75.雪降る【秋】の北国ドライブ 〜富良野・十勝〜



毎年この時期に帯広の母方の実家へ帰るのだが

今年はどうしても行ってみたい店があり、富良野経由で帯広へ向かうことにした。

この時期の北海道は、長く厳しい冬が到来する直前の

最後のセピア色の景色が広がる。

2003年 2004年 2005年の帯広帰省旅を参照)


旭川空港で車を借り、

富良野で一泊し、

翌朝帯広を目指してドライブ



…の、はずだったのに。


旭川空港を到着すると

そこは









一面の銀世界だった(笑)。






*美瑛・富良野 篇*



この週末は雪が降るっぽいことは天気予報で見ていたものの

まさかまさかこんなことになっていたとは…orz

北海道を完全になめてました、mi_wa@道産子。



実は、私は道産子でありながら、雪道運転をしたことがない。

母ですら、冬になると運転を止めてしまう(駅まで迎えになんて来てくれない、、、)

意外かもしれないが、北海道の人間の方が「雪道の恐さ」を知っているからである。

「秋だから」と思ってレンタカーにしたのに、、、

なんじゃ、この雪は!!!



大 誤 算 !



しかも…この時期はあまりに仕事が忙しすぎて

夕べもタクシーで2時過ぎに帰宅→そこから旅行の支度→早朝の飛行機のために朝6時には家を出発…


…つまり、夕べは1時間しか寝ていないのである(笑)。


「寝てない+雪道=絶対ヤメレ、ヤッタラ死ヌデ」




さすがの私でもそこまで命知らずではないので、

今日は、とりあえず目的のパン屋さんだけ行って宿に止まったら

もう運転はよそう、…と思っていたのだが…





しんしんと降り積もる雪…。

ここは…本来、パッチワークの路というパノラマロードのはずなのだが…

どこにあるのだ?!(笑)


ただ、そこには白と灰色の絵しかなかった。

「セブンスターの木」らしきものがうっすらと





かの有名な「親子の木」。

…こんなはずでわ?!




夏頃、北海道在住のパン好き青年が北海道パンの旅を詳しくレポートしてくれた。

絶対行こうと思っていたパン屋さんを先に越されて地団駄を踏んでいた。

秋には絶対行く! 私だって行ってやるぅ!


青年が繰り広げていたその足跡をたどるかのように

私はまず、一軒目のカフェを目指し、

雪道をのろのろと慎重に運転した。





おお、ようやく発見!

パッチワークの路のエリアから少し西にはずれた辺りにある一軒家のカフェ。

こんな大変な日にお客さんなんているのだろうか?!


しかし、入り口は雪掻きがなされておらず、道が雪で埋もれている。

…いやーな予感が走る…




がびーん、CLOSED?!

うわー、、、確認してから来ればよかった、、、

定休日じゃないのに、もしかしてこの雪のせいか?!


ここまで運転してくるだけでドッと疲れた。

うう、慣れない雪道運転は本当に恐い。

さっき、雪だまりに車輪を取られてドキッとした。


コンビニでモカを注入、次の目的地…というか、今回の本来の目的地へ目指す!

ここさえいければもう、本望なのである。

もう、今日は運転止めてもいいかも(笑)。








美瑛から南へ十数キロ、美馬牛という駅の近くにその店はある。

駅の近くに看板があったのだが、ぐるぐるその付近を探しても見つからない。

もういい加減運転止めたい(笑)と、根を上げそうになったそのころ





おおお! 二つ目の看板を発見!

今度は慎重に、目を皿のようにして徐行し続けた。

近い! 近いぞ! …頼むから開いていて?!





わああん!

