-2.バレンタイン札幌帰省 〜小樽の温泉旅館(大フンパツ)編〜




「窓」のないホテルでの一夜は明けた。

「窓」がないので、朝でも晴れでも吹雪でも夕べのままである。



この部屋も、私の「とんでもない部屋ランキング」の上位にくるが、

永遠に私の中でトップ(ワースト)に輝く部屋がある。

あれはすごかった。


釧路の2500円の宿は、その日の朝まで客が寝ていたそのまんまの状態で

「この部屋空いてるね、どうぞ」と通された。

まるで万年床のような臭いのふとん。

たばこの吸い殻もそのまま残っている。

まくらカバーもシーツも替えられておらず、

ポマード臭いまくらのせいで、せっかくシャンプーした頭はオヤジ臭。

夜中に隣の部屋の客が、部屋を間違えトビラを開けた。

貞操に危害無し)

ありえないハプニングの連続に、

「これじゃ2500円でも高い!」と思ったものだ。



この日、両親と小樽・朝里川温泉の高級旅館に行くことになっていた。

よく「憧れの旅館」としてメディアに取り上げられるらしく、

母が「行ってみたい!」と要望していたからだ。

父にはちょっと(かなり)『フンパツ』してもらうことになったが、

1泊へなちょこ宿に泊まったら、1泊はゴージャスにいきたい。

この旅館への期待は高まるばかり…。



***



自宅に戻り、朝食を済ませ、10時過ぎに出発。

15時のチェックインまで小樽で少しふらつくことになった。

「あのパン屋さん」は14時に予約をしている。

あぁ、早く会いたい…!!




小樽は札幌の隣町であるが、私は通りがかるだけで降りて歩くことはあまりなかった。

札幌市民が雪まつりに行かないのと同じようなものだ。

(テレビの雪まつり中継ではみるけど(笑))


有名な北一ガラスも初めて入った気がする。

何号館もあり、カフェ(建物が古くてムーディーなのに食券制!)のある館や、

近代的すぎて情緒もなんもなくてただのお土産屋的な館もあり。

「ここでお土産を選べ」と言われたら私は心底悩むだろう。

もらったら困るものは贈りたくはないからなぁ。


昼ご飯はパンのためにあえて店には入らなかった。

そのかわり…母と試食&試飲に勤しむ(笑)。

空きっ腹なのに小樽ワインを片っ端から試飲し、ホッホッと熱くなる。

甘くもすっきりした、味わい深いこのワインを入手♪




港町でよくある風景だ。カニ、ホタテ、その場でがっつける。


 


さすがに昼がパンだけじゃ寂しいのでホタテを頂くことにしよう。

一皿ホタテは300円、カニは1000円。

ホタテはちょっと酒を効かせ過ぎたか、いまいち(笑)。

ホタテはやっぱり生に限る…。『フンパツ』してカニにしておけばよかった★


 


こうしてほんのちょっぴりだが小樽観光も終了。

そして…「あのパン屋」に行く時間になった。

ここからは、ESSAYの方でお伝えしたい。

…読み終わったら帰ってきて(笑)。


クリック


小樽忍路のパン屋さん



***



〜つづき〜


感動のパン達を車の中で梱包し、港の宅急便営業所へ駆け込む。

「パンです」と言ったら、冷蔵クールにされかねないので(過去に経験あり)


mi_wa 「これはアイスです! 今すぐ冷凍庫に入れてもらえますか?」


そう掛け合った。すると、


受付「アイスですか?! 発泡スチロールの箱に

ドライアイスをつめなくては溶けますよ」


mi_wa「…! そ、そうですか(汗)

そーですよねぇ、あはは

でもこれはゼリーっぽい奴だから(苦しいイイワケ)

ちょっとくらい溶けてもダイジョーブです

あ、でもでも、溶けちゃイヤなんですけどぉ…(矛盾)」


今度から気をつけまーす、と言っておいたが、

見え見えすぎてどう考えても怪しい箱である(笑)。



***



朝里川温泉は、小樽市街地よりやや札幌寄りの川沿いにある小さな温泉街。

この旅館は、朝里川スキー場のすぐ側にある、蔵づくりの建物である。

本当だったら…「すっごーーーく良かった!! みんなも絶対行くべし!!」

と報告するはずだったのだけど…名前はふせておくことにした…。

写真は大量に撮ってきたのでまぁご覧あれ(笑)。



エントランスからモダンさが伝わると思うが、

いわゆるデザイナーズホテルである。

館内の全てが徹底したデザインで、手を抜いたところが欠片もない。

インテリアセンスに関しては全く非の打ち所のないものだった。


   
 

建物に入ると、チェックインは抹茶と茶菓子を頂きながらラウンジで行う。

ギャラリー、ライブラリー(オーナーの所蔵本やレコード盤が並べられ、閲覧自由だが

どうも深みのないラインナップだった(笑))

オーディオルームでは貸し切りでレコード鑑賞ができる。


   

至るところに間接照明が効果的に取り入れられている。

冬なので中庭は雪が積もっているが、キャンドルで演出。

全館19組の客室があり、それぞれ趣が異なるらしい。

それぞれに小樽にゆかりのある偉人の名がつけられている。

(ちなみにうちの部屋は「善作」)


