58.とある週末の八王子&多摩パンめぐり
58.とある週末の八王子&多摩パンめぐり
朗報!! フリュイが東京でも食べられるようになったよ!!
とある2月の土曜日。
朝早く向かうのは八王子。
新しくオープンしたパン屋さんを訪ねるために
いつもよりちょっと早く起き、
いつもと反対方面の電車に乗る。
今日の目的地は八王子!
パン屋さんのために八王子へ行くのは実は初めてなのだ。
その新しきパン屋さんのオーナーシェフと初めてお会いしたのは2003年の水海道Nでのオフ会。
三番町時代からNパンのファンだったと言うTさんはその時はまだパン職人ではなかった。
でも、パン屋さんオープンの夢を温め続け、
水海道まで週末通い(!)、店を手伝い、最後の数カ月は水海道で修行をし
ついに…念願のパン屋さんをオープンしたのだ。
N出身のパン屋さん、第一号というわけだ!
DIARYに書こうと思ったけれど期待以上に素敵なお店、
期待以上にNそのまんまのパン、期待以上の美味しさ!
画像が溢れたのでESSAYに書かせてもらっちゃおう。
久々に、旅でもない、イベントでもない、
ごくごく普通の週末のパンめぐりESSAYである。
それが逆に新鮮だったりするかもしれない。
友達と八王子で合流したのは10時の開店前。
八王子の駅から徒歩10分くらいにその新店、BouleBeurreBoulangerieはあった。
はなみずき商店街(本当にお店の前に「ハナミズキ」が植えられている!)の、
商店がとぎれた辺りに現れた小さな赤いひさし。
まだシャッターは下がったままだけど、辺りにパンの焼けるいい香りがただよっている…!
オープンしたてでパンがまだたくさん焼ける状態ではないとのことだったので
早め早めに行ってみたのは大正解。私たちが一番乗り!
このクロワッサンの看板。本当にオーナーにそっくりなのである(笑)。
お店のデザイン施工は、かの有名な…。
もう、さすがさすが、静かな商店街に突然、パリの風が吹く、である(笑)。
シャッターが開くまで、私たちはカウンターのみの完全対面式のお店だとは知らなかった。
すごい! これだけ小さなスペースでパンを焼いて売るならこの方法がベスト。
それにしてもなんというかわいらしさなんだろう…!
だって、私のモロ好みの色味なんですもの(笑)、赤一色!!
ほ、ほんとにパンの量は少ない(笑)…けど、けど、けど!
どの子もこの子も、とても馴染みのある、とても愛着のあるパンたちばかりだったのだ。
実に水海道ゆずりの、師承に忠実なパンたちが並んでいたのである。
Nの代名詞的パン、フリュイ、そしてベルリーナラントブロート。
フリュイ、そのまんまやん…!!(笑)
東京の西、八王子でお目にかかるとは!
これもこれも! パン・ド・イリッシュも、メロンパンたちも…!
こちらでは、プレーンのメロンパンを「ハナミズキ」と呼んでいるのだ。
メロンパンがあまり好きじゃない私だが(笑)、Nのだけは例外。
ほんっとうに美味しいと思っている唯一のメロンパンなのだが
もう一件増えてしまいそうだ(笑)。
(迷った挙げ句、今日は抹茶チョコメロンパンに。うぅぅ、美味しいよぅ〜!)
なんと日替わりのパン・ド・イリッシュ、バナナが入っている〜!!
Nでも見なかったバナナ入り。山パンじゃないが、「まるごとバナナ」なのである!(笑)
バナナだけの甘さで、少々の塩気のバランスが○。
そして私の心をかっさらっていったのはこのカテドラル。
オレンジ入りのブリオッシュなのだが…クグロフといい、カテドラルといい、
私はアルザスものに弱い(笑)。1/8個を切り分けてもらって焼き立てをほうばった。
…お世辞抜きに、私のオレンジブリオッシュランキングに変動あり! …である!(笑)
小さな店鋪には、奥でTさんが焼き、奥様が販売を担当。
その横の棚にはアメリの写真と、パンの名札が並んでいる。
とりあえず今朝はこれだけの品揃えだったようだけど、パンの名札があれだけあるってことは
日や時間を改めたら、もっと違うものに遭遇できるのかも?!