ようやく辿り着いたその一軒のドールハウスのような

かわいらしい家と、壁に書かれた店名。


自家焙煎珈琲店Gosh。


ここに来たくて計画を立てた今回の寄り道旅なのだ。





この店のことはだいぶ前から知っており、

北海道に帰ったら絶対に行きたいと思っていた店だった。

珈琲店ではあるけれど、パンの美味しさにも定評があるし、

なによりお料理の評判がいい。

私よりも一足先に訪れた青年が、やはりここを一番に薦めてくれた。

一軒に絞るなら、やはりここを選ぶ、と。





もともと道外の方が数年前に開かれたお店だけあり、

どこか都会的な洗練された雰囲気が漂う。

天井が高く、さほど大きい窓ではないのにたっぷりと光りが差し込む。

今日は雪だから、雪明かりがまぶしい。


物腰のやわらかい、優しそうな御主人に、

丁寧に珈琲の相談に乗ってくれた奥様。

はあぁ…。なんだか食べる前からお腹一杯かもしれない。





パンが、想像以上に美しかった。

これだけガッツリと険しく、勇ましく、それでいて洗練されたパンは

たぶん、この道央ではそうそうお目にかかれないのではないだろうか

道外からの移住組の御主人であるはずなのに、

パンから醸し出されるのは、まさに北の大地の力強さだった。





まるで立派な盾のようなカタチのフルーツパンに釘付け!!!

うわぁ…。一目惚れって…まさにこういうこと、

フォーリンラヴ?


写真を撮ってもいいかとお願いせずにはいられなかった。

首からカメラを下げた私はどんなに奇異なことだっただろうか。

(まぁそれはいつものことであり?)



サンドイッチやビーフシチューなど

メニューは豊富で、どれにしようか延々悩み、

選んだのは日替わりメニュー。

お値段は、この土地にしてはちょっと吃驚するような価格帯。

(東京感覚でもややお高め?)

お料理には、パンとサラダと珈琲がついてくる。


オーダーとほぼ同時に御主人が珈琲をゆっくりゆっくり落としはじめる。

(タイミング的には食後にお願いすればよかったかもと後でふと思う)

まず登場したのはパンの盛り合わせだった。





おお…。こんなに何種類ものパンが!

すべてがトーストされていて表面はややカリカリに仕上がっている。

個人的には、スライスしてからトーストはしないので

自分好みの「本来の食感」は家でゆっくりませてもらうこととして


柔らかそうにみえても、意外と手ごたえ、食べごたえがある。

少し酸味が効いているけれど、決して難しい味わいではなく

「あ、美味しいな」がスローテンポで到来する。

決して「美味しいデショ」と主張するようなところはなく、

ただじんわりとゆるりと美味しさが広がるような。





熱々のひと皿は、本日の日替わりの鴨のラグーとじゃがいものグラタン。

考えてみたら、パンを食べようと思うならビーフシチューがベストだろうなぁと

注文した直後も迷ってはいたものの

このグラタンがものすごーーーーーく美味しかった!!

鴨の旨味が染み出たラグーの汁気が絶妙の濃さのホワイトソースに絡まり

じゃがいもの甘さが後から追い討ちを

本当に、ほっぺたが落ちるようなグラタンだった。あぁ…!


料理を食べると、パンの良さがより一層際立つ。

料理を食べると、パンが欲しくなる。

パンを食べると、料理が欲しくなる。

こういうお店が一番好き





ここのためだけに富良野に来ても、きっと本望だ。

最初にそう思い描いていたように、結果、それは本望だったみたいだ。


雪がどんどん深くなって行く

珈琲をもう一杯おかわりをし、ぼんやりと窓の外を眺めていた。

不思議と眠気はない。

だいぶ、雪道の運転にも慣れた気がする。


奥様からの励まし(?)も頂き、

…決めたぞ。決めた。


お風呂、行きマス!!!






美瑛の南隣の中富良野町から山の方に車を走らせると、

いくつかの有名な温泉がある。

学生の頃、同じように富良野経由で帯広にドライブしたことがあったのだが

そのときは大雪山の白金温泉に寄ったが、

今回の目的は吹上温泉。

「北の国からごっこ」をしたかったのだ(笑)。





ドラマでM沢りえちゃんと五郎さんが一緒に入るシーンがある。

その露天風呂が吹上温泉なのだ。

ぜひともりえちゃんごっこ(違)をしたかったのだ。


ところがあいにくのこの雪道

始めての雪道山越え、後送車がないことをいいことに

二速でのろのろと山道を慎重に慎重に登り詰めた。


「りえちゃんごっこ」するには、その野天風呂は

車では行けない場所にあるため、

それなりの装備をしなくてはならないらしい。

脱衣所がないから足元に敷く毛布を、

湯が熱すぎるから雪で薄めるためにスコップを、

衣類に雪が積もるとやっかいだから覆う袋を。

しかも混浴だから捨てるべくは羞恥心。


そこまでの装備も根性もない丸腰な私は(笑)

