2日目:メコン川クルーズとチープグルメ三昧

朝食は絶品鶏おこわ&チェー




カオスな町でひとり目覚める朝。

今夜の23時台の飛行機で日本に帰るまで、まだ16時間以上もあるよ…トホホ(←嘘)。 いやいや、夕べでだいぶこの国にも慣れて来たことだし、ねっとり濃厚に遊び尽くそうぞ。 朝早く起きて外に出ても、もう昨日のような怯えはない。通勤ラッシュで通りを埋め尽くす切れ間ないバイク軍団も、 もうすり抜けて渡るコツはばっちり。ぬらりくらりと通りを横断、昨日の私とは大違い(笑)


まずは、宿のすぐ側にある、鶏おこわとチェ−(ベトナムの氷ぜんざい)が美味しいというローカルな店に朝食へ出かける。 ガイドにも載っているし、友人のおすすめでもあったのだが、かーなーりーローカルで、言葉はもちろん通じない。 チェーの屋台には、色とりどりのフルーツや豆、シロップが並び、 地元の人たちはこれとあれとそれを、と手際よく指示してオリジナルのチェ−を作る。 うわー、私の順番が回って来てしまった。とりあえず、(かっちょ悪いが)ガイドの写真を見せて『こんな感じで?』とお願いしてみた。





地べたに座りながら店の隅で仕込みを手伝いをしている幼いお姉ちゃんや

テイクアウト用のトレーに鶏おこわを盛り付けて行くおばちゃんたちを目の前に、 お風呂で使うようなプラスチックの腰掛けに座ってほとんど立ち膝のようなスタイルでおこわを食べる。





画像がなぜか曇ってしまったが、鶏おこわとチェ−。 味のついた餅米に、ほぐされた鶏肉がフレーク状態で混ぜられている。 それ以外にも、干しえびやらなんやら、正体不明な具がテンコ盛り。 これが、ほんとに日本人なら誰でも好きな味! やっぱアジアですなー(笑)旨いー。





これが、チェ−。水彩絵の具をぼかしたような色合いのきれいな氷ぜんざいだ。 もう、一体なにが入っていたのかはよく覚えていないが、 ドライフルーツになりかけたような種つきの果実が幾種類も入り、 甘いシロップと氷を一緒に口に運ぶ。暑さのせいか、氷はすぐに水になっているような気がするんだが(笑)。



今日は、現地のオプショナルツアー「メコン川クルーズ」に申し込んでいた。 昨日、到着して一番最初に泣きながら駆け込んだ事務所の人に、 「まだお申し込みがお客さまひとりだけなので、お一人様料金が倍かかってしまいますが(最低催行人数は2名らしい)」 そう言われていた。まぁ、一人旅にそういうことはつきもの、 誰か他に参加者がいたらめっけもんとは思っていたが。 よくしてくれたホテルのボーイさんにこのツアーの値段を伝えたら、「それはひどい! 高い! うちなら10ドルなのに」 そんなことを言っていた。10ドル…安!! いったいその値段の差はなんなのだ!


ツアーバスのお迎えは9時頃。ホテルをチェックアウトし、荷物を飛行機の時間まで預かってもらうことにした。 「21時頃戻って来ますので」と伝える。ベトナム発の便は深夜便が多いようなのでよくあることのようで快諾してもらえる。


お迎えのバスが来た。おぉ、すでに2名乗っている。どうやら参加者が増えたようだ。 これで半額になるー。よかったよかった。




メコン川クルーズで「異国で異国」体験


バスには、ドライバーの他に、日本語のできるベトナム人のガイドの女の子、 新婚旅行だか婚前旅行だか忘れたが、日本人カップル。そして私。 ボートでメコン川のジャングルクルーズをし、 昼食を食べて、市内に戻ってくるのは大体夕方の16時頃。 メコン川まではホー・チミン市街から車で1時間くらい。車窓はどんどんローカルになって行く。





