5.3月の多忙な日 〜GパンZopfからドレスコード六本木まで〜






3月最終週末。

どえらく忙しい一日があった。

年度末はどこの会社もそうだろうけれど、

私も平日の仕事は大変な忙しさだった。

週末こそゆっくりしたいものだが、

3月は北海道と関西に飛んでいたので、

その他の週末に用事が一度に流れ込んでくる。


この日は朝昼晩の3本立て。


朝はおなじみ松戸のZopfでモーニング。

昼は西麻布のイタリアンでランチ。

夜は六本木でセミフォーマルなパーティー。


ひとつひとつのイベントに味があったので

ちょっと覗いてもらいたい。

3月のBUSY DAY。



* 朝 *



始発に近い時間でまたまた常磐線に乗る私。

仙台と京都のパン友が同時に上京するため

Zopfモーニングをすることになったのだ。

仙台娘は18きっぷで南下、

京都娘は夜行バスで上京。

7時半からZで待っているというからこりゃ大変だ。




遅れること約30分。

2階のカフェ(ルーエプラッツ・ツォップ)の

…最近ようやくソラで言えるようになった(笑))

カウンターには、すでに2人がマダムと談笑していた。

「しっかり朝食」をほぼ食べ終わっているところだった。

仙台娘とは半年ぶりくらいの対面。




今朝も朝からたくさんの焼き立てパンがずら〜りのカウンター。

来る途中、「今日の朝Zは何を食べよう…」と

ずーっと迷っていたのに、メニューを見ればもっともっと迷う。

タルティーヌで食べたことがないメニューものどから手がでるほどだし、

定番のチキンソテーも大好きだ。

しかし今日は「しっかり朝食」を。

ドリンクはホットワインに。

(しかしおしゃべりに夢中で飲むころにはホットじゃなくなっていた★)




半熟ベーコンエッグに、サラダ、ピクルス、そしてポークビーンズ。

オーソドックスな朝食メニューだと言うのに、

どうしてこう違うんだろうか。

語弊があるが、「目玉焼きなのに美味しい」のだ。

これならお金を出して目玉焼きを食べる価値はあるだろう(笑)。


ポークビーンズの味付けがモロ好みの味付け。

オレガノの香りが強烈に効いていて、トマト度が高い。

オレガノって「包帯・ガーゼの味がする」っていつも思うが(私だけ?)

これも、総合病院クラスに香ってたまらなく美味しい。

いや、これは褒め言葉だから(笑)。




何がなんだかわからん画像になったがこれは玄米キッシュ。

仙台娘はこれから東京でパン屋さんめぐりをするというのに

「しっかり朝食」も食べたというのに

まだサイドオーダーを食べる気? …いいぞー!




とどめはテンチョの差し入れの焼き立てクロワッサン!

ちょっと触ると崩れそうなほどにハラハラ!


…いやぁ、私この後、イタリアンでランチなんっすけどね。

…夜はパーティーなんで腹が出過ぎていたら恥ずかしいんすけどね。

…ほら、朝だから。…いくら食べても大丈夫だから!(ホントか?)


言い訳をたっぷり用意して、遠慮なくきれいに平らげた。



時間はあっという間に過ぎていく。

10時には北小金に戻り、一旦家に戻らなければいけない。

(買ったパンを家に置きに帰るの(笑))