    



 
 


メゾネットタイプの部屋で、1階が居間、2階に寝室が二間ある。

あまりにもセンスよくまとめられた部屋、しかもメゾネットときたもので、

正直なところ、情緒というものはない。

温泉旅館に来ているというよりは、モデルルームに来たという感じで、

それはそれである意味落ち着いてしまったのだ(笑)。

「こんな部屋に住みたいわ〜」という感じで。


 


温泉は男女別、外風呂がある。各部屋の内風呂ももちろん温泉を引いている。

休憩所で面白いと思ったのは、様々な香水が並べられ、あれこれ試せるようになっている。

そのせいで、ここ辺りは妙にいい香りがただよっているのだ。




露天風呂からは雪山と川が見られるが、

雪のない季節はどんなであろうかと興味が湧く。

湯はかなり塩素を投入しているらしく、温泉臭はしない。



食事は個室へ通される。


 


…いわゆるダイニングバーのような内装。


  
 


白子を鉄板焼にするのは初めてだ。

なるほど、バターの風味は淡白な白子と相性がいいものだ。

ここでは、宿泊料金の中に館内で飲むドリンク(食事中、バー、冷蔵庫)

全てがインクルードとなっている。飲み放題、なわけである。


両親はともに「酒豪」である。

私はビール2杯(本)、ワイン4杯。

父はビール2杯、日本酒四合(部屋でもさらに晩酌)。

母もビール1杯、ワイン3杯、日本酒二合。

酒豪親子にはありがたいシステムである。

  
 




 



いわゆる「創作料理」、である。

…しかし…どれをとっても、街場のダイニングバーでコース料理を

食べている感覚からぬけ切らない。

極めて誤算だったが、料理までが、(悪い意味で)モダンだったのである。


お造りがまさかの乾燥。「鉄板で焼いちゃおうか?」

左上のタイ料理風味付けの豚肉で「お父さん、これ全部食べて(笑)」、

右上の白身魚とかぶの炊きあわせに至っては「私が作った方がマシ?」

一番美味しかったものが土鍋で炊かれた道産のお米だったという…。


これで美味しかったならばもっと詳細に紹介したいのだが…写真の羅列で終了(笑)。



***





食事を終え、もうひと風呂入ったあとで、

ひとりバーでカクテルを2杯頂く。

雰囲気はいいのだ。雰囲気は。


 


専門のバーテンダーはおらず、接客が代わる代わるで対応という感じだった。

酒の種類は超オーソドックスなラインナップばかりで、

本物志向の客はきっと満足はできないだろう。

幸い、私はビール党なのであまり関係なかったのだが…。



***



朝食も同様だった(笑)。

形はいいのだが…。


  
 


やはりここでも一番美味しかったのは「米」なんだな。

おこげを求めて2杯食べてしまったから。




バーでコーヒーを頼み(もちろん無料)、少し振り返る。

「箱」は申し分ないのだけど…。

「ハード」はよくても「ソフト」が伴っていなさすぎ。

若いアルバイト的サービスと、大手ダイニングバー的料理。

(お見送りすらなかったのだ!)


宿泊料は、道内屈指だと言う話だ。

確かにドリンクがインクルードということを考えれば

高すぎない…かもしれないけれど、それは料理が良ければの話。

私達若い者はまだ「箱」の良さだけで満足できる部分がある気もするが

(雰囲気だけでお金を出せるところ、あるでしょう)

年輩者には「本質」が伴わない空間では、心からのくつろぎは提供できない気がする。

リピーター確保は難しいのではないだろうか…。


同じ予算で(いや、もっとあっちの方が高いが)洞爺に行っていればなぁ。

『大フンパツ』してもらったというのにちょっと申し訳なかったな、父上。



「すっごいイイ旅館に泊まったんだよーーへへへーいいだろぉーー」と

大いに自慢するぜと思いながらHPネタを考えていたが、

結局「箱」しか誉めどころを見つけられなかった…くぅぅ、誤算!!


あまりこのサイトでは

「気に入らなかったもの」とか

「美味しくなかったもの」とか

悪い評価とかはあんまり載せたくなかったんだが(笑)

批評めいた文章で大変申し訳ない。



…あぁ、そうそう!

こちら、布団は確かなものを使っている。

というのも、私が最近新調した敷き布団と全く同じものだった(笑)。

(ボーナスで『大フンパツ』したものだ)

その布団が2枚重ねで敷かれているので寝心地の良さと言ったら。


あぁ、よかった、誉めどころが見つかった(笑)。



***



「次の帰省の時は『フンパツ』して絶対洞爺に行こうね」

母と約束を交わし、午後の飛行機で帰京した。

たった3日の帰省だが、濃厚すぎて2日前のフレンチが遠い過去のよう。


明日には到着するたっくさんのパンたち。

しばらくはこのパン達で幸せな朝食が約束される。

大量のデジカメ画像も処理しなくては。


こうして北海道の余韻に、もう少しひたらせてもらうのだ。