4-2.バレンタイン札幌帰省 〜小樽の温泉旅館(大フンパツ)編〜
4-2.バレンタイン札幌帰省 〜小樽の温泉旅館(大フンパツ)編〜
「窓」のないホテルでの一夜は明けた。
「窓」がないので、朝でも晴れでも吹雪でも夕べのままである。
この部屋も、私の「とんでもない部屋ランキング」の上位にくるが、
永遠に私の中でトップ(ワースト)に輝く部屋がある。
あれはすごかった。
釧路の2500円の宿は、その日の朝まで客が寝ていたそのまんまの状態で
「この部屋空いてるね、どうぞ」と通された。
まるで万年床のような臭いのふとん。
たばこの吸い殻もそのまま残っている。
まくらカバーもシーツも替えられておらず、
ポマード臭いまくらのせいで、せっかくシャンプーした頭はオヤジ臭。
夜中に隣の部屋の客が、部屋を間違えトビラを開けた。
(※貞操に危害無し)
ありえないハプニングの連続に、
「これじゃ2500円でも高い!」と思ったものだ。
この日、両親と小樽・朝里川温泉の高級旅館に行くことになっていた。
よく「憧れの旅館」としてメディアに取り上げられるらしく、
母が「行ってみたい!」と要望していたからだ。
父にはちょっと(かなり)『フンパツ』してもらうことになったが、
1泊へなちょこ宿に泊まったら、1泊はゴージャスにいきたい。
この旅館への期待は高まるばかり…。
***
自宅に戻り、朝食を済ませ、10時過ぎに出発。
15時のチェックインまで小樽で少しふらつくことになった。
「あのパン屋さん」は14時に予約をしている。
あぁ、早く会いたい…!!
小樽は札幌の隣町であるが、私は通りがかるだけで降りて歩くことはあまりなかった。
札幌市民が雪まつりに行かないのと同じようなものだ。
(テレビの雪まつり中継ではみるけど(笑))
有名な北一ガラスも初めて入った気がする。
何号館もあり、カフェ(建物が古くてムーディーなのに食券制!)のある館や、
近代的すぎて情緒もなんもなくてただのお土産屋的な館もあり。
「ここでお土産を選べ」と言われたら私は心底悩むだろう。
もらったら困るものは贈りたくはないからなぁ。
昼ご飯はパンのためにあえて店には入らなかった。
そのかわり…母と試食&試飲に勤しむ(笑)。
空きっ腹なのに小樽ワインを片っ端から試飲し、ホッホッと熱くなる。
甘くもすっきりした、味わい深いこのワインを入手♪
港町でよくある風景だ。カニ、ホタテ、その場でがっつける。
さすがに昼がパンだけじゃ寂しいのでホタテを頂くことにしよう。
一皿ホタテは300円、カニは1000円。
ホタテはちょっと酒を効かせ過ぎたか、いまいち(笑)。
ホタテはやっぱり生に限る…。『フンパツ』してカニにしておけばよかった★
こうしてほんのちょっぴりだが小樽観光も終了。
そして…「あのパン屋」に行く時間になった。
ここからは、ESSAYの方でお伝えしたい。
…読み終わったら帰ってきて(笑)。
↓クリック↓
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〜つづき〜
感動のパン達を車の中で梱包し、港の宅急便営業所へ駆け込む。
「パンです」と言ったら、冷蔵クールにされかねないので(過去に経験あり)
mi_wa 「これはアイスです! 今すぐ冷凍庫に入れてもらえますか?」
そう掛け合った。すると、
受付「アイスですか?! 発泡スチロールの箱に
ドライアイスをつめなくては溶けますよ」
mi_wa「…! そ、そうですか(汗)
そーですよねぇ、あはは…
でもこれはゼリーっぽい奴だから(苦しいイイワケ)
ちょっとくらい溶けてもダイジョーブです…
あ、でもでも、溶けちゃイヤなんですけどぉ…(矛盾)」
今度から気をつけまーす、と言っておいたが、
見え見えすぎてどう考えても怪しい箱である(笑)。
***
朝里川温泉は、小樽市街地よりやや札幌寄りの川沿いにある小さな温泉街。
この旅館は、朝里川スキー場のすぐ側にある、蔵づくりの建物である。
本当だったら…「すっごーーーく良かった!! みんなも絶対行くべし!!」
と報告するはずだったのだけど…名前はふせておくことにした…。
写真は大量に撮ってきたのでまぁご覧あれ(笑)。
エントランスからモダンさが伝わると思うが、
いわゆるデザイナーズホテルである。
館内の全てが徹底したデザインで、手を抜いたところが欠片もない。
インテリアセンスに関しては全く非の打ち所のないものだった。
建物に入ると、チェックインは抹茶と茶菓子を頂きながらラウンジで行う。
ギャラリー、ライブラリー(オーナーの所蔵本やレコード盤が並べられ、閲覧自由だが…
どうも深みのないラインナップだった(笑))
オーディオルームでは貸し切りでレコード鑑賞ができる。
至るところに間接照明が効果的に取り入れられている。
冬なので中庭は雪が積もっているが、キャンドルで演出。
