15.花よりバゲット 〜水海道でお花見パン〜



桜の季節がやってきた。

花より団子…とはいうけれど、

私は団子がなくても桜がとにかく好きだ。

(信じてもらえない?!)


たぶん、桜を通してみる過去の風景には、

とくに団子がないものだったからだろう。

桜の下には、恋であったり、友情であったり、成長であったり

そんなものが1年の時を経て再び私の前に咲き乱れる。

ただ、桜を眺め、長かった冬を風化させ、季節のめぐりを思う。

今年の桜は、私にどんな幻を見せるのだろうか。



…しかーし…

今年はそんなおセンチなことは言わない。

桜の下で、お花見パンをするぞっと早速プランニング!

水海道には桜の名所、福岡堰というところがあるらしい。

例年よりも桜の開花が早いようなので、3月末の週末の決定。




金曜日に一気に暖かくなり、桜が目覚めだした。

会社の近くのパン屋さんの前の桜並木はもうしっかり開花していた。

水海道だって咲くに違いない!

…と思っていたのだが、甘かったらしい(笑)。


日曜日の朝、水海道在中Mちゃんから

「まだ咲いてないよぉぉ!」

メールが飛び込んできた…。


京都からこの日関東にやってくるPちゃんから

「大阪は桜まだ咲いてへんよー」

メールが飛び込んできた…。


桜がないなら全然無意味じゃん? それこそ花より団子じゃん…。

と思わないでもなかったけれど、私はもうすっかり心は水海道♪

Mちゃんに柏まで迎えに来てもらい、

Pちゃん到着&パンの焼き上がり2時までドライブ♪


道中、千葉の辺りでは桜は咲いていた。

…しかし、水海道に入ったとたんにぱたっと途絶えてしまった。

こーなったら徹底的に団子に走るしかないでしょう?!



***




寄り道してもらった、流山のガーデン・ベリーズ

正直言うと、このような場所にこんなに本格的なパンが並んでいるなんて

全然予想もしなかったので驚いてしまった。




べーグルを見てもらえば分かると思うけれど、

すばらしい噛みごたえ。顎が疲労骨折するのではというくらいにハード。

それに、独特の匂いがある。

異国臭いというか、これは前にも味わったことのある匂い。


そう、03年の秋に訪れた仙台のバーニャのパンを思い出した。

あまりいい画像が残ってなかった…)

 


そこのパンも、本当に「本場臭い」。

おそらくオーブンの匂いだと思うのだけど

Parisで食べたパンの匂いに似ているのだ。そのものだった。

とりあえず、東京ではここまで「本場臭い」パンを置く店は(私が知る限り)ない。

GBもバーニャも同じくらいに驚いた。

「どうしてこんなところにこんな“クサい”パンを作れる人がいるの?!」

 褒め言葉である!!)


GBのおじさまはとっても良い方!

(実は拙サイトもご覧になってくださったこともあるとか…)

また今度ゆっくりカフェでケーキでも頂きながら

「本場クサさ」の秘密をじっくり聞きたい…。



***




GBでテイクアウトしたコーヒーを飲みながら、

Mちゃんとの車中バカ話(?)に盛り上がりすぎて

あっと言う間の水海道。

電車も悪くないけど、遥かにこちらの方が楽しい〜♪



駅でPちゃんを拾い、Nicolas到着〜。

(考えてみたら、このパン三娘の顔ぶれって、濃〜くない?!)


相変わらずやってくれてます、麗しのダノワたち!




どうせ桜がないというのは承知の上、一足先に堰へ移動。

Nicolasから車で10分くらいのところにあるこの堰は、

花見の名所とのことだが、残念ながらフライング。

それでも、河原でピクニックをする人たちがちらほら。



もう日が落ちかけてきたので少し寒くなってきた。

あぁ、お腹がぺこぺこ!

早速持参弁当を広げることにしよう〜!




私はラタトゥイユとサラダ、塗り物各種を持参。

もっと凝ったものを作ってこようと思ったのだが、

前日まで終電帰りの多忙な日々、いつも作り慣れているものしか作って来られず…。

(でもラタトゥイユは好評を得たのでシメシメ(笑))

Mちゃんはイチジクやトマト&チーズ、オリーブなどのオードブルを持ってきてくれた。

いよいよこれはピクニックですな…!




乾杯〜♪

私だけがアルコールでごめんね〜。

空腹に炭酸が染み込んで気持ちいい!




そ・し・て!

愛しいバゲットニコラをざく切りにしていただきまーす!
いやぁー、ほんっとーーーーに美味しいぃぃ!!
(形も、いつもと違う両端が尖っていないタイプをセレクト)
今日のバゲットはいつにも増して絶好調だった!
みちみちっと詰まっていて、ぽこぽこ気泡がスポンジのよう。
それほど噛み締めなくても十分に甘いのに、
噛み締めるほどに独特の米くささが広がる〜!
泣けてくるほどに旨いよ、今日のバゲットは!



買ってきたパンたちを一通り食べてお腹も落ち着いたころ、
仕事を終えた職人が二世たちをだっこして河原にやってきた。
おつかれさまです〜。
…と、なんとお土産も作ってきてくれてしまったよ。

じゃじゃん!
絶品Nicolas特製クロワッサンに苺とクリームが!!
もう感激のあまりに即かぶりつき!!
いいでしょ、いいでしょ〜?!
タッパーに入っているのがまたオツじゃない?!
バターと粉がイーブンに味わえるバリバリ揚げ春巻きクロワッサン、
苺の甘さ、そして粉糖が甘さを一層加速!

ほんと、来て良かった〜。
桜こそなかったけれど、パンさえあれば!


私の好きな一枚。

仕事を終えた職人と、その二世たち、そして広報部長M(笑)。
夕焼けに黄昏れるゆるやかな時間を切り取った一枚だ。

まだ咲かぬ桜の代わりに、この幸せな風景を私はしっかり目に焼きつけた。