22-1.7月関西 二府二県パン紀行 〜大阪〜





「レ・サンク・ディアマン」と岸辺駅近くの木塀




7月下旬。

もともとこの時期に大阪へ行く用事があった。

パン目的ではなく、あるイベントごとがあったのだが

悪運強く直前に出張が重なったので交通費は取りあえず確保。

(こういうことを書くとなおさら会社の人にはHPのことは打ち明けられない(笑))


今回はパンはあまり関係なかった…ハズなのだが、

悲劇にもそのイベントがどたんばでキャンセルになった。

なんてこと! あんなに楽しみにしていたのに

出張直前にめちゃくちゃローテンションになってしまった。

なんのために大阪行きを勝ち取ったのか…。

(仕事だろ仕事)

その用事なくして3日間も大阪に滞在するのはとてもしんどく感じられた。


しかし、ただでは転ばない私。

出発前々日くらいに関西の仲良しパン友に連絡、

「泊めてくれーー」

「遊んでくれーー」

平日にも関わらず無謀にも答えてくれた優しい人たち。

蒸し暑い関西のパン巡り。

今回も起伏に飛んだストーリーが繰り広げられた…。



 


またまた(ほぼ)徹夜明けで早朝便に乗り込む私。

台風が近付きつつある関西は灼熱と蒸し風呂のダブルアタック。

午後からの仕事前に、ちろっとパン屋さんへ行くことに。


阿波座にあるこの小さなパン屋さんには

火曜日と木曜日にクロワッサンが焼かれる。

それ目当てにてくてく来店。

朝はほとんど食べていないので空腹スタンバイはばっちり!!


 

 

小さな倉庫のようなパン屋さんは女性だけがやっており

手作りパンとお菓子を売っている。

初日なので、持ち歩けないので取りあえず今食べる分を買ってみる。

焼き立てのクロワッサンはパリパリで

入れられた紙袋はたちまち脂で染みて行く。

まるでコロッケでも入れたかのようだ。


ものすごいバリバリ!!!

こ、これは…。

水海道Nさんや、伊勢原Bさんに共通するような、

揚げ春巻きのようなパリンパリンのハードな層。

一枚一枚が板のようで、クロワッサンを食べている時のような音じゃない。

バキバキとか鳴っている(笑)。この手の食感がたまらなく好き…!!

揚げ物じゃないのに、なんとなく「揚げ立て感」がある。

内側の方は、もちもちとした弾力感がある食感で、

この手の揚げ春巻きクロワッサンを食べたことがない人は

きっと驚くに違いない。大阪にはなかなかないタイプなのではないだろうか。


 


別に尾行をしたわけじゃないけど(笑)、

お店のお姉さんがどこかへパンを運んで行く。

近くにあるカフェへ納品に行ったようだ。

このカフェのランチでパンが食べられるのか。それもいいなぁ!

