68.那須高原ドライブナビ 〜晴れ女mi_waの場合〜




まだ梅雨明け宣言が出ていない7月下旬。

週末の天気予報は雨マークが続いていた。

しかし私は御存じの通り強運の晴れ女。

絶好のドライブ日和! 天気までも味方につけて

一日で回るには無謀すぎるプランニングを組み立てて(食べ物6軒(笑))

向かうのは夏の那須高原!!


「普通の人」たちはどういう目的で那須高原に行くだろう。

温泉? 森林浴? テーマパーク?


でも、こんな那須高原の旅のカタチもあるのです。

…本来はパンメインの旅のはずだったのです(笑)。










那須高原を目指すのに、なぜか朝食はお馴染みのこちらから(笑)。

先月よりもぶどうの実がすっかり大きくなって夏色。





あまりここで食べ過ぎてはいけない。(それ、結構難しいんだけど(笑))

だって…今日これから目指す那須高原では

この後食べる関係の予定を5軒も入れているのである。

もちろん、温泉も。

私的には「自然と戯れる」もテーマなんですけど(笑)

そんな隙間はあるだろうかなー。

…その前に胃袋の心配をせよ、という話だが???





ついついR'Zで長居したのでちょっと出遅れた感もあるけれど

ピーカンの空の下、栃木北部まで高速を飛ばす。


普段、ひとりパン旅が多い私は

本当に無謀なほどに予定を立てるだけ立てて

そのときそのときの流れで臨機応変に楽しむ。

パン屋さんと仲良くなってすっかり長居することもあるし、

気に入った風景をいつまでも眺めていて時間を止めてみたり。


…しかし、スケジュールを呆れるほどの執念でこなす、というのも結構好きで(笑)

そういう旅に付き合ってくれる人も希有(阿呆とも言う)なのかもと思うのだが

今日はどうやらとことん行けそうな予感がするのだ。


人を道連れにした旅と言えば、2年前のこんな夏の日も、

友達を道連れにして面白すぎる日帰り旅をしたなーと思いだす。

そう、あの長野上田の日帰り旅

あれも実に酔狂で華麗に阿呆だったなーと思うんだけど、さてさて…。





2時間程度で那須に到着!

那須高原は、 西那須野のICを降りると、千本松の観光牧場が。

家族連れでいっぱい、ほのぼのである。

へー! こんなのあるんだなぁ。

うーーわ、行きたい(笑)。こぶたレースとか見たいーー(半分本気半分冗談)

私が勝手に掲げている今日のサブテーマ

「自然と戯れる&動物と戯れたい!」(笑)

でもスケジュールが詰まっている多忙さゆえ、ここはスルー(笑)

時間があれば温泉後に寄って! ソフトクリームでも食べたいっ。



温泉に関してはいくつか調べて来たのだが、

連れが持って来た温泉ガイドブックがあまりに爆笑モノ。

ハンパじゃないほどに温泉オタクな著者は、

温泉の雰囲気、風景、清潔感とかは全く無視、

とにかく「泉質」命なので、湯舟もないような、

お湯がちょろちょろ湧いているだけの温泉すらも載っているという、

恐ろしくマニアックで、参考にしにくい(特に女性は(笑))温泉ガイド本。

世の中にはなんでもオタクがいるわけで、

興味ない人にはほんとどーでもいいことに熱くなれる血潮は

実に共感できるのだ。だから面白い。オタク万歳!(笑)


そこにひとつだけ那須高原の秘湯が載っていたので、どうやら行けそうだ。

よーし、温泉もハシゴーーっ!! 今日はとことん、ハシゴーー!






(1)謎の名物料理 スープ焼そば





本日那須高原スケジュールひとつめは

ラーメンである(笑)。

いや、ラーメンというかなんというか

西那須野ICから塩原温泉郷までは約15キロ、山道をぐるぐるっと登って

塩原温泉郷の中、天狗岩のカーブを曲がったところの吊り橋の側にある

一軒のひなびた食堂にその名物ラーメンがあるという。


 


じゃーん、元祖スープ焼そばの店!

スープ焼そばなるものが看板メニューの定食屋なのである。

スープ焼そば(笑)、いかなる問題作なのであろうか???