吹上温泉の日帰り温泉施設に行くことにした。





ようやくたどりついた温泉施設。

混浴の露天は、水着も借りられるとのことで

文字どおり丸腰の私は(笑)、水着とタオルをレンタルした。


「今、くじびきやってるから、ひいてってね」

周年記念とかで、温泉まんじゅうやらタオルやらが当たるらしい。

「はーい。私、当てますよぉ。

当たるんですよ、こーゆーの…」



…当たったのは、ここの温泉の無料入湯券(笑)。

ああ、今まさにそのチケット、買ったばかりなのに?!

しかも、使用期限が来年の3月まで。めっちゃ近いんですけど(笑)。


「次回、使ってねー」


…あのね。次回ってさ(笑)。

果たしてあるんでしょうか…。



お客はまばらで、貸切り状態だった。

混浴の露天風呂は、水着の着用義務があるらしい。

客はいないけれど、念のため水着を着てみたが、、、

これ、水着って言うのかな(笑)、バスタオルにゴムをつけたような

ちょうちん型の帆布のような固い布なんだけど



雪が積もった露天風呂。

寒寒、早く温かいお湯へ

じゃぷん!



ぎゃあ!!


お湯が冷たい!!!


ひーーーなんなの、このぬるま湯は?!

浸かれば浸かるほどカラダが冷えて行くような(笑)。

だ、だめだ、、、ここは無理!!!




冷たくなった水着を脱ぎ捨て、女性風呂に飛び込んだ。寒い寒い!!


ところが、なんなんだ、結局女風呂にも、ちゃんと同じような

露天風呂があるじゃないの、、、なんのための水着だったのか、、、

(どうやら、家族で一緒にちゃぷちゃぷ楽しむための混浴温泉プールみたいなものだったらしい、

ひとりで来ている私には別に無用な風呂だったらしい、最初に言ってくれよーーおばちゃん!)





わぁぁ…。

いい、いいぞ、雪見風呂!!

さっきの水風呂とは違って、

ひとつだけ「ぽかぽかの湯」なる、熱いお湯があった。

冬の露天風呂はこれぐらい熱くないと、無理でしょうよ!!


ざぷん!

はぅぅ〜…気持ちいい…。





こんこんと降り続ける雪に、こんこんと湧き出るお湯。

唯一だしている頭には薄らと雪が積もる。

はぁ〜。やっぱり北海道の露天風呂は良い


はい、つかの間の「りえちゃん」タイム、終了〜。

(不粋なツッコミはなしですよ)






どんどん運転に自信を持ち始めた恐い人。

さっさと宿に直行すればいいものを、もう一軒、もう一軒…。





ここは美瑛よりもさらに南の中富良野。

一面の雪野原と化した田畑にぽつんと、年季の入った一軒家。

ここも、富良野移住組のご夫婦がやっているカフェである。


この風景を見た時に、あぁ、雪が降ってよかったなと思えた。





アンティークや古道具、ミッドセンチュリー風のインテリア、

どこの席に座っても表情の違う、どこを切り取っても絵になる素敵なカフェだ。

そう、360度見渡しても絵になる富良野・美瑛の風景のように。

(ただし、こちらのカフェは撮影も席移動も、うろうろも禁止されている…)





テーブルに備え付けられたライトをつけ、珈琲とチーズケーキをいただく。

まだ4時過ぎだというのにもう夜が忍び寄る、北海道の冬。

温かい膝掛けを借り、ソファに腰かけ、窓の外を眺める。


…ふっ。

…は! いけないいけない、

眠気が襲って来た。いけないいけない。

こんな暗くなるまで運転するつもりはなかったのだ、

早く宿に向かわねば。







本日宿泊の宿は

またもや北海道パン好き青年のレポートの追従になってしまったが

(彼が東京や大阪、福岡にパン巡りに行った時に散々追従されまくったのだからちょっとした復讐である(笑))