朝からおいしいクロワッサンを食べられてそれでもう一仕事終えたような気分の私(笑)。

あー、このままどっか涼しいカフェとかでうたた寝でもしたいなーー。


***


この後、南船場にも支店がある、カレーパンで有名なHまで歩いてみた。

カレーパンが旨いという評判を前から耳にしていたものの未食のまま。

…しかし…カレーパン専門店だと思っていたら大違い。

思いっきり町のパン屋さんという感じで、

お目当てのカレーパンも出来てからすごく時間が経っている。

揚げ立てじゃない、温められないカレーパンは私にはヘビーすぎる(笑)。

お味も、たぶん揚げ立てじゃないせいだろう、冷めたコロッケ状態。

ご飯のおかずにするならいいかもしれないけど(笑)。

一度は食べてみなきゃ心残りのままだろうから今は気分爽快(笑)。

ということで、ここでは画像は割愛(笑)。


***


船場のスノッブなカフェたちを覗き見、眺めつつ、心斎橋の方まで歩いて行った。

幾度となく大阪には来ているし、ふらふら歩き回っているけれど

この時はなにか、デジャブみたいなものを感じた。

初めて訪れる街を歩くと、「ここはどこそこに似ている」とよく思う。

上京して初めて銀座を歩いた時、

名古屋の街を歩く時、

「ここはサッポロの街並と似ている!」と懐かしく思う。


そして、バスに乗って北上したが、ようやくそれが何かわかった。

5月に訪れたNYCマンハッタンに似ているのだ、この街は。

縦に大きく走る大通り。乗りやすいバス。

船場は例えるならばSOHOやGREENWICH VILLAGE。

あの時の感覚がふわーーっと蘇ってきたのだ。

東京にはないエネルギーみたいなものもキャッチしたからかもしれない。


***


淀屋橋の辺りで下車、北浜の方へ歩いた。

オフィス街の昼休み時とぶつかり、人々がわらわら財布だけもって

飲食店に列を作っていた。

あぁぁ、私がこれから行こうとしている店もきっと並んでいるんじゃないか?


 


「ラ・トゥルトゥーガ」。おぉ、あったあった、ここだ。

フレンチが食べたかったのでちょこっとお店を調べていたところ、

「安い!」「量がハンパじゃない!」「太っ腹!」

そんな紹介がされていたこちらに興味を持った。

東京で言えば高田馬場のラミティエみたいなものかなぁと想像していた。

(ここの料理も豪快すぎで、いつも食べきれない★)

繊細な料理が食べたかったのではなくて、手頃にがっつんと行きたかったのだ(笑)。



一人だったのでカウンターにすぐに通された。

時間がもう40分しかないので、1050円の日替わりランチにしたが、

これは結果的に大成功、なぜなら…どう考えても前菜とデザートまで

ボリューム的に食べきれるわけがなかったから!!!

 


トマトのガスパッチョは、ヴィネガーが効いているのかな?

トマトと刻み玉ねぎのサラダを思い出す味だった(笑)。美味しかった。


メインががっつん!!

こ、これでほんとに1000円?!

黒目鯛のポワレに、野菜がごろんごろんとつけ合わせてあるのだが

周辺のサラリーマン達の皿を見ても、

ある人はジャガイモがごってり盛られていたり、

ある人はインゲンが山ほど盛られていたりで、

…そして私は人参とピーマンが苦笑いするほどたっぷり盛られていた(笑)。


塩気が強めでお味がとにかく豪快。

フレンチ、なんて言葉はあまり似合わない。

なんていうか「メシ!」って感じで

豪快すぎてむしろ気持ちがいい!

かといって、魚の焼き具合はよく、身が柔らかい。

会社の近くにこういう「メシ!」が食べられるところが欲しい。


しかしパンがねぇ…。

パンがよろしくなかったのだ★

この店は某有名ブランジェリーのパンを使っていることを

売り物にしているわりには…あまりにお粗末。

豪快なここの料理には、

これくらい存在感のない、味気のない、深みのないパンが

ちょうどいいのかもしれないけれど…。

(*後日、衝撃的事実判明。 ランチタイムだけ「そこのパン屋」のパンではないらしい。

紛らわしい! でも誤解がとけて少しホッとしたかも)


料理が出てくる前になくなってしまうくらいに

美味しいパンが私は食べたいな、

たとえ料理中にお腹一杯で食べられなったとしても(笑)。


***


タイムリミット!

急いでコーヒーを飲み干し、タクシーで会社へ。

ものの2時間で業務終了。

さぁ…ここからまた夜までたっぷりと時間がある。

どこへ行く? どこまで歩く?!


***


 

左は天満橋商店街。

右は松屋町の玩具問屋街。季節柄かどこも花火を売っている。



谷町9丁目に、ちょっと行ってみたいパン屋さんがあった。

そこまで歩けるものなのだろうか?

どうせ暇だし歩いてみよう。

中之島の方から、あれこれ寄り道をしながら徘徊。



 

靴を脱いであがる雑貨屋さん。



かわいらしいお店が点在する谷町6丁目、

人形町(東京)よりも人形屋さんが多い不思議な町、松屋町。


とにかくよく歩いた!!

