76.2006 Xmasパーティー@メゾン・カイザー池袋






年末の風物詩

パンクラブのクリスマスパーティー、略してパンクラクリパ。


12月の週末の予定が入りはじめる11月のころ、

例年のパンクラブのクリパのことを思い、

「その週はたぶんダメ! 他の日で!」

その読みはずばりピンポン、今年も第三週の土曜日がクリパの開催日だった。

年々パンクラブの知名度とともに競争率が激化するクリパだが

どうにか滑り込みセーフ


パンクラクリパに出ずして2006年が終われるか?!

…否!!!


過去のパンクラクリパ参加模様はこちら

2004年

2005年



今年は誰もが知る、かのメゾンカイザーで

しかも9月にオープンしたばかりの池袋サンシャインアルパ店での開催。

一度オープン時に来訪したが、まだ併設のバールの方では料理を食べたことはなかった。


池袋

私の古巣

(昨年、長年住み慣れた池袋エリアから引っ越しをしたのである)

未練たらたらの池袋にカイザーができた時は「今さら!」と地団駄を踏んだものだ。

最近池袋沿線は美味しいパン屋が続々増えて

ますます私の望郷(?)の思いを募らせるのであった。


開催時間を間違えて遅刻寸前!

サンシャインまでダッシュするものの

「サンシャイン遠い!」

「サンシャイン通り、人多すぎ! うざ!!」

…それでもやはり池袋を愛する私である(笑)。






長い前置きはさておき、

会は時間通りにスタート。

いつもはぐっと照度を落とし、ろうそくを灯すムードのあるバール。

今日はパーティー仕様に照明が明るく(これならパンの写真も撮れると安堵)

今日、この日の貸切りパーティーのための

スタッフさんの数の多さには驚いた。

横の販売カウンターでは、人が絶え間なくパンを求めているようだ。


この後、カイザーの木村シェフ兼社長も登場するとのこと

総動員で催された、厳かなる(?)パンの宴が始まった。





本日のメニューは

お料理と20種類のパン!

(そのうち4品はお土産用)

パンも料理も小出しに、3時間かけてたっぷりといただいた。


カイザーのパンは、食べたことがないパンは一つもないくらいに

食べ慣れている。なんせ日本に上陸してから6年、ずーーっとお世話になっているのだから。


…なのに?!

全く「食べ控える」ことができなかったのだ。

だって

いつにも増して

パンがものすごく美味しく感じられたからである。




お料理(1) 田舎風パテ ポートワインのソース

パン(1) クロワッサン

パン(2) プチ・ブリオッシュ

パン(3) トゥルト

パン(4) チャバタ



一品一品にレストランシェフの解説がつく。

やはり最初に来るのは冷製のパテ。

パテやリエット、テリーヌといったアントレは絶対パンには欠かせない「お新香」。

鴨とフォアグラのパテに、

グレープフルーツ果汁で味を調えられた刻みキノコ、

そしてダマンドのガレット。

(クレームダマンドから甘さを抜いたようなもの。珍しい!)






席に着いたときにあらかじめ配られていた

クロワッサンやトゥルト、焼きたてのチャバッタ。

シェフのお話に耳を傾けながらも手を休めることなくパンを口に運ぶ。

私がカイザーで一番好きなハード系、トゥルトは相変わらず蕎麦っぽい

後味が旨い…。池袋店、いいなぁ。いいパン焼いてる!




しかし

のっけから悶絶してしまってはなんなんだが

この日一番悶絶したのは

何を隠そう

クロワッサンだった…!!!

ほんのりぬくいクロワッサンに鳥肌が立った…!!!!


カイザーと言えばクロワッサン。

クロワッサンしか知らない人もいるかもしれない。

代名詞的なアイテムに、改めて悶絶させられるとは


カイザーのクロワッサンは数えきれないほど何度も食べているのに

…こんなに、…ここまで、

…これほどまでに美味しかったっけ???!!!



まるで層の影がくっきり浮かび上がっているかのように

メリハリの効いた濃い色合いの美しさもさることながら、

このヒキ…!!

バターの沸き上がるような甘い甘い香り…!!

カンペキすぎる。

これは持ち帰れない。今、全部食べマス!!!