上富良野のとあるライダースハウス。

ダッチオーブンで作る料理が「ものすごく」旨いと聞いていたので

迷わずそこに予約をした。

峠の近くにあるというから、道は大丈夫か!? と不安になったが

峠といっても峠らしくない標高の低い場所だったので心配無用。



ペンションが何軒も集まる集落のようだ。

そこに本日のお宿が…。

宿主が雪掻きをしている。いや、どーも、お世話になります…。






本来相部屋であるペンションだが、幸い部屋を一人占め。

取急ぎ、パンをクール発送するためにおもむろに部屋でパン切り活動。





練り込み系のパンもいいけど

意外な路線で、ポムドテール(じゃがいもを錬りこんだやわらかいブリオッシュのようなパン)

がものすごーく美味しくてツボってしまったようだ。

ついつい味見が止まらない。

…後でこれをとてもとても後悔することになるとはつゆ知らず。。。



食事の時にビールを飲むとしたら

食事の前に温泉に行っておいた方がいいかもしれない。

車で10分程度の上富良野の市街地にある、共同温泉に行ってみることにした。

(慣れって恐い…何も考えず夜の雪道運転)





う!

なんか色が怪しいですが(笑)ごくフツーの共同温泉。

名前からして北海動的、いかにも効きそう?!


かなり年季の入った温泉…というか、とっても「公衆」なお風呂であった。

昼間に行った吹上温泉も、このフラヌイ温泉も、どちらも600円。

どっちかというと吹上温泉の方がお得感がある気もしないでもない。







お風呂から帰ってくると、夕食の支度ができていた。

今はシーズンオフにつき、貸切り状態。というか、宿主とサシ(笑)。

おかしな構図である。

果たして今夜のメニューは…?





ふぉぉぉぉぉ…!!!

こ、これはローストチキン?!

まるまる一羽?!

周りにはたまねぎと人参と馬鈴薯、にんにくが敷き詰められ

ものすごく旨そうである。


…ほ、他に誰が食べるんですか?

え。私一人で食べるの?!(笑)





「初心者はまずこれから食べてもらうんだよね」

初めての客の登竜門メニューらしい。

手慣れた手付きで切り分けられる。

容赦無しにズサッとチキンのお尻にナイフは突き立てられる。





ひょぉぉぉぉ!!

チキンの中にもぎっしり「具」が入っているのだが

なんとこれが、パン!! パンが入っているのである。

さらにトマトケチャップとバジルとクレイジーソルトとチーズとオリーブオイルを詰め込んで

じっくりこんがり焼き上げられたもの。





ニンニクがたっぷり効いたオイルソースにまぶしながら一口目、パクリ……



ふぉぉぉ…!!

激 う ま !!!!

ものすごいウマさ!!!

これはほんとにすごい。かつて食べたことがないくらいに絶品!!!

中に詰められた具がとにかく旨い。

それに合わせてソースも、なによりほくほくと甘みが凝縮した野菜!!!


ふはぁ

なんたるウマさ

ひとえに、ダッチオーブンの力?

宿主の腕の良さ?

はたまた中に詰まっているパンのサポート?(笑)



他にも2品ほど料理が出て、さらに「コーンスープ」が出て来た。

食べる前からえらく自信満々に「ほんとに旨いよ」と10回くらい言う宿主、

どれほどのものかと、スプーンを口に運んで


悶絶!!!!

すごいすごいすごすぎます???!!!


とうもろこしをそのまま丸ごと食べているのとなんら変わらないほどに

リアルとうもろこし! でも、ただのとうもろこしじゃない、ものすごく糖度が高い。

水と牛乳は、ごくごくわずか使うのみで、バターもクリームも塩すら使っていない、という。

これにはほんとに驚かされた


いかにこのとうもろこしが希少で、貴重で、手間がかかるスープであるかを

10回くらい語ってくれた(笑)。




ものすごーーーく美味しいのだけど、

私は普段、あまり夜にがっつんと食べないゆえ、

すぐにギブアップしてしまった。

ものすごく美味しいのに! もったいない! ほんとに悔しい!


