6-2.博多グルメ私的満喫と業務執行の両立に関する報告書 〜福岡出張・後編〜


たっぷり遊んだ1日目。

さぁ、今日はみっちりお仕事だ…。

といいつつ、じっとしている訳がない私。

朝からホテルの朝食前に飛び出して

野菜たっぷりのパンを焼く「ベジタリ」に行き

(詳細はESSAY福岡パン篇の方で報告)

仕事へ向かう。5時までみっちりみっちり。


忙しかったのでランチの時間は40分くらいしかとれなかった。

近場でさくっと済ませなければならなくなった。

近場ならミュロのランチもあるのだが、去年の福岡来訪時に利用済み。

せっかくの福岡出張、一食だって無駄にはできない!

そこで、事前チェックしていたケーキ屋さんのサロンドテが

三越6に入っているとのことで、駆け足で向かう。

台風直前の福岡。今日は現地の人たちにとっても堪える暑さらしい。


 


サロン・ド・テ・ジャックの人気ケーキは、

フランスのパティスリー「ジャック」の屋号を掲げた

「ジャック」や「モンブラン」が評判とのこと。

しかしキッシュランチやクラブハウスサンドランチに

セットでつくデザートはこれらを選べない。

迷ったけれど、ほうれん草とサーモンとアボカドのキッシュに決めた。

キッシュは、ボリューム一杯でタマゴ度が高くオムレツのよう。

ごろごろ出てくるアボカドにはちょっと感動。

ケーキ屋のキッシュにしては生地も中身も「リッチ感」は控えめだが、

甘くないので食事向けのキッシュとして満足できる。

ブリオッシュもやはり「リッチ」ではないのだが、

野菜やデリをサンドにして食べることを考えているのかも。




デザートもいただき、さて仕事に戻らなきゃ!


***


今回福岡で何がなんでも食べたかったのは「モツ鍋」。

前回福岡来訪時は「水炊き」で舌鼓、

屋台でニンニクの効いたモツ鍋を食べて感動したのも前回の事だ。

今度は専門店で是非食べてみたかったのだが、

一人では鍋は難しそう。なにせ「二人前からお願いします」と来るだろう。

いざとなったら一人で二人前食ってやる! と思い(無謀だ)

とりあえず二人分席を予約した私だった。


ラッキーなことに、仕事を一緒にした支社の部長が話に乗ってくれた。

(部長は海の幸系を食べる予定だったらしいが)

予約は18時半、仕事が終わったのは17時。

さて、時間が余ったぞ…ということで、お茶するのもなんだし

部長をデパ地下めぐりに付き合わせることになってしまった(笑)。




「岩田屋」は、東京で言うと「伊勢丹」のようなデパート。

なんと! ここの地下にはあの「ジャン・ポール・エヴァン」が入っているのだ。

福岡にもあるのか…(もちろんこれは事前に調べていたのだけど(笑))。

部長も甘いもの好きらしく、2種類2個ずつ購入してくださった♪


そして近くのベンチで二人して試食タイム(笑)。

考えてみたらすごい光景だ。一個250円とかする高級チョコを

デパートのベンチでパクっと食べる中年男性とOL…。

この時食べたチョコは、東京伊勢丹で買った時よりも遥かに美味しかった。

…たぶん、自腹じゃないから値段のことを考えずに食べられたのだ(笑)。




さてさて、西鉄天神から4駅目の大橋から徒歩5分程度。

「やま中」は、蔵づくり風のモダンな内装の店。




入り口に入るなり「お香」の香りがするのがどこかエキゾチック。

エスニック店ならまだしも和食店で「お香」というのは聞いたことがない。

モツの臭みを消す意味があるようなのだが。

店内の至る所に飾られた「地球儀」も何か意味があるのだろう。

ここは予約の取りにくい人気店のようなので、

なおさら2人分予約しておいて大正解。




味噌仕立てのモツ鍋は、私が知る醤油仕立てのものとは違い、

白濁したスープに、予め具がしっかり煮込まれてから登場するので、

出てきてからすぐに食べることができる。




モツとニラとキャベツぐらいしか入っていないものと思っていたら大間違い!

さらにこんにゃく、ごぼう&もやし、キノコ類、ヘルシーなものばかりが

わんさかごっちゃ煮されているのだ。さぁ、実食!


