97-2.「2007年食べ納めパン」を巡る旅 〜年末函館・年始札幌〜

2007年の旅・前半(ESSAY97-1番



年末、函館編


そういうわけで、17時33分に函館に到着。

うーわ、寒い!

寒いけど、なぜか雨が降っている

おかげでほとんど雪がなくて助かるけれど。

年々、北海道の雪は少なくなっている気がする。


宿は駅のすぐ側のホテルで、温泉付き。

新しくて温泉はきれいでコスパ最高。

ていうか、この旅で一体どれだけ温泉入れば気が済む?!


荷物をほどいてから、ラーメン友達に教わった函館ラーメンの

美味しい店に出向いた。

函館朝市の側にある、星龍軒という小さな中華食堂だ。





昔ながらの中華食堂で、息子さんとお母さんが

二人でつつましくやっているような感じの、

とても好感の持てるお店。

しかも! ラーメンがなんと480円!!!

函館のラーメンの相場が500〜550円くらいで、

それ以上だとなんか「高い」って感じが

してしてしまう中、この値段はすごい!


王道の塩ラーメンだったけど美味しかったーー。

そして野菜スープは具だくさんで超満足♪

トータル780円で函館の晩餐だった。






函館の町は、以前10年間、私の実家があった町だ。

実はこの町、意外とパン屋さんが多く、

よくパンめぐりなどもしたことがある。


さすがに年末のこの時期だと開いている店もそんなにないので

食べ納めパンはどうなるかなぁと思っていたが

とても行きたい2軒が、どちらも今日までの営業!






そのうちの1軒は、Pain屋さん。

なにを隠そう、函館でダントツに好きだった

七飯のこなひき小屋さんの姉妹店なのである。


七飯には、かつて母の車で訪れたことがあるのだが

残念ながら車のない年末帰省旅ではどうしても行けなかった。


しかしこの姉妹店は、十字街から徒歩5分という函館の町中。

それを聞いた時、次の帰省旅には是非寄りたいと思っていたのだ。





おしゃれなナチュラルフレンチテイストの店内。

朝早かったのでまだパンの品揃えは少なかったけれど

今、あまりハードなパンが食べたい心境じゃなかったので

十分なラインナップだったように思う。


お正月用のパンも購入、

食パンやツォップ(中央)は明日の朝食べよう

(ところが、結果的に食べられず終いだったのだ…わぁん)


まるで幼稚園のような小さなイスと、絵本がたくさん並べられたカフェスペース。

ここで朝食をいただいていくことにした。




このクロワッサンは

バターが極端に不足している昨今、

通常より少ないバターでなんとかクロワッサン「もどき」を作ったという

その名も「苦肉のクロワッサン」!

しかし全然クロワッサンに遜色なく美味しいです〜。

この謙遜っぷりがいいねぇ(笑)





タマゴサラダがたっぷり入った「ミモザ」は、

薄くスライスしたトーストを土台に、上にはチーズを。

こういう単純に美味しいタマゴパンを朝、朝に食べたいんだよね。

北海道ならやっぱりよつばとの相性が抜群です(笑)





これも温め直してくれたチーズエピ(の半分)。

バゲットはまだ焼き上がっていなかったけれど

やっぱりベースの生地が美味しさがわかるパンって大好きだ。

カールレイモンのベーコンに、チーズのまろやかさがくわわって

生地に溶け込む…。美味しくないわけがない!





そして、やっぱりクリームパン。

こなひきさんのクリームパンがとーーっても大好きだったのだが

姉妹店のPain屋さんのクリームパンも同じく絶品!!

非常に甘さ控えめのカスタードは、タマゴの力だけで固まったような

ぷるぷるっとした理想のクリーム。あーー、もうひとつ買ってもよかった



カフェからちらりと見えた厨房には、

見覚えのある親方さんの姿が。

またいつか、七飯の方にもまた行きたい






さてさて、立て続けにいきますよ、朝ご飯!(笑)

函館に寄るのは、パンには申し訳ないが、実のところは

一番の目当ては…やっぱり…





そう、ラッピである(=ラッキーピエロ)。

もうねー、年に1回しか食べられないなんてホントにきつい。

年に1回しか食べられないからこんなに恋しい、のかもしれないけれど。


去年に引き続き、チャイニーズチキンバーガー(略してチャイチキ)を食べに来た。

函館にはラッピがいたるところにあり、Pain屋のすぐそばにも十字街店がある。

あはは、なんなの、このサンタクロース屋敷はっ!