もちろん、気温は36度くらい。

ほぼ徹夜明け。

靴はサンダル。

それでもなんだか立ち止まれなかった。






昭和の懐かしい香りが残るエリアだった。

そして、高速道路の高架下を通る時、また「デジャブ」。

これは東京の首都高の下でもこういう風景があるからだ。

私が良く通るのは飯田橋や九段下の高架下の辺り…。



途中、あまりの暑さにくたばり

涼を求めて、DOCOMOショップに入る(笑)。

プラン変更でもしようと思ったのだが

結局プランは変更せずに、

アイスコーヒーだけもらって出てきてしまった(笑)。

あぁぁ、言い訳みたいだけど本当に

プラン変更するつもりだったのですよーー(笑)。


再び歩き出すが、やはり9丁目までは遠い(笑)。

こんなにがんばって歩いたって、

どうせ今日はもうパンは食べる隙がないし持ち帰れない。

もうここで止めておこうと思い、

谷町6丁目にある、某ケーキ&パンのお店で休むことにした。


 


とにかく涼みたくて、休みたかったのだけど

パンはどれも美味しそうで誘惑するけれど

今食べられないパンは今買わない主義の私。

(偉そうに(笑)常識でしょうが(笑))

それでもやっぱり手を出しちゃいました、

クロワッサンアマンドとマンゴタルト。


マンゴ部分はじゅくじゅくで疲れがスカーっととれるほど甘み十分!

しかし底のタルト部分もクロワッサンアマンド(真っ黒焦げ)も、

ちょーっと不満足だったのでお店の名前は割愛(笑)。


ここで1時間以上ぼーっとしていただろうか。

「ディナー」のために、鋭気を養わなくては。


***




今夜は、私にとってはとても特別な夜だった。

そんな日に、一緒に「ディナー」を提案してくれたお友達。

彼女と梅田で待ち合わせて連れてもらったのは

なんといきつけのホルモン屋さん。

よく子供達を寝かし付けてからダンナと

夜中に食べに来るとか来ないとか(笑)。




メニューをみてもどこがどこの部位だかさっぱりわからない!(笑)

内臓のオーダーはもうおまかせしちゃって私は飲む、ひたすら飲む。





匂い付着防止に、ゴミ袋で荷物をくるむ。

内臓系を突きながら、いろいろ語り合う私たち。

パンの話はここではほとんど出ずに、時間を忘れて語る。

人生いろいろあるさ、いろいろ。

これが飲まずにいられるか?!

と、運転する彼女に遠慮することなく生を2杯飲み干しホルモンをがっつく。




ついつい話に夢中になって焦がしまくって脂がしたたる。

氷で炎を沈下させるのだ。


予定の時間をオーバーし、慌てて外へ出る。

今夜は本当につきあってくださって嬉しかった。

私にとっては意味のある日に一緒に「ディナー」できて嬉しかった。

なんだかこのホルモン屋さんでのことは忘れられない。

また明後日お会いしませう!



***



この日、宿泊先は北摂東方面に住む友人宅に泊めてもらうことになった。

突然の申し出だったので申し訳ないが(しかも平日深夜)

せめてものおわびに、このホルモン臭い身体を清めてから

おじゃましようと、高槻の駅そばで寄り道(笑)。





この日が終わる時と、次の日が始まる、日付けが変わる時。

私は公衆電話から実家の母に電話をした。

「もうすぐ日付けが変わるよ。30秒…15秒…」

「本当に早いわね、月日が過ぎるのは…」

そんな会話を、まんまるの月を眺めながら話した。

つい涙ぐみそうになった。


泊めてもらった友人宅でもついつい話し過ぎて睡眠時間はほんの3時間程度…。

ほんとどうもありがとう、すまないねぇ。



***



朝!