せっかく炒めた焼そばにスープをかけちゃうなんて意味ないじゃん!っと

そうツッコミを入れたくなるようなメニューがあるという…。





すでに2時過ぎていたので店内は静か。

壁にはお品書きがあったが、メニューはスープ焼そばとソースカツ丼とチャーハンの

3種類しかない(笑)。うーわ、絞り込んでるなー(笑)

そのかわり、壁中に貼られたサイン色紙(笑)。

これも昔ながらの名物店によくある風景で微笑ましい。





そして! でたーーー! スープ焼そば。

…ううん? なんか、思ったより普通にラーメンちっくなんですけど。

しかし、匂いが完全に焼そばである。普通にソースの匂いがするのである(笑)。


一口食べて爆笑、ほんとに焼そばだ(笑)

ソースの香ばしい甘い味がする、特にキャベツなんて、焼そばのキャベツそのまんま。

豚肉ではなくとり肉が入っているのは個性的なのかもしれない、焼そばとしては。

焼そばにしては細いけれど、縮れ具合が妙にインスタント感がある麺美味しい。念のため)

確かに焼そばソースの味がします!(笑)

スープも、確かにソースの味がします!!

でも「なぜか旨い」(笑)


ところが。

食べ進んでいくうちに、「焼そば」の第一印象とは変わって

次第に「ラーメン」になっていくのである。

これはかつて体験したことがない七変化だった。

さっきまで猛威を奮っていたソースの香りが、

普通に出汁を良くとった美味しいラーメンスープの

味わいにスイッチしているのだ。…い、いつの間に?!

しかも、それがなんだか妙に妙に妙ーーーに旨くて、

あわやスープを全部飲んでしまいたい衝動に狩られた。

いかんいかん! このあと食べ物スケジュールが4軒残ってるし(笑)


塩原温泉に来たら、ここマスト!(笑)





ここで、スケジュール作戦会議。

私がお目当て(というか今回の本来の目的…)のパン屋さんの

オープン時間は15時〜17時頃(!)なので余裕があるが

連れの「もう一軒行きたい昼ご飯」は、今調べ直すとなんと16時閉店???

うわーーもう今すぐ行かないと無理じゃないか!


温泉、目の前に温泉があるのにーーっ。

この塩原温泉の渓谷の中に、大網温泉という温泉がある。

階段を300段も下って行く野天風呂があるのだがすごく気になっていたのだ。

というか、「昼間」に温泉が入りたい。

この晴れた太陽の下で! 緑の中で!

でも時間ないかーー、、、無念!

でも、私もその店行きたいし、初志貫徹で行こう!

「食」を取る!





でも、その前に、この太陽が出ているうちにこの吊り橋を渡りたいっ。

足元がわざと、であろうか、網状になっているため足元から谷底が丸見え。

そこをわざと下を向いて歩くのが酔狂(笑)。ふふふ…少し酔うぞ(笑)。





絶景…!

わーん、自然と戯れてます、私!(笑)

いやいや、まだまだこの後もチャンスはアルに違いない。

諦めずに次の目的地を目指すべく、山道を再びぐるぐる下り、西那須野駅を目指す。

(この場所、のちのちに再び来ることになるのである)






(2)閉店間際すべりこみラーメン+ビール




到着したのは

またラーメン屋(笑)

さすがにラーメン2軒ハシゴというのは

パン好き稼業やってたらありえないことである(笑)


まだ3時だが…なにィ?!(キャプ翼風に)

もう店じまい?????

うっそーーん……





しかし、お願いしてOKしてもらったっ。

オーケーオーケー晴れ女!(?)


ここでようやく、ようやくビールも飲む、もちろん私だけ(笑)

ラーメンは、白河ラーメンの系統らしいが、(私は結構太麺は相性が悪いときがあるが)

太麺の二郎ぽさがあるもくどさがなく、食べやすい。

スープが旨いのだなぁ…醤油にラードがぷくぷく浮いた、この手のスープ、好き!


しかし、美味しく食べようとするならば

腹が膨れるビールなんて飲むべきじゃないのに、…飲む(笑)。

これって、ラーメンよりビールが好きな証拠だよなー(笑)





かなりげっふんげっふん状態で(当たり前だ)

お次の目的地へ向かう。その途中でとある店の前で止まる。

大田原牛…ここがかの、超、超ーー高級牛のお店か!

