96.仙台パン温泉2007年師走編

毎年、年末の帰省は飛行機を使わずに東北地方を北上し、北海道へ上陸する。

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必ず仙台で寄りたいパン屋が2軒あるため、どうしてもこの北上ルートは

「仙台ありき」で決まってしまう。

たまには違うルートで帰れたら、旅の可能性も広がるのだが


と思っていたら、父が12月上旬に所用で仙台に行くので

母と私もそろって家族旅行することが決まった。

年末じゃないタイミングで仙台にいけるチャンス!

今回訪ねるのは、仙台の奥座敷の作並温泉。

もちろん、宿を決めるのは私の役目。

ちょっと贅沢な温泉宿を予約した。



週の前半から母は東京に上京し、そろってその週末に仙台に北上することになった。

母は仙台からそのまま飛行機で北海道へ戻るが、私は東京往復。

もちろん、母と一緒なので新幹線を使うのだが、そんなときは便利なきっぷがある。

それが「土日きっぷ」だ。


説明しよう、土日きっぷとは

JR東日本管轄のほとんどの領域の新幹線を含む路線が連続する土日の2日間だけ

18000円で乗り放題になる! 新幹線は4回まで利用できる。

そう、グレードアップした18きっぷみたいなものだ(いや、大きな隔たりがあるような(笑))


仙台は東京からだと往復2万円以上かかるので、往復するだけで元がとれる。

だからこそ…私は帰りにもうひとつ、寄り道を目論んでいた…





夜行バスやら18きっぷやらで、滅多に、滅多にのらない新幹線。

思わず激写しなくちゃいられない、鉄子なサガ(笑)。


あっという間に仙台に到着。

いつも5時間とかかけて行くもんだから、

イマイチ浪漫とかに欠けるような気もするが母と一緒なので浪漫なぞいらないだろう(笑)



昼前に到着後、「行ってみたい」という母を道づれに

目ざすは…そう、富沢の…





ベーグルUちゃん!

毎年、この時期がきたら「今年も行くよー」と連絡をする。

「もう1年たつんですね〜」

すっかり年末の風物詩。これがなかったらやっぱり今年1年、終われない…


ところが、タッチの差で会うことができず

残念きわまりなくて、メッセージを一言残していくことに

年に1度のチャンスなのにほんっとうに残念…!!!





1年に一度だけ、年の瀬の見納めに

大好きな大好きなUちゃんとこのベーグルたち!!!





一番好きなとろけるモッツァレラチーズは3個、

ずんだもちベーグルももちろん、エッグベーグルも定番として。

そしてむらさき芋ベーグルやスピナッチベーグル、カフェラテベーグル(超ー美味!)

母もいくつか札幌に持ち帰る用に購入。





なんと母娘は、近くの体育館の庭のベンチに腰かけ

屋外でベーグルとパンたちをかぶりついたのであった(笑)。

これは母が買った野菜ごろごろのグラタンパン。

トマトソースとかぼちゃの甘さが絶妙なバランスで

へたしたらベーグルよりも感動したかも!(笑)





なんでもう一個買って来なかったかひたすら後悔したのは

カフェオレベーグル。食べてからもう時間がたっているので詳細は思い出せないけれど

ホワイトチョコも入っていただろうか。

大人のコーヒー風味に、やさしいミルキーな味わいがプラス!


「これがベーグルなのねぇ。ベーグルっていったらカチカチのものしか食べたことないから

こんなのはじめて。やわらかくて美味しい」とは母のコメント。

そう、私もこんなにやわらかくて

それでいて確かな嚼みごたえも兼ね備えたベーグルって

日本全国見渡してもここくらいしか知らないもの!






さすがに母は2軒目は疲れて付き合ってくれなかったので

仙台駅で時間を潰してもらっておくことにし、

私はひとりでそのまま北四番丁駅まで乗り過ごし





もちろん、ここも年末、仙台パン食べ納めの大定番!

日本最強の本場くさすぎパン(笑)、バーニャのパン!





