4日目:出国までの朝食・昼食

ロックフェス〜台湾の夜は熱かった!


すっかり日も暮れた。大きな公園をまるごと会場にしたロックフェスティバルには、 幾つかのステージが特設され、それぞれにテーマが違う。 今日の主役達は、夜景の見える一番高台に設置されたステージ。 うぁぁ、すでに客が座り込んでいるー! えぇ?えぇ?! この人たち、まじで彼ら目当て?! まじーー?!


ステージではスタンバイを始めている。「ボーカル」がこっちを見てウインク(おいおい)してる。 うーん、ホントにホント?! 右の頬をつねってみた。いやいや、夢じゃないっ!






ライブが始まったらオールスタンディング!! ひょーー!! しかも、しっかり口ずさんでいる人もいるし、デジカメ撮る人も多し!! ステージの彼らよりも、むしろそういう観客の観察ばかりしていたっけ(笑)。





マブ友の「ボーカル」は今日は助っ人でアコーディオン奏者だけど、 本ボーカルの彼女もとってもノリノリで、気持ちよさそうに唄ってる。 上空には、近くの松山空港に着陸する飛行機が何度も何度も頭上をかすめて行くけれど、 その騒音すら会場を盛り上げている感じ。 普段よくライブを見に行く彼らだけど、今日は全然別人の様…。 余裕かましまくる「ボーカル」は、ステージ上からもウィンク。ひょーー!! かわいいじゃんよー!!






1時間くらいでライブは終了。異例のアンコールまでついて、もうもう、大盛況! 見ているこっちが感激!! しかも、終わった後には生放送のインタビュー、うぁうぁ、ホントにホント?!





もっとびっくりしたのは、CD販売ブースでサイン会&握手会があったのだけど、 うそーー!! ぎょ、行列してますけど?! うそ、うそ、すごいーー!! ちゃっかり「ボーカル」たちもサインや写真撮影に応じて大忙し。 うわ、あんたサインって…。 「(日本に)帰りたくないーー」って。わかるわかる、こんなに人気者になっちゃったらねぇ…!





夜景がキレイ。蒸し蒸しする夏の夜の熱さが気持ち良い。ビールを2本飲み干して、 私は大人気の彼らに挨拶をせずに、こっそり会場を後にした。 台湾にはライブの応援、が一番の目的だったけれど、結局「ボーカル」とは夕べの鍋と、今日のライブでしか会えなかったのだけど、 その分、一人旅をきままに満喫させてもらえたし、なにより夏の夜(しかも台湾)を楽しめるなんて…。 彼らに感謝。最高のライブだった!!





一人、私は圓山を後にし、隣駅まで線路沿いに歩いた。 隣駅には、夜市で有名な士林夜市がある。そこまで歩いてみたけど…橋ひとつ渡るのは誤算! ぐわーー遠すぎますっ。思い出すのはあの名古屋の橋渡りだなー。 歩きながら、明日から8月、ということをふと思い出す。頭の中でぐるぐる回る。 そう。ここ最近歩くことをさぼっていた。ひたすら歩く、ということを忘れていた。 歩くときは、いつも頭の中をぐるぐるいろいろなことを巡らせる。暑い夜だから、なおさら脈絡のないことをぐるぐると…。







夜市でひとりチープグルメ!


ようやく到着した夜市。ここまでの道のりは不安なほどに人がいなくてちょっとスリルだったけれど、 ここに来たらすごい賑わい。夜市…といっても、屋内だったとはしらなかった。 大きな屋内市場には、飲食店、雑貨屋、ありとあらゆるものがひしめき合う。 取りあえずトイレを済ませる。台湾のトイレは、紙を水に流さないで、ゴミ箱に捨てるのが決まり。 トイレに紙を流す習慣の国から来たものには最初はかなーり抵抗を感じるに違いない。 でも、不思議にあまり匂わないんだよな、下手したら日本の和式トイレの方がずっと臭う気も。





しかし中の熱気はすごく、ギャンギャンと明るい光に、じゃかじゃか炒められる料理。 ぐつぐつと煮えたぎる鍋。なぜか金魚すくい。








一通り回ってみて、一番多く目に入って来た白い煮込みのものを一つ頼んでみる。 言葉もわからずで、一人で一個だけ注文するのも変に思われたかな。





この白い物体はイカだった。イカとタケノコの炒めモノだったらしい。 これも外れなく美味しいーー! ニンニクがまたもや大量に入っていて、塩味ベース。 ひゃーー、うまいなぁ…(でも、やっぱりご飯が欲しいーー!)