1階でパンと塗り物を購入。

明日のお花見パンのために、レバペとピーナツクリーム。

テンチョに「これからすぎやまくんところ行くの?」と聞かれ

「明日行くんですよね〜」と答えてる私。

どうもこの2店は同じ常磐線であるのにハシゴは1回しかしたことがない。

私にとってはどちらもビッグすぎて、1日がかりで行きたい店なんだな。


まだまだ話足りず、北小金の駅まで歩く。

5分咲きの桜並木を通りながらの30分の道のりはあっという間だ。



* 昼 *



学生の頃からの友達と西麻布でランチ。

今日訪れる店は、過去に2度行っている。

…正確にいうと、2度、そのシェフの料理を食べている。

とにかく「クセ」のあるシェフなのである。




最初は石神井公園にその店はあった。

畑の中のレストランは、評判を聞き付けて

わざわざやってくる客が後をたたなかった。

しかし、万人が満足できる店かというとNOだ。


とにかくマイペースなのだ。

料理の提供が異常に遅い。

初めて来店した時、「相当待たされるらしい」という

心構えができていたとはいえ、想像以上のマイペースっぷりに唖然。

私達が来店した時にはすでに満席だったというのに、

どのテーブルにも料理があがっていない。

ひとり、接客担当のおじさんがいたが、どうにも喫茶店のマスター的な

イタリアンレストランには似つかわしくないキャラクター。

しょーもないオヤジギャグを言っては、苛立つ客の怒りをあおる。

私も思わずオヤジの頭をチョップしそうになった…が堪えるのに必死だった(笑)。


1時間たっても料理が来ない。

前菜のサラダで下手に空腹感が高まったのでなおさらだ。

ひとり客や長年連れ添った夫婦(会話がない)などは表情がますます固まる。

店内全体が飢餓と苛立ちで不穏な空気がただよう…。


ついにパスタが登場!

「自分のところの皿か?!」

…と、運ばれるパスタに一同目をぎらりと向けるが

別の席のものだったりする…。

「あぁ…」とため息がちらほら聞こえてくるようだ。

オーダー順ではなく、出来上がった順番に出されるものだから

最初に来た客はたまったものではない。

1つのメニューを作り終わったら、1から別のメニューを作りはじめる。

これじゃ何時間もかかるわけだ。恐るべし。


しかし…出てきたパスタに先ほどの怒りが吹っ飛んだ。

ものすごく美味しいのだ。これほどにオイルとガーリックと出汁、

そしてパスタが絶妙に一体化したものは食べたことがない。

そして、自家製のオーブンから出たてのフォカッチャも間違いなく過去最高。

まるでビスケットのように厚くてざくっとしたクラストに、

甘いオリーブの香りでいっぱいのクラム…。


料理ですっかりごまかされてしまったが(笑)、

1200円のコースなのに3時間もかかったランチに、私も友達も

「こんな店ってありえるんだねーー!!」と

笑いが止まらなかった。一緒に行った子がこういう子で良かった。




その後、そのシェフは石神井を閉め、乃木坂に店をオープンさせた。

有名アーティストとのコラボレーションで、たちまち話題の店となった。

「『あの』シェフが乃木坂に移ったんだって!」

「あのベタな接客オヤジ、まだいるのかなぁ。まさかねー」

また同じ友達と来店することにした。


乃木坂なんていうオシャレなエリアに恥じないような

めちゃくちゃオシャレすぎるインテリア。

値段もずいぶん高い。スタッフも多く、皆若くて店にしっくりきている。

石神井との変貌っぷりに「出世したねぇ…」と寂しさすら覚えた。

しかし料理のポーションこそ小さくなったが(値段も高くなったが)味は健在!

そして料理のペースも半端なく遅い…。

さらに、厨房の奥からはなんか怒号が聞こえてきて店内が一瞬シーン…。


「これでこそ『あの』シェフだねっ!」と

喜んでいたのは私達だけだったかも知れない。




読み通り、この乃木坂のお店では折り合いが悪かったらしくあっという間に閉店。

今度はなんと西麻布のワインバーとコラボすることで再オープン。

もちろん、同じ友達と3度目のランチ訪問となった。

すでに恒例行事である…。




今度のお店は、若いイケメン兄ちゃんばかり。

やはり西麻布らしいセンスのいい店である。


  


フォカッチャはあの自家製の絶品ものとは違う、ごく普通のもの…!

三度目にしてついに変わってしまったか?!




料理は相変わらず遅い…。

久々に会うので積もる話もあるし、このシェフの「クセ」を重々承知しているから

なんとかしんぼう強く待つことができたという感じだ。

しかしスタッフの若い兄ちゃんの方が恐縮している感じ。

申し訳なさそうに「お待たせしてまして…」と謝られる。

他の客にはさんざん文句言われているのだろうな、この人たちは…。

気の毒でならない(笑)。


 


ようやく出てきたパスタは…。

たまたまセレクトが悪かったらしく、あの時の感動が味わえなかった。

こちらを翻弄させ、振り回すような豪快なパスタが味わえなかった。

腕が落ちたわけではないことは重々承知している。

こんなもんじゃない、というのを分かっているので、

いずれはあの感動のパスタを求めて再訪するとは思うけれど、

まさか4店目になったりしないよなぁ?(いや、ありうる(笑))。

…私はこういうオシャレな店でなくてもいいから、

石神井の時のような畑の中に傾きかけた洋館で食べたい。

あのベタな接客オヤジが恋しくなった…。


***


ランチが予定よりも時間が取られ(いや、予測済み(笑))、

せっかく西麻布、広尾界隈に来ているのに行きたいパン屋さんにも寄れなさそう。

しかし、ラ・プレシューズだけには寄り道しておかなければ。

ここのパティスリーのパン、オープン当初から大ファンなのである。

(結構何度も来ているわりにケーキはモンブランしか食べたことがない(笑))