ゆっくり休み休み食べたとは言え、チキンは1/2が限界だった(それでもかなり食べたと思う)


すると宿主、「分かっている人(リピーター)は昼ご飯も、

…朝ご飯すらも抜くぐらい気合い入れてくるんだよねー」

(そう、滞在中に20回くらいは語られた(笑))


はぁ…。確かにこれほどまで美味しければそうするでしょうね、みなさんは…。

すんません、パンを欲張りすぎたかもしれません(笑)。






翌朝。





朝ご飯は、中華粥なんだそうだが、やはりダッチオーブン。

うは、、美味しそうだがこの量を一人で食えと(笑)。





彩りがきれいなお新香たちが並べられる。





貝柱に干しえび、魚介系の出汁、ごま油の香りが効いて美味〜。

まだ夕べのチキンが胃の中に残っていそうなくらいだったが

これならずずいと食べられます。



朝なら私、もりもり食べられる、朝昼がっつり派の私。

これ一品なら…。

可能かも知れない!


「すんません、夕べのやつ。まだ残ってます?」(笑)





お粥だけではむしろパワーが出ない私(笑)

夕べのおかずを全部一通りフルコースで出してもらう私である(笑)。

そう、残してしまったことが気掛かりで、夕べは眠れ

…たんですけど、ちゃんと(笑)


時間が経ってしまったけれど、旨いものは旨い〜。

改めてこのスープは絶品、

でもみるみる胃袋ははち切れんばかりに。

…昼の分までどうやら食べてしまったようである(笑)。





満腹満腹! 悶絶ダッチオーブン料理、ありがとうございました!


宿を出たのは9時半。

これから峠を越えて、帯広方面まで。

運転は昨日でだいぶ慣れた。睡眠もばっちり取れた。

大丈夫、きっと大丈夫っ!

どうか…何ごとも起きませんように!






*十勝・帯広 篇*



大好きな道産子ラジオ局の番組を聞きながら順調に峠越え。

途中、猛烈な睡魔が襲ってくることも何度もあったが

その都度シートを倒して仮眠


富良野の南、狩勝峠を越えたら雪はなくなるはず。

帯広のある十勝地方は降水量が少なく冬でもあまり雪が積もらないエリアなのである(寒いけど)。




途中、どうしても寄りたい温泉があった。

帯広から北の方に、然別湖、糠平湖という温泉地があり、

昔、同じように道央経由で帯広に来た時は糠平のなまらひなびた温泉旅館に泊まった。


今回は、然別湖の方に寄り道をしてみた。

ここには秘湯中の秘湯、「かんの温泉」というところがあるのだが

ここに辿り着くまでがえらく苦労した。

温泉までは約10キロくらいの専用道を行くのだが、

山に入るにつれて積雪が深くなっていた。


雪と氷で覆われた山道をぐるぐると、

「歩いた方が早いのでは」というほどにのろのろと、

脂汗をかきながらハンドルを握りしめていた

雪さえなければそれほど大変じゃなかっただろうがなんせ私は雪道ビギナー。

ほんっとにここの道は恐かった…「初めてのスキー」にも似たような(笑)。

嫌がおうにも「わざわざ来たぞ、ここまでして!」気分を高めてくれた。


恐るべし、さすがは秘湯!(?)





ふぉぉ…!

風はめちゃくちゃ冷たく、本気で冬顔の山の奥!!





振り返ると、まさに「昔ながらの湯治場」風情を醸し出しまくっている

年季の入りまくった温泉宿が


この手の湯治場を兼ねた温泉は、東北で良く行くのだが

ここにも湯治客向けの棟と、旅館とでわけられている。

止まっている車も少なかったが、旅館自体から人の気配を感じない。


…うぅぅ?! ひなびている…というか…なんていうか…ここはいったい…




ひぇぇ〜

猟銃持ち込み禁止?!