お次の店では、やっぱり最後にもう一度食べたい「臭豆腐」! 昨日食べた「臭豆腐」は揚げたものだったのだけど、今度は麻婆臭豆腐にチャレンジ。 これは意外にも辛くて、ちょっとむせる。み、水をくれー。





しかし、この臭豆腐ってやつはほんとにハマるんだ。 やっぱり歯の奥に挟まったようなものの腐ったような臭いで、自分の息に気持ち悪くもなるんだけど(笑)、 なんだかー旨い。この「食後にいつまでも残る臭さ」に、何度もチャレンジしてみたくなる。 美味しい…というのとはちょっと違うか(笑)。 うだる暑さの中でこの臭いを嗅ぐと、ほんっとに吐きそうになるけど、不思議とこの臭いを街角でくんくんと探している自分がいた(笑)。 これが「やみつきになる」ってやつなんだなー。





他のメニューも、人と来たらあれこれ頼めそうだけど、今夜はひとり。 次回はあれとこれとそれを食べたい。…臭そう(笑)。





中国語ってやつは、日本人にとっては、どこの国の言葉よりも意味がストレートに伝わってくる。 漢字オンパレードってのも、逆に食欲を減退させるものがあるなぁ、食べる前からリアルすぎるもの(笑)。 臭豆腐もそうだけど、鴨血だぜ。ストレートすぎる(笑)。 でもでも、そこを果敢に攻めればこんなに面白美味しいものだらけなんだから。 取りあえず指をさして「あれちょうだい!」って言えば、取りあえずなにかしら旨いもんにありつける。


生のマンゴーに悶絶!!


最後の朝。午後15時半のフライトまで、貪欲に貪欲に食べる! 食べる以外の予定は今日はなし(笑)。


昨日冷蔵庫に入れていたアップルマンゴーを食べるのが何よりも朝の楽しみだった!! ナイフもお皿もないので、洗面所でマンゴーの皮を手で削ぐ。 (その姿はあまりに原始的だったので写真はない(笑))

汁がじゅわーーっと溢れる! 滴る汁を手ごと嘗めながら無我夢中に巨大なマンゴーにかぶりつく。

「ぅん〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

お、美味しすぎるぅぅ〜〜〜〜〜〜〜!!!

ほんとにほんとに、なんつーー甘さ!! なんつーー味の濃さ!!! そして何より冷たい!!! マンゴーはもともと大好きだし、マンゴーのスイーツには目がないけれど、 生のマンゴーがここまで美味しかったこと、かつてなかった…!! あまりに大きかったので、最後の一口はちょっと食べるのがきつくなってきたので、 思いあまって手でぎゅーーーっと絞る。コップで受け止めて、ジュースとして飲み干す。


あーー、、やっぱり全然違うよ、台湾のマンゴー!! このためだけに台湾に来てもいい! 生の果物は持ち帰れないらしいので一個しか買わなかったけど、激後悔! …あぁ、こっそり荷物に忍ばせておけばよかったなぁ、一か八か空港で没収されないことを祈りながら。それって密輸?(笑)




朝食は「台湾風パン」


ナビで下調べしていた朝食のお店がホテルの近くにあるらしく、てくてく行ってみることに。 オフィス街の雑居ビルの2階にその店はあったのだが、このビルの階段はめちゃくちゃ抵抗感のあるもので、 どことなく臭うし、普通なら引き返したくなる雰囲気。しかしチャレンジャー。食べ物がそこにある限り!(笑)