とある知人がここの超高級ステーキを食べたことがあるそうなのだが

……「10万円」だって(笑)ありえない…

我々は、見るだけでお腹一杯なのである(笑)。






(3)やわらかな空気となまけもののパン屋



今回の那須高原行きの目的は

大方の予想通りだと思うが、このお店に行くことだった。

いや、行くことなのである……かなりオプションが増えたものの(笑)。


このお店のことは、だいぶ前から心に留めていた。

18きっぷで北上旅をするたびに、立ち寄りたいと思っていたし

暖かい季節になったら行こう行こうと思っていた。


パンの仕込みとパン作り、

午後3時頃から夕方までの短い間、パンを売る以外の時間は

筋トレとシャドーボクシングに打ち込むストイックさ、

HPの「きょうのこと」に綴られる熱い想い、言葉たち。

そして、パンの顔たち。

これを見て、惹かれないわけがない。


どんなところで、どんな人が、どんな風にパンを焼いているのか。

私はパンに「会いにいく」んだ。





西那須野の駅から車で15分くらいか、

町のはずれの住宅地の中にようやく見つけたパンの小屋。

周りは普通に民家があるだけだし、特に通りに矢印のついた看板すらもない。

一体だれがこんな場所にパン屋さんがあるだなんて想像できるだろう。


しかし、この家を囲む空間だけが、別世界を作っていた。

…あぁ! 想像を遥かに越えた空間だった…!





使い込まれたクラシックな家具や、手作りの雑貨に囲まれたその空間は

HPで見て想像していたストイックなスポーツマンが営むパン屋の姿とは

遥かに異なる、静かで穏やかな、大事なものに囲まれたやわらかい空間だった。

足を踏み入れた瞬間に、かるいショックを受けた。





パン屋の主人は、まだ若くて、華奢な青年だった。

ひとつひとつのパンを説明してくれ、とてもやわらかい印象。

そのやわらかさは、この空間に流れている空気感と同じ類いのものであり

違和感なくしっくり溶け込んでいた。





写真を撮らせて頂きながら思ったのは

どこを切り取っても絵になる空間であるということ。

小物、家具、パン。

ひとつひとつがすべて大事にされているなぁ、慈しまれているなぁ。

そう、伝わってくる。





なんてイイ顔をしたパンたちなんだろう…!





トングでパンを掴むと、ジャリッと乾いた音、そして確かな重み。

不思議なもので、このパンたちがいかに美味しいものかが

食べる前からわかってしまう。

それは、この不思議なロケーションと、このやわらかい空間と、人と、パンの顔。

美味しさのヒントがこんなに与えられてしまっては…。





私がこれだけのパンを買っても、

「この手の」パン屋さんとしては、驚くほど良心的な値段だった。

きっと何日もかけてゆっくり味わえるだけの量なのに。

会計のときに、こっそり袋からバゲットを取り出してかじりついてみた。

香ばしさが後からじわっと湧いて来て美味しい…!

うわ、もう、今すぐ全部かじりつきたい…!



最近オープンしたという、パン屋さんの話を聞いた。

ピエール・ブッシュ氏の息子さんのお店だそう。

「うわーーー行きたい行きたい行きたい!!!」

他のパン屋さんのことで大騒ぎしてしまうはた迷惑な私。

やさしいご主人は、ネットですぐに場所と営業時間を調べてくださった。

…って、「営業日 水曜、日曜」…って???

2日営業?! しかも今日は土曜…。

がくーーーー。





「であえてよかった」

出口にかかげられたメッセージに見送られこの空間から立ち去った。

後ろ髪を引かれる思いがした。

気軽に来られる近所の人を、うらめしく思った。

このやわらかさに願えばいつでも来られるのだと思うと、うらやましく思った。





適当なところに車を止め、パンを切り分けた。

数種類の木の実の入っている平焼きのパン「麦ばたけの波おと」。

ナッツの濃厚なコクを受け止めるハードなクラストと

みっちり詰まったクラムがとても美味しい…!!





