43.関西パン祭り前夜の「パン・肴・湯」



うっほっほ。うっほっほ。もーえろよもえろー。

踊る炎のようなゴルゴンゾーラ食パンたち。



6月中旬。あのパン屋さんのイベントのために関西に前日入りした。

(翌日のパンイベントについてはESSAY44番

東京とは違って、関西は6月だというのに雨も降らず、すでに猛暑となっていた。

私は10時半に伊丹空港に到着。

迎えに来てくれたパン姐さんと、羽田発の別便で到着する友人を待つ。

11時半に到着…のはずなのだが…いやーな予感。



彼女の到着は関西空港だった(笑)。


あまりにオチのわかりすぎるコテコテな展開に笑いながら

姐さんと私でまずは一軒パン屋さんへ行って先にパン食べてることに。

西宮で合流しようぞ。待ってるよぉ。



パン姐さんには、いつもいつもお世話になりまくっているクセに、

「またクルマー? 歩きがいいよぉー歩くー」と、恐ろしく身の程知らず発言連発の私(笑)、

はい、そーですよぉ、いつも姐さんに甘えまくっているのです。ばぶぅ。






パン姐さんと目指すは、前々回関西に来た時に連れて行ってもらいながら

「今日はパンは買わぬ!」と頑なに拒み、あとで後悔した店(笑)。

だって姐さん、「わざわざ行く価値あるわー。めっちゃ好きやわー」とか

あれから何かにつけて報告してくるんだもん!(笑)




目の前を流れる川の緑がまぶしい。

この辺りはとっても環境がいいらしく(というか言わずとしれた山の手地区?)

とてもパン屋の多いエリアだという(でも歩いてないのでなんとも言えない(笑))。


前回来た時は、「パンはお取りしますのでさわらないでください」という

はり紙にビビったのだけど、今回は全然印象が違った。

若く、さばさばした感じの奥様はフレンドリーに、でもちゃんと距離を取る感じで。

やはり地元の人のために焼くパンたち、という印象を持つ。

常連になれたらいいなぁ〜と思わされる店だ。

だから、あえて「遠く(東京)から来ましたー」なんてことは言いたくない。


姐さんが前からずーーっと食べたがっていたのに、幾度となく振られ続けたのが

ゴルゴンゾール食パン。なんと、今まさに窯に入っている最中だと言う!

奥様が厨房のドアを開けた時、ものすごーーーーいゴルゴン臭がぶはっ!!! とこぼれて来た。


「ぐあーーーっ!! こんな匂い、いつもかいでらっしゃって

うらやましいですぅ〜(笑)。何分後にいつ焼き上がるんですか?!」

「もう15分くらいですね」

「じゃあ、クルマの中で待たせてもらいます!!!」




はり紙にババーンと書いてあった「ババ」。

「今すぐ召し上がるのであれば冷製の方がいいですよね」と奥様、

冷蔵庫から「冷製ババ」を持って来てくださった。

ラム酒でしっとりと「濡れた」レーズン入りブリオッシュである。

口に入れた瞬間にお酒が口に染みる。カー−っと熱くなるー!!

これを食べちゃ運転できないだろう、というくらいに18禁なパンである(笑)。





どちらかに決めあぐね、どちらも選んでしまったチーズ入りフランスパン2種!

上はゴルゴンゾーラのクルート。シンプルなバゲットを切り開いてゴルゴンゾーラを塗ったもの。


そして下は本日のおすすめ、ハーブ&ベーコン。

大山ベーコンとローズマリー、そしてエダムチーズがトッピングされた、

焼き立てはパチパチジュージューなっていそうな、

ベーコンエピ好きにはたまらないタイプのパン。





このハーブ&ベーコン…もうもう絶品すぎ!!

ベーコンの赤身肉が甘く、生地にじゅわーっと脂が染み込んでいる。

ただでさえ、美味しいクラムなのにね、脂が染みるとなおさら…!!

そして一口かじるごとに…いや、かじろうとするたびに飛び込んでくるローズマリーの芳香!

あー、たまんないな、この包帯くささ(笑)。大好き大好きーー!!!

私はタイムとかローズマリーを食べるたびにいつも「包帯・ガーゼの臭い」を連想する(笑)。


このベーコンパンに悶絶、クルマの中でぎゃあぎゃあ騒いでいたら、

お店のシェフが大きく腕で「」の字を描いている。

その直後、お店から奥様がわざわざクルマまでパンを運んで来てくださったのだ。

それが、この焼き立てのゴルゴンゾーラ食パン!


 

どぉんと一本の食パン。 脂が少し表面に出ているけれど、見た目にはゴルゴンゾーラはわからない。 しかしクルマ中が納豆臭くなるほどにその臭気はすさまじいほど!