パンナイフは大丈夫かしら?!(笑)





外観からも相当前時代的な、昭和初期から時が止まってしまったような雰囲気だったが

中も相当なものだった。荒れ放題のフロントは、誰も駐在しておらず、

呼び鈴でようやく係の人が出て来た。


入湯料、1000円?! た、高いっすね。。。

歴史的遺産への寄付金と考えればいいかしら?(笑)



ここの旅館は、なんというか

古さとか、ひなびたとか、風情とか、昭和ロマンとか、

そういう以前に、手入れがまったくされていない廃校のような雰囲気で(笑)

「朽ち果てている」といっても過言ではなかった(笑)。

古いと言うか…おんぼろだった(笑)

夏に行った和歌山のよもぎ風呂とイイ勝負

いや、宿のおじちゃんがやる気を少し見せている分、あちらの方がまだ救いがあるやもしれぬ

取りあえず、雨漏りくらいはなんとかしたらと思わないでもない(笑)。





露天風呂は2ケ所あるのだが、もちろん混浴。

さすがにお客が誰もいないので、おもむろに脱衣しようとしたとき。

更衣室に、浴衣の私と同じ世代であろう男性が入って来た。

うわぁ、なんという「バッドタイミング」(笑)


浴衣ってことは、宿泊しているのだろうか。

青年は「こんにちは」とにこやかぁ〜に挨拶をしてきた。

そりゃそうだよな、混浴だもんな?(笑)

微妙に顔、ほころんでませんか?(笑)






「す、すみません、私、ほんの10分で済みますから、それまで一人で入らせてもらえませんか?!」

こういう混浴での場面ではヒジョーに不粋なお願いとはわかっていても

やっぱり見知らぬ若い男女がひとつ風呂に入っては行けません(笑)

青年は、フクザツな表情で「わかりました」と外に出ていってくれたのである。

ああ、ほんとにモウシワケナイ。。。

でも、助かりました(笑)感謝しマス





この温泉旅館の中には、8ケ所もお風呂があり、

隅々まで探検してみたが、いやー、、、なんというか、、、

画像じゃ到底伝えられないのだが、ある意味、とても楽しめるかと(笑)





回数券

よくよく見ると…あまりお得感を感じられない仕組みである(笑)。





一番気に入ったのは岩風呂。

岩を撮影していないのだが(笑)、たまたま日の射す時間帯で

光のカーテンがなんとも幻想的な美しさだったのだ。

おお…この時間帯、このタイミングでなければ、たぶん「ぼろ?」で終わっていたかも(笑)




帯広に向かう途中、母から着信が。

車を止めて、電話に出る。

「あなた、今どこなの? まだ東京? 何時に着くの?」

「あー、、、えーっと、、、今、然別、、、」

「?! なんで然別?!」


心配かけると思い、車で来たことは事前に告げず

「無事だったら」事後報告しようと思っていたのだ。


「富良野から?! 何で来たの」

……えーっと、車、、、借りて、、、」


…案の定、雪道運転したことを怒られる私である。


えーん。ちゃんと無事だったんだから誉めてくだサイよ…(笑)



*おしまい*







*付録*帯広グルメ


いつもと同じ、いつもと同じものを食べるのが私の帯広の過ごし方。

代わり映えしないので、さくさくっと流します。





祖父がいつも食べるのは平和園のジンギスカン定食520円(!)。

私はビールとジンギスカンとビビンバハーフ。





私がこれまで食べた中で3本指に入る味噌ラーメンの店。

これを食べに帯広に帰ってくるといっても過言ではない。





祖父曰く、味が少しずつ変わって来ている、というが

去年食べた時よりも化調味がきつくなっている気が(汗)

来年来た時は、去年までのような味に戻っていることを切望。





六花亭本店喫茶室でのホットプディング。

一番、帯広でくつろげる空間で。




帯広と言えば

これも年に1回食べなきゃ気が狂う(笑)、

インデアンカレー。

(関西や丸の内にあるインデアンとは一応違います…インスパイアと言うべきか?)





私のオリジナルな食べ方。

「インデアンカレー」にトッピングで海老をプラスすること。

「海老カレー」のルゥよりも、「インデアンカレー」のルゥの方が好きだから、だ。

牛肉と海老を大量摂取して大満足。

あー、日本一旨いよ。絶対。




二日連続の六花亭。

ピザだけじゃ飽き足らず


クリスマスケーキお試しセットをオーダーしてみたり。

これで300円台。さすが太っ腹六花亭!


2006.11.23〜26