106-2.栃木路、激走パンロード! 〜那須編〜

1日目前編(益子編)はこちらから*



宇都宮の健康ランドで一晩を明かした。

今日はこれから18きっぷで北上して、まずは黒磯からスタート。

今回、那須では、いつものなまけものさん以外にも

2軒のパン屋さんを訪問する予定。

どちらも初来訪だけど、そのうちの1軒はいただきもので食べたことがあり。

まずは黒磯へ






黒磯は、関東と東北を結ぶ東北本線の中継地点。

といっても駅前は実に渋いローカルな町である。

今回、ピックアップしたパン屋さんは、

はっきりいって最寄りが黒磯…とは呼べない。

なぜなら、黒磯からもクルマで30分くらいかかるであろう場所だから。

しかし今回はクルマに絶対乗らない、エコ企画(笑)。


最初、バスでどうにか行けないものかと路線を探してみるが、

どうやら板室温泉へ行く1時間に1本のバスで、途中まではいける模様。

しかし、そこのバス停からどうみても3キロ以上ある感じ…(汗)


黒磯でレンタサイクルでもないかと探してみるものの

まったく見つからない。

これはやはり、キックボードでも持参していこうか、

本気で考えていたのだ(笑)

(昔、名古屋に出張で行く時にキックボード持参で新幹線に乗った過去あり(笑))



結局、バス停から歩くことを決意!(笑)

旅運のいい私は、あわよくばヒッチハイクでもしようかと思ったが

周囲の反対にあったのでそれはやめておいた(笑)


黒磯駅前で延々バスを待つ。

一時間に一本…だが、問題は帰り。

ニ時間に一本くらいしかない!(笑)

でも、行くだけ行ってみよう。

バスに乗り、目的のバス停まで片道600円くらい。

値段の高さが、距離の遠さを証明しているかのようだ


バスで約30分、戸田というバス停で下車する。

バス停の側にはスーパーマーケットがあった。

この周辺は別荘地らしく、避暑に来ている人たちが買い出しをしにくるようだ。

さて、、、これから30分、歩いてみますか。。。





最初はちゃんと車道と歩道が分かれていたけれど

途中から路肩だけになり、結構歩きにくい。

そりゃそうだ、ここを歩く人なんてそうそういないだろう

周りには牧場や農地、貯水地くらいなもんで

それにしてもめちゃくちゃ暑い!!!

せっかく那須に来たって全然避暑になんかならないよーーー


余談だが、道すがら、1メートル置きに干涸びたミミズが点在…

まるで焼そばのように地面に散らばっていた、、、

恐い! 恐すぎるーー





歩くこと約30分。

ようやく、見えて来た!





評判のパン屋さん、NAOZOさん。

素敵なブラウンのロッジ。

SHOZOカフェと名前が似ているから関係があるのかと思ったが

たぶん違うんでしょう。

ほんっとに周りはのどかで、あるのは牛と畑と森、くらい。

当然クルマで来るようなロケーション。

でも私、歩いてきたんですよ、、、とは誰にもいわなかったが(笑)






店内中央に設置された石窯は迫力の一言!

ちょうど薪をくべたところで赤々と火が灯っている。





その手前に並べられたパンの種類は多く無いが、

石窯が想像させる粗野な感じはなく、端正なパンがそろう。

あまりたくさん買う予定はなかったので

厳選してクルミ入りのセーグルをハーフ、

そして評判のベーグルを2種類購入した。

あんだけ苦労して来たにも関わらず買う量は

それに比例しないのが私の悪いクセ?





むは!

このオレンジスライスのジャム!

以前、少しお裾分けしてもらって美味しかったやつ。

今、こんな瓶モノを買うと相当荷物が重くなるが、、、

どうしよ、買っちゃえ!

(当然、荷物が重くなってあとが大変だったのは言うまでもない。

しかし悔しいのは、この後、家の近所のスパイスショップで

これを見つけたのである! がーーん、灯台下暗し、、)





クルミパンを1枚だけスライスしてもらい、

ベーグルをこの場でいただきます♪

ちょっと遅い朝ごはん、というかもう昼過ぎてるんですけどー。


イートインのカフェもあり、ドリンクとともにいただける。

私は冷製かぼちゃスープと一緒に。

私は少々暑いけれど、駐車場に面したテラス席でいただいた。

ひっきりなしにクルマがやってくる。

これだけ人気があれば、この場所でもやっていけるんだろうなぁ!


ちなみに、そばに牧場があるせいか、この辺りはなんとも牛さんの香りが充満(笑)

気分よく食べるならたぶん店内の方がよいかと思われます…あとは慣れ、かと(笑)


ベーグルはむっちりと膨らんだ、見た目にも元気なビックサイズ。

生地も伸びやかで、ほのかな甘みが美味しい。

プレーンベーグルには、表面に粉が焼き固まっており、

まるでこれが「薪」のような香ばしい香りがついている。

これがある意味斬新!