パテを食べ終わるのとほぼ同時に、

クロワッサンは私の目の前からあとかたもなく消えていた。

…クロワッサンは意外とお腹に来るのよね、、、後で苦しい思いをするわけなのだが(笑))




お料理(2) 野菜と小麦のスープ


もともと、「まかない」のスープだったのだそう。

うろ覚えだけれども5時間もじっくり煮込んだとか。

少しとろけたチーズが野菜や麦と絡まって美味。

こう言っては失礼だけど、とても家庭的なスープでしみじみ美味しく頂いた。

そう、私たちのようなパン好きは、普段はこういうスープで

おうちパンを楽しんでいるんだもの。

なんだかそれをわかってくれているような気がして嬉しい。




パン(5) イチジクのパン

パン(6) パン・オ・ノア

パン(7) キュルキュマ

パン(8) レザン・ノア

パン(9) カンパーニュ

パン(10) トッサード・トマト



のちほど、木村社長から全てのパンについて解説とおすすめの食べ方、

秘話なんかも聞かせて頂いたのだが、

改めてこうして食べても、本当にどのパンも個性が強い。


カイザーのパンはホントに全部好きなのだが

マニアックに好きなキュルキュマ。

(ヘーゼルナッツ入りのの黄色いウコンのパン)

改めて食べると、パンオノアがものすごく美味。

パン好きの原体験が蘇る、柔らかさと甘みとコク。

(=アンデルセンの胡桃パン(笑)あれが私のパン好きの走りだった)


全てがねっちりとした「粘着質」のある歯ごたえが共通項。

「つぶし加減が決めて」のイチジクのパンや、

焼き立てのトッサードトマト(激ウマ)も、

改めて食べ直すとしみじみ旨い


やばい! 誰か止めて?!

まだまだパンも料理も出るんでしょ?!(笑)




お料理(3) 特選和牛のビール煮 フランドル風

パン(11) パン・オ・ボジョレー

パン(12) パン・オ・フロマージュ


レストランで食事をするときいつも思うこと。

パン好きで幸せであり、

不幸だな、と思うことは

メインディッシュが登場するころにはすっかり満腹になってしまうことだ(笑)。


黒ビールで煮込んで苦味をプラスしたというこのメインの道産子牛。

ナイフを使う間でもなくフォークでほろほろと崩れるやわらかさ!!

いや、フォークを使う間でもなく「舌」で切り崩せるのでは?!

まさに「とろける」。ものすごーーーーく美味だった。

普段、牛の煮込みは途中で飽きてしまう私なのに

これに関しては最後の最後まで飽きを知らずに「あっさり」頂いた。


…いや、ちょっと嘘だ。

「あっさり」は嘘だ(笑)。

とうに腹十二分目まで来ていたんです(笑)。

でも…ウマイ!!



途中で追加されるパンは、

どれもが焼き立てのほやほやのようでみずみずしい。

かつてないほどにベストな状態で食べさせてくれているかのようで

本当にどれも感動的に旨い。

大好きなパン・オ・フロマージュも気付けば画像にも残らない早さで食べ切って。


パン・オ・ボジョレーを食べるのは今季二回目。

このパンは毎年この時期に出されるのだが

数年前、初めて食べた時は「なんて塩辛いパンなんだ!」と

その美味しさが理解できなかったのだ。

しかし…年々、時系列に食べ重ねるにつれてどんどんはまっていったパンである。

ラルドンの強烈な塩気は…まさに酒のアテ?!




お料理(4) チキンとアボガドのサラダ

パン(13) シャテーヌ



毎年必ず秋に登場するパンと言えば、こちらも同じく。

「シャテーヌが出ると秋を感じる」とパン友さんが話していたが、

わかる。私もカイザーのシャテーヌは毎年楽しみにしているんだ。

さつまいものパンもそうだけど、カイザーの練り込み系のパンは、

「粒」が入っていない(破片程度)のが特徴だけど

この栗パンも然り。「栗? 栗はどこ?」

最初の頃は必死に探したものだった(笑)。


でも…ほのかに香る栗の香りと、それにも勝る、この「ねっちょり」したみずみずしさ。

舌にぺとっとひっついてくるような食感…。

これを求めてやはり来年も再会を待ちわびるのだろうな。




パン(14) エクメック

パン(15) バゲット・モンジュ

パン(16) パン・池袋


焼き立てのエクメックを初めて食べたのはたしか日本橋でのことだった。

破片を前に試食した時はピンとこなかったというのに

焼き立ての、まだぱちぱちと音がなる状態で食べた時の美味しさといったら!

そのときと同じような、そのときよりももっとすごいような

表面に美味しさの全てが凝縮しているような、ハチミツのリアルな甘さ。


この日のエクメックもすごかった

ほんとに美味しかった



牛のビール煮を食べている間、ずっとシナモンの香りがただよっていた。

そう、パン・池袋が焼き上がったのだ。

池袋店オリジナルのシナモン入りの甘めのパンは、

カイザー氏が池袋用に考案したというパン。

…特に池袋をイメージしたというわけじゃないとのことだ(笑)。



待ってましたのバゲットモンジュは意外にもラストの登場。

お持ち帰り用にバゲットのハーフも入っていたし、

明日からはしばしカイザーな日々が続くのだろう。




お料理(5) メゾンカイザー・グラッセリエ 特製アイスクリーム


赤いシャツを着たイケメンなフランス人パティシエさんが

通訳さんを通して、カイザーのタルトやアイスクリームについて語ってくれた。

カイザーのスイーツは、パティスリーの流行を追ったものとは違い、

「ナチュラルでトラディショナル」なものを作ることを意識しているとのこと。

なるほど、カイザーのスイーツは、どれも奇をてらったものはないのに、長く長く愛されるタイプのものが多い。

(特に私は「タルトモンジュ」が物凄く好きなのである)