あり得ないような光景を、この国に来て散々見て来たが (このレポートにはあまり書いていないのは、あまりに多すぎて忘れてしまったからだ(笑)) こういう風景もかーなーりーあり得ないよな、日本では(笑)。 バイクで冷蔵庫を運ぶおじさん。ヒモもなにもくくっていないような気がするんですけど…??? バイクの3人乗りなんていうのもよく見る光景だったが、ガイドさん曰く、大人2人と子供1人なら3人乗りはいいらしい。 大人3人だと違反なんだそうな。うーーーん、子供でも3人乗りはかーなーりー危ないと思うのだが。


バスの中、いろんなベトナムの話を聞けた。やはり私が興味深いのは交通の事! こんなめちゃくちゃな交通ルールで、事故とか起きないんですか? と聞いてみると、 あっさり「たくさん死んでますよ。一日で50人くらい」。おいおいおいおい(汗)、あっさり言いますねー(笑)。 でも、全然不思議じゃない。バイクという乗り物だけが発達しても、交通ルールや整備や意識が全然追い付いていない感じ。 国でも「エイズより交通事故の驚異が深刻」なんだそうな。そりゃそうだって!!!


なぜ車ではなくバイクが多いかと言えば、所得が低いから車が買えない、というのが第一らしい。 日本製のバイクが丈夫で人気らしいが、高級なのですぐに壊れる安い中国製のものを買う人も多いとか。 だけど、長い目でみたら買い替えるよりも丈夫なものを買っておいた方がお得と思うが…。





道中、何度も見かけたカフェスタイル。屋根はないけど、木の木陰にハンモックをはって、それを席にしている天然のオープンテラス。 うわぁ…こういうところでまったりビールでも飲みながらろくでなしなお昼寝してみたいよ…。





道ばたに、牛が突然一頭だけ唐突に現れたりする。なんでも、牛や豚を何匹持っているかがステータスだとかで。 あぁ、いろいろ面白い話を聞いて来たのに覚えてないぽんこつな私(笑)。





バスが最初に立ち寄ったのは、どっかの寺院。中国系のお寺らしく、壁に彫られているのは漢字ばかりだった。 必ず観光コースに組み込まれているらしく、すれ違うのは欧米系や日本韓国中国系のアジア先進国系の観光客ばかり。





特に何も感銘は受けなかったのだが、惹かれたのはやはり食事か(笑)。 これはお寺でのお食事。私たちのためのものではないので、当然私たちは食べられません(笑)。





バスはメコン川へ! ようやく見えて来た。リバーサイド(って書くとちょっとかっちょいいか)には、 人々の生活感溢れる風景が見られるが、車窓でさくっと通り過ぎただけ。こういうところをゆっくり歩きたいものだ。





最初に、川を横断する屋根付きのボートに乗る。 対岸に渡り、そこでフルーツ農園を見学してからジャングルクルーズなんだそうな。





まるで雨が降った後のような濁った川。とてもきれいとは言いがたい。





ボートの後ろの席では、おばちゃんが私たち用にヤシの実を包丁で加工している。 ストローをさし、ジュースとして提供してくれる。 ココナツジュースを飲むのは台湾で経験済みだが、こちらの方がだいぶ美味しい。 ココナッツにも、美味しいものと、安っぽいものがあるそうなのだ。





対岸に到着ー。こういう風景は、まさに雑誌やらで紹介されているような「ベトナムのきれいなイメージ画像」だと思う。 私も来る前までは、こういうイメージを植え付けられていたような気がする。 その大いなるギャップに驚かされたけれど、逆にそれが「面白い」んだと思う。 疲れるけれど、昨日一日で体験したカルチャーショックを思い返すと、 むしろこういう風景の方が「異国」なんじゃないか、と。





うん、絵になるけどね(笑)。町中ではビビって写真のひとつも撮れないが、ここはホントに外国人の観光客しかいない、 守られたエリア。バシバシ写真が撮れる。 だからますますイメージは美しいままで残ってしまうのか(笑)。 …いや、これも本当にこちらの姿ではあるんだろうけれども、町中のカオスとのギャップが激しくて、 …やはり「異国」に感じてしまうのだった。私には…。





プチジャングルといったような木の生い茂る小道を歩いていくと、脇にはいろんなフルーツがなっている。 バナナ…はすぐにわかるが、「これは一体なに?」といったフルーツもたくさん。





ハチミツ採取の実演。うわーー私たち丸腰なんですけど??? しかし攻撃してこないハチなんだそうで、指で触れと促される。ひえー。 蜂の巣からダイレクトに指でぬぐい取ったハチミツをなめる。うん、フレッシュ!(←ホントか?)