ザクザクっと切り分けると、バゲットを切った時と同じようなパンカスが辺り一面に飛び散る。 ひるまずに切ると、おぉぉぉぉ、渦だ! ゴルゴンゾーラをまかれたあとは隙間を見せて、 空洞になっている。


まるで縄文土器のようだなーーと思った。このトサカのような、炎のようなトップはカリッカリ。 パキパキと薄焼きのおせんべいでも食べているような錯覚を覚える。 それとは対照的なクラムはふわっふわでありながらもちもちっとしている。 なんといってもこのゴルゴンゾーラだ、臭ウマ好きにはたまらない〜!


まん中のクラムを箱から取り出すティッシュのように、ナイフも使わずにしゅるしゅるとつまんで食べ続けた。







臭ウマの元凶、青かびのアップ。

私はこの青かびのこともそうだけど、普段辛口で関西パンを叩っ切る姐さんが

嗚咽をもらしながらこのパンを夢中で食べるのを見られたのが一番印象的だったのだ(笑)。

ほんっとに今日、このタイミングで来られてよかったね!!


ゴルゴンゾーラも素晴らしく美味しかったが、私は普通の食パンに感動。

生で食べて美味しい食パンが一番好きだよー! ここのは千葉の某店くらいに美味しいよー!

ありがとう、もうお腹いっぱいだよー。

もうこれでパン屋さん、終わりでもいいよーん(笑)。






もう一人、地元のお友達とこの店の前で合流。

そう、ここも前々回におじゃましたパン屋さん…じゃなくて、

パンも売っている八百屋さん。




なんだかすんごいシロモノを発見!

思わず観光客のように写真を取らせて頂いたのは、縦に短いエピ(笑)。




ベーコンの脂だけでは飽き足らず、マリボーチーズまで入れちゃったと言う

脂っぽい(けどなんだかうまい)エピ。そう、さっきのパンもベーコン&チーズ。

同じ具材でもこうも違うのが面白い。こちらは手に持つと指先がテカる(笑)。



地元のお友達が先回りして美味しいお土産を分けてくれた。

芦屋には、びっくりするほどケーキ屋さんがあるらしく(パン屋なんて比じゃないらしい)

まさに「激選区」だとか。東京にはそんな「激選区」って呼べる街なんてないよね?

この後関空から西宮までバスでやっとこさ着いた友達とも合流。

よかったよかった、頂いたパンを食べましょう!

 

芦屋にあるイタリアンドルチェのヴィエノワズリー。 彼女が私好みをよーく把握してくださっていたのが嬉しい!そう、イタリアンと言えば、 スフォリアテッラ。これがめっちゃくちゃ好きな私! パキパキパキパキっと、揚げ春巻き状態の皮を崩したその中にはぷつぷつ固まったオレンジクリームと レーズン!! めっちゃ美味。食感からすでに美味。




わりと最近オープンしたBIOBROTのパン。ここも行ってみたくて興味を持っていたお店のひとつ! わぁわぁ、くれるのー。遠慮なく食べちゃうよん。

これがどちらもすっごく美味しい!  「とにかくこの食パンの食感が独特だから食べてみて!」というトーストブロートは、 水分たっぷりの、圧しても跳ね返ってくるようなゴムゴムしたクラム(笑)。 まるで堅い寒天でも齧るかのような、妙な歯ごたえなのだ。これは忘れられないかもー!!


ゾンネンブルーメンケルンブロート(ひまわりの種入り)も、レベルが高い!! オープンして間もないというのに予約必須の人気店になりつつあるとか。納得だわ、これは。

神戸パン編はここでおしまい。

二人にはほんと感謝しなくてはならない。

"もう一人"にも感謝しなきゃならない…のだけど、それはまた機会を改め。




大阪に戻り、今夜の飲みの約束場所へ向かう。

いつもの関西の連れと飲むための待ち合わせ。


今夜同時間帯に行われているであろう「クリームパン食べ比べ」のイベントことも

明日のアッシュのイベントに備えるため、今夜は「パン」は食べたくなかった。

だから申し込まなかったのだが、でもやっぱりちらっと頭に浮かぶ。

みんな今頃関西の美味しいクリームパン食べてるんだろーな。

持ち寄りパンはどんなパンが集まったのかなー。

明日、みんなから美味しい話題を聞くのを楽しみにしよう。





今夜は私がばっちり店を選んだ。

(連れにお願いすると、いつもしょーもない店にされる…(笑))

梅田お初天神中洲通りにある ままや という居酒屋さん。

ここの牛タン(もしくは豚タン)を食べてみたかったのだ。


お酒も焼酎も豊富、季節の美味しいものならなんでもネタにするような店。

焼酎が多いせいか、どことなく九州沖縄の居酒屋っぽい雰囲気がある。

カウンターに通されたが、お店の人と「今日のおすすめは」をたずねながらオーダー。

大将も女将さんも、最初は取っ付きにくく感じたのだけど(なんせ我々が30分も遅刻)、

お酒を尋ねたら、試飲させてくれてから選べたりと、温かいおもてなし。

最後には「大阪来るたびに来ますからーー」と気持ちよく退店。

旅先の夜はこうでなきゃ!





