26.NY発、日系ベーグルに出会った日@代々木上原




このサイトは別にベーグルサイトではないのだが(笑)

NYCに行って以来、ますますベーグルというものが面白くなって来た今日この頃。

よく、ベーグラー出身のパン好きというのはあるけれど

その逆というのはわりと少数民族かも知れない…なんて思うのだ。


(一般の方にパン語解説すると(笑)、

ベーグル好きから転じてパン好きになる人、

もともとパンが好きなパン好きの人、と

単なるパン好きでも流派があるのだ(笑))


今年5月に行ったNYCで一番最初に「NYCベーグル洗礼」を受けたのは

Ess-a Bagelsのベーグルだった。

NYC2004レポでは、2日目 8日目 に詳細記述)

しなやかにトルネードされた形状と裏腹にハードな表皮、

穴が見えないほどにぷっくりと厚みのあるボリューム感、

そして、舌にねっとり付くような柔らかいクラムの甘み…。

思い出しただけでも「だ液」分泌が止まらない、あのベーグル。


あのEss-a Bagelsで修行した女の子が代々木上原でベーグル屋をやっていると聞いて

10月初旬、Parisから帰国の熱も冷めぬままに早速行ってみた。

相方はちょうどNYCから帰国したばかり。

5月も一緒に行ったのだが…また9月に行ってやんの(笑))

お土産交換会を兼ねて代々木上原で集合!

ちょうどParisから持ち帰ったパンたちも底を着いたし、

今度はNYC仕込みのベーグルを…と、なんてワールドワイドなうちの冷凍庫(笑)。




待ち合わせの前に、代々木上原で寄りたいところへもう一軒。

幡ヶ谷と代々木上原の中間くらいにある小さなパン屋さん。

セレアルバゲット(日本であまり作っているところはないが、

フランスでは結構定番アイテム)なんかもしっかり作っている、

フランスの香りを漂わせるラインナップでありながら、

ちゃんとクリームパンも作ってくれる、町のパン屋さん。





さりげなく住宅街に溶け込んでいて注意してないと通り過ぎてしまいそう。

こんなかわいいパン屋さんがさりげなーくある代々木上原、

私の中では住みたい街の三本指だ…。ほんと、ご近所にあったら嬉しいだろうな。





バゲットをかじりながら代々木上原に向かう。

オーソドックスなこのバゲットは、歩き食いよりも

バターをたっぷり塗って食べたい。サンドイッチで楽しみたい。

美味しい破片を飛び散らせながら。


 


これからベーグルもたっぷり買うし、ヴィエノワズリー系を中心にセレクト♪

フランスちっくに袋の隅をひねりんこしてくれるのが心憎いのよ。

ショーソンナポリタンはレーズンにプラスしてオレンジピールの効いた

クリームがネチネチとシュー皮と一体化して美味〜♪





おフランス帰り(笑)の私にはこういうクリームパンが何より食べたかったのよね。

自家製のぽてぽてクリームは遠慮なくしっかり甘め。

パン生地は適度に厚みがあるのにしっとりしているから

舌の上でちゅるんと溶けて行く!

こりゃーGALLERY掲載当確です(笑)。


ベーグル屋さんに行く前に、すっかり

「上原引っ越したーーい住みたーーい(でも高ーーい)」

渋谷区住民を恨めしがっている私だった。




井の頭通りを越えて商店街の入り口の近くにあるそのベーグル屋さん

本当に小さくて、知らなければこれまた通り過ぎてしまいそう。

まだ若いかわいらしい女の子が一人で焼き、接客している。

すごーーくきさくでニコニコしていて一目ですっかりファンになってしまった!

すっかり打ち解けて、がしがし画像撮らせてもらっちゃったので

ここで惜しみなく御披露(笑)。

もちろん取材許可付きです。ありがとーー♪




ベーグルはなるほど、あのEss-aそのままの風貌。

そう、心持ち小さいかも知れない。

今日、NYC帰りの相方がEss-aのベーグルをお土産に持って来てくれたのだが、

記憶以上のあまりのデカさに「こ、こんなにでかかったっけ?!」と

悲鳴をあげてしまった。

画像で比べるとあまり大きさに違いがなさそうにみえるけど、

NYCベーグルのデカさ、これ、やっぱ異常だって、おかしいって!(笑)

日本じゃ絶対売れません、こんなデカいやつ…!(笑)




シナモンレーズン比較!

左が上原版、右がEss-a版。

左は150g、右は200g。

普段パンの重さなんて計ったことがないけど、やらずにはいられなかった(笑)



焼き立てが満載!!