画像には残っていないが、これ以外にもココナツキャンディー作りの実演をやっている。 これがとてもナチュラルな甘さのココナツで、とても美味。いくつも入って1ドル。 会社の土産はこれにしよーっと。(←会社の土産を1ドルで済ませる気である)





ここで、最初の休憩タイム。いろいろなお茶請けと(しまった、ほとんど覚えていない。ショウガやハスの実の砂糖漬け、ココナツのスライスなど?) 花の香りのお茶を。これに、さっきのハチミツを入れる。うん、美味!(←美味としか覚えてない。もう何ヶ月も前のレポートだから…)





今度は別の場所に移り、またまたお茶タイム。休憩が多いのだ。 周りをみると、外国人の観光客しかいない。そう、このルートは、どんなツアーにも組み込まれるコースのようで、 外国人しか来ないカフェなのである。 ベトナムフルーツをたんまりと食べさせられる。いや、美味しいのは美味しいのだが、 この後ランチがあることを考えると今、そんなに食べていたらいけないんじゃないかと、 同行のカップルと私たちは3人ともあまりもりもり食べる気にはなれなかったのだ。





そうしてようやく、ようやくメコン川クルーズ! あの三角の傘を頭にかぶらされ、ボートに乗り込む。狭い水路を、ぶつかることなく巧みに舵をとる船漕ぎのおじさんおばさんたち。 約15分くらいの時間だったが、ジャングルの隙間から見える民家の軒先きを眺めるのが一番面白かった。








そしてメコン川クルーズも終わり、最後に連れて行かれたのはまるでリゾート地のようなレストラン。 そう、まさにこれこそ「イメージしていたような南国・楽園ベトナム」だった。 そのレストランには、ツアー客の外国人のみで、当然現地の人がいるはずはない。 きれいで、センスがよく、清潔感がある。本当にどこかのリゾートホテルのようだった。


…おかしな話、ベトナムに来ているのに、ベトナムにいながらにして外国に来ているようだった(笑)。





私は、実はお昼ご飯がこのコースに組み込まれていることをちゃんとチェックしておらず(笑) ただ弁当でも出てくるのかと思って期待していなかったのだが大誤算! こんなちゃんとご飯がセッティングされているとは(笑) ありがたい、今回のベトナム旅では、ガイド本に載っているような「きれいな」ご飯は食べられそうもないと思っていただけに(笑)。 あの料理もこの料理もこのランチには盛り込まれているらしい。ラッキー!  …そりゃーあれだけ高いお金払ったんだもんねぇ(笑)。


私はサイゴンビールをつけてもらい(確か追加料金)、前菜は揚げ春巻き。 うぅー、美味しい! きれい! イメージ画像そのまま(笑)。 あぁ、このツアーがあのまま私だけ独り参加だとしたら、この料理をひとりで食べることになったのだろう? このカップル2人が一緒でよかった。…ていうか、むしろ私はおじゃま虫なんじゃなかろうか?!(笑)





これはメコン・デルタ名物のエレファントフィッシュの唐揚げ。 「象の耳の魚」と呼ばれるこの魚、かなーり攻撃的な顔つきで、その恐い顔のまま揚げられちゃって、 今にも嚼みつかれそうな勢いである。給仕の女の子が丁寧に実をほぐし、ライスペーパーに野菜と一緒に包んで食べよという。 これもとてもいいお味。しかし3人で食べるにはかなりのボリューム。 まだまだ料理は続くようである!





今度は丸い紙風船のように透き通った大きなボールが運ばれて来た。 お姉さんがこれにはさみを入れ、切り開く。ボール自体は薄い皮で、 中にはお餅が。お餅をぷくーっと膨らませてボール型になっていたのか。 切り開いた皮は少し香ばしく、中のお餅もとても美味。まさに日本人好みで旨ーい! (…ということを覚えている。甘かったかしょっぱかったのか、それすらも覚えていないが!(笑))





おぉぉ、なんだか炭水化物だらけであるな(笑)お腹もういっぱいなんですけど…、 次はチャーハン。これも「めちゃ美味しかった!」という報告しかできなくてすまぬが(笑) 正体不明な具は入っていない、本当に上品な口馴染みの良い味。 …そう、まるで日本のおしゃれなベトナム料理店で食べるかのように!