毎年1回、バーニャに訪れているが、

いつも「今日はおっかさんかな、兄ちゃんかな」

バクチ気分で訪れるのである(笑)。


果たして今回は、兄ちゃんであった(笑)。

もう2時とか3時とかの時間だったのでパンはあまり残っていなかった。

(バゲットはたくさんあったのだけど…)


兄ちゃんは私のことを覚えていたりなどはしないのだが

「毎年、年末の28日にバーニャに寄るのが楽しみで♪」

そう伝えると、兄ちゃんはなぜか握手を求めて来た(笑)。

確かにワタシは兄ちゃんの大ファンではありますが…(笑)





相変わらず、焼肉屋に入ったようなお好み焼き屋に入ったような

すごい窯くささが髪の毛につくバーニャの店内(笑)。

今回は、バーニャ食パンをまるまる一斤購入!

食べやすくてのびやかな食パンだった〜。





パンビは全粒粉のどっしりハードなパン!

この手のパンは…バターを溶かしてはちみつをかけて食べるのがオツ!

ゆっくり家でいただくことにしよう。

どのみち、今は激ハードすぎて歯がたたないので…(笑)





駅までの道のり、バゲットカンパーニュをかじりながら

やはり年に1度は無理にでも来なきゃならない店であると

しみじみ思いながら噛みしめた。


…と、味わっている場合じゃなーい!

作並温泉行きのJRの時間までタイムリミットが!!!

地下鉄で帰ればきっと間に合わない(仙台駅の地下鉄が遠すぎる)

ふと、バスがタイミングよく見つかったので駆け乗った。

バーニャはバスで行けばらくちんかも…と思いきや、

仙台駅前のバス停留所もさらに遠く(笑)、

どのみち全力疾走を余儀無くされたのだった






仙台から山形方面にJRで行くこと約30分。

紅葉に鮮やかに染められた林をくぐりぬけ

作並駅に到着。駅周辺にはなにもないが、旅館の送迎バスが待機していた。





今回、選んだ旅館は徹底して「流行る温泉」のツボをおさえまくった宿だった。

女性が喜ぶツボを見事にさぐりあてているというか

(女性が行くところには男性もついてくる、というマーケティング心理) ポイントをあげたらキリがない。

・到着時は従業員一同で出迎え

・温泉はお湯巡りがいくつもできる渓流の中!

・予算に合わせてピンからキリまで揃った部屋!

・料理も予算に合わせて安くも豪華にもできる!

・ウェルカムお茶菓子やBARで甘酒サービス!

・お湯上がりにふろふき大根


などなど

すごいなここ





部屋は流行りのデザイナーズルーム。

窓からはおそらく紅葉の時期なら一面に染まっていただろう野山が目の前に。

(残念、すでに紅葉は終わってしまった)





なんとお部屋に囲炉裏!

アメニティも充実、

CDなど借りて来てお部屋で聞けたりなどなど

非常に「女心を掴みまくる」サービスの数々

ほんとに「徹底リサーチしているなぁ!」と感心させられた。




お湯のあとは、おまちかねの夕食。

夕食は伊達懐石のコースにしたが、まぁ、これは予想通りで

まぁ、まぁ、まぁ、だったのだが

(そのあたりは、和風ダイニングバーレベルというか)





その夜ニ度目のお風呂に行った際に、おなかいっぱいではあったけれど

ひとりでふろふき大根とビールをつついてみた。

…これがめっちゃ美味しくて!!

あの豪華な懐石コースを食べるより、このふろふき大根(300円程度)だけで

十分満足だったかも(笑)。リピーターがすごく多い宿と聞くが、

もし次回来るなら、食事代を大幅におさえることができそうだ。





この宿の「リサーチしてるなぁ」のひとつが、チェックアウト時間が遅いこと!

なんと、12時なのだ(宿泊している部屋に寄るらしいが)

つまり、思いきり寝坊してもいいし、朝風呂を存分楽しめる。

朝食バイキングも、ものすごい品揃えで、下手な旅館の夕食よりも充実。





お風呂が男女入れ替えのタイミングを見計らって、

ぎりぎりまで女風呂にいたため、ひとり貸しきりを実現(笑)。

目の前に迫る崖に囲まれた小さなかけ流しの露天湯、よかったなぁ

(夜はこのお風呂の階上にあるカラオケルームからの騒音で風情を失せていたが…)





もひとつ、貸しきり状態になれたお風呂があったのでパシャリ!

