72-1.8月最後の旅、西へ 〜名古屋ぱぴ・ぽん・こぱ〜




この夏、何度目の旅だろう。

いくつ思い出を造れば気が済むのだろう?

飽くなき欲求は止めることができずまたも西へ…西へ…



18きっぷで目指すはこの夏4度目の関西。

前々回の旅で「次の約束」をして別れた。

そう、これは「続編」なのである。

せっかくなので途中下車するのは名古屋。

東海道をゆっくり時間をかけて、西へ…西へ…



深夜、品川からムーンライトながら大垣行きに乗り込む。

いつもどおり、小田原から自由席になるため、列車内は今日も通路を埋めつくす人人人。

いつも眠れない私は、アイマスクでがっちり「眠り」の体勢に入っていたところ

突然、ホームレスちっくな翁が私の席の手摺りにドガッと腰を降ろしもたれかかってきた。

アイマスクで姿が見えなかった私は「ちょっとっ」とひじで押すと

その翁、「☆*@&♀!」と叫んで私を叩き、引っ掻いて来たではないか!


何が起きたかわからずマスクを外すと、横にはぺちぺち叩いてくる翁。

えー? えー? えー? えー?

周囲の人も驚いた目で私たちを注目。

かといって誰も何もしてくれない。


驚いた私が発した言葉は「えー…?」と小さな声で疑問符のみ(笑)。

突然の事で、一体何が起こっているやら…と。

まあ、夜行には一車両に一人はそういう人が乗車しているから

仕方のないこと、でも我が身に降り掛かると「えー…?」である(笑)。

ご心配なく、すぐに翁はキーキーうめき声をあげながら隣り車両に移って行ったから。


ほんの1、2分のことだったけれど

これがずーっと着くまで、朝まで続いたら洒落にならんなと…。

安眠妨害されたことと、引っ掻かれた手の甲がしばらくひりひりしていた。

うーん、安くないな、この旅は(笑)、

みなさんも気をつけて????




それでもどうにか到着した名古屋。

まず目指したのはお風呂。

名古屋は意外と朝からやっているお風呂が近くにない。

少し遠いけれど、今回行ってみたのは赤池にある、健康センター。

名古屋で行きつけのパン屋さん、ぱぴぱんのある植田駅まで

送迎バスがあるのでここにしてみたのだ。





最寄り駅から車で5分程度。

実〜に、コテコテの、前時代的な健康センター。

宴会場では座長公演が行われるような、演歌の似合う温泉だった。

ひえー、イメージとちょっと違う…けど、そこが面白い(笑)。


たまたま、その日は名古屋でよさこい踊りのイベントがあるらしく、

踊り子御一行がここで仮眠泊をしていたようで賑やかだった。

あぁ…そうそう、地方からわざわざ遠征してくる踊り子チームは、

学生が多いからこういうところで安く宿泊費を抑えるんだ。





かなーり場末感が漂う、古ぼけた健康センターだったのだが

嬉しい誤算は、露天風呂が絶景(?)だったこと。

ここだけ切り取れば、まるでどこかの湖の山荘にでも来ているかのような。

天気予報では雨だったのに、この晴天。あぁ、晴れ女でよかった!(笑)




マニキュア(もちろん、赤(笑))を塗っていると、

いかにも健康ランドに常連化していそうな、どっかのオカンに話し掛けられる。

「ええなぁ、若いのはなぁー。おばさんそんなもん塗っても意味ないねん」


その、横にも縦にも奥行きにも、幅を取りまくったどっかのオカンは(笑)