うわーー、どれも食べるにはあまりにココは遠いぞ?!(笑)近隣の方がうらめしや。
たちまち私たちの後ろには長蛇の列が…。
うわわ、すごいことになっている。
先頭の私は、後ろが気になって、買い惜しみをしてしまった。
あまり量は買っていないというのに、袋のボリュームだけは多くなってしまい
後ろの人に思いきり言い訳をしたい気分だった。
「私、そんなに買ってないですってばーー」と(笑)。
ベルリーナを6等分してもらったら、まさか御丁寧に6つ分全部個別包装してくれてしまった(笑)
だからすごいかさばって、えらく買い物した人みたいになってしまった。
しかもゆっくり丁寧に接客してくださるので…恐縮ですぅ(笑)。
友達も買い終わり、おもむろに店先で焼き立てをかぶりつく!
焼き立てのほやほやで、まだ棚にも並べられていない状態のクリームパン。
そういや私、水海道でもクリームパンは食べたことはない。
だから、これはきっと「オリジナル」! きゃああ、どうよどうよー?
まるでクリームおやきを食べる時のように熱々のクリーム!!
湯気をぼわっと出しながら溢れるクリームは、少しお酒のようなリッチな香りもして
ほんっとーーーに美味しいぃ〜!! ほんとほんとほんと美味しい!!
冷やして落ち着かせた状態でも食べようかなと思ったのに、あまりに美味しくて
まさか一気食い…。あぁ、冷やした状態でも食べるならまたココに来なきゃ!(笑)
2本買ったフリュイ。
次の場所に移動する間、1本はほとんど食べ尽くした。
まさか東京でもこの味を焼き立てで食べられるなんて…!
まさかここまで忠実に継承されたフリュイが食べられるなんて…!
今はまだ、水海道色のパンだけど、きっと次に来るころには
八王子色のパンが増えているのかもしれない。
そうやって、本当に良きものが、東京の西で広まって行くのだろうな。
この赤い、八王子で一番小さなパン屋さんから!!
*
せっかく八王子まで来たのだからまっすぐ帰るはずはない(笑)。
以前から評判を聞いていたパティスリーにも行ってみよう。
フリュイを齧りながら、おしゃべりしながら歩けば、
隣駅の西八王子まではそんなに遠くない(独りなら相当遠いかも(笑))。
パン漬けな私でも知っている、西八王子の超・人気パティスリー、ア・ポワン。
スイーツ好きの間では知らないものはいない。きっと伊勢原とか北小金のように
「遠いけどがんばって行っちゃう」店なんじゃなかろうか(詳しいことは知らぬが)。
私たちが「パン好き」であるならば、もちろん「スイーツ好き」という
畑違いの人々がいるのである。
ラーメンとかカレーマニアな人たちからすれば
「パンもケーキも一緒じゃない?」
そう思われるかも知れないけど、いやーーーその隔たりは大きいと思われるぞ?
だって、ケーキはパンより高い。
ケーキはパンより量を買えない。
ケーキはパンと違って保存がきかない。
ケーキはパンより高エネルギー。
ケーキはパンと違って…「食事」にはならない!
思いきり住宅地の中に突如あるこのお店、
なるへそたくさんのお客さんが次から次へと押し寄せる。
なにやら専門用語的な会話をしているお客さん、メモを取り出してあれこれ書き留めている。
…いるいる!(笑)パン屋さんでもそういう方(笑)。
ケーキはかなりお値段が高い部類じゃないだろうか、
その中で私たちがやっぱり一番食べたいと思ってしまうのがやはりパンだった(笑)。
焼き立てのクロワッサンは、ヒキがあり、柔らかい。
お菓子屋さんならではの、バターの贅沢な使いっぷりを感じるリッチな香り。
でも、パン屋さんのそれと大きな差はなく、イイ意味でパンだったのだ。お値段も納得の200円。
…しかし、ほんっとに私はケーキにそれほど興味がないらしい(笑)。
後から後から焼き上げられるヴィエノワズリーにばかり関心がいってしまうのだ。
こちらのお店、とにかく「鮮度」を大事にしているようだ。
持ち歩き時間を念入りに聞かれ、すぐに冷蔵庫に入れること、すぐに食べることを念押される。
「大丈夫ですよ、シュークリームはすぐパク付きますからぁ」
へろろんと答えた私だが、このシュークリームがスンゴイシロモノで
いつもの「パン・歩き食い」の要領で考えていたら甘かった(笑)。
駅の近くのとある場所で私たちはシュークリームに齧り付いたが…
なんなんですか、このクリームはぁぁ!