このアイスクリームも、ものすごーーーく濃厚。

ねっとりと甘く、卵の味が強い。

例えは適切かどうかわからぬが、まさに「カステラ」的だと思った(笑)。




そうそう、パンクラクリパ…と言えば?!

忘れてはいけないのが、スペシャルプレゼント争奪、クイズ大会!!!

今日のスペシャルプレゼントは、パティシエが手間ひまかけた

スペシャルデザートなんだそうな! んま! 私が食べるわ?!(笑)



毎回、パンのお話会ではクイズが用意されているのだが

クリパでは、「パンカルトクイズ」が有名。

そう、ドリルのような、パン問題が50問くらい出てくる、あれ、である。

過去2回のクリパでは…連勝させていただいた…のだが

変なプライドとプレッシャー(笑)とのせめぎあい、

「今年はあまりあれこれパン屋さん行ってないから勉強不足」

今年はダメだろうーーと思っていた。


すると今年は3択クイズしかないというじゃないか。

うわーー、今年は「ドリル」ないんすか! がっくりー(内心、ホッ(笑))



3択クイズは毎度毎度、超難問ばかりで

「これはジャンケンみたいなものだ」と思うのだが(笑)

見事、私は



3問目敗退(笑)。

がっくりー(どのみち)


しかし!





同じテーブルの方がなんと最後まで勝ち残り

見事洋梨のブランマンジェ(みたいなもの)を勝ち取ったのだ!

わあーーー!! よくぞやりましたね!!!

まるで自分が勝ち取ったかのように喜ぶ私たち。

え、味見させてくれますかっ(狙い通り?(笑))

んじゃ遠慮なくっ!!!


この洋梨のぷるんぷるんなデザート、

も、も、ものすごく美味しい!!

たった一口で、洋梨の味がくっきりはっきりわかる。

ここまで洋梨を感じさせるブランマンジェ(みたいなもの)って初めて!!

うわーー、これはスペシャルだわ。。。

ごちそうさま、もうこれで思い残すことはありません(笑)。




こうして食べて食べて食べまくった会は終わった。

食べながら、木村氏の話に耳を傾けていたのだが

あれこれ美味しい食べ方の提案、パンの裏話、

おもしろい話をたくさん聞かせて頂いた。

ものすごい多忙な仕事漬けの毎日をすごす木村氏が

感動したパンの秘話なども…、、、



次々へと店鋪展開を続けるカイザージャポン。

店鋪があちこちにできるのは嬉しい反面、

ファンとしては「そんなに広げては…」と

色んな意味で懸念する気持ちもあるのは確かだ。


しかし、その理由を木村氏はこう語った。

「店を新しく出すのは、腕のあがった職人たちに店を任せるため。

将来、独立をめざす彼らに、新しい店が一から立ち上がる

その経験をさせるためなんです」


そうなのか…!

会社という組織で働いている人間なら誰でもわかるだろうが、

ある程度の経験と能力を持った人には

ポストを与えるべきということ。

そういやうちの会社も小さいながら妙に室長が多い。



信頼できる職人に店を任せる。

だから、こんなにも池袋店のパンは美味しいんだ。

こういうことを聞けたことが、

パンの製法とかパンの食べ方とかをあれこれ聞くよりも

一番私には嬉しかった。そういうことが聞きたかった。

こういう場でなければ聞けなかった。



好きなパンがいつも以上に美味しく感じられる。

好きな店がもっともっと好きになる。


だから私は来年もパンクラブのおはなしの会に

お世話になり続けよう……勝手な決意表明だけれども?!






古巣、池袋。

あれだけ食べた後だというのに

どうにも去りがたく、友達と立ち飲み屋にて二次会(笑)。

胃袋が今にも爆発しそうでしんどかったにも関わらず

とりあえず冷やしトマトも頼んでみたがひとくちも喉を通らない(笑)。


お持ち帰りパンはクイニアマンやパン・オ・オリーブなど

これまた大好きな、それこそ酒のアテになるパン。

いつもなら即、一口ずつくらいつまんでしまうところを

今夜は無理。大好きなビールすら全然進まない。

そりゃあんだけ食べたもの!


でも…大丈夫。

食べ慣れたカイザーのパン、身近な身近なパン屋さん。

欲張らなくてもいつも手をのばせばそこにある。



2006.12.16