私に自分の指を見せ、続ける。

オカン「おばさんも昔はな、よく言われてたんよ、

きれいな指やなー大事にせなーってな、撫でてもらったこともあんねん。今はアカン」

私「…そ、そんなことない…ですよ」

オカン「そんなことあるで!(ピシャリ)」


…こういう、肯定も否定もできない会話は結構ツライ(笑)。




駅までの送迎バスは、よさこいのチームと同乗した。

派手派手な衣装とばっちりケバメイクを施した男子女子。

バスの中で、配列表を見ながら、振りの復習をしている子たちもいる。

鏡でメイクの最終チェックをしている子たちもいる。

温泉あがりだろうに、なぜにすごい臭いがする。

でもそれはわかる。連日連泊踊ると、衣装はどんなに汗をかいても洗濯ができないのだ。

そう、剣道の胴着のように。


「お騒がせしましたー」「お先失礼しますー」

礼儀の正しい彼らは、見ず知らずの同乗者の私に挨拶をして下車していく。


「暑いだろうけどがんばってね、…私も昔、踊っていたのよ」

…なーんてことは言えないまま、彼らを見送った。

あぁ、懐かしいな、私にもかつてあった、あの踊子の夏の日々。

あの夏以来、私はもう踊っていない。ケバメイク、あれ以来したことがない。







ぱぴさんがオープンする10時まで、駅近くのカフェでモーニング。

コーヒー頼んでも勝手に小倉トーストがついてくる、さすがは名古屋。

夕べから何も食べてないとはいえ、ここで全部食べ切る勇気はない、

ぱぴさんを目の前にしているのに(笑)。





久々のぱぴさん! 1年ぶり!

(過去のぱぴさん来訪はSITE MAP参照)


かれこれ4度目になるぱぴさん来訪だけど

いつも決まった時間にしか来られない私。

そう、名古屋といえば

ぽんさんでシチュウを食べるのが昼のデフォルトなので(笑)

どうしても、こちらは10時オープンに飛び込まないとならない。





いつもと同じパンが並ぶ。

そして、いつも同じパンを買う。

私にはそれが逆に嬉しい。

そのために名古屋に来ているんだって思えるから。





久々にお会いするけんせいさんと談笑をしているうちに

焼き上がる、大、大、大好物のエピ!!!

そう! このタイミングなの。このタイミングのためなの!

絶対に、焼き立てのエピとソーセージフランスを食べられることを

もう、ちゃんとわかっているからなの!!

(と、朝にしか来ないことへの言い訳に聞こえるかしら?(笑)いやいや、ホントなのだよー)





窯から出たてのパンたちは一斉に「パチパチ」を鳴らす!

パリパリの生地だけでない、「ジュージュー」と鳴るのはソーセージの脂!

ぷつぷつ泡が浮いて来て、生地に染み込まれて行く

うーーわぁぁ、、、これなの、これなのーー!!





フランスの話、共通の知人の話。仲間のパン屋の話…。

朝の忙しい時に30分もおじゃまして失礼さま!

今度来る時は、…まぁ、十中八九、朝10時ジャストにおじゃましますから(笑)。



そして、この公園で大急ぎで食べるのも、すっかりデフォルト。

私は、同じことを同じように繰り返すことが好きなのかも知れない。

それこそバカのひとつ覚えのように。

バカ? 結構よ!





あぁぁ…。言葉にならないほど美味しいエピとソーセージフランス。





新作のすももと黄梅のひとくちデニッシュも、

見た目のシンプルさとは真逆の、全く読めない美味しさ!

甘酸っぱさだけでない、二層も三層もあるような…こんな小さいボディに。




パリザクなパン・オ・ショコラも





新作のチェリーのデニッシュは、ジャムも自家製!

ダークチェリーとサワーチェリーを使ったジャムは

すももデニッシュと同様、ジャムの美味しさが言葉にならない。

冷やして食べて欲しいと言われたけれど、

冷やすまでに残しておけるかが問題だ(笑)。






(過去のぽんさん来訪もSITE MAP参照)


植田(地下鉄)名古屋(近鉄)富吉。

ぽんさんに到着するのも、いつもと同じように12時ちょっと前。

相変わらず大盛況のビストロ、これも変わらない。

看板息子? 「辰夫」のウェルカム、これも変わらない。





けれど、ちょっとだけパン販売コーナーはリニューアル。

おぉ、以前は隅にひっそり立っていたバゲットたちが

中央のお立ち台でフューチャリングされているわけですね!(?)


