91-3.07年9月残暑・関西3DAYS 〜3日目・シュクレ+fujiya〜




1日目(大阪・西宮)はこちら

2日目(京都)はこちら



気を失ったようにカプセルの中で爆睡、

でも、乾燥が激しくて喉の痛みで目が覚めた。

さぁ…穴蔵から抜け出して、お風呂にざぶんと入って始動だ、

これから岸辺へ向かうのだ………眠い!!!





相棒とは現地集合にして、ひとりてくてく岸辺からシュクレまで歩く。

いつもこの20分の往路はきついが、今日はいつにも増してきつい!

眠さと少し二日酔い気味、そしてやたらめったらな残暑に苦しめられながら

よたよたたどりつく。


今秋オープンのシュクレのパティスリーは、シャッター内でちゃくちゃくと

完成に向かって作業が進められているのだろうなぁ

そう思いながら、店内に入って行った。


実は今日は…昼から、念願のランチを食べに行く。

だから、たとえ朝でもあまりパンを食べ過ぎるわけにはいかない…のに

そうは問屋が卸さない、じゃなくて、そうはシュクレが許さない(笑)。

食べたいパンがめじろ押しでほんとに私、自分をセーブできるのかしら(笑)。





わーーーん!

去年も、ものすごくハマった「エグゾティック」!!

アーモンドの様な形状の黒っぽい生地に、

パインやレモン、オールスパイス、黒胡椒、カシューナッツやピスタチオを

ぎゅうっと濃縮させたパン。

パインとレモンの果肉が、必ずひとくちごとに入り込んでは

じゅわ〜っと強烈に濃い甘さを放ってくるのに

裏ではスパイスやナッツが「われこそは」と全面主張(笑)。

ちっとも息着く間も無く味覚が揺さぶられる〜!!


そして、やはりこれも去年の同時期にデビューした「パン・ソーシス・ピマンテ」。

とにかくこの美味しさは伝説的で、これを土産に食べた東京のパン友が

このパンに驚愕して、ほんとにシュクレ目当てに

大阪までパン旅にでかけたといういわくつきのパン(笑)。

チョリソーにパイン、マカダミア、グリーンペッパーの4味一体。

まるで酢豚の様な構成の(?)このパンは、辛さをベースにパインの甘さと

ナッツの甘いコクが全く違和感なくステイしている。

この調整力…ほんとに、シュクレのパンって、異質のモノをあたかも親友同士のように

共存、共鳴させちゃうんだよなーーー。いつもそのことに感心させられちゃいます。





マンダリン・マロンや、本日のプチデジュネなど

今すぐ美味しい状態で、絶対に少しでも食べたいから

買った数だけ、私のお腹は限り無く満腹へと突き進む(笑)。

あーーー、そんなこと分かっていたのに(笑)。





この「パン・ド・ヴェール・クレール」は、

夏にデビューしたものだけど、9月に入ってもまさかまだ作っていたとは…

ああ、残暑よ感謝する(笑)。

ワサビとドライキウィという……同じ緑同士の食材とはいえ、

おそらく、ひとつの皿(もといパン)でこの2つを共演させ

それを見事に成功させてしまったという世界でも前例のないパン(笑)。

さわやかな辛さは確かにワサビのそれ…であるけれど決して間違ってない(笑)

それはホワイトチョコとレモンによる中和によるものか。

これがほんっと、嘘偽り無く美味しいの。嘘じゃなく(笑)。


変態の、変態シェフによる、変態パン好きのための、パン(笑)。





焼き立て…!

ショソン・ア・ラ・ファン・ド・レテ2007。

2007年の淡い夏の思い出…のショソン。

シュクレのショソンは本ッとうに美味しいのだけど、

今日はなんと、フレッシュの無花果と白桃を日本酒&スパイスでコンポートして

中に挟み込んだもの…。


中がものすごく熱くて、とろとろ…!

ザクッと鳴ったかと思えばすぐにしゅるしゅるっと口解けるパイ。

わーん、、、ほんと美味しいです〜(泣)

もひとつのサプライズとともに、

たとえこのあとにランチが待ち構えていようとも

食べる手を止めることはできなかった…。



秋にはついに念願のパティスリーを開店させるシュクレ。

今が一番忙しい時期とは思うけれど、

今はとにかく突き進んでくれーって感じかな、

ていうか…もし隣がオープンしちゃったら、

こうしていつものようにパンで満腹、

さらにケーキを食べるお腹のスキマを計算しなきゃならないなんて

ああああ、どうなっちゃうんだ、今年の秋からは!

それが今一番、私を悩ます事項です(笑)。






もうひとり加わって、次に訪れるのは、念願だったレストラン。

hからほど近いオフィス街にあるので、祝日の今日は街が閑散としている。





相棒がずーーーっとこの店に私を連れて来たがっていた。

「日曜日はやっていないから、月曜日の昼に連れて行きたい!」

だから、この三連休に関西にわざわざやってきた…という

今回の旅のなれそめ。


ここのところ、従来のセオリーを打ち破るような、

奇想天外(という言葉そのまんま)な料理を創作するレストランに

立続けに行くことが重なっていた私。


「できればその前に連れて来たかったけど…」

そう相棒は言うけれど、いやいや

私は感動ってやつがいちいちリセットするおめでたいタイプなので(笑)

あまり関係ないと思う。むしろ、レストランで食事するのは

「何を食べたか」だけじゃなくて「誰とどう食べたか」という

その時間の過ごし方の方が大きい気がするからね。





店内に入って驚愕したのが、キッチンがシースルーだったこと!