2階にあるその豆漿(トウジャン)のお店は、「内用」と「外帯」というように、 分かりやすく分かれている。おばちゃんたちがお客の列を元気にさばいていく。


他のテナントは工事中なのか、なんだかひどく殺風景。でもお客さんは次から次へと訪れる。 多くはテイクアウト。オフィスに持ち込んで食べるのだろう。


今朝食べたかったのは、大餅という、ナンのような適度な厚みのパンみたいな巻き物。 揚げパンや卵焼きを包んで食べるようなのだけど、おばちゃんが日本語で「卵焼き、入れる?」 みたいなことを言って来たので、そのままおまかせした。さらに、やっぱり奨められるのが豆漿。 おばちゃんが日本語で「豆乳。甘い? 辛い?」と聞いて来た。 この豆乳、最初はおばちゃんが「甘い? 熱い?」と言葉を間違えているのかなーと思いつつ「辛い方」とお願いしたが、 ほんとに(熱いだけではなく)辛い豆乳スープだった。 ここのは、一昨日の朝に食べた湯葉の浮いたような豆乳そのもののスープとは違い、 醤油の鶏ガラスープのようなものに、おぼろ豆腐が浮かんだようなもの。これはこれで美味しいなぁ〜。 ちょっとごま油的な香りでなお香り良し!



そしてなんといっても、パン好きなら「餅」! これ、ほんっとーーーに美味しかった。今回台湾で4度くらいネギ入り卵焼きを食べたが、 この卵が一番甘さも出汁の味も効いていて美味しかったし、包み込むパンが旨い〜! 少し香ばしくて、ゴマのトッピングもいい。粉のコクもあって、こんなうまいもんを普段から食べてりゃ、 パン屋は不要だろーなぁ、なんて思ったり(笑)。 この大餅(パン)は、厨房で焼いている風景が見られた。まるでナンと同じ。壺のようなカタチの窯の内側にぺたりと張り付けて焼いている。 パン好きならMUST!!



スーパーマーケットでお土産調達


ホテルに戻らず、そのまま買い物に出かける。 地図上に「スーパーマーケット」の文字があったので、それを目指して行ってみたのはSOGOデパートの近くの頂好というスーパー。 まだ10時前だったが開いていた。ほっ。



フルーツの品揃えとか見る限りは、都会の割高な新鮮さに欠けるスーパー、という印象なのだが、 やっぱりお土産はいたずらに高い空港の免税店とかで買うよりも町場のスーパーじゃなきゃね! 台湾定番のパイナップルケーキをひと箱39元(150円弱)で買えたり(でもあまり美味しくなかったのだよ(笑))、 マンゴーゼリーやティーバックのお茶なども購入。


友達にお薦めしてもらっていたドライマンゴーの「7D」というブランドを探してみたものの、 あったのは結局セブンイレブンのみ。ひと袋60元もするのだが、セミドライなレア加減で美味しい!! (しかーし、帰国後、同じものを同じくらいの値段で近所のスーパーで見つけた時には…とほほ(笑))



ようやくありつけた魯肉飯


最後にデザートの豆花を食べたい。ナビで探した豆花の有名店を目当てにMRTの双連駅で下車。 駅からの道のりの途中でたまたま遭遇した屋台。目に入って来たのは魯肉飯の文字。 台湾では当たり前に食べられる肉のそぼろがけご飯みたいなやつなんだけど、私はまだ食べてなかったのだ。 これを食べずに帰れるかっての! まだ11時前だけど、お昼ご飯を食べちゃってもいいかもな。


日本語なんて全く通じない、地元民のための店。こうでなきゃー、こうでなきゃ! 魯肉飯(20元)+湯青菜(25元)=45元(160円ちょい)。さっき買ったドライマンゴーより安いってば。


こっちの食べ物はほんっとに安いし、量は一人でもあれこれ食べられる少量なのがありがたや。 茶碗にご飯が盛られ、その上に甘く煮たひき肉が載せられている。 思ったより肉の量は少ないのでそぼろご飯という感じ。 こりゃまたどーにもこーにも旨い!!! やっぱり独特の調味料が効いていて、異国の味。日本では到底この味は食べられないなー。 甘くて、後に引くコクがあって、肉は少なくっても何杯でもいける!! めちゃくちゃ旨いーーー!!


後から頼んだ青菜は、昨日食べたものとは違って、シンプルに茹でたもので、そこにタレと揚げニンニクが振り掛けられている。 湯切りが甘くて汁がそのままでちゃっているけれど、タレの油が青菜の味を引き出している。 これをご飯にかけて、、、あーー、こういうのを昨日やっておきたかったのよ! ご飯、万歳!!


もしかしたら、これが今回の台湾滞在で一番美味しかったものだったかもしれない(どんぐりの背比べだけど、ね)。



ちゅるんと豆花デザートで締め!


