に見えるけど、 これはたぶん、亀ゼリー(←たぶん、というのは、指をさして頼んだためわからないから)。 「亀粉」という亀の甲羅の抽出物や、漢方っぽいものが入っている美容にいいという健康食らしいのだけど、 そんなことはこれを書く際に調べてわかったことであり(笑)、食べていたときは何の意識もなかった。 事前に知っていたら食べていたかな? いや、たぶん食べてた(笑)。


コーヒーフレッシュをかけて、砕いて食べるわけだが… 別に味は無い。コーヒーフレッシュの植物性乳臭さ(笑)の味である。 …が、確かにちょっと薬草的というか、カラダによさ気なお茶の味がする。ほんの少し渋い味。 でも、イメージ次第ではがんばればコーヒーゼリーと思い込むことも可能かも知れない(笑)。 少なくとも、「亀」をイメージせずに食べた時の感想である(笑)。



亀ゼリーを食べてもまだ時間が余っていたので、隣の今風のカフェでコーヒーをぎりぎりの時間まで飲んで休んでいた。 お店のお姉ちゃんが気をきかせて扇風機をつけてくれたのだが……あのーー、、、寒いんです…(笑)。



*なお、通過した平渓という町では、紙風船のような行灯に願いごとを書き、火をつけて空に飛ばす、 という習慣があるらしい。これを夜にやると、まるで螢のように幻想的だそう。 このことを夕べドミトリーのオーナーに聞いていたのだが、よく聞き取れず(笑)素通りしてしまった…ちゃんと調べてこればよかったと後悔!*




平渓線の終点からバスで豆腐の町へ 〜十分菁桐深坑〜


(*地図はこちらのサイトを参照)


十分から何駅か過ぎると、平渓線の終点「菁桐」に到着する。 これで短いローカル線の旅も終わりである。晴れていたらもっと歩き回っていたはずなのだが、 ずいぶんショートカットしてしまったものだ。まだ昼の12時台である。





ここも小さいながら商店やカフェもあり、ひやかしながら見て歩くのが楽しそうな町だった。





かつての炭坑が忍ばれるような古い廃屋も雰囲気があり、シャッターチャンス。 …しかし、通りを抜けると、目的地へ向かうバスがちょうど来たところだった! 何も考えずに取りあえず飛び乗ってしまった。(*今考えると、もう少し菁桐を見てもよかったかもしれない…) …というわけで、あっさりと菁桐、平渓線を立ち去ってしまったのである。ローカル線の旅、これにて終了…



菁桐からは、バスで台北方面を目指す。バスの行き先は「木柵」というMRT(地下鉄)の駅なのだが、 その途中に、「深坑」という豆腐の屋台が立ち並ぶ町があることを調べていたので、 そこでお昼を食べようと思っていた。


しかし、バスにはアナウンスもないし(あってもわからない(笑))、 止まるバス停にも名前が書いていないのでどこだかわからない。どこでおりればいいのかもわからない。 窓の外をずーっと注意深く眺めながら行くしかなかった。 途中の標識などが頼りである。 30分以上、かなり長い時間乗っていたように思う。





窓の外に「深坑」の文字を発見! 降ります降りますー。 (*私はずいぶん手前で降りてしまったらしく、バス停2つ分くらい歩いた。その商店街の側にもバスが泊まったらしい)





この町は大豆に焦げ目をつけてから豆腐を作るという伝統的な製法の豆腐が美味しいらしい。 一度寂れた町らしいのだが、豆腐で町起こし(?)をしたそうで、今では台北から豆腐目当てにわんさか観光客が来るらしい。 来てみると…なるほど、豆腐だけかと思ったら、「豆腐の原宿」という感じだった(笑)。 いや、豆腐の巣鴨、でもいいかもしれない。とにかく、狭い路地には豆腐だけではないお土産屋がひしめき合っていた。 ここで、さっき台風であっけなく壊れた折り畳み傘を捨て、新しい傘を買うことができた(笑)。