(画像は客席。キッチンは写っていません)

まるでキッチンスタジアムのように(懐かしい)、

作業のすべて、足の先まで全部まるみえ!!

これから出てくる料理の種明かしまでも先に見えてしまうような気もするけれど

その心配は全く無用だった。だって…すべての皿が

とめどないサプライズの連続だったから…!





昼はミディアムショートのコース。

事前にメイン料理だけを指定して、それ以外はすべておまかせ…。

なにも事前知識がない私には、いったいこの「ミディアム」が

何皿くらいでてくるのかも知らなかった。


これはまさに「序章」。

ポルチーニの香りのする煎餅に、

イカスミのボーロ(なんと個別包装!)など、

何種類かのフィンガーフードが登場。

どれも、サーブの仕方が独特…!





すまない! なんのクッキーだったか失念(汗)

こう書くととても平凡だけど、まったく平凡じゃ無い素材のクッキーだった。





パンは自家製。食事の邪魔にならないシンプルな味わい。

もちろん、適温に温められている心遣いは「当たり前のように」。





そして…アミューズで十分、「期待」のウォーミングアップをしたあとで

いよいよ、料理に突入!


料理とともに運ばれて来たのは、3枚の葉っぱだった。


シェフが「料理を食べる前に、この葉っぱをなめてみてください。

そして、10秒ほどたってから、料理をお召し上がりください」


…え?!

この葉っぱをなめるんですか…?!



そのなんのへんてつもない葉っぱには、

ひのきの香りのような味がついていた。

私は即座に「ひのき風呂」を思い出した。

連れは森林を思い出していたようである。


そして、10秒…





それはキノコ料理だった。

それが、どんな料理だったかを今思い出すことはできないのだけど

とてもとても美味しかったことだけが思い出せる。

(無論、料理を楽しむというのはそれで十分だと思う)


シェフは「これはひのきの香りをつけた葉っぱです。

これをなめていただくと森や木をイメージされたかと思います。

何も考えない状態よりも、きのこが本来育った森を思い浮かべながら

頂くことで、料理がより美味しくなると思ったのです」


そのようなことをおっしゃった。

ああ…! こんな食べ方があるなんて!

味覚や嗅覚だけでなく、イマジネーションまでも

料理の材料に使うなんて

こんな料理は全くはじめての経験…!





まだまだ続く前菜。

今度はカニだっただろうか…ああ、自分のこのぽんこつ頭め!

それにそら豆だっただろうか…ああ、このあんぽんたん!

パスタだったのである。

このパスタがものすごーーーーーーーく絶品で、

尋常じゃない美味しさだった!!!

ああ、相棒よ、メールください(笑)。





てっきり、メイン(お肉)を指定していたし

ミディアムショートコースだと聞いていたので

お魚料理まで出てくるとは全然思わなかった。

いったい…何皿出てくると言うのか!!!


白身魚(これまた失念)に黒くかかったそぼろ状態のものは

オリーブのフレーク。これも、石盤を皿に見立ててサーブする。

味覚、嗅覚、そして視覚。

感心させられたのは、これらの料理が決して「アイデアまかせ」のものばかりではなく、

「腕の確かさ」をしっかり土台にしていることだった。

それは、この至極シンプルな焼き物で伝わってくる…。


そして…次の料理で、この店が奇をてらっただけの料理じゃないことが

証明されてしまうのである。





メインである、牛頬の煮込み。

最初、相棒から「メインは牛頬煮込みと、鴨のローストと、どちらがいい?」と

聞かれた時に、「意外とオーソドックスなメニューなんだなあ」と思った。


しかし…この牛頬の煮込みは、これまで食べた中で一番、一番強烈だった…!!!

歯がなくても、きっと食べられてしまうであろう、

舌だけでするりとろりとほどけていくやわらかさ。

そして、軽く頭痛がするほどに濃厚なコク…!!!

す、すごい…こんな牛頬、食べたことがない…

ドコにでもよくあるメニューだからこそ、この極端な違いに驚かされた。

この店、このシェフ、ほんとにすごいよ…!





デザートもやはり1皿ではすまされない(笑)。





このキャラメルソースも、ほんとに美味しかったなぁ

さすがに、もう詳細書く体力ありません(笑)

感嘆と悶絶を繰り替えし過ぎて、ほんとにへとへとだったもの…(笑)




驚異のパフォーマンス、驚愕のコストパフォーマンス、

5感プラスアルファを使って味わう至極の料理たち…。

ホントに、大阪って恐い。恐い街だよ。

またひとつ、「これだけのために大阪に来られる」店に

出会わされちゃッたよ…。




今回もまた、関西を味わいつくして、

様々なドラマ(個人的に)とともに短い3日間は終わった。

関西に好きな店が増えるほどに、私の嬉しい苦悩は続く。

帰りの新幹線では、満腹疲れでやっぱり気を失うように眠った。

さて、次はいつ関西に来ようかな。

ああ、大阪出張ないかなぁ

ああ、転勤でもいいかもな(笑)


*おしまい*

2007.9.15〜17