全館19組の客室があり、それぞれ趣が異なるらしい。
それぞれに小樽にゆかりのある偉人の名がつけられている。
(ちなみにうちの部屋は「善作」)
メゾネットタイプの部屋で、1階が居間、2階に寝室が二間ある。
あまりにもセンスよくまとめられた部屋、しかもメゾネットときたもので、
正直なところ、情緒というものはない。
温泉旅館に来ているというよりは、モデルルームに来たという感じで、
それはそれである意味落ち着いてしまったのだ(笑)。
「こんな部屋に住みたいわ〜」という感じで。
温泉は男女別、外風呂がある。各部屋の内風呂ももちろん温泉を引いている。
休憩所で面白いと思ったのは、様々な香水が並べられ、あれこれ試せるようになっている。
そのせいで、ここ辺りは妙にいい香りがただよっているのだ。
露天風呂からは雪山と川が見られるが、
雪のない季節はどんなであろうかと興味が湧く。
湯はかなり塩素を投入しているらしく、温泉臭はしない。
食事は個室へ通される。
…いわゆるダイニングバーのような内装。
白子を鉄板焼にするのは初めてだ。
なるほど、バターの風味は淡白な白子と相性がいいものだ。
ここでは、宿泊料金の中に館内で飲むドリンク(食事中、バー、冷蔵庫)
全てがインクルードとなっている。飲み放題、なわけである。
両親はともに「酒豪」である。
私はビール2杯(本)、ワイン4杯。
父はビール2杯、日本酒四合(部屋でもさらに晩酌)。
母もビール1杯、ワイン3杯、日本酒二合。
酒豪親子にはありがたいシステムである。
いわゆる「創作料理」、である。
…しかし…どれをとっても、街場のダイニングバーでコース料理を
食べている感覚からぬけ切らない。
極めて誤算だったが、料理までが、(悪い意味で)モダンだったのである。
お造りがまさかの乾燥。「鉄板で焼いちゃおうか?」
左上のタイ料理風味付けの豚肉で「お父さん、これ全部食べて(笑)」、
右上の白身魚とかぶの炊きあわせに至っては「私が作った方がマシ?」
一番美味しかったものが土鍋で炊かれた道産のお米だったという…。
これで美味しかったならばもっと詳細に紹介したいのだが…写真の羅列で終了(笑)。
***
食事を終え、もうひと風呂入ったあとで、
ひとりバーでカクテルを2杯頂く。
雰囲気はいいのだ。雰囲気は。
専門のバーテンダーはおらず、接客が代わる代わるで対応という感じだった。
酒の種類は超オーソドックスなラインナップばかりで、
本物志向の客はきっと満足はできないだろう。
幸い、私はビール党なのであまり関係なかったのだが…。
***
朝食も同様だった(笑)。
形はいいのだが…。
やはりここでも一番美味しかったのは「米」なんだな。
おこげを求めて2杯食べてしまったから。
バーでコーヒーを頼み(もちろん無料)、少し振り返る。
「箱」は申し分ないのだけど…。
「ハード」はよくても「ソフト」が伴っていなさすぎ。
若いアルバイト的サービスと、大手ダイニングバー的料理。
(お見送りすらなかったのだ!)
宿泊料は、道内屈指だと言う話だ。
確かにドリンクがインクルードということを考えれば
高すぎない…かもしれないけれど、それは料理が良ければの話。
私達若い者はまだ「箱」の良さだけで満足できる部分がある気もするが
(雰囲気だけでお金を出せるところ、あるでしょう)
年輩者には「本質」が伴わない空間では、心からのくつろぎは提供できない気がする。
リピーター確保は難しいのではないだろうか…。
同じ予算で(いや、もっとあっちの方が高いが)洞爺に行っていればなぁ。
『大フンパツ』してもらったというのにちょっと申し訳なかったな、父上。
「すっごいイイ旅館に泊まったんだよーーへへへーいいだろぉーー」と
大いに自慢するぜと思いながらHPネタを考えていたが、
結局「箱」しか誉めどころを見つけられなかった…くぅぅ、誤算!!
あまりこのサイトでは
「気に入らなかったもの」とか
「美味しくなかったもの」とか
悪い評価とかはあんまり載せたくなかったんだが(笑)
批評めいた文章で大変申し訳ない。
…あぁ、そうそう!
こちら、布団は確かなものを使っている。
というのも、私が最近新調した敷き布団と全く同じものだった(笑)。
(ボーナスで『大フンパツ』したものだ)
その布団が2枚重ねで敷かれているので寝心地の良さと言ったら。
あぁ、よかった、誉めどころが見つかった(笑)。
***
「次の帰省の時は『フンパツ』して絶対洞爺に行こうね」
母と約束を交わし、午後の飛行機で帰京した。
たった3日の帰省だが、濃厚すぎて2日前のフレンチが遠い過去のよう。
明日には到着するたっくさんのパンたち。
しばらくはこのパン達で幸せな朝食が約束される。
大量のデジカメ画像も処理しなくては。
こうして北海道の余韻に、もう少しひたらせてもらうのだ。