クルミ入りの「カンザスへ」。

クラストの小気味いい乾きっぷりとクラムのしっとりむっちりとした柔らかさ。


ザクザクっと音やカスを飛ばすクラストのハードさは

まぎれもなく、店頭で直接買ったがゆえの特典。

時間をおいた方が美味しいといわれるパンですら、

私はここのパンの「ザクッ」の音を味わう方を選びたい。

時間はいずれ経つ。

ならば、この焼きたての「ザクッ」も味わっておきたい。

ここに来なければきっと味わえない音…。





気の利いた料理や、バターなどのパンの「お新香」がない車中で

やはり一番美味しく感じさせてくれるのはこれだった。

オレンジピールとレーズン、ナッツの入ったパン。

オレンジピールの鮮烈な爽やかさと、濃い甘みのレーズンにも

もちろん心をつかまれたけれど、それ以上に「焼かれて生まれたもの」としての

美味しさがストレートに伝わって来た。不思議なことだけれど。

ただ香ばしい…だけでない、焼かれた香りに、しみじみ美味しいと思った。



那須高原に来たら、ここへの道のり、ここでの時間、

まるごとひっくるめて味わって欲しい。

迷わず、ここに辿り着いて欲しい。







さて…。

もう日はだいぶ傾いて夕暮れ時になってしまった。

残すところ食べノルマはあと2軒(笑)。

そのうちの1軒は、黒磯といえば絶対行ってみたかったカフェがあるのだ。


「食べ」に関しては超順調であるが、

あぁ、これでは「緑の木漏れ日の中の露天風呂」計画がぁぁぁ(笑)。

それはもう諦め、次の食べノルマの場所のある那須高原を目指す。

西那須野からは再び高速に乗って北上、ひとつ目の那須ICでおりる。

ここにも、温泉郷があり、秘湯があるのである。

よし、こっちを攻略せよーっ。





那須ICからまたまた山道を登ること30分ほど。

那須温泉郷にある、ひなびた風情のある湯治場、鹿の湯。

温泉街全体に強く硫黄臭がただよう。

ここもチェックはしていたのだが、ここは露天風呂じゃないことが少々ネックであり

…もうひとつの秘湯も見てからきめることにした。


そう、その秘湯とは、最初の方に書いた温泉マニアさんがお薦めする

ディープな野天湯。

「よし、そっち行こう!」フレキシブル!





鹿の湯の側でみつけた、殺生石という名所。

硫黄臭がさらに強く、風景的には地獄谷のような感じだが

同じ方向を指さす地蔵さんがいくつもいくつも佇んでおり、

ある意味ここはシュールな世界だった…夜来たらかなり恐いね(笑)。

心無しか、寒々しい。


…いや、気のせいじゃない。リアルに肌寒い。

そりゃそうだ、かなりここは標高が高い!

さすが高原っ! ビバ、高原っ!!

(高原らしいこと、まだしてないーーと、散々愚痴る未練がましい私だったのだが(笑))



ところが、ずいぶん道を間違えたらしく

いくら山道を登っても一向にその温泉は見つからない。

ようやく地図で確認すると、思いっきり通り過ぎていたらしい…。

他の温泉で手を打とうにも、どこも日帰り湯は終了していた。

しかも、夕食を食べる予定の店も、20時閉店。

もう迷う時間は残されていない。

うわーうわーうわーどないすんねーんっ!


そこで、またまた作戦会議。(一体なんど作戦会議したことか(笑))

まず、行っても入れるかどうかもわからない秘湯はリスクが高いから諦める。

温泉は、昼間に訪れた那須塩原の渓谷の温泉(階段300段)が

22時までやっているからそこにしよう。

カフェは…無念だが、諦めよう。…無念!


最優先は、20時閉店の夕食所!!!

(私たちらしいなー(笑))






(4)ダチョウ料理と満天の星


今回のノルマのひとつが、ダチョウ料理の店、なのである(笑)。

栃木名物なのかどうかはしらないが、

とにかくダチョウを食べさせる店があるそうな。


調べたところでは、どうもドライブイン的な食堂という感じに見受けられたが

決め手は「生のダチョウの放し飼いが見られる!」ということだ(笑)。

そう、私は生のダチョウが見たかったのだーっ。

(実際には食用のダチョウは輸入ものらしい。あくまで観賞用とのこと)


ダチョウを眺めてから、ダチョウを喰う(笑)。

これって、羊ヶ丘で羊を眺めてからジンギスカンを喰うのと同じセンス(笑)。

美味しいかどうかが問題じゃない、面白ければなお結構!

