53.祝★開店 ニコラ食堂in守谷





2005年10月20日グランドオープン。

おなじみ水海道Pain D'artisan Nicolas がビストロ「ニコラ食堂」を開いた。

パンと料理を楽しめる料理屋である。

パンは…わざわざ水海道まで通っちゃってるくらいですもの。

料理は…過去に何度もその腕前、センスにひっくり返されたくらいですもの。

そう、あの「ニコラ会」はすべて、この食堂オープンの華麗なる前振りだったのだ!(たぶん)


しかし、問題点はひとつ。

場所は水海道よりもほんのちょっぴり東京に近い、守谷市。

せっかくつくばエキスプレスが開業しても

最寄りの駅からは徒歩30分くらいある。

いくら車社会の茨城とはいえ、かなーり不利なリッチと危惧するが

とりあえず行ってみるべし! 行けば絶対うまいものが約束されてるはず!!


東京駅八重洲口から水海道行きの高速バスに乗って、

新守谷駅から3つ目の「松前台」で下車すれば、目の前にあるのだそう。

一本でいける、東京人からすればある意味アクセスのいい場所だ(?!)。

さっそく、ランチにレッツらゴー!


水海道-東京間のバス使うこともあるけれど、きまって帰り道。

行きに使うのは今回初めて。八重洲南口から11時発車のバスに乗る。

連れと共同で6枚つづりの回数券を買ったので

往復1700円弱で済むのだ。


高速バスは、あの取手経由の常磐線で行くことを考えると

嘘みたいに近い。呆気無いほどに近い!!

なんと11時40分には目的の「松前台」に着いていた。

ちょっとー、へたしたらZより行くより全然近いじゃん(笑)。





バス停から進行方向に歩いてすぐにニコラ食堂はあった。

すぐに「こんちはー!」と突撃したい気持ちを抑えつつクールにカメラを構える私たち(笑)





10月はランチもディナーもコースのみ。

ランチが1200円、ディナーが2300円。

手書きの黒板って、絶対に足を止める磁力みたいなものがあるよね。

この黒板に惹かれて、ふらりと立ち寄ってくれるお客さんがいるといいなー。

(といいつつ、ここは「徒歩」の人が少ないエリアである(笑))





壁の色は赤! なんと自分たちでペンキで塗ったという。

この色は私の一番好きな、落ち着く色だ。…そう、うちの「壁(BBS)の色」と同じ(笑)

すっかり落ち着いてしまったがために、、、まさかあんなに長居するなんて!(笑)

パンもちゃーんとカウンターで販売。

パンだけを買い求めにいらしたお客さんもいらっしゃった。ご近所の方かな?

そう、食堂ってだけでなく、パン屋さんも守谷にオープンしたんだよ!





客席は、テーブル席と、ソファ席。

(ピンぼけ御免)

壁に一列に並ぶパンの絵は、Nicolasで最終修行中のK氏の作だとか!

(*Kさん、来年に念願のパン屋さんをオープンするそう! 楽しみー!)


画像にはないけど、天井からさがるペンダントの照明も、時計も、全部手作りなの。

入り口の側には、姉妹店の名古屋ぱぴさんからのお花も飾られ…。


そして、アナログBBS(来店した人に書いてもらう寄せ書きノート)には、

よく知るハンドルネームの数々(笑)。

わはは、あの子もこの子もみんな来てるのね!(笑)


壁塗りを手伝った人、絵を贈る人、花を贈る人、メッセージを贈る人…。

みんなの顔が浮かぶ。「がんばれー」「応援してるよ!」で満たされた空間。

なんかすでに感無量なんすけど(笑)。って、まだ食べてませんから〜!



ニコラ食堂のスタッフは3人。

料理担当は以前半蔵門でスギヤマ氏と一緒にやっていた方。

ホールで接客担当の彼女は、わざわざ守谷に移住して来た子。

ホールの彼女とは面識があるのだけど、ちゃんとお客の要望を汲み取れる接客に感心!

そしてオーナーであるPain D'artisan スギヤマ氏。

さぁ、全員揃ったし、宴を始めましょう!





メニューは10月仕様。

ランチセットの他に、カスクルートセット600円(これについては後述)、

デニッシュセット、お子さまセットがある。


このお子さまセット、お隣のお客さんが注文していたけど、

めちゃくちゃかわいいのーーー!