とどめは鍋。鍋まであるのか、このコース…。すごい盛り沢山、欲張りすぎ? いやいや、ところが、締めであるこの鍋こそ一番絶品だった。 魚介の出汁がよく出ていて、スープだけでも何杯でも飲み続けられそうなほど。





いや、しかしよく食べた…。 実に美味しかった。ほんとに美味しかった。なんか、まともにベトナム料理を食べた気がする(笑)。 たとえそれが「異国の中の異国」だったとしても(笑)。 今日、メコン川クルーズに参加せずに町の中で食事をするのであれば、 きっと私はフォーやうどんばかり食べる羽目になっていただろう(←その手の屋台が多いし、注文しやすい)。


偶然ご一緒になったカップルに陳謝。 お二人が参加していなかったら私、これを「ひとり」で食べる羽目になっていたはず(笑)。 またどこかでお会いしましょう。




市場で産毛取り


メコン川からホー・チミン市内に戻って来たのは夕方の4時頃。 出発までまだまだ時間もあるし、さて…。何をすべき。何をしよう。 取りあえず、ベンタイン市場までバスで送ってもらった。 到着したばかりのとき、ベンタイン市場に迷いこんだが、あまりにディープで飲み込まれそうな雰囲気に逃げ出した。 今日は昨日の泣き虫の私と違うわ?!(笑) いざ!


冷房など当然ついていない市場の中は、まるで閉め切った体育館の様。 そうそう、中学時代私はバドミントン部だったのだが、風が大敵のこのスポーツ、夏場は体育館を閉め切ってサウナ状態で練習するのだ。 あのむんむんした記憶が蘇る…(笑)。


密集する商品の山の前に、地べたにお姉ちゃんたちがだるそうに座り込む。 そこを通る時は、「オネーサン」「ヤスクスルヨ」攻勢を覚悟しなくてはならない。


私が探していたのは、これだ。産毛取り。

顔の産毛をきれいに取り除いてくれる場所があるらしいのだ。 友達の結婚式とかにいくと、お化粧前に産毛を剃ってもらった花嫁たちはみんなきまって 「産毛を剃ると、顔が一段と白くなった気がする」そうなのだ。 おぉ、それは知らなかった。産毛を取ると顔がきれいになる! 私も花嫁に……いやいや、美白になるぞ!





なんか、施術する側もされる側も若い女の子ばかりで、 まるで友達同士がお互いの爪磨きをしているような光景だ。 商売やってます的な雰囲気じゃないのだが(笑)どうやらここのようだ、産毛取り。 値段は忘れたが、3〜4ドルくらいだったと思う。 (*私はドルを持っていないので、このベトナム旅ではドンで支払っている。が、値段を記憶するのはドルが楽…)


サッチーのようなグラデーション効いたサングラスと風貌のオバはんが私の前にどーんと腰かけ、 顔に粉のようなものを塗って行く。そしておもむろに、口に細い糸をくわえ、両指にひっかけてピーーンと張り、 私の頬に糸を近付けて来た。この時のおばちゃまの顔といったら…記憶の印画紙に強烈に焼きついてしまった(笑)。 あぁ、似顔絵にでもしてここに載せたいくらいだ。


糸を交差させ、巧みに糸をあやつる。糸で挟みこんで、産毛を芝刈りしていく。 これがなかなか痛い。ちくちくっと痛い。…が、辛くはない。 私は顔剃りの経験がないから、さぞかし刈り甲斐があっただろう(笑)。 劇的に顔が白くなったとかそういうことはないが(笑)おかげさまでつるつる。


産毛だけでなく、まゆげカットまでちゃんとやってくれるとは。うわー、あまりへんてこにしないでくださいよぉー? …ところが意外にもきれい。 「はい、できたわよ」おばちゃんはにっこりそう言ってくれた(のだと推測)。 これで3ドル程度ならオススメである。