店内、サンタクロースで埋め尽くされた、ちょっとしたドールハウスだ(笑)。





魅力的すぎるメニューの数々

ほんとなら2個食べたいところだが…

そんなとき、すごいメニューを発見!


その名も「洞爺湖サミットバーガー」(笑)。

ふざけた名前からは全然想像もできないが、

チャイチキ2個とフライド海老が2個入った、

チャイチキ+エビチリバーガーを1個で2度楽しめる。

もう、もう、うまさ爆発(笑)。

なぜにサミットバーガーなんだと突っ込みどころ満載で泣ける(笑)。

しかし…この名前…2008年夏に洞爺湖で開催される

8カ国サミットが終わったら終了なんじゃなかろーか?(笑)





ほら! 海老もしっかり入っとるーーー。

どうせなら2種類だけでなく、

「土方歳三ホタテバーガー」のホタテや、

「北海道ジンギスカンバーガー」のジンギスカンも

全部投入して賑やかサミットにしていただけたら

絶対それだけで函館行く(笑)。







函館駅から徒歩15分くらいのなにもない住宅街に

ひっそりと営むパンと雑貨のお店があるという。

昔ながらの民家をそのまま改装したというお店では、

女性が小さなオーブンでパンを焼いているんだそう。


残念ながら、建物取り壊しのための立ち退きで

2008年1月末をもって営業を終了するんだそうで…

ぎりぎり最後になってしまったけれど

訪れてみたかった、函館の1軒のパン屋さん。





丁目番地を手がかりに丁寧に探したのでわかったけれど

これが車や自転車だったなら絶対通り過ぎていただろう

ほんっとに、民家のお勝手口という感じだ(笑)。


しかし

画像に残しておかないのはもったいない!

…そう思うほどに、ものすごくかわいらしい、

店内すべてが売り物なのではないかというくらいに

センスにあふれた店内…!

まさに、クウネルのイメージで

色褪せた木製の家具と麻布と籐籠の似合う空間。

そして、パン。

パンが…これまた本当に完成度の高いものばかりで

ほんとうに「絵になるパン屋さん」…。


このままずっとなくならないでほしいと

はじめて訪れた私にですらなくなる寂しさを覚えさせた。



小さな空間でお姉さんと二人きりの緊張から

画像にとどめることはお願いし損ねてしまったけれど

(そんなことしたらこの空気が壊れる…)

代わりに、食器や雑貨をいくつか購入した。

そして、パン。





グリーンレーズンのハードなパンは、

見た目の完成度も完璧だけど、口にした時に

レーズンとは思えないほどのフルーティーな甘酸っぱさに

目が白黒した。

どこかブルーベリーのような香りのする

なにか漬け込むときに工夫しているのかな

とにかく、「他にありそうで他にはない味」。





あんパンは、表面の気泡のぷちぷちがたまらない。

とんがらない、穏やかな酸味の生地に、穏やかな甘みのあんこ。

バックには、一緒に買った雑貨の籠と





一目惚れした器とともに写すは、

スコーン3種(かぼちゃチョコ、クランベリーホワイトチョコ?、紅茶とくるみ?)

どれもが目がさめるほどの美味しさで感動した。

しっとりした口当たりで、ソフトな印象なのに、

使われている素材の味がとても確かにひきだされている。

かぼちゃなら、しっかりかぼちゃが。チョコに味の強さで負けて無い!

そしてくせになるのがクランベリー(?)のミルキーなスコーン。

溶けるようなまろやかさで、長万部へ向かう車中のなかで

あっけなく口どけしてしまった。


なんか…あまりにはかなくて、

最後に行けて出会うことができて嬉しい反面、

知らないで済んでいたかもしれない、喪失感を味わうことになるとは。




そうして、函館の年内最後のパンめぐりは終わった。

2007年、最後の食べ納めパンは、函館のbroteさん。

本当の意味で「さよなら、2007年」だった気もする…。


そして、2008年、最初の食べ始めパンは…




函館宿泊費 5800円

函館長万部までの特急運賃 2460円

累計 41770円





***





年始、札幌編


年末30日に函館から長万部、そこから父方の実家へ移動したが、

翌朝から胃痛を伴う発熱でダウン、

大晦日に札幌に帰ったのだが、正月も寝たきりになってしまった

この間、食べたものといえば、イチゴとすりリンゴとポカリスエットのみ。

年越し用にせっかく買って来たパンも、結局食べられず終い…。


しかも、東京への帰路は、徹底的に予算を抑えようと(往路で予算オーバー!)