…うまい!!…

…激ウマ!!!…

私も部長も一瞬言葉を探した。

芸がないが、「うまい!」としか発すれない。

このスープが非常に濃い口で旨いのである。

ニンニクが強烈に効いており、

博多とんこつラーメンをどこか連想させる臭み。

ニンニクに押されながらも強く胡麻の風味が漂う。


とにかく旨い…! スープが旨くて、野菜も旨い。

特にもやしと絡まったごぼうが食感的に「しゃきっ」とアクセントになっている。

肝心のモツは、スープ全体に臭みはついているせいか、

口に運ぶ間では「ぷぅん」と臭うのだが、口に入れると意外に淡白。

モツ鍋のモツってもっと臭いものだったから、これには拍子抜け。

スープに圧倒されて、モツ自体は大人しかったのが意外だった。


2人前だが、野菜ばかりとは言えすごいボリュームだった。

ビールで膨れた腹には、かなりヘビーだが、

食べ切らねば雑炊にありつけない!

がんばれ私! がんばれ部長!




ようやく具を食べ切ったころには、すっかりスープが煮詰まっていた。

スープを足してもらっても、相当濃い口になっており、

雑炊はびっくりするほど塩っぱくできあがった。

身体中の細胞でナトリウムとカリウムが大流出しているようだ。

でもでもでも、本当に美味しいのだ…。

これだけ塩辛くても、やめられない。

今夜は寝床に水は欠かせないな。


はぁーー。満腹!

胃が破れるんじゃないかというほどに食べた!

普段夜はあまり食べられない方なので、胃袋が悲鳴をあげている。

でも止められなかったなぁ…。あの胡麻味噌にんにくテイストのスープは…。


帰り道に気がついたが、ものすごいニンニク(モツ?)の匂いが服に染み付いて、

ホテルの部屋中充満するようだった。

夢に出るのは間違いない(笑)。


案の定(?)部長にはゴチになってしまった。

おごってもらっておいて言うのもなんだが、

この店、めちゃくちゃ安い。飲んで食べてで一人3000円超えてない。

福岡に来たらまたこのモツ鍋、食べたいわ…。


最初は私の食事中のデジカメ撮影シーンに驚いていた部長も

仕舞には「これ撮らなくていいの?」

「こっちの角度から撮った方がいいでしょ、ほらほら」

と、むしろ私より積極的にシャッターチャンスを探してくださった(笑)。


ホント、今夜はごちそうになりました。

明日も仕事がんばりましょう。



***



部長と別れたあと、ホテルにはまっすぐ帰らずに

「珈琲美美」でアイスコーヒー(今度は氷入)をいただく。

昨日と同じカウンター席に腰掛けた。

豆の香りが消えそうなほどにモツ鍋臭い私がうざったい(笑)。




「夕べ、教えてもらったあのお寿司屋さんまで行ったんですよ」

「結局食べなかったんでしょう。屋台巡りしたんでしょう?」

…?! なんでそのことを…?」


なんと、私のHPの掲示板を早速見てくださったのだ。感激。

(「今夜は屋台堪能しました〜」なることを書いた)


1時間くらい過ごしただろうか。まったりとした時間が流れる。

他のお客のオーダーを入れる仕事をじっくり眺めてみたり、

手が落ち着いた時にはいろいろな話をして過ごした。


最初、この店に入った時に、東京表参道にあるD珈琲店を思い出した。

珈琲を入れるひとつひとつの仕事が実に丁寧で、

たばこのヤニが染み込んで煤けたような蔵書と壁に囲まれた癒しの空間。

なんとそこのマスターを御存じだという。

今度青山に行ったら是非また立ち寄ってみよう。

美美さんでのことを話してみたい。


次回福岡へ来たらまっ先に訪れることを約束し、店を後にした。



***


 


翌朝。最終日の今日は仕事は10時から。

宿泊していた大名のホテルの朝食は昼夜はイタリアンバールであり、

雰囲気は抜群。ホテルも良かったし、ここはまた利用しよう。

取りあえず野菜だけを補給して…「サイラー」へ行って…。

(パン詳細はESSAYにて!)





13時頃には仕事終了。20時のフライトまでパン調達にかけることに!