品数はNYC同様に控えめ。

しかも素材やアレルギー、コレステロールなんかの問題も考えていて

「誰もが安全に食べられるように」ということで

チーズや胡桃、エッグは使えない(使わない)らしい。


 


オニオン、エブリシング、シナモンレーズン。

NYCベーグルの定番が並ぶ。


取りあえず焼き立てベーグルたちを選び、彼女の前でかぶりつく(笑)。

このトルネード、カリカリっとハードで厚めのクラスト、

ずんぐりむっくりな、どっしり「実」の詰まったベーグル…。

うーん、5月の感動が蘇るわ…。





9グレインならぬ、7グレイン。

上原版にはイチジクもいれちゃったりする遊びも。



しかし驚いたのは、Ess-aの味とは全く違う、ということ。

姿は同じ、製法も同じなのだけど

風味が全然違うのだ。


それは、北海道産の小麦を使い、

天然酵母を使い、水ももちろんあちらとは違う。

北海道産小麦と天然酵母の組み合わせだから

どうしてもベーグル自体にヒキはないので、

こちらは歯切れのよいタイプのベーグル、といえる。

塩も控えめにしているのだろう。

至極当然のことなのだけど、姿はEss-aそのまま、

風味は完全にオリジナルのものになっている。

そう、これは…全く別のベーグルなのだ。


誤解しないでほしい。

この、明確な違いは私には衝撃的であり、別の感動があった。


私はてっきりNYCそのままの味を再現しているのかと思ったけれど、

あえて「日本で作る、日本のベーグル」ということにこだわっているということ。

NYCの味をそのまんま持ち帰ってくることよりも

素材を大事にし、体によいものを選び

その結果、日本の味わいでありながらNYCの空気感を合わせ持つ、

この店ならではのベーグルに生まれ変わらせていること。

そして、これはこれで美味しいベーグルなのだから…!

私はその姿勢にとても感動した。




このお店に来たら、絶対に食べてもらいたいフィキシングたち!

「フィキシング食べずしてこのお店の魅力は半分も語れない」と断言しよう(笑)。

それくらい、絶品ばかりのフィキシングたちだったのだ。




まずはサンドを作ってもらっている間に試食させてもらっちゃった

絶品ブルーベリークリチ…。

卒倒するほどにまろやか…。


 


私はまずこれを。

お姉さんが最近はまっているという組み合わせが

チェリーベーグルに、ポテトサラダをサンドするバージョン。

3種類のポテトを混ぜ合わせ、マヨネーズはかなり控えめ。

まるでカボチャサラダと勘違いしてしまうほどに黄色く輝いたポテトは

ほんっとうに甘い…! こんなに甘いポテト、最近なかなかないんじゃないかな。

また、歯ごたえの残った茹で方が上手なのだ。

時たまだけど紛れ込んでくるチェリーの甘酸っぱさに「はっ」と

意識が向けられる。味の強弱がここにうまく付けられている。


 


「デザートベーグル」系では…。

桃とプラムのジャムを、チェリーベーグルに挟んでもらう。

お店にたまたまいた、お友達さん

(今後、接客担当を引き受けることになるらしい、これまたかわいこちゃん)

がお薦めしてくれたのがこのジャムなのだ。


齧りついたら飛び出してこないようにとの配慮で、

わざわざ中にポケットをくり抜いて、そこにジャムを挟み込んでくれる。


作り手の名前は忘れたけれど、どこそこのジャムらしくて、

プラムの酸味がまるでリッチな洋酒でも入っているかのような錯覚を覚える。

くらくらするほどに香りが強くてものすごく美味しい!!



聞けば「どこそこのじゃがいもを使ってます」とか

「どこそこのジャムを使ってます」とか

仕入れ先が明確なのが素晴らしい。


なにより感動したのは相方が選んだ

「奥久慈のタマゴサラダ」のサンドと

「サンドライトマトのクリチ」。


奥久慈のタマゴっていったら、うちの近所の激安スーパーですら

一個40円もするような高級タマゴ。

私はなかなか手を出せない高嶺の花タマゴなのだ(笑)。

これを半熟気味に茹でて潰したタマゴサラダの美味しいこと美味しいこと…!!

こんなに甘くてぷりぷりっとしたタマゴサラダ、

自分の家にも明日からにでも取り入れなくちゃならないわ(笑)。


かりかりっとしたクラストと、生地の旨味が

これらの絶品フィキシングたちの美味しさを引き出してくれている。

最近の日本ベーグルにはない、カリカリな香ばしいクラスト、ちょっとはまりそう!




すっかりお店の中で大騒ぎさせてもらってしまった。

サンドイッチのあまりの旨さに、窓に手をべったりつけて

「なんじゃこらーー」とヒクヒクしちゃって

散々窓ガラスを汚したような気がするわ(笑)。


とにかくこのお店の、このお店のお姉ちゃんの大ファンに!

常連さんのおじさま(どこかの先生?)が、

たっぷりのフィキシングを包み込んだ特大ベーグルサンドを

本当に嬉しそうにニコニコとお持ち帰りする姿を見て、

心底「このお店、いいなー。応援したいな!!」って思った。


きっと私だけではないはず。

誰もが思うだろう。

「こんなお店が近くにあったなら」。

先のパン屋さんもそうだけど、

「代々木上原に住めたなら」。


そして、ますます今後改良を重ねて進化して行くこと間違い無しの

(やっぱり「ヒキ」「もちもち」は研究課題なんだって!)

このお店とベーグルの行く末を身近でタイムリーで

感じ取れたらどんなにすてきだろう!


憧れの街である代々木上原は、この小さなベーグル屋の出現で

ますます「住んでみたい街ランキング」の上位に…。

こちらのベーグルを堪能した後、

満腹の腹をこなすために相方と新宿まで歩いた。約1時間。

そう、新宿徒歩圏というのも素晴らしい!(って…徒歩圏か?(笑))


…誰か、私を高給取りOLに進化させてくれませんか?(笑)