先付けの内容は忘れてしまったのだけど(笑)、美味しい酒の肴。

そう言えばグミって初めて食べたかもしれない。

子どもの頃、よく外に生えている木から名も知らぬ実を摘んで食べたっけ。

決して美味しいわけではないのだけど、あんな悪戯心を思い出すような懐かしい味だった。





あぁ、画像失敗。全然美味しそうに見えない(笑)。そのスゴさが伝わらない!

牛タンの煮込みにスライスオニオン、醤油ベースのガーリックソースをかけたもの。

この牛タンがほんっとーーーに絶品。

箸でも簡単にきれるような柔らかさ。じっくり煮込んだこの牛タン、

かなりのボリュームが出されたのでお値段は不明。

(このお店、恐ろしいことに値段がどこにも書いてないの(笑)。最終的にはかなりの支払額に(笑))




タンの根元の方がより脂肪分が多くて、絶品! ほっぺたが落ちる…というか、舌がとれちゃうほど(笑)。

ソースとオニオンのせいで、この部位はとくに牛肉の味が強くてあまりタン、という感じがしない。

まるで和風ハンバーグでも食べているような錯覚を覚えるが、それも極状のハンバーグだな。





「今日はねーアワビが格安で手に入ったんだよ」

そういって、お造りを出してくれたのがこれ。すごいんだよ、この盛り合わせが。

こりっこりのアワビ!

甘みが強い鯛!

めっちゃくちゃ脂ののったエンガワ!

まるでホタテなんだけど、実はマンボウ!

(初めて食べたかもー。泳いでるあの姿を想像しちゃうよなぁ…。うーんフクザツ。

私の小学校の時のスイミングスクールがマンボウのマークだったのよね…うーんフクザツ)

もひとつピンク色のお魚は…失念!



またまた海の幸、今度は「岩牡蠣」。

私は岩牡蠣って食べたことがなかったのかもしれない。

生牡蠣は大好きだが、あれは一人一個、つるんと食べるものと思っていた。

しかーし、岩牡蠣って奴は、その何倍ものでかさ、それこそまるで岩!





大将が巨大な牡蠣を取り出して切り分け、ソースをかける。

「真珠が入ってるかも」ということでカウンターの客はみな大騒ぎ。

カウンターというのは面白いもので、他の客が頼んだものを

見ているわけで、ついついつられて「じゃあ次うちもそれー」「うちもー」と

連鎖反応でみんな同じものを食べる始末。





ほんとにこれは2〜3人分だわ!

こんなにでかい牡蠣、見たことがない…!

味はやっぱり牡蠣なんだけど、海藻と一緒に食べるせいもあって

鮮烈な磯の香りが倍増。

ケチャップをかけて食べる、まるでここはオイスターバー。美味!





真珠のなりかけ…みたいな、ところどころきらきら光る角質がきれいな岩ガキ。

この岩ガキをきっかけに隣人と言葉を交わすように。





連れのことは放っておいてしまって申し訳ないけど、ずいぶん盛り上がってしまった私たち。

この女性はこのお店がとーっても好きな常連さんらしい。

私はパン屋さんとは違って、レストランとかは「常連」「顔なじみ」って

呼べるような店が多くはない。いろんなところを尋ねてみるのが好きな浮気性だから。

でも、こういう風に「常連さん」になれる店ができたらいいな、

とくに、旅先にそういう店ができたなら、また別の意味で出張やパン遠征が楽しみになる。

そう思いながら「また来ますね!」とお店を後にした。






 朝!

いよいよ今日はイベントがある!

午後2時からだから、時間はまだまだあるのだけど…

いつもなら午前中パンを食べにホテルを飛び出すはずの私。

でも、今日はイベントで「アッシュのパンを食べること」だけに専念したい…。


岸辺に行って帰って来ても全然時間的には間に合うけど…。

パンは買ってもその場ではもう食べられないよ? どうする? どうする?

ものすごーーーく行きたいけど、食べたいけど、食べられない。

(なぜなら、食べ過ぎちゃうことが見え見えなのだ(笑))

同行者の友達と延々迷ったあげく、悩んだ挙げ句、

選んだのはこれだった。





大阪はミナミ、天王寺、通天閣(笑)。

串揚げでも食べる気か?! …いやー、まさか(笑)。




パンを食べるために、時間を潰すために絶好の場所。

それがここだった。





超コテコテな温泉施設、スパワールド(笑)。

スパとかいいながら、決してセレブ気分になれない、

笑いなくしては入れないようなコテコテな造りのスパだったが(笑)、

それがツボにはまり、ヒジョーに気に入ってしまった私たち。

たっぷり2時間、浜辺に打ち上げられたトドのようにごろごろしていた私たち。


ほどよーーい疲労感、万全の空腹感!!

22種類出る予定のh(アッシュ)のパン、これで受け入れ体勢は万全!!

いざ本町に出陣じゃー。であえー。



* hイベント本編に続く *