いつものパンを購入、ビストロに戻る。

…あ! また忘れたよ。かなりたまったハズのレシートのポイント…。

そして、ネットの5%割引クーポン(笑)。

これもいつもの話。





「もう飽きたでしょ」

すでにビストロシェフで定着してしまっているぽんさんは

忙しく手を動かしながら真っ黒い顔でニヤリと笑う。


毎度毎度…言われても、このシチュウのための名古屋詣で。

残念ながら…私は…

私は、ぽんさんのシチュウよりも美味しいシチュウを他に知らないもんだから

「あー、おいしいシチュウが食べたいな」と思ったら

名古屋に来るしかないのである(笑)。

あー、そういうのって困るよなー。困るんだわー(笑)。


まぁ、こんなに大好きなシチュウ、飽きたら困るので年に1〜2回程度来るくらいが

ちょうどいいのかもしれませんけどね(笑)。




ぱぴさんとぽんさん。

略してぱぴぽん。略するなよ)

名古屋ではこの2軒ばかりいってしまうけれど

この2軒さえ来られればもう、それで十分満たされてしまう。

あまり久々感を感じなくて済む、安心感というか

それがたとえ年に1回、2回くらいしか来られない店だとしても。





以前から行ってみよう行ってみようとずっと思っていたパン屋さんがある。

ぽんさんやぱぴさんとも御縁のある、ル・コパンさんだ。

ぽんさんがそこのオーナー、ゆりさんに連絡を入れておいてくださったよう。

話が早い!

駅から歩いて行く、というと

「熱射病にならないようにねー」

そう言ってもらい、ぽんさんを後にした。


富吉から近鉄に乗り、目指すのは三重県桑名市の伊勢朝日。

実は、三重県のパン屋さんに行くのはこれが初!


初めて降り立つ伊勢朝日は実にのどかというか、

大きな国道沿いにファミレスやスーパーが並ぶ町だった。

地図上ではそれほど遠くないだろうと思われたが(実際徒歩15分程度)

こういう道を、灼熱の中延々と歩くのは実は結構しんどい。

この暑さ、強い風が吹いているというのに日傘をさし、さらにスーツケースをごろごろひきずって…。





かなり不安になるような高速道路の高架下を進むと、

それらしき一戸建てのお店が! あったあった〜。

普通なら確実に車で来るような場所であろう。

駅から遠くはないけど…徒歩ではあまり来るところではないのかも?(笑)





女性スタッフだけの、温かみのあるパン屋さん。

カフェもあり、イートインもランチもできるらしい。

どことなく、ペンションぽい雰囲気が漂う。


数種類あるリュスティック、枝豆とチーズのリュスや

チョコと栗のリュスを頂いてみたが、

どちらも粉の味わいが「おかき」のような香ばしさで美味しい!





コーヒーを運んで来てくれたのが、こちらのオーナーシェフ、ゆりさんだった。

え! こんなに若いお嬢さんだったとは。

とても人柄のよさそうな、打ち解けやすい女の子だった。

もうこの店を開いて7年もたっているんだそうな。うーわ、恐れ入る。

ぽんさんから私の事も「同じ年くらいだよ」と聞いていたそうだが、ずばりピンポンだった(笑)。

おぉぉ…すごい親近感! もっと時間があればお話がたくさんできたのに、と。





次の予定が入っているので慌ただしく出ようとすると

駅まで送ってくださるとのこと。おぉ…ありがたし!

JRの駅なら、次に行く亀山まで大幅に時間短縮できる。ありがとう!!


数多くは食べられなかったけれど

リュスティックとライフルーツ、ほんと美味しかった!






JRの富田駅というのは、無人駅のような静かな駅で(現に、この路線は無人駅が多い)

赤く錆びたレールと赤い砂利、そしてワンマンカー。

なにもない駅だけれどもやや日が傾いて来た午後の夏のホームは、

18きっぷで旅しているなぁ…」

旅情をかきたててくれるのに十分な舞台だった。



乗り換えの亀山駅まで、全く目を覚まさずに係員の人に起こされてしまった。

亀山では本当は寄りたいパン屋さんがあったのだが夏休みにて断念。

そして、一駅隣の「関」に着いたのは16時頃だった。



つづく


2006.8.26〜28