クルミのライ麦パンは、この場で食べた時は思ったより淡白だったが、

これは数日おいた方がずっと美味しくいただける。

まるでクセのあるチーズを一緒にいただいているかのような

濃い旨味がじんわりと出てくるようになったから!



お手洗いを借り、汗で乱れた顔を少し整え(笑)

さてどうしようか、、、

バスの時間はなんと2時間後。

もしこれから今来た道を引き返しても1時間半はバスを待つ羽目になる。

それなら…ちょっと帰りは違う道を通りますか…





というわけで、今度はある意味「近道」を選んだ。

近道…といってもあくまで、クルマで来た場合の話。

歩きだとむしろ、余計に遠くまで歩く羽目になるのだ(笑)。


延々と、誰も歩いていない別荘地の緑の中を歩いた。

やっばい…最近全然運動してないから、からだが相当きつい…

もうかれこれ1時間歩いたけど…


なぜか、このウォーキングの間、

頭の中で延々と流れていた音楽は、


♪ たまごか〜ら〜プロテア〜♪


という懐かしいCMソングであった(笑)。なぜ?!




ようやく、青木別荘にある道の駅にたどりついた。

ここで自家製のジェラートを食べる(桃とルヴァーブのアイス! 美味しいー)。

そうそう、ここの道の駅にもパン屋さんがあり。

なかなか美味しそうではありました。


ここで待つこと30分…ようやくバスに乗れた、、、

もう、カラダがぼろぼろですねん。

ほんの30分足らずのバスの中で、麦酸い。いや、爆睡。






黒磯の駅に戻って来たのは15時ごろ。

さて、黒磯ではだいぶ昔から行きたいと思っていたカフェがある。

そう、有名なSHOZOカフェ。

那須には何店鋪かあるのだが、駅から徒歩圏でいけるのは

この本店である1988カフェSHOZO。


駅から歩いて10分ちょいだったのだが

散々歩いている状態だったから相当からだに堪えます、、、





黒磯の町自体、とても地味でまさかこんなカリスマ的カフェが

あるなんて驚きであるが、この周辺は、この店の姉妹店である

家具屋やアクセサリー、ブティックなどが点在する。





写真撮影は禁止されているのでここまでだが、

店内は場所と時を忘れさせるくらいに外界と隔絶されたおしゃれな作り。

(特に、ここが「黒磯である」ということを忘れさせることは凄いと思う) いろんな表情の席が作られており、

どこの席に通されてもきっとこのカフェの魅力を堪能できるだろう。


評判のチーズケーキとスコーンのセットを、コーヒーと

えっと、その前にビールください(笑)。


チーズケーキはものすごく濃厚で、本当に美味しかった!

スコーンは余計な甘さを加えていない、バタ臭さもなく

生地の粉のウマさを感じさせるもの。

パン屋さん的なスコーンでもあり、

添えられたクリームはラム酒の香りが強くてこれまた絶品!


あー、なんか、那須でのひとつの目標みたいなものが

達成された感じで感無量…。






続いて駅に戻りJRで西那須野へ。

なまけものさんは夕方オープンの夕方クローズなので

後でいくこととして

これから行こうとしているパン屋さんは、

午前中に予約をいれておいた。


「以前○○さんからパンをいただいて、それで今回立ち寄ろうかと」

DIARY2006年8月21日はこちらです)



西那須野では、自転車を借りた。

この自転車を借りるには資格がいるのである。

「史跡めぐりなどの観光に使うこと」

…なのである(笑)。

もし私と同じように自転車を借りる人がいたら

ここのところを、重々注意して借りてください!




西那須野駅から自転車で約5分。

携帯のナビにまかせて到着!

「自称・究極の晴れ女」の私らしく、

ちょうどお店についたころに小雨が降って来た。

そう、店を出る頃には止むはずなのである、なぜなら私は晴れ女(笑)。






以前の場所から移転(といってもすぐ側らしい)して

現在の店鋪になってから1年程度とのこと。





もう夕方だったのでパンの種類こそ少なくなっていたし

喋ってばかりでほとんど写真撮らなかったのだけど

ハードだけでなくソフト系も強弱つけて作っていて

なんといってもマイペースさが伺えてなんだかいい!


ここで、延々とご夫婦と「パン屋」の話で盛り上がってしまう。

東京や埼玉でおすすめのパン屋は? みたいな話で

そう聞かれると難しいものだなぁ〜(笑)。

とりあえず、酵母を扱う人としては、Tロー屋さんをオススメしておいた。

でも、彼らはちゃんとお店にたどりつけるのだろうか

あまりにおっとりしていて、ちょっと(だいぶ)心配だよー(笑)


途中、お客さんらしき年輩の女性がお店に入って来た。

すると、彼女はただ自家製のジャムをおいていった。

「常連さんなんだけど、よく差し入れくれるんですよ〜」と奥さん。

ちょうど松戸の某天然酵母パン屋さんのパンを取り寄せていたそうで

そのパンにつけて私も味見させてもらってしまった。このジャムがめっちゃ美味しくて!