ホーチミン人気No.1のパン屋さん





友達に紹介されたパン屋さんを探してみた。 ニューランというそのパン屋さんでは、なぜかフォーとかもあるという。 ええ? パン屋さんなのになんで???(この店はおそらくガイドにも載っているのでそちらを参考にしてください)





ベトナムはかつてフランス領だった…ということからも、パンには期待ができるだろう、と思っていた。 が、しかし…意外とそうでもないんじゃないの、というのが正直な感想だ(笑)。 もちろん、バゲットもあるのだが、フランス…というよりは、30年くらい前の日本のパン屋さん、という方が似合う。





アップルパイ(?)やらメロンパンのようなものやら、ソーセージロールみたいなものが並ぶ。 大きくて、やわらかくて、甘そう…。そして毒々しい…もとい、カラフルなパンも。 パン屋さんというよりは、パンも売っている軽食処、といった感じだろうか、 食堂も併設しており、そこではフォーやチマキも食べられるのである。





さっそく、上陸二個目のバインミーを注文してみた。 フライドエッグ付きというのを選んでみたのだが、 パンとは別にハムエッグが出された。これを自分で挟んで食べよ、ということだったのか! 野菜はもやしとネギとトウガラシ、卵は半熟、ハムは何肉か正体不明(笑)。


味付けは塩胡椒くらいなものなので、昨日食べたバインミーの方がエスニックな味わいだろう。 似非バゲット(失礼!)は、すかすかカラカラで、昨日も例えたが「麩」のような乾物系。 ここで食べるなら、もしかしたらフォーだったのかも?! 他のパンを食べる余裕がなかった…うーん、ひとつくらい買って帰って来てもよかったかも。 あの緑色のドクドクしたパンあたり、大穴だったりして?!(←いやまさか(笑))




夕暮れ黄昏れ未遂


バインミーを食べ終えてもまだ5時。あと4時間くらい時間が余っている。 日が傾き暑さはだいぶ和らいで来たものの、このバイクの群れと喧噪にどっと疲労感が。 どこかで休みたい。休ませてくれ。頼むから。 決して足を休めたい…とかではなくて、ただ一人になりたかった。 この町は、東京のそれとは比べ物にならないほど、人の密集感が強い。 絶えず誰かが側にいる。通りを歩けば誰かが座り込んでいるし、 まるでハンモックのように止めたバイクの上で器用に昼寝していたり。 東京に住んでいながらも、「絶えず誰かの目を気にする」ことってそれほどない。


一人になりたい…一人になりたい…





リバーサイドの公園のベンチでしばし佇んでいた。 夕凪が心地よい。なにをするでもなく、とにかく「気」を休めたかった。 しかしこうしてひとり佇んでいると、物売りの子供だったり、おばさんだったりが、 捨てられた子犬のような目で「買って。買って」と顔を覗き込んでくるのだ。 …つくづく、一人になれない町である。 あーーー、ホント、お願いだから私を放っておいて(泣)。





向こう岸に渡る連絡船に、地元の人たちの長蛇の列ができていた。 面白そうだし時間も余っているし私も…と、列の最後尾を探してみたものの、あまりの列の長さに断念。 決してキレイとは言えないこの川に、ダイブして泳いでいる少年がいたことも、もうそれほど驚くことはなかった。




トイレのために、近くにある高級ホテルに何食わぬ顔して侵入した。 きれいな個室のトイレに篭城し、ウェットティッシュで全身の汗を拭う。全身ごしごしと拭く。 今夜のフライトは23時。朝からずーっと動いていて汗まみれなのに、 翌朝日本に到着するまでお風呂に入れないからだ。(←しかも到着は関空だし!(笑))


時間も有り余っていることだし、エステでもやってみようか?! と、柄にもないことを思い付く。 とりあえず、どっかのホテルにいけばトイレも確保できるし、エステもあるかも。 エレベーターで上へ上へ。 超高級ホテルのそのエステでは、ん千円もの施術量がかかるようだった。そんな贅沢は私には許されない。 す、すみませーん、出直します…。