豆腐…そう、台湾と言えば臭豆腐! 臭豆腐の店がひしめきあっている商店街なのである(こっちで言えば夜市のイメージ)。 そりゃあもう、嫌いな人にはたまらない、好きな人にもたまらない(笑)、 もわぁんとした臭気が商店街全体を包み込んでいるような感じだ。 ちなみに私は前回の台北来訪時に2度食べてみて、「結構はまるかも?」と思えた口である。 よっしゃ、食うぞー。臭豆腐、食うぞー。



適当に入ってみた、老舗っぽい食堂(老舗ならうまいだろうという思い込み(笑))。 深坑廟口小吃という店で、後でネットで調べると有名店らしいが、 そんなに混んでいなかった。混んでいる…と言えば、商店街の入り口の大きな樹の下の食堂は、 活気も人入りも店構えも良い感じだった。


毎度毎度、メニューが読めなくて苦労する(笑)。 取りあえず、豆腐料理が3種類あったので、辛そうなやつを頼んでみる。 それだけじゃ…と思い、とりあえず中国語でわかる「蝦仁」の文字を見つけ、海老ものを一品、 青菜ものを一品、そして台湾麦酒を頼んでみた。残したら持ち帰りもOKらしい。





ぎゃ!

すんごい量がでてきてしまった…(画像では小さく見えるが…)。 うーわ、これは確実に食べ切れません(泣)。だって、海老料理って…まさか海老の空揚げだなんて思わなかった(笑)。 あーあ、どうしよ、これ…。 とりあえず食べてみるが、青菜炒めも海老の空揚げも、どーも脂っぽくてくどくていただけない。


しかし、豆腐はさすがにうまかった! ひたすら辛い、そして臭い(笑)というダブルパンチではあるが、 豆腐自体が実に味が濃くてうまーーい! うまいなー臭いなー辛いなーでもうまいなー! この臭さは、鼻腔では「臭さ」で認識されるが、口に含めると、もわんとしたコクに変わる。 しかし後味はなんだか「おじいちゃんのお口の臭い」っぽさを感じるのは私だけだろうか(笑)。 たぶん、それこそが「クセになる美味しさ」の原因なんだろうけど… いつもそういう考え事をしながら食べてしまうのである、臭豆腐(笑)。





今度は焼き豆腐の方を食べてみたい。通りの入り口付近のもっとも賑やかな辺りで、 たくさんの「紅焼豆腐」の屋台が出ている。どこも似たような感じの店が多いのだが、 一軒だけ、やたら行列が長い店があった。取材の写真などが掲げられている、 というのもあるのだが、ここだけはオーラが何か違う。私も行列の最後部に並んでみた。





どこかストイックさを感じるような職人のオネエサン。動きが機敏で絶えず手を動かしていて、 でもそれがリズミカルというわけではないので、てきぱきというよりはきびきび、恐いくらいだった(笑)。 しかし、「臭豆腐」…ではなく、「香豆腐」と来ましたか! いやいや、十分に臭いますぞ〜(笑)。





まるで厚揚げのような焼き豆腐。炭火で焼き、さらに香辛料(香菜やピーナッツパウダーだそう)を振り掛ける。 臭豆腐につきもののキャベツの酢漬けは「挟むかどうか」を尋ねられる。 言われるがままにそうしてもらった。仕上げにトウガラシをパパ−っとかけて、赤い豆腐はより赤く!






じゃーん、これが「香豆腐」(笑)。厚揚げをさらにさらに固く、大豆の密度が濃くなったような歯ごたえのある豆腐。 まるで肉を齧っているかのような食べごたえがあるのだ。 味自体よりも、私はこの引き締まった歯ごたえが気に入った。 味はというと、少し甘辛く、香ばしい味付けが旨い。 醤油煎餅を辛くしてエスニックにした感じ…といったら間違っているかな?(笑) そして味が濃い目なのだが、キャベツの酢漬けがさっぱりさせる。 案外これくらい濃くてもいいから、キャベツは別添えで食べてもいいかもしれない。



豆腐を2種類食べられて満足満足で再び木柵行きのバスに乗り込んだ。 風は幾分おさまったが雨が降ったり止んだリの台北、MRT木柵駅に到着したのは午後3時頃だった。



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