本来の目的の豆花の店。ぴあとかトラベルストーリーの切り抜きなんかも貼ってあったので、 日本人もよく来るであろう店。でも私が行った時は、普通のそのへんのおっちゃんばかりだった。 ショーケースには、かき氷や豆花にトッピングする具やソースが色とりどりに並べられている。 この中から2種類トッピングが選べるわけ。


パッションフルーツのジャムに惹かれて、指をさして「これを豆花にかけて」とジェスチャーするが、 「それはかき氷にかけるもの、違う、違う」と注意された。ウゥ、冒険はできないのね(笑)。


結局オーソドックスに、タロイモとあずきをトッピング、豆花にほんのり甘いシロップをかけ、 最後にかき氷を削りかける。


豆花は、最近はコンビニデザートにも登場しているので日本でもよく食べる機会がある。 ちゅるんと柔らかい絹ごし豆腐のようなもので、しっかり豆腐の味がするけれど、 甘味と合わせても全然違和感無し。シロップもほとんど甘くなくて、食べていてこれは「相当ヘルシーだなぁ」と思う。 つるんつるんと口に滑り込んでくるのが気持ちいい! タロイモは、さつま芋かと思うくらいにかなり甘く煮てあるみたい。甘くて柔らかくて絶品!!


これで最後のランチは終了〜!! タクシーでホテルに戻り、パッキングをすべて済ませてチェックアウト。




さよなら、台湾。再訪を誓う


空港へは、近くのシェラトンホテルの前のバス停から乗った。 あちこちのホテルの停留所を寄るので、空港まで1時間半くらいかかった。 バスの運ちゃんは、ごくごくフツーの太ったおっちゃんなのに、 空港行きのバスのドライバーともなると英語もちょびっと話せるんだなぁ。 なんか、そういうところが日本とは違うなぁって思う。同じアジアなのに、英語話せる人が多い気がする。


空港でさくさく手続きを済ませて一段落。カフェでお茶を飲みながらフライトの時間を待つ。 定刻通りにフライト、あっと言う間の3時間のフライト。あぁ、近い! でも成田から自宅までが遠すぎる!(笑)


今回の旅行はとても楽だった(除・猛暑)。東京と勝手は似ているし、便利だし、近い。 そして、こちらの人が思った以上に日本語や英語ができることに助けられたなァと思う。 私は別にそういうところばかり旅行がしたいわけではないが、 だから安心して気ままに旅をさせてもらえているような気がする。 (…だから一向に語学を勉強する気になれないんだよな(笑))



古きよきものと、新しく進化して行くものが混じりあっている台湾の町に、 人々はそれを違和感なく受け入れているのかな、屋台を切り盛りする夫婦や、 道ばたで将棋のようなゲームをやっているおっちゃんたち、行商のおばあちゃんたち。 あの人たちが、同じ街で隣り合わせている華やかなカフェとかを利用している姿を想像するのは不思議。

私は旅をするといつも「日本は外国人にとって、どう映っているのかな」と気にする。 そういえば「日本食って地味だよなー」とすら思った。 これだけ個性の強い台湾料理を見せつけられると、 果たして「日本食って何を指すんだろう?」とわからなくなっていた…。 特に成田空港の売店で売られているホットドックやサンドイッチを目にすると…


そして人々は外国人慣れしていないから不親切だろうし、地下鉄でピコピコ携帯をいじってる、無表情な日本人。 エネルギッシュで情熱的でとても親切な台湾の人たちに触れると、どうしても比較してしまう。 あまりにも似た顔の、似た都会の隣の国だから、 ギャップが余計に際立ったのかも知れない。喜怒哀楽がはっきり出るパッションに、うらやましく思えたのだ。


あ! でも日本はトイレに紙を流せるのは嬉しいかも(笑)。



池袋の駅のホームに降り立ち、息を吸い込んだ。 つい、あの臭豆腐の臭いを探している自分がいた。まだ、鼻腔の奥に残る、あの台湾のもわっとした空気の匂い。 舌で歯の裏側をぐぬっとぬぐってみた。もう口の中にはあの臭いは残っていないのに。 もう恋しくなっている、あの街の匂いを。


…だから、 思い立ったらスーツケースは持たずにカバンひとつでふらりと行こう。ほんの3時間の身近な異国へ。



* おしまい *


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