79．パン、温泉、ときどき群馬。
ひょんなことから伊香保温泉の旅館のパン好き女将さんと友達になった。
「ぜひ遊びに来てくださいね。お風呂入りに来てくださいね」
そのお言葉に、バカ正直に甘えた私と某パン友。
伊香保は群馬の高崎よりも前橋よりももう少し北にあるらしい。
もちろん交通費はかけるつもりは毛頭無いので（笑）
18きっぷの使える期限ギリギリの土曜日に決行した。
最初はお風呂がメインでパン屋に行く予定はなかったのだが…
調べ出すとなんだかあれこれ行ってみたい店がでてくるわけで（笑）
お風呂がメインだがパンがメインだかわからなくなってきた。
なんと女将、クルマであちこちのパン屋さんに
連れて行ってくれるらしい！ おお！ 甘えます！！！
午後に女将に前橋まで迎えに来てもらうまでの間、
私たちはふらふら群馬観光をすることになったのだ。
新宿を朝8時半ごろ出て2時間弱、まずは高崎に着いたのだが…
電車の乗り継ぎを間違えて、高崎で１時間くらい余ってしまう。
やむなく駅ビルをうろうろする私たち。
土産屋には群馬名物がわんさか揃っている。
納豆、こんにゃく、だるま弁当、鶏めし弁当…。
もうひとつ私が探していたモノがある。
それは…
「味噌パン」。
群馬と言えばなぜか味噌パンが妙に多い。
とある地元パン屋の味噌パンが特に名物らしい。
しかし…高崎駅の中ではそれを見つけることはできなかったのである。
本当は時間がもう少し余裕があれば
桐生という町に寄ってみようと思っていたのだが
両毛線ってやつはアクセスに非常に難があるので断念。
やむなく前橋で１時間半も時間を潰すことになったのだが…
何を食べるべきか見るべきか行くべきかさっぱりわからない。
前橋に最近嫁入りした友達に突然電話をし
「前橋に来てるんだけど何か名物ない？！」と聞き込みをしてみた。
すると…
「群馬は最近、豚に力を入れている（らしい）」
とのこと！ おおお！ 豚肉かー。
携帯でいろいろ調べてみると、
「とんかつうどん」みたいなものがあるらしい。
とんかつが乗ったうどんか！
じゃあそれを探しに町まで歩いてみよう！！
週末だからなのか昼間だからなのか
人があまり歩いていない中心地。
商店街などあちこち覗いてもなかなか「名物」らしきものは発見できないでいた。
味噌まんじゅうの店すらも見つけられないでいた。
確かにやたら「ソースカツ丼」はどこの喫茶店・食堂でも見かけるが…。
前橋に来て、前橋らしさを味わう間もなくのは無念！！！
デパートの地下に某パン屋さんがあった。
たとえチェーン店であろうと、やはり群馬には「味噌パン」が！！！
（ここの場合「ごま味噌パン」であったが）
名物あるいはご当地モノ。
そういうものに弱い自分だ、ご当地パンならなおさら！
ソフトフランスパンを横にかち割り、ごま味噌ペーストを入れたもの。
食べてみると…。
ひぃぃ！
ものすごーーー甘い胡麻クリーム、しかも味噌味っ。
ちょっと近年稀に見る「自分の好みじゃない味」であり（笑）
連れとしばし無言になってしまった（笑）。
このままだと私たちの中で「味噌パン」のイメージが
陰のイメージのままで定着してしまう！ ピンチ？！
迫り来るタイムリミットに焦りを見せ始めていたころ…
おお、「名物」の文字が！！！
とある老舗っぽいおそば屋さんで、ようやく「前橋名物」を発見した。
もう、ここに入っちゃおう！ ほんと、なんでもいいから（笑）
とんとんうどん！
とんかつうどんとは違うみたいだけど、
どうやら豚をフューチャーさせたうどんのようである！
あまりたくさん食べてもこのあとのパン屋さんめぐりに支障をきたすので