あまりすがすがしくない朝!(笑)

友人は二日酔い気味&筋肉痛(笑)、

私は完璧に睡眠不足、

それでも今日一日をがんばろう。

彼女とは駅で別れた。ほんのつかの間だったがお世話になりました。




彼女の部屋からの朝焼け


もちろん、この場所に泊まったなら行く店は決まっていた。

岸辺に出来たという、ParisのKayzerで修行したシェフが開いたパン屋さん。

駅からちょっと遠いと言うので、行はバス、帰りは歩き食い(笑)、

これで行こうと、岸辺の駅を降り立った。


しかし!

まったく逆の方面のバスに乗り、私が着いたのは吹田駅(笑)。

バスの運ちゃんに詳しくバス乗り場を聞いて、

JRで一駅岸辺にまた戻ってまたバスに乗る…。

本当に阿呆じゃないだろうか。

やっぱり歩いて行けばよかったのだーー(笑)。




「ル・シュクレクール」。

駅から離れているし、賑やかなところでもない。

「え? なぜこんな場所に?」と不思議に思うような場所だ。

(それにはきちんと理由があるのだ)



目を釘付けにするようなパンばかりが並ぶ…!!

カイザージャポンのパンを食べ慣れている私には

馴染み深いパンがいろいろ並んでいるが、

オリジナルのパンももっと多い。

小さめに形成されたパンがあって嬉しい!

(カイザージャポンのパンってどうもでかいので一回じゃ食べきれない(笑))

自分流にどうアレンジしているのだろう。すべてを食べてみたくなる!!

 


とってもかわいい接客のお姉さんに

(パン屋さんに置いておくのはもったいないほど(笑))

Parisでも東京でもカイザーのパン食べてます!」

みたいな話をすると、奥からシェフを呼んできてくれた。

出てきたのはとってもイケメンなシェフ(なんつー表現だ…)。




薄らと焼き色のついたエピ!

コショウやマスタードは入っていないのでそのままだとちょっと淡白。

しかーし焼くとがぜん本領発揮。生地がふわっと柔らかくてお肉が甘い!



なぜカイザージャポンに入らずに自分の店を開いたのか、

どういう経緯でParisのKayzerに入ったのか、

Parisでは、パンはKayzerのパンで十分に納得していたので

自分はパンと料理の合わせ方を学ぶべくレストランの方を色々

食べ歩いてみた、という話も非常に興味深かった。

そして、いつか「ここのパンに合った料理を出したい!」という

お店がこの界隈にひとつふたつと増えて行き、

地元が美味しい発展をして行ってくれたら…という話もお伺いした。

カイザー裏話(?)もお伺いできたし!(注:悪口ではない(笑))





絶品のクグロフ! 甘さは控えめ、たっぷり入った具と生地のコシが最高!



お店を出て、パンを食べながら確信した。

このお店もきっとこのエリアの人たちのパンライフを変える。

嗜好を変える。それだけの力のあるパンだ。


 

ラタトゥイユ入りのパン。具が大きい。これで野菜補給完了(笑)ありがたやー



立地的に苦戦しているパン屋さんは多いけれど

そういう場所にある店ほど、ポリシーをきちんともった

素晴らしい職人さんがいるなぁとつくづく思う。

私が近くに住んでいたら、毎日でも通って応援するのに!

(わりと)近くに住む友人よ、ここがなくならないようにちゃんと通っておあげ!(笑)



トップの画像のフルーツのパンもこちらのパン。

この5種類のフルーツの入った「レ・サンク・ディアマン」。

いくつものフルーツが入っているのに、ひとつのまとまった美味しさを

どーんと与えてくれる、抜群のバランス感を感じる逸品。

とにかくものすごーーーく美味しいので何がなくともお買い上げあれ。



岸辺の駅へ向かう途中、古い民家の続く小道を歩いていた。

こういう町並みを眺めながら食べるパンもいいかもしれない。

あんパンやメロンパンの方が似合いそうかも知れないけれど(笑)。




ここが岸辺名物(?)、長〜い地下通路



そして、私はこのあと大阪市内のホテルに荷物を預け、

長い旅へと出ることになった。



★ 和歌山篇につづく ★