オレンジの香りが鮮烈なパンオレザン、

胡桃とチーズの入った無骨なハード系パン、

大好きなパンがたくさんあるが、この日はクロワッサンのみ。

いやいや、これも大好きなので迷わず購入♪

はらはらとこぼれやすい繊細なクロワッサン。

ブーランジェリーのよりも、パティスリーの方が好みのクロワッサンに出会える。

バターが色濃く香るのに脂っぽさがなく、塩気よりも優しい甘さが効いたリッチな風味。




この独特なフォルム。

飛び立つ鳩のようなルックスと例える?

私は「蛾(が)」をイメージしてしまった(笑)。



***



夜の待ち合わせは六本木ヒルズ。

そこへは徒歩で向かおう。




この付近を歩けば必ず目に入る有名なマンション。

人が住んでいるのか怪しいほどのレトロな診療所。

東京のこんなコントラストが面白い。



* 夜 *



数週間前、六本木でセミフォーマルのパーティーに誘われた。

夜景のきれいな場所で…ということで、

滅多にないチャンスにノリノリだったが…さて困った。

セミフォーマルって何を着ればいいのか?

たぶん、結婚式の二次会のような服装でいいのだろうけれど、

私のはつま先しかでないようなロングドレスだ。


どこかで着替えてから行こうと思った。

朝から歩きっぱなしなので顔はホコリと汗で崩れるだろう。

化粧直しも着替えもできるところ…。


銭湯だ!

そうだ、銭湯で着替えよう。


阿呆なことを思い付いた私は、前日の夜の内に周辺の銭湯を検索、

麻布十番の銭湯(麻布十番温泉ではない)へ向かう!


友達「トイレで着替えればいいじゃん」

私「…そ、そりゃそうだけど…」


いちいちイベントを楽しみたいという私の心意気を理解してほしい。


麻布十番の銭湯に着いたのは待ち合わせの30分前!

ぐわーー15分で出ないとヒルズまで辿り着かない!

ゆっくり風呂にも浸かりたかったのに、だめだ、化粧直しが精一杯!


夕方の銭湯は驚くほど年齢層が高い。

こんなところで湯舟にも入らず顔だけ洗い飛び出る。

おばあちゃまばかりの脱衣所で

黒のタイトなロングドレスを来て(袖なし)

超集中して化粧に打ち込む女。

しかも入ってきた時にはジーパンだったくせに?!

さぞかし不気味な人間に見られただろう…。




タクシーでヒルズまで乗り付け(つくづく阿呆…)

ぎりぎりセーフで間に合う。



ここは限り無く上空に近い43階。

そこから眺める夕焼けの美しさと言ったら…。

さっきのマンションも遠くに見える。


普通の人なら入ることのできない超ハイソな空間でのパーティー。

ハイセンスな料理とフリードリンク。

そしてあか抜けた美男美女たち。

学生時代だってこんな華やかな人たちに遭遇したことはなかった。

うーーん、どう考えても私は場違い。

…たとえ銭湯で格闘して飾り立てたとしても(笑)


このセミフォーマルパーティーの主旨を知ったのは

その後なので、正直私はしらけてしまった。

「こんな人種もいるんだなぁ」

マンウォッチングにはこの上なく面白い体験ではあったが…。



宴は続いていた。

私はそこで2人の女の子をナンパし、

熱くパンについて語ってしまった…(笑)。

すっかり意気投合、終電までお茶をしながら

パン、仕事、恋愛談義に盛り上がる。

この出会いがなかったら私のこの夜の体験は

エッフェル塔に一人で上り、ずっと夜景を眺めていた

おのぼり観光と変わらないものだったかもしれない…。



***



朝から晩まで遊び通した一日。

ここまで一日たっぷり入っていると、

朝のことなど遠い過去のように思えてくる。


学生のころよりもずっと疲れが残るようになったけれど、

たっぷり働き、たっぷり遊ぶ。

学生のころよりも遥かに今が楽しい。