小さなニコラパンにお肉がサンドされたバーガーに、メロンパン。

(コドモがメロンパンを齧る姿は、なんとかわいらしいものだろうか!!!)




私たちは全員ランチセットに。

先に水海道に寄って来た友人が、新作パンを買って来てくれたのだ。

料理が来る前に、パンが来る前に、

パンでも食べて待っていましょう(おいおい)。





ちょ! これってあれでしょ?! 「マガジーヌ」じゃないかー!

そう、この雑誌を丸めたような形状のパンオショコラは、

あのシェフのオリジナル(詳しくはこちら)。

本家よりもさらに小さいサイズのマガジーヌ。

ね、贅沢でしょうーー?! ニコラのマガジーヌだよ!!

ここのクロワッサンの美味しさは散々語っているので端折るけど(笑)、

チョコが甘くて、本家より少なめであるところが超ーーー美味しい♪


「なにパクってんのよーー(笑)」

すかさず突っ込みを入れるひどい私(笑)。

スギヤマ氏、実はシェフとパン職人仲間なんだそう。

出版記念パーティーの時に、しっかりサイン入り本ももらってきたそうだ(笑)。

おぉ、てことは私とお揃いか(笑)。





いつものテーブルロールをテーブルにおいて(笑)

さぁ、料理がいよいよ登場だ。




じゃーーーーーん!!!

スライスされたパンの盛り合わせに悲鳴をあげる私たち!

バゲット、ペイザン、イチジク胡桃、コンプレ、リュスティック、フリュイ、

さらにお替わりパンにはカンパーニュニコラも登場…!!

恐ろしいほどハイペースで食べ進む私たち。

パスタが後で登場することもわかっているのに、、、わかってない!(笑)





前菜3種盛り!

鱈とじゃがいものブランダードみたいなものを乗せたカナッペ。

ラタトゥイユ、そして焼豚。どれもこれもほんっとに美味しい!





今日はとにかくこのコンプレがめちゃくちゃ旨かった。

ラタトゥイユを載せて、包み込むようにパクっと。

うぅーーーー! うまいよぉーーー!

パンと料理。料理とパン。パンと料理…。

一口ごとに「幸せー幸せー」と、それしか言葉を知らないかのように。





トマトのパスタもとにかく美味しかった!

汁気がなく、ありがちな脂っぽさがほとんどない。

脂に頼らず、出汁のような旨味がすごくよく出てる。とにかく濃厚!! 

自分の作るものとは出汁が違うなー、なんの旨味だろう〜!!

それにしても、パンとパスタだもん、ボリューム満点!

私たちのお腹の中の縄張りを争う、パンとパスタ(笑)。

おいおい、喧嘩しないでくれーー(笑)。



そしてここでサプライズ!!

ちょっとしたお祝い事に、予算を決めてお願いしておいたケーキ。

忙しいんだから、ほんと手のかからないものでいいからとお願いしていたはずなのに

まさかまさか、こんなすごいものが出てくるとは!!!





ダマンドのタルトにシュークリームのツリーが!!

さらに驚くのは、ハート形の飴細工。ツリーの上にも飴細工!!

あなた、ほんとにパン職人?!(笑)





丁寧にひとり分ずつ切り分けて盛り付けてくれて…。

うぅぅ、お腹一杯だけど美味しくて全然ベツバラ。

まるでさつま芋餡のようなダマンドがしとしと湿っていて美味だぁぁ。

しゃくしゃくした焼きリンゴがこりゃまた絶品!!

固まる前にカットされたハートの飴は、懐かしいべっこう飴。

お祝い事にサプライズを用意してください、ってリクエストは

よくパン屋さんにお願いすることなのだけど、

もしかしたら、自分達も一緒になってサプライズを味わいたいからなのかも(笑)。



「デニッシュセットも食べますよね? あれ? ベツバラですよね?(笑)」

シェフ−ーっ。私たち、とんでもなくお腹一杯なんですけどっ(笑)。

ここで粋な提案を。

「じゃあ、人数分に小さくカットしましょ」

おぉ、ほんの一口ずつなら食べられるかも。





ぎゃーー!

なんなのなんなの?!

これまた大騒ぎ、怒濤のサプライズ攻勢!!

ついつい、懲り過ぎちゃうシェフ。

内容は通常と同じデニッシュセットだけど、切り分け方、盛り付け方でこんなに

すばらしいピンチョス風になっちゃうなんて…!!!