…といいつつ、私はもう一つ使命があったのだ。

そう、福岡と言えばラーメン。

ラーメン食べなきゃ帰れないでしょうという強迫観念があった。


正直言うと、前回来訪時に食べた某有名博多ラーメン店「一」は

どうにも感銘を受けなかった。けれど、受験予備校的な囲いのある客席や

オーダーの仕方などは面白いと思った。けれど…一度でイイと思った。

だから、同じく有名店「一●●」は未訪問だ。

「どうせとんこつだからくどいんでしょ、臭いんでしょ」と。


しかし、知人の ラーメン師匠

福岡ラーメンのおすすめどころを聞いていた。

そこで伝授して頂いたのが薬院にある「麺劇場 玄瑛」。




トタンの銀光りしたバラック小屋風の建物。

もちろん、こんなのがラーメン屋だとは思わないからぐるぐる探してしまった(笑)。




入り口に「開演」とかかげられている。「営業中」ということなのだろう。


中を入ると、まるでテレビスタジオの舞台裏のような通路を通り、

ステージを見立てた厨房と、観客席を見立てた客席が、

劇場さながらのスタイルになっている。こんな店、初めて!

 


オーダーをしてからラーメンが作り上げられるのを「客席」から眺める。

客席から見ていたものの、いろんなシーンを見落としてしまい、

スープ鍋をぐるぐるかき回しているシーンしか覚えていない(笑)。




これが玄瑛流ラーメン。

ひとくちスープをすすって驚いた。

とんこつというよりも、醤油が効いたスープ!

そして、後味が良い意味で残らない。

舌にびりびりくるあの感じが全然ない。

麺は博多らしく細麺でありながら幾分コシもあり甘め。

とにかくこのスープがいい。

スープを口に運ぶまでは、とんこつ独特の臭みがほんの少しするのだが、

飲んでみると、とんこつ臭さとは縁のないすっきりした味わい。

むしろ、とんこつ脂ではなく、普通の醤油ラーメンに浮かぶ油の味がする。

だから私の好きな味なんだ。

醤油に「脂」ではなく、「油」が浮いているラーメンが私は好きなので。

もしかしたら、「ラーメンマニア」には物足りなさを感じるかも知れないが

(化学調味料が使われていない)パン好きにはきっと受けるはずだ。


ステージ仕立ての客席は、作っている時はこちらが眺める側だが、

食べている時はどうもこちらが見られている緊張感がある(笑)。

客は私だけだったので、店主が声をかけてきた。

ずいぶんお若い店主で(もしかしたら私と同じ年くらいかも)

熱く熱く熱いこのラーメンへのこだわりを聞かせて頂いた。

化学調味料を使わない「旨い」ラーメンを作るために、

醤油、塩、麺、すべての要素に自信を持っている。

(詳細は忘れてしまったのでここには書けずじまい。申し訳ない)


よく「こだわり」という言葉は耳にするけれど、

確かにこだわらない店なんてないだろう。

パンにしてもラーメンにしても。

しかしこうして実際に熱く作り手の話を聞くと、

(本当に熱く語ってくださった)

それがどんなに中身のともなった言葉であることかを実感できる。

「美味しさのからくり」を教えてもらったような気がして嬉しかった。

普段、ラーメン屋さんに話を聞くなんて皆無なので(笑)新鮮な体験だった。


パン職人も、ラーメン屋さんも、

味つくりにかける「熱さ」って同じものが流れているんだなと

当たり前ながらに学ばせてもらった。

もちろん「パン好き」にも「ラーメン好き」にも同じ血潮が流れている。



出口には「終劇」の看板が。


美味しいラーメンにありつけたことを師匠に感謝する。

…しかしラーメン一杯をしっかり食べてしまったので

次に行ったパン屋「セ・トレボン」では思いっきり食べることはできなかった。

ラーメン師匠は地方遠征するとものすごい軒数をハシゴすると言うが

ありえーん(笑)。私にはパン屋のはしごがせいいっぱい(笑)。



***



「セ・トレボン」の後、あまりの暑さと疲労(ずっと歩きっぱなし)

足の浮腫がピークに来たので、フライトまでの2時間を

インターネットまんがカフェのフットバスで過ごした…。

今時のインタネカフェは、まるでスパみたいだな!

泡ぶくぶく噴出するジェットバスに足だけを漬け込んで

1時間くらいヒーリング。

散々歩いて汗だく、その上着替えが1日分足りなかったので(!)

なんだか浮浪者臭い自分(笑)。お恥ずかしながら…。




そうして3日間の福岡出張はあっという間に過ぎて行った。

今回も、様々な人に出会い、話を聞き、美味しさを披露していただけた。

さんざん遊び呆けていたんだ、明日からまたきっちり仕事に戻ろう。


…ん! 忘れてはならない、今回は出張だったのだ!

旅費はもちろん日給も日当もつくわけだ。

あぁ、出張はこれだから止められない。

辞めさせられることのないよう、仕事に精進しなくては。

(このHPが社の者に知られないようにしなくては(笑))



ESSAY福岡パン篇はこちら