この「とんとんうどん」に「ミニカツ丼」（やっぱり豚肉にこだわる私たち（笑））を
つけて、シェアすることにした。
おおお！
どちらも500円程度しかしないものなのに
十分すぎるほどに１人前！
とんとんうどんは、けんちん汁のような豚汁にうどんがはいったもの。
少しバターで味付けされたかのような旨みがとけ込んでいて
妙ーーに甘さがあって美味美味っ！
カツ丼も相当久々に食べたがほんっと美味しいなぁ…。
確かに「ミニ」だからカツは２切れしか入っていないけど
ご飯と卵とじは立派に１人前分。
豚、うまいなぁ〜。うどん、うまいなぁ〜。
「豚」が食べられた今、なんだか妙な達成感を感じてしまったり（笑）。
たまたま通りかかった八百屋さん。
ふぉぉ…！ 白菜が２つで60円？！ 大根２本で50円？！
これ、ほんとに野菜の値段？！
うちの近所じゃありえません…。さすが群馬…。
ほんとだったら買って帰りたいけれど先が長いので今は断念（笑）
＊
女将と合流して、いよいよ群馬パン巡りスタート！
私も事前に何軒か学習していたのだが
伊香保温泉に到着する道中で通りかかるパン屋さんや
「地元の人しか知らないであろう」店もいくつも案内してくれることに。
まずは、私がリクエストしていた自家製酵母のパン屋さんへ。
ほんっとに住宅地の中にあるので見落としかねない小ささ…
女性がひとりで焼いてらっしゃる、
誠実な印象のパンと焼き菓子の小さなお店。
やはり群馬ならでは（？！）ごま味噌メロンパンなるものがあった。
さきほどの味噌パンだけだとどうもいい印象を残せないままになってしまう（笑）
なのでここで汚名挽回？！
ゴマ味噌風味のビスケットで覆われたメロンパン。
甘すぎず、香ばしくて美味しい！
画像にはないけれど、前日焼きのベーグルが
ものすごく美味しかった。ぴーんと張った表皮のヒキと
噛み切るときのぷちんっとした歯ごたえ、ツブツブ感…。
自家製フルーツピール入りのパンも
やはりピールが鮮烈な甘酸っぱさと自然な苦みで美味しいのだ…。
どこのだろう、どこかのパンに似ているのだけど
思い出せない。でもとても好きなタイプの…
群馬の名産のひとつであるキノコ…（なんだよね？）
まいたけなどきのこたっぷりのフォカッチャも見た目通り美味！
＊
次に連れて行ってもらったのは
名物みそ漬けの美味しいお店。
みそ漬け…といえば、お魚とか漬け物とかしか
思い浮かばなかったけれど、ここのお店では食べ物ならなんでも
みそ漬けにできるということを教わった（笑）。
女将イチオシのモッツァレラチーズのみそ漬け。
これをパンに乗せて焼いて食べると止まらないとな！
（実際にその通り、ほんと美味しくて止まらない）
試食をあれこれさせてもらい、
特に美味しかった「たまご」と「山芋」と「チーズ」を
購入して明日からの晩酌ライフを充実させるのだった（笑）
＊
お次は…決して全国区ではないけれど、
でも地元の人なら知っているだろう、
ノスタルジィ度100％の町パン屋さん、アジアパン。
近くの学校の生徒さんが部活の帰りに買いに来そうな、
ほんっとに町のパン屋さん。
もう、店名からしてあれこれツッコミ処があるのだが（笑）
これが名物の玉子パン！！
一見、メロンパンのような風貌なのだけど、
（隣に並んでいるメロンパンとは「色」が違うくらいにしか違いがわからん（笑））
これをかち割って、生クリームとかをサンドしてもらうこともできるんだそう。
ううーーーなんだか青春の甘酸っぱい記憶が蘇……える気がしないでもないっ？！
もちろん思い出すのは盛岡の あのパン屋！！！！！
群馬にもあったのかぁ…。