いいなぁー物々交換!





店頭で、お二人の前でかぶりついたのは、

冷蔵庫から出したてほやほやのクリームパン(ラムレーズンクリチ入り)。

ぷちぷちした気泡が表面に浮いて、ヒキのある生地。

お茶もいろいろだしてくださってありがとう!!!





すごい大量にクロワッサンを注文&引き取りに来ているお客さんがいた。

そう、こちらのクロワッサンは評判らしく、私も予約の時点ですでに

ショコラしか残っていなかったのだけど

使っているチョコがすんごい美味しい。

それが、クロワッサンとすごく相性の良いタイプのもので

クロワッサン自体もザクッと厚みのある層なのに重たく無い。

これ、絶対取置きを推奨!





一見ハード系に見えるけど実はソフト系の

クランベリー・チョコ・クルミ。

中は気泡が小さめでしっとり柔らかいのだけど

チョコとクランベリーの甘さのバランスがすっごく良くて

口当たりがいい! これなら絶対子供も大好きな味。

結構贅沢に具材入れているのに、値段安いな…大丈夫?





ニ度目! の山型食パン。

どこから写せばいいのかアングルに悩みましたが(笑)





ベーコンエピ、美味しい!

ふにゃふにゃっとした生地なのに

ベーコンが甘さたっぷりでその脂が染みた生地は美味しいわー。



なんだかんだで思わず長居してしまい楽しい時間を過ごさせて頂いた。

これからなまけものさんに自転車で行って駅に7時までに自転車返車しなきゃ。


「これからナラさんのところに行くんですけど」

「自転車で?! かなり遠いですよー一時間かかるんじゃないの?」

とな。

ええーっ。一時間?! そんなに遠いんだっけ

そういや前になまけものさんとこ行った時に

タクシーでかなりの値段かかったっけ(汗)

なんだか、体力戦もいいとこだ



携帯のナビをセットしたら、6キロくらいらしい。

自転車にほとんど乗らない私には6キロの距離感がつかめない…

でも一か八か行ってみるしかない!

とにかく爆走!!

しかし携帯のバッテリーがついに最後のメモリをカウントした。

やばい! もう替えがないのにーーっ。

携帯充電を接続しながら必死に自転車をこいだ。

もう足の股のちょうつがいがやばい





そんなこんなで約20分くらいで到着!

よかった、一時間もかからなかったよ(笑)

久々3度目のなまけものさんは、ちょっとリニューアルしていた。

店の前には駐車場が整備され、

看板がなくなっていた。

(木で作られた看板はぼろぼろになってしまったそうな)


*過去2度の来訪は2006年夏2007年冬をどうぞ*


いつも自転車で東京から那須にパンを買いに通っている常連さんのことを知っているが

つくづく尊敬…私には駅の往復だけでもうカラダが限界っす!(笑)








なんか、店内がずいぶん涼し気だ。

ああ、夏モードに衣替えしていたんだ…。

冷たいお水を頂きながら、ナラさんと少し立ち話。





今日はあっという間にパンがなくなってしまったそうで

今回買えたのはこれだけ。




でも本当にこのカンパーニュは香ばしくて美味しかったー!

ほんっとうに、来るたびにここのパンはグレードアップしていく。

やっぱりこのためだけに那須に来る甲斐が本当にある

もちろん、次は自転車で来るのは勘弁だが(笑)





帰り道、裏の森から通ると面白いと聞いた。

ほんとだ、お店の裏の森は抜けることができるみたい!





夏を忘れたのか、もうすでにひぐらしの鳴き声が森の中で響き渡っていた。

少しばかり心細さでめまいがしそうだ。

気を失いそうなほどの





そんな自分を取り戻してくれたのは

切れ端でおまけしてくれた、クルミ入の平ベったい

私の好きなパン。

森の中で一人、自転車を停めてかじりついた。

粉の強くて甘い風味とクルミのコク。

心底美味しいと思えるパン




駅に戻ったころにはもうあたりは暗くなっていた。

18きっぷでこれから各駅停車で東京に戻る。

宇都宮でまた下車してまた餃子でも食べようかと思ったけれど

あまりの疲労にそのまま東京までノンストップで上る。


思いがけず、体力勝負となった栃木の1泊旅。

カラダを使った分、美味しさも思い出も強烈にカラダに刻まれる。

何度か訪れた場所も、アプローチの仕方を変えればこんなに

強烈なインパクトある旅に変わるってものだ。

だから、パン旅はやめられない。

だから、安旅はやめられない…!




しかしまぁ…これから数週間、からだのとんでもない痛みに

悩まされることに!

カイロや接骨院に通うお金があればクルマでも新幹線でも乗ればいいのに。

安い旅は安くはないのである(笑)。

そろそろ安旅がダイレクトにカラダに影響与える年齢であることを

私はようやく自覚しつつあるのであった(笑)。



*おしまい*

2008.7.19〜20