フェリーを予約していたのである。苫小牧と大洗(茨城)を結ぶ、あれ。

しかし当然大事をとってキャンセル、ごくフツーに飛行機で帰る羽目に…。

とんだ年末年始である。


そりゃーあれだけ温泉めぐりして、風邪をひくのも当然でしょと

誰にも同情してもらえなさそうだけど(笑)

まぁ、旅の途中や、仕事が始まってからダウンしなくて


悪運強いわーーー

旅運強いわーーー

2008年はいい年になるわーーー


そう思い込んでいます(笑)。




ようやく起きあがれた3日。

友達とランチしてから、地下鉄で向かったのは、

正月2日から営業開始しているマデュースさん。

もう、札幌と言えば…の、行きつけとなってしまったパン屋さん。


いつも車で行くのだけど、今回は内緒で行ったので

福住の駅から…なに? 2キロ以上?!

歩いたら30分くらいかかるらしい…(雪道氷道)

病み上がりでそりゃ勘弁。

迷わずタクシーに乗り込んだ。





ちょっと到着した時間帯が遅かったから

もうパンはあまり残っていなかったけれど

マデュースのパンの産みの母、Tさんに

新年の挨拶がしたかったんだ。


夏ぶりにお会いするTさん!

(夏の来訪時はこちらから)

あれ以来、とてもいい交流をさせていただいており

「この世パンの読者の方がお見えになりましたよ〜」

いつもそう報告してくださるのがなにより嬉しい。

ふるさとをめぐる偶然をメールで知らせて頂いたときには

椅子から転げ落ちそうになるほど驚いた。

おひさしぶりだけど、あまりおひさしぶりな感じが

しないのっていいですよね。





嬉しい心遣い、赤ワイン生まれのひよこちゃん。

病み上がりで久々に口にするハードなパンだったけれど

あっという間にワタシの胃袋にダイブしていったのだった。





病み上がりを理由に、このときはあまりたくさん食べていなかったけれど

帰宅後にゆっくり食べてやはり本当に美味しいと思うのが

マデュースのバゲット。バターも入らない。チーズもいらない。

パンとして優秀すぎるじんわりとしみいる甘み


グリッシーニはロッソ(赤ワイン)、かぼすの2種類。

不思議とハード過ぎない、乾き切っていない感じが好きだ。

いずれも、このESSAYを書きながらぽりぽり食べている。

だから書くのが遅いのかも知れまい(笑)。





ロシアの朝食パン(今金男爵じゃがいもとライ麦、ヨーグルトでロシアを表現!)と

たまねぎリュスティック。

少しツンとしたヨーグルトならではの酸味とじゃがいものもっちり感は

帰宅後にゆっくり朝食に食べるのが楽しみ

そしてひとくちでノックアウトされたのがたまねぎリュス!!!

もう、ほんっと美味しすぎる(笑)。リアルたまねぎ(笑)。

これだけたまねぎの甘さを引き出すのって

時間と手間かかるでしょうに…。





最後。

いつも楽しみなひとくちパンたち。

今日はブルーチーズと白かびチーズのひとくちパンを。


Tさんは白カビチーズのひとくちパンをさしてこう言った。

「大地のほっぺを使っているんですよ。

mi_waさん、以前DIARYで書かれてましたよね?」


ほんのささいなことでも拾ってくれるほど

読んでくれていることに、ほんとに感動してしまう。


ESSAYやDIARYを書き続けて、

なんのために書いているといえば

第一は自分のため。自分の備忘録、生き甲斐のため。


それと同じくらいに、こうして楽しんでくれる人たちがいるって

ことが私の原動力なんだ。

自己満足はすでに一人歩きして、

他者満足へ変われるように


2008年もいろんなパン屋さん、パン友さん、

出会うことになると思うけれど

誰もが楽しんでくれるパンとmi_waのラブストーリーを

つづっていきたいと思う。

2008年の初パンに誓う想い…。

2007.12.28〜30