今度、全国ノスタルジィパンの旅とかやってみたいな（笑）
いますぐ食べないのであればクリームをサンドしてもらわない方が
持って帰りやすいのだけど…
ここまできてやらないわけにはいかないでしょう！！（笑）
私は「いちごクリーム」なるものを注文した。
その場でおばちゃんがパンをナイフで横割りし、
クリームをサンドしてくれる…のだが…
おぉぉ、その毒々しいチープな色のクリームはっ（笑）
できたーー！
私だけの玉子パン＆いちごクリームサンド！（大げさな）
おもむろにがぶり！！
…うぅ…っ！
「安っ！！」（笑）
いちごクリームの何ともチープな味わい！
そうそう、この「いちごみるく飴」的ないちご香料の味が
なんともいえない、昭和駄菓子の味。
玉子パンは、名前のまんま、玉子ボーロのような味なのである。
素朴な香ばしさ。
この二つの駄菓子的な味わいが合わさると、なぜか妙に美味しく、
ぱくぱく止まらないのである、不思議に！
パンと駄菓子、その境界線を取っ払ったのがこの玉子パンなのではなかろうか（笑）
＊
次に連れて行ってもらったのは
「なぜか地元の人でいつもいっぱいのパン屋」
なんだそうな。どこかの大きな公園のすぐ側にあるパン屋さん。
店の佇まいがどこか独特だった。
かなり老舗っぽいんだけど、いわゆる日本的な古さじゃない…
パンは至って典型的な日本の町パン屋さんの、
みんなに愛され系なのかなという感じだったが。
…前橋って、結構パン屋さん、あるんだなぁ。
＊
老舗系が続いたが、お次のパン屋さんはわりと新しめ。
グランボワというお店で、
個人的には「クリームパン」が美味しそうだなぁとチェックしていた店だ。
クリームパンは残念ながらもう売り切れていたのだが、
他のパンたちもなかなか美味しそう！
適切かどうかわからないが、ひとことでいうと「東京のパン屋さん」のようだ、と。
東京にあるような、きれいでかわいくてしかも美味しい。
一口サイズのクリームチーズとカスタードのパイは焼きたて！
「ショコラ」は板チョコ入りのクロワッサンなのだけど
クレームダマンドがかかっている。かといって
ショコラザマンド…ほどは重苦しくなく、美味しい。
そして！！
とにかくものすごく美味しかったのは
リュスティックマカダミア。これ、ほんとすごい〜！！
生地自体も秀逸なのだけど、一口食べるごとに、
口の中にマカダミアが丸ごと何個も転がり込んでくる。
一体このひとつのパンに何粒入っているんだろう！
きゅーーーんと射すようなマカダミアのコクにやられっぱなし。
いやー、ここのパン屋さんはかなり良い感じでございました。
クリームパンもきっと美味しかったに違いなし。。。
＊
まだまだパン巡りは続く（笑）。
私が最初からこだわっていたのは「みそパン」。
できればフリアンのみそパンって思っていたのだが、
さすがに沼田は遠い。みそパンのためだけっていうのはあまりに酔狂か。
すると女将、
「もしかしたらあそこにあるかもしれない！」
クルマを走らせたのは、郊外型超大型スーパー。
「こういうところにたいてい売っているから」
…え？ インストアベーカリーとかあるの？
しかし女将、
インストアベーカリーを通り過ぎ、
どんどんスーパーの中の中の売り場の方へ向かっていく。
おわ！！！
こ、こういうことだったのねー？！
どうやら県内のスーパーで袋売りに売られているんだそうな。
ほぇーーー！
木村屋のあんパンみたいなもんだったのか！（違）
幸い袋パン、日持ちもしますし（笑）
明日会う友達たちへのいい土産にもなりますえ！！！
で、翌日私もお昼に会社に持参して
（当然冷凍なんて手間をかける必要もない、袋パン（笑））