せっかくだから串刺しにして食べてみるが(笑)。

いやはや…脱帽。美味しくて脱帽。センスに脱帽。

ていうか私帽子かぶってないし。もう髪の毛も脱ぐしかない!(笑)


このピンチョスデニッシュプレートもそう。

手作りアートで飾られたインテリアもそう。

すべてに渡って、この人はパン職人という以前に、

一人の「アーティスト」なんだなぁ…ってつくづく思わされた。

なにかを創作する、つくり出す、披露することがほんとに好きなんだなぁ…って。

このお店を出すこと自体、ものすごい冒険、挑戦だと思うのだけど

やりたいこと、作りたいこと、生み出したいこと、

まだまだたくさん秘めているんだろうなぁ…って。





カスクルートセットなるものもあるのだけど、

テイクアウトもOK!! てことで、満腹太郎な私たちは全員テイクアウト★


このカスクルートセットは、お店でいただくと前菜も一緒についてくる上に、

「ソフトクリーム」のような盛り付けのセンスにひっくり返るはず!

こんな説明じゃわからないでしょ。ぜひお店で頼んでびっくりしてみてほしい!)


バゲットに、大山ハム、ミモレット、コンテチーズを挟んだ極々シンプルなカスクルート。

大山ハムの美味しさにフューチャーしたものだけど、

いやいや、このバゲットあってのサンドなのだ。


このカスクルート。私にとっては涙がでるほど懐かしいカスクルートだ。

半蔵門時代に、このカスクルートを食べて鳥肌を立てたことを今でも思い出す。

パン屋(半蔵門)が閉店になって、泣いたのは初めてだった。

パン屋(水海道)が再開になって、泣いたのも初めてだった。


あのころは、まさかこんなところでこんなカタチで

「幸せ−」を連呼することになるなんて全然思っても見なかった。



そして、またこうやって新たに守谷という町で新しい何かが始まる。

もちろん、これからどんな面白いことが始まるのかはまだまだわからない。

まだオープンして10日だもの。

でも、確かなことはひとつ。


「パンの町」が、茨城にまたひとつできたんだ。

私たちがわざわざ足を運ぶ「パンの町」がまたひとつ…。



やっぱりサプライズさせられまくったニコラ食堂のランチ。

幸せ幸せ幸せーーって何度連呼しただろう。

そんな「幸せーー」を、地元の人にも味わってほしい。足を運んでほしい。

「パン好きさん」のためだけの店でなく、

そうでない人をも「パン好きさん」にさせる力のある食堂になっていくって信じてる。


ぜひ守谷の食堂にうまいメシ食べに、いらっしゃい。




* 初ランチ編 おしまい *









…そして、長い続編…】


楽しい語らいに夢中になると、もうすでに3時半。

たっぷり4時間近く居座っていたんだね。

そういえば、夜に友達がディナーを食べに来ると言っていた。

いいなー、ディナー。2300円のディナー。ディナー食べたいなぁ…。

休憩を挟み、夜のオープンは5時から。


そのとき、私はとんでもないことを思い付いてしまう。

「このまま、夜まで居座るか(笑)」

もうお腹一杯でしばらく何も食べられないんだけど

夜来る友達のびっくりした顔も見てみたいし(笑)このまま帰れるはずがない!(笑)


他のみんなは帰ってしまったけれど

めちゃくちゃ突発的で短絡的で感情的な(?)私のプランに

ひとり巻き込んで、ふたりでディナーに再突撃することに決めた!(笑)

とりあえずお腹はいっぱいだから、周辺をぷらぷら散歩しながら腹ごなししようぜ。

ほんとアホだねー。酔狂だよねー。いやいや、あんたもねー(笑)。


食堂周辺は、恐ろしいほどなんにもなくて(失礼)

最寄りの駅からは徒歩30分くらい。

「よし、新守谷の駅まで歩いてタッチしてきて折り返せば1時間潰せる!(笑)」

私たちは歩き出した。


結局、食堂から歩いて10分程度のところにある

ユニー(ショッピングセンター)でぷらぷら暇つぶし。

100円ショップでちょうど探していた突っ張り棒(1.5メートルくらいあるんですけど…)を購入(笑)