こてこてじゃないか! ビバ、こてこて!!(笑)




…しかし…

ようやく辿り着いたころにはとっぷり夜。

うわーーん、ダチョウが全然見えませんっ(笑)。

どこにおんねーーんっ(泣)。





微妙に家畜臭がする…。

奴ら(=ダチョウ)の気配はあるのにっ。見えませんっ。





閉店間際に駆け込みセーフ。

この店名「太らん」とは、高タンパク低カロリーのダチョウは

たくさん食べても「太らん」という

実に乙女心をくすぐるストレートなネーミングである(笑)。

メニューは、ダチョウ丼やダチョウの刺身、ダチョウのオムレツ…などなど

ダチョウ尽くし。焼肉も、ダチョウオンリーである。徹底してる!!





焼肉セットを2人前。

画像は奥から、刺身でも食べられるという普通の肉、

トリネック(ダチョウの首肉である。想像してみてください、あの長い首を…)、砂肝の3種。





奇を衒ったところはなく、極フツーに焼肉をするのである(笑)。

砂肝もトリネックも、鶏のそれと大きな違いはなく、無難に美味しい。


普通の赤身肉の方はというと…かーなーりー淡白。

もしかしたら焼肉より、調理した方が美味しく食べられるかも?

なんとかこいつを美味しく食べてあげようと、

バター+胡椒、ポン酢、バター+醤油、といろいろ試してみたものの

限界を感じたので(笑)悪あがきはやめた。わはは。


いやー、満腹ーーっ。ほとんどはビール膨れで申し訳ないけど(笑)

初志貫徹、楽しかった! 面白かった! (トリネックは)美味しかった!





「生のダチョウって、もう見られない…ですよね??」

諦めの悪い私は、レストランの人に訪ねた。

「もうダチョウは眠っているか、小屋に戻ってるかも知れませんよ」

暗闇の中で周囲を少し歩いてみるが、

鳴き声はちらっと聞こえるもよくわからないーーっ。

うぅぅ、「ダチョウと戯れるの図」が無くて無念っ!


しかし

上を見上げると満天の星空…!

うわぁ……


鳥肌が立つほどに鮮明な星空だった。プラネタリウムくらいに。

周りにはなにもない、静かな暗闇の中で、あるのは星明かりのみ。

星空に圧倒され、魅了され、しばし上を見上げていた。




ふと漂ってくるのはダチョウの家畜臭、低い鳴き声。

…これはロマンか???(笑)








最後! これでホントに最後。

念願の温泉ーーーっ。

ほんと、これを無くして帰れない。





昼に来た塩原温泉郷の大網温泉

階段を300段も下って、渓谷の下に野天風呂がある。

この階段のせいで、空いているのも嬉しい。

この先は暗すぎてもう写真が撮れなかったのだが

夜間の300段もの階段を下るのは危なっかしかったし、

もっとしんどいのは帰りの「上り」である(笑)。ひえー。

汗を洗い流したあとに汗を再び流す(笑)。

なんと生産性のない(笑)。



渓谷の底の温泉はそれはそれは素晴らしいロケーションだった。

川の横に設えられた3つの浴場。

昼間ならば渓谷の圧倒的な緑に囲まれることだろう。

秋ならば紅葉が美しいらしい。

しかし、夜ならば…それと引き換えるにも価するほどの満天の星空。

川の流れの音と、渓谷に囲まれた中に見える星空

時間を忘れて眺めていた。


あぁ、この一日がどれほど濃厚でハッピーで満たされていたか

言葉にできないほど…。


300段の階段を休み休み必死で登り詰めた後は…

これしかないでしょう(笑)。

どれだけこのときの一杯が美味しかったことか…!




東京までの飛ばせば2時間ちょい。

ただ乗っているだけの私は眠気がピークにきていたけれど

日付けが変わるころ、目を覚ました。

完璧なまでの一日をありがとう…。



「これ以上に面白い旅はない!」

いつも旅から帰るたびに思う。

あんなに濃厚な旅はもう二度とできないんじゃないかと

燃え尽きたような気持ちになるのに

またこうして、忘れられない旅がひとつ…。

この旅に続編がありますように。

そう願ってならない。



那須高原の楽しみ方はいろいろあるけれど

パンに始まり温泉で終わる。

途中ラーメンありの、ダチョウありの(笑)

こんな那須高原も、ありだと思いませんか?

2006.7.29