エレベーターで乗り合わせた日本人のマダムは、水着のようなものを着ていた。 どうやら最上階のプールを利用していたようだ。そうか…こういうホテルに泊まればそういう過ごし方もあるのか。 …ふと、母親のことを思い出す。「ベトナム、いいわねー、お母さんも行きたい!」 そんなことを言っていたっけ。でも…、おそらくイメージ先攻、無理だろう(笑)。 たぶん、母が一緒に来ても、ホテルから一歩も出られないんじゃないだろうか?(笑)




ホテルを出て、付近をあてもなく歩いていると、わりと小奇麗な美容室の前を通りかかった。 そうだ、美容室ではシャンプーだけをやってもらうこともできるんだっけ。 日本語は通じないが、英語のメニューがあり、ほんの10ドルくらいだっただろうか。 これなら頭を洗える!! すっきりしてからベトナムを後にしたいもの。





美容室の一番奥にある、薄ぐらい照明のシャンプー室に通される。 担当してくれた女の子は、片言の日本語を私に話し掛けてくる。 「オネエサン、ヒトリ? ボーイフレンド イッショ?」 「ぎゃはは、(ボーイフレンドかよ、)いないよ、一人よ(笑)」 「エーー イナイノ? シンジラレナイー オネエサン、キレイ、オカシイー」 リップサービスでも嬉しいものである(笑)。


こちらのシャンプーは、爪を立ててごしごしやってくれるところが日本とは大きな違いだろうか(笑)。 頭皮マッサージもやってくれていたようだが、気持ちがよくてほとんど居眠りをしていた私だった。 そして丁寧にブローもしてくれる。ヘア−アイロンを使ってしっかりと。 深夜便に乗る前のシャンプー。これはオススメである!!(いい時間潰しになる!)





それでもなお、まだまだ時間が余っていた。 ドンコイ通り近くの賑やかな通りにあったカフェでベトナムコーヒーを飲みながらまたも休憩。





最後に何か食べておこうと、市場の外に密集している飲食のテントのひとつに入る。 こうこう、こういうものが食べたいなーというものはあったのだが、 一体なにがどんなもんなのかがさっぱりわからない。 生春巻きはまぁいいとして、「エピ」をキーワードに選んだ料理は、ココナッツのスープだった。 海老が何匹もひっかかっていて、これをスープに投入して食べるようなのだがうんまい! これは旨い。





ところがこれはやってしまったなーというメニューも(笑)。 タニシである(笑)。タニシは台湾で散々目にして来たけれどこちらでも食べるものだったのかー。 ていうか、どうやって食べるのか?(笑)これはしじみの殻みたいなものか?(=出汁の役割) しかも、葉っぱはレモングラスだから食べるものではないし…。結局は汁だけを飲むのだろうか、、、




ホテルまでタクシーで戻る。 タクシーを捕まえるのに一苦労、もしかしたら飛行機乗り遅れるか?! なんて不安もなきにしもあらず。 「このタクシー会社なら安心」というタクシーを選別するのに時間がかかってしまったからだ。 幸い、いい運ちゃんに当たったので、その運ちゃんをホテルの前に待たせ、スーツケース(30キロ)を急いで運び入れ、 そのまま空港を目指してもらった。


バイク天国のこの町では車が通る時には、狂ったようにクラクションが鳴る。 この運ちゃんももちろんクラクションをがんがん鳴らすのだが、 見ていると、ただ「どけどけー」と言って乱暴に鳴らすのではなく、 「車が通るよ」と、意思表示的に鳴らしているのかな、なんて見受けられた。 少なくとも昨日はただの乱暴な行為にしか見えなかったのに…。




着いたばかりのときは本当に泣きそうだったベトナム入り。 でも、まる2日間、どんどん自分がこの町にこの国に慣れて来たのが手に取るようにわかった。 そして、意外にビビり性だというちっぽけな無力な自分にも…。 「また来る時があるかもしれない。いや、きっとある」。 到着した時に、そんなことを思えるようになるなんて想像もつかなかったけれど。


あぁ、でもきっと母と一緒に来るのは無理だろう。 きっとホテルでこもってしまうに違いない、昨日の私のように(笑)。



〜おしまい〜


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