食べてみたが。。。
なかなかいい！
決して変じゃないし、ゲテモノでもない！（失敬な）
昔懐かしいソフトフランスパン（給食に出てきそうな…）に
田楽の味噌をサンドしたような感じだ。
パン自体が意外に目が詰まってどっしりとしていて食べ応えあり。
一番最初に食べた味噌パンとは違ってそんなに甘すぎず、
適度に甘しょっぱい感じで、ご飯にも合いそう。
そしてご飯もあうものっていうのはたいていパンにも合うわけで（笑）。
もう、これで群馬パンは制覇だーー（違！！）
＊
いよいよクルマは伊香保の手前、渋川に入っていった。
ここに一軒、美味しいパン屋さんがあるそうなのだ。
目の前には群馬名物「味噌まんじゅう」の店があるのだが
さすがにこれだけ立て続けにうどんやらパンやら食べたら
もう粉は無理だ（笑）
絶対美味しく食べられない自信がある！（笑）
味噌まんじゅうとは、パンっぽい生地に味噌あんが入り、
外にも味噌をどぶっとかけて香ばしく焼いたものらしいのだが
パン好きなら絶対おすすめなシロモノなのだそうな（笑）
うぅぅ、、、、次回は絶対！
もう味噌パンは食べなくてもいいから（笑）
次回は味噌まんじゅうを最優先にするべし（笑）
で、このパン屋さんは名前も忘れてしまったのだが、
パンは美味しそうだが、ちょっと頑固系なのかもしれないと
思わされるエピソードあり（笑）。まぁ、それはおいておいて。
連れと半分個したのはぶどうぱん。
ぶどうぱんといいつつ、入っているのは大量のカレンツ！！！
なんて贅沢な入れっぷりだろう。
それなのにとても安いのだ（１斤で300円台だったと思う）
これだけのカレンツが入っているのって、ちょっと見物かも。
しかも、お酒にたっぷり漬け込んでいるようで、
ものすごく香りが強い。
この手の香りのするワインまんじゅうを昔食べたことがあったなぁ（笑）
そのまんまワインにでもなっちゃうじゃないかというくらいに贅沢すぎる芳香。
これがめちゃくちゃ美味しくてビックリした。
今回あちこちパン屋さんに連れて行ってもらって、
このぶどうぱんが一番インパクト強かったかもしれない。
…名前は忘れてしまったけれど（笑）
＊
そして山をぐんぐんのぼり伊香保温泉に到着！
うぉぉ、こ、こんなデカイ旅館がお宅の温泉宿ですか？！（笑）
ひぃぃ〜と悲鳴をあげてしまった私たちである（笑）
近年改装したというお風呂もすばらしくでかく、
全国あちこちの温泉を泊まり歩いて研究した成果が
生かされた、かゆいところにも手が届きまくったお風呂だった。
１時間くらいの予定が２時間以上もゆっくりさせてもらい、
いたれりつくせり…
ふはぁ。。。。
今度は絶対泊まりに来る！！
（温泉についてあれこれ書きたいのはヤマヤマなんですが
ちょっと特別なことがあって省略させていただきま）
ほんとは「名物」水沢うどんを食べたかったのだが
時間が遅くなってこんな時間じゃどこも開いていなかったなり。とほほ。
でもでも！
やはりこだわりの「名物もの」以外は食べませんっ！（笑）
なんならだるま弁当を買って電車の中で食べるのでもいいもん！（笑）
そこでまたまた女将のヘルプ。
駅弁でもお馴染みの鶏めし。
高崎の駅ビルに直接食べられる店があり、
そこで名物鶏めしを食べることに。いやー、美味しいねぇ。
群馬っていえば忘れちゃならない、こんにゃくも（笑）
もう、とことんｲﾔｰｰってほどに群馬づくしだった一日、
観光のプロにナビゲートしてもらったいたれりつくせりの一日。
18きっぷで新宿まで2時間弱。
群馬にいかれる際は伊香保温泉＆味噌パンめぐりをぜひ（笑）
2007.1.20