8-1.秋の北海道横断帰省 〜札幌編〜
8-1.秋の北海道横断帰省 〜札幌編〜
2004年11月。
東京に上京してから○年、秋に上京することはほとんどなかった。
私は秋の北海道がとても好きだ。
秋の紅葉を家の窓から眺めるのが一番好きだった。
…でも…
秋に帰省する理由は、たいてい楽しいことではなくて
景色とともに心もセピア色なことの方が多くて。
それでも美味しいことだけを書き連ねれば楽しい帰省日記ができるのは
食べ物の力なんだろうか。…その力を借りてみたくなる。
初日は小樽の海のパン屋さんへ。
(その時のレポはHALF SIZEにて)
その夜は買ったパンたちを梱包して東京の自宅へ送る。
隙間埋めには、冷凍庫に入っている食料をあれこれ詰めながら…。
*
夜は父と二人で近所の「SHIRO」という焼き鳥屋さんへ。
ここはなかなか変わった焼き鳥屋さんであわせるお酒はワイン。
季節に寄ってはジビエなんかも焼いちゃう、オシャレな店。
道外からもお客さんがくる評判のお店なのだ。
(かくいう私も、道外のお客さんからの情報で知った)
カウンターに座り、わがまま放題に娘はオーダー。
父はこういう時はなすがままなのである。
まずはたちの漬け込みと、クリームチーズと塩辛を和えたような前菜を。
そして似合わずシャンパンで乾杯!
どれもとても美味しかったのだけどこれを書いているのは
2005年2月なので記憶はぼんやりにつき画像の羅列で失礼(笑)。
焼き鳥は連続して続く。…ただの焼き鳥ではない。
鶏とも限らない。
エゾ鹿も2つ食べたっけ。↓スパイシー焼きになっているので
鹿自体の味わいはよくわからないのだけど(笑)。
カウンターに座っていたのだが、私たち親娘の両隣りにはそれぞれお客さんがいた。
私の隣に座っていた夫婦とその娘は、
焼き方のお兄さんが以前勤めていたお店の常連さんだという。
それでこの新しい お店の方にも陣中見舞い…とのことで来ていたらしい。
私はこの一家と話し、娘の「みづきちゃん」から「お姉さんの似顔絵!」と
ハイチュウとともにプレゼントしてくれた!
これ、私だそうです。似ているでしょうか(笑)目がきれいです。
しかも「みづきちゃん」にキスまでプレゼントされちゃったんだから。
父の方は父の方で、隣の熟年カップルとなぜか話が盛り上がっていた(笑)。
うーん、父娘それぞれでおしゃべり好きなんだから。
もうお腹もいっぱいだけど一応コースなので雑炊もついちゃう。
雑炊はそこそこに、デザートのカタラーナ(絶品!)。
そんな父と娘の晩餐は終わった。
徒歩圏でこうして飲んで帰れるのはいいことだ。
東京だとその後電車で帰らなきゃならず酔いが嫌でも冷めちゃうから…。
*
翌日。
現在母は実家の帯広と札幌をいったりきたりする生活をしている。
私はその手伝い…をしに来た。
今日はこれから帯広へ向かう。
東京からまっすぐ帯広に行けばよかったのだけど、
やっぱり小樽のパン屋さんには行きたいじゃないか(笑)。
娘は気楽なもので、そんなもんだ。不謹慎かな。
父もそんな娘の奇行はすっかり慣れたので(笑)、
帯広に行く特急に乗る前にパン屋さんまで送ってくれた。
札幌駅すぐ近くにある「ブーランジェリーぱん吉」。
かわいらしい雰囲気のパン屋さんなのだが、
この店の最大の魅力はなんといっても「札幌駅から徒歩圏」ということ。
それまで札幌駅周辺といったら、デパ地下くらいしかパン屋さんはなく
パン屋不毛地帯であったのだから。
私は駅前の予備校に1年間通っていたが、週に3日は駅の中のVDフランスに通い(笑)、
中学時代に一番好きなパン屋さんは「Lマーメイド」と答えていたくらいだ(笑)。
イチジクのパンと、遠くに見えるは懐かしい予備校(母校?)。
孤独だったのよぉぉ、あの時代はさー!
せめてこんなパン屋さんがあったらもう少し明るい浪人時代だったかも?!(笑)
買ったパンたちは帯広行きの特急の中で私のお昼ご飯に。
どのパンも焼き立てのほやほやで嬉しかりけり。
取り立てて美味しかったのがサーモンとほうれん草のキッシュ!
このサーモンは北海道らしくバター焼きになっているところ。
バターが溶け込んだサーモンの味わいは、無条件にふるさとの味がする。
道産子は鮭のちゃんちゃん焼き(野菜と鮭を味噌バターで蒸し焼きした料理)が<大好き!
ミルティーユには、ブルーベリーがごろごろたっぷり。
かなりヒキの強い生地なんだけど、それを引きちぎるようにかじりついた。
これは季節柄、パネトーネ。帯広へのお土産だ。
これを後で食べることになるのだが、もうもう最高に美味しい!!
これまで食べたパネトーネの中で一番フルーツの香りが高く、
バターの香りが立っていて絶品だった。うちのじいちゃん、大絶賛(笑)。
十勝の秋の景色を車窓に、パンを食べ終えた寂しさからか、
ふとセピアな気持ちが心に蘇って来た。
秋の景色は美しいほどに切なくなってくるんだ。