バニラビーンズの量も尋常じゃないが、粘りすら感じるほどに濃密なクリーム!
生クリームがどれだけ使われていることだろう…。
途中で止めるのができないのでがんばって一個食べ切ったが、
夕食もフォローできそうなくらいのボリュームだった。
生クリーム免疫があまりない私なので、ちょっと頭痛が…(笑)。
でも、このシュー生地がとても香ばしくて、卵味が強くて美味!
このシュー生地だから食べ切れたと言っても過言じゃない。
さすがに…こちらはその日に食べきれず、スプーンを一すくいしただけ(笑)
チーズのクレームブリュレに、上にパイが乗っている。
お店の信念(=今日中に美味しいうちに食べてください!)を考えると
とてもでかい声では言えないが、…翌日でも十分美味しかったですよ(笑)。
冬の間、たったの5回しか作られないというマカロンたち。
これについては、多くを語ると、どれだけ長くなるかわからないので(笑)
端的に言うと、…こんなに美味しいマカロン、食べたことはない!
…といっても過言じゃない。本当に絶品だった。
えらく高かったけど(←パン感覚だと(笑))これは本当に買って良かった。
*
仲間たちとは西八王子で解散、私は横浜線に乗った。
いや、素直にまっすぐ帰ろうと思っていたし、町田まで乗るつもりだった。
ふと目が覚めたのが橋本。寝ぼけ眼で私はあわてて下車してしまった。
潜在的に「ここまで来たんだから、あの店にも行かなきゃ!!」があったのだ。
八王子で思ったよりパンを買い抑えてしまったので来週一週間、食べるパンがないもん(笑)。
地図は持っていないけど、住所は携帯にメモしている。
そう! こちらのお店!!
以前来たのが2年近く前(2004年5月29日DIARY参照)以来。
あの時、ESSAYに書こうと思っていたのに結局お蔵入り(笑)、このマンゴープチの画像は2004年のもの…
D&Dでも家の近くでもここのパンは買えるので、しょっちゅう食べているものの、
…でも…あの焼き立てをほうばった時の感動は…ここまで来ないと味わえないんだ。
荷物があまりに重く、体は眠気でだるく、とてもじゃないけど歩くパワーはなかった。
そこで、橋本駅のバスターミナルで、最寄りまで行けそうなバスを調べてみた。
…しかし…何を間違えたのか、方向を間違え、相原駅というところまでいってしまう。
オーバーし過ぎですから!(笑)
再度バスに乗って逆戻り、…結局、歩く羽目に(笑)
最初から歩いていれば30分で着いたのに。大幅タイムロス、バカだねー。
ようやくたどりついた…。
でもパン屋さんを目の前にすれば疲れもなんのその。
残念ながらパンの種類はほとんどなかったけれど、
リュスティック3種が全部焼き立てで買えたから。
大好きなリュスティックマロンが焼き立てで買えたから本望!!!
他のリュスティックと違って、黒糖の甘みとねっとりしたマロングラッセが入って
甘みがひときわ強いリュス。このクラストの苦甘さは、こんがり焼いた焼き芋の味なのだ。
ちょうど皮の裏に、ねっとりと糖分が焼けこげたような甘み、このリュスからも…!
あぁ、ほんとにこれを食べるためだけに私はここまで来た(笑)。
なんて長い一日なのだろう。
これは店頭じゃないと出会えなかったかも知れない、パンロール・ポティロン。
かぼちゃで仕込んだロールに、さらにかぼちゃをたっぷり巻き込んで…!
この甘さは、お菓子の甘さじゃない。かぼちゃの煮っころがしの甘さ。
皮ごとまるごと食べているような、強いかぼちゃの野菜くささ。…美味しい〜!
この画像も結局は2004年のときの復刻版(笑)。ようやく日の目を見た☆
ごくごく普通の日の、都内パン屋さん訪問だけど
画像と文字でみてみると、なんて長く満たされた半日なのだろう。
ついつい東京を飛び出して遠くへ行ってしまう週末だけど
東京の西には、こんな素敵なパン屋さんとパンがある。
また増えてしまった選択肢、八王子と多摩コース。
「行ってみたいお店」と「リピートしたいお店」の
狭間であちこちいったり来たりするんだろう。
今年もたくさん悩みながら、
たくさんパン屋さんに訪れるんだろう。