それをつえ代わりに東京まで持って帰る私である。


ユニーにはパン屋さんが入っていた。

ここのパン屋さんはとても一般受けしそうなパン屋さんだった。

素直に美味しそう、って思えるようなパン屋さんだった。

率直に言うと、職人のパン屋さんのパンは、固くて頑固そうに見えるかも知れない。

(パン好きにはそうではないんだけどね)

もしかしたらこの土地ではまだ一般受けしにくいところがあるかもね、

でも、こうやって守谷にやってきて、守谷の「一般の人たち」の食生活に少しでも浸透したらいいのにね、

そんなことを話ながら、邪魔なつっぱり棒を抱えながら店に戻った。





夜の部! である(笑)。

職人は爆睡中であった。そりゃそうだよな。朝はいつもと同じく水海道でパンを焼き、

昼からは食堂の方に来ているんだから…。


昼とは違う、ソファ席にふたりだらしなーく座りながら、

まだまだ空かないお腹を落ち着かせるために、だらーん、またーりと過ごす。

雑誌とかみたり、くだらん話をしながら1時間ほど過ぎただろうか。

お客さんがちらほら入って来た。


予約なしの、思いっきり地元の人が数組。

パン屋さんが開いたカフェ、というのも知らないで、

「パンしかないの?」みたいな顔をしている男性客。

娘さんと一緒にデニッシュセットを美味しそうに食べるお母さん。

まだ大学生風の男の子3人組。普段、パンを食べ無さそうな面々である。

男同士で夜に、飲み屋ならまだしもフレンチディナーっぽいものを食べるのは

イカすとも思うが……ハタから見てもとても謎だった。

彼らはいったい?! どこでこの店を知ったのーー?!


彼ら地元の人たちがどう味わっているのか、満足しているのかどうか

すごーーく気になる(笑)。

パン好きはめちゃくちゃ満足度高いと思うが、

果たして地元の人にはどう写るのか?! 味は? 値段は?

あーー、、めちゃくちゃどきどきするよ。老婆心だろうか(笑)。

でも、帰りにパンを買って帰って行くお客さんを見て、めちゃくちゃ安堵。

ぜひまた来てね、友達も連れてきてね…と心の中で後ろ姿を見送る私たち…(笑)。


「私たちは昼にいくから」と言っていたのになぜか居る私たちに、

なにもしらずディナーにやってきた友達も「なぜ居るーー!(笑)」と腰を抜かしていた。


だって、だって。

居心地がほんっとによかったんだもん。





ようやくお腹もこなれてきた私たち(笑)、

第二部、開始しますか!!(笑)

10月はアラカルト無しの2300円ディナーセットのみ。

前菜は昼とは違うラインナップ!

カプレーゼにハム、ラタトゥイユのカナッペなど。

うぉう、これなら入る。これなら食べられる。

「パンは持って帰るから、あまり盛らなくて平気よー」

そう注文を一応つけてみる(が、結局あとから頼むことに(笑))





じゃん! これはとり肉の煮込み(画像ブレブレ)。

まるでカレーか、てなくらいにソースがたっぷりである。

これはパンで余すところなくぬぐいとって食べてね、という理由から。

これもほんっとに美味しくて、家庭的なホッとする味わい。





このソースを、リュスでもなく、バゲットでもなく、コンプレでぬぐったときが

卒倒しそうなほど美味しかった!! コンプレは素で食べる時と脂をプラスした時の

味わいのギャップが一番大きいからなのかも。とにかくコンプレ!!





グレープフルーツとハムの冷製カッペリーニ。

まるでポン酢のように酸味のあるドレッシング風のソースが爽やかで、

昼にあれだけ食べたこともすっかり忘れてしまうくらいちゅるちゅるんと食べ進む。

あぁ、あのニコラ会の時にくらべれば全然余裕余裕(笑)。

あれがあったから、今日も心構えを持って来られたのよね(笑)。




昼からすっかり根が生えてしまった私たち。

こんなに腰を重くさせたのはどこの誰?!

ディナーを食べ終え、ようやく東京へ帰ることにしたが、


ふと思う。

これ、会社帰りにも全然楽に来られるってば!!

会社(八重洲)からバスで一本で40分で来られるし。

むしろ家から八重洲まで行くよりも遥かに楽。


丸の内、銀座、渋谷、新宿、青山。

…よし、今度から飲み会やディナーをするときは、

選択肢のひとつに守谷を加えてみよう(笑)。

合い言葉は「今夜、守谷で、飲みましょう」だね。