朝だけ女性に貸しきり、日中〜夜は有料で貸切りになるそう。

ここは床からこんこんと湧き出るお風呂でよかったなぁ。



11時45分の送迎バスに乗る前に、どうしても行きたいところが!

それは、この宿のすぐ隣にある老舗温泉旅館。

ここの立ち寄り湯は、渓流に面した本当の露天湯で、

私たちが泊まっていた宿の「ちょっとおしゃれな」風情とは違って

バリバリ本気の温泉、しかも混浴!


11時から立ち寄り湯が利用できるので、

11時には隣の宿の入口で待ち構え、11時と同時にすべりこみ!

幸い、あまりお客さんがいなかった。





旅館自体はあまり特徴のない、「歴史はある大型老舗旅館」という感じだが、

この離れの岩風呂は別格だった。

まずこの階段…! この階段を延々くだっていくだけで、胸が高まる!


一番下まで行きつくと、小さな小屋状態で脱衣所が。

すでに先客の中年おばさんが2人、お酌しながら(!)雑誌を持ち込んで

まるで街場のサウナのようにくつろいでいた(笑)。

一番乗りかと思いきや、やはり宿泊客にはかなわない…(笑)


しかしここ、混浴なので、今のうちに入らないと男性客が来てしまう!!!

さっきフロントに男性が何名かいたから、きっと後から来るに違い無い!!!

迷わず服を脱ぎ捨て、タオルを巻き、外へ飛び出した。


渓流がすぐ横を流れ、川と一体感のある野生度満点の風呂…!

うわぁ…すごい、これはほんと、来て良かった。


先客のおばちゃんたちと挨拶を交わす。

「ここ…混浴なんですよね?(汗)」

「だいじょうぶだいじょうぶ! ほら、女の数の方が多いんだから」


そ、そういう問題じゃないと思います(汗)




そのとき、更衣室に、人の気配が!

男性が来た!(笑)

男性が更衣室に入ったのを見計らって、お風呂から飛び出し、

更衣室に飛び込んだ。間一髪セーフ!!!





この画像は更衣室から渓流を撮ったもの。

残念、お風呂は撮れなかったけれど

もっと残念なのは、お湯につかっていた時間、

3分も無かったと思われる…

一応女性専用のお風呂もあるけれど、時間もないし迫力ないしスルーした。



1500円の入湯料で3分の入浴(笑)。

とほほ、おばちゃんになれたらどんなによかったか(笑)






宿をチェックアウト。

送迎バスに乗り込むと、お見送りの従業員たちが、

バスが見えなくなるまで延々両手で手を振っている。

こういうところもいちいち、研究尽くされている

すごいわぁ



さらに、駅で上りの電車を待つ間、

ホームに立つのはほとんどがこの宿の宿泊客だったわけだが

なんと、ホームまでバスの運転手さんや同乗して来た宿のスタッフが

寒い中、電車が来るまで待ち、電車に向かってまた両手で手を振り続けている

すごいすごい、徹底しているわ…!

なんか、今回はそういうところにやたら目がいったし関心も感心もした。


これで、料理にも感動できれば完璧だったのに!(笑)






仙台に戻り、お昼ご飯はやっぱり牛タン。

私も、母も、父も、それぞれ別々ではあるけれど

仙台で一番有名な牛タンの老舗には訪れたことがあった。

そこは今回はあえて選ばず





ネットで見つけた、専門店。

恐ろしくコスパの高いランチで驚かされた!





牛タンランチには、単品で食べようかと迷っていたタンシチューも

少しではあるがついていて、大満足…!

テールスープも、麦めしもとろろも付け合わせの漬け物に至るまで

とことん大満足♪ 仙台でもしランチに迷ったらここはオススメ!






…とまぁ、さくさくと仙台での滞在記を記した訳だが…

ここで終わるならESSAYはなりたたない。というかつまらない(笑)。


せっかく新幹線が4回まで乗り放題の「土日きっぷ」を持っているのだもの、

寄り道しない手はないでしょう。

16時頃、両親と仙台で別れ、「MAXやまびこ」に乗った。

MAXやまびこ」は、東海道新幹線でいうところの「こだま」。

そう、各駅停車な新幹線。これで途中下車するのは



17時28分に那須塩原に到着、

17時30分発の在来線で西那須野17時35分到着!


そう、大田原のなまけものさんに1年4ヶ月ぶりの再訪なのだ!

(初来訪は、06年7月末





西那須野に着いた頃は、もちろん真っ暗。

バスも徹底的に調べて来たものの、この時間はタイミング悪くもうバスがない。

タクシーに乗り付けること2千円強、到着したのは住宅街の奥の…

おとぎの国のなまけものハウス…!





久々の再会のなまけものさん

スポットライトだけで照らされた、

少ないけれど強烈な光源のもと、パンたちが私を待ち構えてくれていた。

そして、なまけもののパン屋さん





帰りのバスの時間を気にしながら、

久々に訪れた感動を味わっていた。

いろいろ話をする中で、パンとはまったく関係のない

思い掛けない人物の名前がでたときに鳥肌がぼぅっとたった。

まさか、こんなところにつながりがあったなんて

まさか、こんなところで思い出すことになるなんて

この日、その事実を知るべくして知った

そんな気がしてならない。

我が家ととても深いつながりを持つ人物の名を聞くなんて





小さな、たったひとつのスポットライトだけが照らす

下界と隔てられたこの小さなパンの小屋に

スウェーデン民謡の音色が鳴り響いた。

そして、私はパンを抱きしめて小屋を後にした


小屋から最寄りのバス停まではおよそ1キロ程度。

大田原名物の民家のクリスマスイルミネーションを横目に

パンを齧りながら夜道を歩いた。





パンが…パンが…

ものすごく美味しくなってる…?!


「前にこれ、買った覚えがあります」と聞いても、

どれもが「いや、これは新しいパンです」と言われた。

ほとんどが、「新しくなって」いた。


「これはしっとりした食感で」

そう言われたパンは、どれも「まるで生!」と思えてしまうほどに

粘り気のある、しっとり湿った口当たり。

これがものすごく美味しくて…!

買ったパンの多くにレモンピールが使われていたのも

前回と違うところ。このレモンピールとナッツの組み合わせが

いちいち私を揺さぶるのだ。


なにより驚いたのは、ライ麦度の高いのしっとりしたパン。

私がライ麦パンで一番好きな、h@大阪のセーグルにかぎりなく近いほど

ねっちょりしめった、レアな…うねりのある旨味、えぐみ、クセ…

これは…本物に美味しい。本当に美味しい。





酸味の強い、本当のパンの味がするパンドミー。

新幹線の中で、パンくずを飛ばしながら

ナイフで切り分けながら、傍からみたらどれだけ異常な人間かと

思われただろうけれど…きっと、その行為自体よりも

このパンたちを食べる私の顔の方がもっと滑稽だったに違い無い。


前回食べたパンも十分に美味しかったけれど、

これは…今夜食べるパンは…

私を打ちのめすかのように、打ち負かすかのように

強い衝撃を与えた


「もっと、もっと、ここに足を運びたい!!!」




なまけものさんちの隣には、クリスマスイルミネーションに

異常に力を入れたお宅がある。

年々すごい迫力になっていくそうなのだが


夜遅く、家に辿り着いたころ、

私の家の隣にも、毎年恒例のイルミネーションが点火されていた。

毎年12月に入ると飾られる、決して華美じゃないけれど

心に迫るシンプルなツリーが


そうだ、もう12月になったんだ…

今年ももう1年終わるんだ。

たくさんのパンたちを抱え、

これが今年最後の「パン旅」になるのかな、と。

抱えているのは昨日今日のパンだけど

2007年」に出会ったパンたちまるごと胸に抱えているかのように…

2007.12.1〜2